自転車ナビマーク、ナビラインの本当の意味を知るとストレスが減るかも

車道を自転車で走っていると、「自転車ナビマーク」や「自転車ナビライン」を以前にも増してよく見かけるようになりました。

参考:警視庁Webページhttps://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/bicycle/menu/navimark.html

自転車ナビマーク:主として車道の左側端に設置

自転車ナビライン:主として交差点に設置

このマークは自転車に関するものとは分かっていても、意味はよく知らないという人が多いのではないでしょうか?

私自身、よく分かっていなかったというか、誤解をしていたので、このマークにはネガティブな印象を持っていました。

しかし、その意味を知ってかなりスッキリしましたので、調べた結果をシェアしたいと思います。

なお、自転車ナビマークや自転車ナビラインと似たものとして、「自転車専用通行帯」がありますが、これについてはこの記事では触れません。
「自転車専用通行帯」は、「自転車のマーク+専用」が示された標識が設置されているものです。これは文字通り「自転車専用の車線」で、「自転車ナビマーク・ナビライン」と違って、その意味が明確だからです。

自転車ナビのマークは自転車優先を意味する?

「自転車ナビマーク」や「自転車ナビライン」は一見すると、いかにも「自転車優先(専用)」のような印象を与えます。

自転車ナビライン

次の警視庁のリーフレットには、「自転車は自転車ナビのマークの上を走りましょう」とはっきり書かれています。


警視庁の広報リーフレットより転載 https://x.gd/DsV3H

「本当にマーク通りに上を走っていいの?やったー!」と自転車乗りは思うのではないでしょうか?

普段、後ろからの車にひかれないようにと、車線の左端の白線の上や、そのまた左の側溝の上をこわごわ走っている自転車乗りは、ここは自転車優先ですよという意味のマークだと思ってしまいます。

このように思い込むと、次のような問題が起こります。

「自転車ナビのマークどおりには実際は走れないぞ!」と思い、腹が立つ

車線幅が狭い道にも自転車ナビのマークが設置されており、マークのとおりに走ろうとすると車と接触してしまうところが少なくありません。

例えば、私の家の近所にある国道134号線に自転車ナビラインが設置されています。

次の写真のように自転車ナビラインの真上を走ろうとすると、後ろからの車に轢かれてしまいます。

危なくて自転車ナビラインの上を走れない

危ないので、道路左端の白線上か、そのまた左の側溝上を仕方なく走ることが通常です。

側溝には雨水を水路に流し込む蓋がところどころ設置されていて、それを乗り越える際にハンドルをとられそうになったり、段差で突き上げられてお尻が痛くなったりして、側溝を走るのは嫌ですよね。

自転車ナビのマークが無ければ、今まで「しょうがないな」という程度にしか思わなかったのですが、このマークができたため、「自転車ナビのマークどおりに走れないじゃないか」と腹立たしい気持ちになってしまいます。

自転車ナビ通りに頑固に走ろうとすると、自転車の後ろに大渋滞ができてしまう

先に紹介した警視庁のリーフレットどおり、自転車ナビのマークの真上を頑なに走ろうとすると、後ろの車は自転車を追い越せないために、渋滞が起きてしまいます。

たいがいの人はここまで頑固にマーク通りに走ろうとはしないでしょうが、ひょっとすると、マークどおりに走ろうとする自転車と車の間でトラブルになっていることもあるかもしれません。

自転車ナビのマークの上を走ったり駐車している車やバイクを見ると腹が立つ

自転車ナビのマークが自転車専用の車線を意味すると思い込むと、そこを走ったり駐車している車やバイクにも腹が立ちます。

「ここは自転車専用の車線なのだから、走っちゃだめでしょ!」と思うからです。

自転車ナビラインの上を走るバイク

「自転車ナビマーク/自転車ナビライン」とは実際、何なの?

自転車ナビのマークは本当のところ、何を意味するのか調べてみました。

次は、警視庁のWebページからの引用です。

警視庁のWebページより引用

(ピンク色のマーカーは筆者が付加)
【 自転車ナビマーク・自転車ナビラインの表示する意味 】

自転車が通行すべき部分及び進行すべき方向を明示するものです。
自転車は、矢印の向きに進行してください(逆行はできません。)。
自転車ナビマーク・自転車ナビラインは、道路交通法等に規定されている自転車の通行方法について、自転車運転者及び自動車ドライバーに対し分かりやすく周知し、実効性を高めることを目的として設置しているものです。
新たな交通方法や罰則を定めた道路標示ではありません。

https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/bicycle/menu/navimark.html

