毎週、次のWHO(世界保健機関)の図のにあるような運動量(1週間に中強度の有酸素運動150~300分、もしくは高強度の有酸素運動75~150分)をきちんとしていたら、運動以外のときは座りっぱなしの生活でも良いでしょうか?
この運動を継続するには自転車が一番であることと、行うためのコツを下の記事で説明しました。
実はそうではないそうです。
それどころか、それほど運動していない人と比べても、座っている時間がより長い人は、死亡リスクが高いという調査結果もあります。
この記事では、座り過ぎの弊害とその解消法の紹介をしたいと思います。
目 次
たとえ運動習慣があっても、長く座りすぎだと死亡リスクは高くなる
私は運動していないときは、座ってパソコンをやったり、スマホやテレビを見たりしている時間が長くありました(過去形なのは、最近、これを止めたからです)。
運動を習慣的に行っていれば、たとえ座っている時間が長くても、その悪影響を運動の効果が帳消しにしてくれると思っていました。
ところが、最近「座り過ぎは良くない」ということを色々なメディアでよく見聞きます。
先に紹介したWHOのガイドラインも、次の図のように、座っている時間を減らすことを強く勧めています。
気になったので、座り過ぎが健康長寿に与える影響について調べてみました。
座り過ぎって、どれくらいの悪影響があるの?
次のグラフは、1週間の運動量と座った姿勢での時間が、死亡率に与える影響を米国で調べた研究結果からの抜粋です。
このグラフが示すように、運動を多くしていても座っている時間が長いと、それほど運動はしていないが、座っている時間はより短い人よりも、死亡リスクが高い結果になっています。
冒頭の「座り過ぎの生活はよくないというのは聞いたことがあるけど、私はちゃんと運動を普段しているから大丈夫!」という主張は間違いのようです。
グラフの横軸は「メッツ・時間」となっていますが、メッツというのは運動強度(運動の強さ)の単位です。
例えば、次の表は、速歩、サイクリング、ランニングに対するそれぞれの強度(メッツ)です。
運動 | メッツ |
かなり速歩(平地、速く=毎分107m) | 5.0 |
サイクリング(約毎時20km) | 8.0 |
ランニング(毎分161m =時速9.7km ) | 9.8 |
先程の図の一番左のグループは1週間の運動量が52.5以上となっていますが、これは上の表を使って、速歩 10.5時間以上、サイクリング 6.6時間以上、ランニング 5.4時間以上ということになります。
赤い棒の人はこれだけちゃんと運動しているわけですが、座っている時間が6時間以上と長くなっています。
これに対して、緑の棒の人の運動量は赤い棒の人の半分位ですが、座っている時間は3~5時間と緑の棒の人ほど長く座っていません。
グラフで分かるように、赤い棒の人の方が緑の棒の人よりも累積死亡リスクは高いという結果になっています。
上記のは米国での調査結果でしたが、日本での調査結果もあります。
次の図は、日本人を対象とした日中の座っている時間と死亡リスクとの大規模研究の結果です。
この研究結果によると、仕事および余暇の時間を含んだ日中の座位時間が長いほど、死亡リスクが高まります。
特に1日9時間以上座っている人は、顕著に死亡リスクが高くなっています。
なぜ座り過ぎる生活をしていると死亡リスクが増えるの?