このように、 自転車ナビマーク・自転車ナビラインは、自転車が道路のどこを、どの方向に進むべきかを、道路交通法に基づいて表示しているだけということになります。

はっきりと「新たな交通方法や罰則を定めた道路標示ではありません」と書かれています。

つまり自転車専用道路という標識がない普通の道路では、「道路交通法で規定されていること以上のことは何も無く、自転車を優先するものではない」ということになります。

もう一つ、全標協(全国道路標識・標示業協会)広報の資料を次に引用します。

全標協広報資料より引用

(ピンク色のマーカーは筆者が付加)
自転車ナビマークは警察庁通達「良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について」(2011年10月25日)を受けて、2012年 2 月に警視庁が独自に制定したものです。自転車が通行すべき部分ならびに進行すべき方向を明示するものですが、法定外表示であり、自転車優先の意味はありません
したがって自転車ナビマークが設置されていても、歩行者や自動車に十分注意して走行することを子どもたちに周知することが大切です。

https://zenhyokyo.or.jp/wp/wp-content/uploads/2019/09/No.338.pdf

この引用では、「自転車ナビマークは法定外表示であり、自転車優先の意味はない」と明記されています。

法定外表示ということは、自動車やバイクがこのマーク上を通行したとしても違反にはなりません

「自転車優先の意味はない」と理解すると多くのイライラは解消する

このように、自転車ナビのマークが意味することは「道路交通法では、自転車はここをこっちの方に向かって走ると決まっているんですよ~」という単なるヒント、サジェスチョン、リマインダーにすぎないということが分かりました。

つまり、自転車ナビマークが無かったころと同じように、周りの車や歩行者に注意しながら道交法に従って走れば良いということになります。

こう理解すると、先程の問題は見え方が随分変わります。

「自転車ナビのマークどおりには実際は走れないぞ!」と思い、腹が立つ

         

自転車ナビのマーク通りに走れなくて、車線左端の白線や側溝の上を走らざるを得なくてもしかたがない(自転車ナビのマークに自転車優先の意味はないから)

ただ、「特に新たな意味が無いマークを膨大な数の道路に設置して、税金の無駄使いじゃないか」と思うかもしれません。    
これについては後で考えたいと思います。

自転車ナビ通りに頑固に走ろうとすると、自転車の後ろに大渋滞ができてしまう

         

自転車ナビのマークのとおりに走ることに固執せず、車と互いに譲り合って交通の流れを良くするようにしよう(自転車ナビマークに自転車優先の意味はないから)

自転車ナビマークの上を走ったり、駐車したりしている車を見ると腹が立つ

         

自転車ナビマークの上を走っていたり、駐車したりする車がいても問題ない(自転車ナビマークは法定外表示だから)

このように、自転車ナビマークの実際の意味を知ると、冒頭のほとんどのモヤモヤは解消してしまいます。

無意味なマークを道路に設置して、税金の無駄使い?

自転車ナビマークは単なるヒントで、自転車優先であることを示さない法定外表示ということが分かりましたが、次のように思う人もいるのではないでしょうか?

「自転車優先とかの新たな意味がないのであれば、膨大な数の自転車ナビのマークを道路に設置するのは税金の無駄だよね。
自転車は車道の左端を走るということは結構、浸透してきているのに、わざわざお金をかけて、こんなマークを設置する必要があるの?」と・・・

しかし、自転車ナビのマークの効果はそれだけではありません。

自転車ナビのマークが道路に設置されたおかげで、自動車やバイクの運転手が「自転車は車道の左側を走る」とはっきりと認識するようになったと思います。

自動車やバイクの運転手が「自転車は車道の左側を走る」ということをより認識するようになった

以前は、わざと左車線の左端ギリギリのところを走り、自転車を通らせないようにしているドライバーを沢山みかけました。

またドライバーの中には、「自転車が車道を走るとじゃまなんだよ、自転車は歩道を走れ」とばかり、自転車にクラクションを鳴らしたり、幅寄せしたりしてくる輩(やから)が少なからずいたと思います。

今では、自転車ナビのマークを避けるように、多くの車やバイクが車道の左側を開けてくれるようになりました。

その結果、自転車で車道を走っても、不快な思いや怖い思いをすることが前よりもはっきりと減りました。

このため、自転車ナビのマークを道路に設置するのは税金の無駄使いではなく、良い施策だと私は思うようになりました。

まとめ

自転車ナビのマークを、ここは自転車優先ですよという意味の標識だと早合点し、その結果、現実は優先になっていないと腹を立てたりしていました。

しかし、その意味を調べた結果、たとえ、法定外表示であっても、実際に効果があがっていると思います。

自転車乗りの立場からは、もっと自転車道や自転車専用通行帯の設置を増やして欲しいところですが、狭い日本ではそれも難しいでしょう。

こう考えると、自転車ナビのマーク設置は良い施策だと今では思います。

ただ、道路標識の意味がよく分からない場合に、警察のWebページを自分から検索して理解しようとする人は少数派だと思います。

自転車ナビのマークの意味の周知徹底を図るということに関して、道路行政に携わっている人たちの一般市民へのコミュニケーションが足りないなぁとは思います。

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