どうして日中、座っている時間が長いと体に良くないのか、その理由を調べてみました。
次の3つの医療・保健関係の専門家のWebページを参考にしました。
- 心臓血管病専門病院 名古屋ハートセンター 「座りっぱなしは、将来の死亡リスクに直結! テレビ時間を減らし、こまめにからだを動かしましょう」
https://nagoya.heart-center.or.jp/div04_7_archive/div04_7_220401.html - 社会福祉法人 済生会 『「座りすぎ」にご⽤⼼! ちょっとした⼯夫で健康な⾝体を』
https://x.gd/WZpt1 - 保健指導リソースガイド 『座位時間が長いほど死亡リスクが上昇 生活習慣病があるとさらに危険「立ち上がって運動を」 日本人6万人超を調査』
https://x.gd/FHQ9b
これらのWebページに書かれていることを総合すると次のようになります。
座り時間が長くなると、第一に足の筋力を中心に身体機能が低下します。
筋力や筋肉量が落ちると代謝機能が下がり、疲れやすく、血液の流れも悪くなります。
例えば、「第二の心臓」とも呼ばれるふくらはぎの活動量の低下は、下半身にたまった血液を心臓に押し戻すポンプ機能も低下させるため、血流が滞った状態になります。
するとむくみや血栓ができるリスクが上昇し、それが血管内で詰まる「血栓症」のような病気も引き起こしかねません。
また、太ももには私たちの身体で最も大きい「大腿四頭筋」があります。
長時間下肢を全く動かさない状態でいると、この大腿四頭筋の活動が停止し、糖代謝や脂肪分解酵素の活動も低下します。
その結果、血液中の中性脂肪の増加、善玉コレステロールの減少、血中インスリン感受性の低下などを引き起こし、肥満や動脈硬化、糖尿病、骨粗鬆症のリスクが高まります。
長時間の座位姿勢は、腰にも大きな負担がかかります。
立位姿勢での腰への負担(椎間板内圧)を100とすると座位姿勢は140で、腰痛や椎間板ヘルニアなどを引き起こす原因にもなります。
さらに高齢者においては、活動量低下による認知機能やメンタルヘルスへの影響も指摘されています。
座り過ぎを減らす方法
「座りすぎ」を防ぐためには「小まめに動く」ことが大切です。
座っている状態が続く場合、30分から1時間毎に、数分動くと良いと言われています。
次のリストは座りすぎを防ぐための工夫例です。
- タイマーや時報に合わせて席を立ったり、運動したりする
- テレビCMの時間は必ず席を立つ
- テレビのリモコンをすぐ手の届くところに置かない
- パソコンを立ちながら作業できる台(スタンディングデスク)に置く
- デスク周囲の物は立たないと届かない位置に置く
- 電車では
ー 基本的に座らないようにする
ー 座っているときは、定期的に座る姿勢を変えたり、周囲に配慮しながらストレッチを行なったりする
私は、座って何かをしていると、つい時間を忘れて長く座ってしまうことがあるので、タイマーを使っています。
次の図のように、座ると同時に30分のカウントダウンタイマーをスタートし、30分経ってアラームが鳴ったら、次は立って何かをするようにしています。
その後、また座るときはカウントダウンタイマーをスタートさせるという繰り返しをしています。
立ってパソコンを使うときは、最近買った、次のスタンディングデスクを使っていますが、買って良かったと思えるものでした。
私は何かを買うときは「サクラチェッカー」で評価を必ずチェックしていますが、ここでも高い評価になっていた(次の図)ので、買うことを決心しました。
「サクラチェッカー」をご存じの方も多いと思いますが、これはAmazonでのステマやサクラによって操作された高評価を見抜くツールです。
また逆に、競合他社などによる意図的なサゲ評価もチェックしてくれます。
机の下の段にキーボードやマウスなどをスマートに収納ができる可動式の棚があり、PC作業の際には重宝しています。
昇降機能付きで、私は身長が高いのでかなり高くセットしていますが、とても安定性がありぐらつきはありません。
足回りもスッキリしており、立って作業しやすいデザインになっています。
おわりに
はい、以上です。
たとえ毎週、運動をきちんとしていても、運動しているとき以外は長く座っている生活だと健康寿命は短くなる恐れがあることが分かりました。
とくに9時間以上座っている生活は、顕著に死亡リスクが高くなるとのことです。
仕事がデスクワークで、家での余暇などでも座っていることが多い人は要注意ですね。
本記事で紹介した座り過ぎを防ぐ工夫が参考になれば幸いです。
座り過ぎの生活はよくないというのは聞いたことがあるけど、私はちゃんと運動を普段しているから大丈夫!