この記事では、輪行(公共交通機関を使って自転車を運ぶこと)の初心者や輪行に興味を持っている方向けに、輪行をスムーズに行うコツを分かりやすく、詳しく紹介したいと思います。
つい先日、輪行してきたので、その時に撮った写真や動画を使いながら説明します。
行ったところは、以前から訪れてみたいと思っていた神奈川県相模原市にある「相模川ふれあい科学館 アクアリウムさがみはら」です。
ここはそれほど有名ではありませんが、展示などが充実している穴場的な科学館で、お勧めのところです。
ついでに津久井湖城山公園の方にも足を延ばすことにしました。
ここも自転車で来たのは初めてです。
輪行に使った自転車は「Birdy Air」という折り畳める小径車です。
次の地図にあるコースでサイクリング+輪行を行ってきました。
自宅 =サイクリング⇒ 茅ケ崎駅 =輪行(JR相模線)⇒ 橋本駅 =サイクリング⇒ 津久井湖ダム、城山公園 =サイクリング⇒ 相模川ふれあい科学館 =サイクリング⇒ 下溝駅 =輪行(JR相模線)⇒ 茅ケ崎駅 =サイクリング⇒ 自宅
目 次
輪行の良いところ
輪行の方法のコツを説明する前に、輪行にはどんなメリットがあるかをみてみたいと思います。
ここでは、輪行の代表的な公共交通機関である電車の場合を想定します。
- 普段行けない遠くまで行け、非日常感を味わえる
疲れ気味あるいは中高年になって体力が衰えてきても、途中に電車を利用することで、遠くまでサイクリングに行けます。
初めて利用する駅は非日常感があってドキドキします。
また、電車はスピードが速いので、限られた時間しかないときでも遠くに行けます。 - 自転車で走りたくない道をコースから省ける
車が多く自転車では危険を感じる道やきつい坂が長く続く道などを、輪行することでスキップできます。
健康長寿のために安全に長く運動をするには、過度に頑張らないことが大事です。 - 自由度の高いコースを組める
出発した後でも、その時の気分や思いがけない発見などで輪行からサイクリング、あるいはその逆に、気軽に変更できます。
また、電車が突然の事故や故障などで止まることがたまにありますが、サイクリングに切り替えて帰って来ることができます。
逆に、サイクリングを途中で止めて輪行にしたこともあります。
家から遠く離れた初めての場所をサイクリングしていたら、ハンドルに付けていたスマホホルダーが根元からポキッと折れてしまいました。
これでは、地図のナビが見られず、迷子になってしまうので、サイクリングを諦めて電車で帰りました。 - 自転車を無料で運べる
例えば、犬や猫を動物専用のケースにいれて手回り品として電車内に持ち込む場合、有料となります。
それに対し、折り畳んでもかなり大きく重い自転車は、なんと持ち込むのに追加料金は必要ありません!
自分の乗車賃だけでOKです。
これは、JR、その他の私鉄で共通です。
このように輪行には沢山のメリットがあります。
勿論、住んでいる地域に利用できる電車がどれだけあるかにもよりますが、日本人の過半数が住んでいる大都市圏では、電車路線網が発達しているので、特に輪行をしやすいと思います。
日本の電車網は広いエリアをカバーし、しかも運行が正確で清潔という世界でもトップのインフラなので、これを利用しない手はないですね。
輪行をスムーズに行うコツ
輪行を行うステップの順に沿って、うまく輪行をするポイントと思うものを詳しく紹介したいと思います。
輪行を計画する
先ず、計画です。
計画とその準備で輪行がうまくいくかどうかの大半が決まります。
どこに、どうやって行こうかとあれこれ思案するのも輪行の楽しみです。
初心者の方向けの無理のない輪行計画の立て方については次の記事をご覧ください。
上の記事で触れなかったので、輪行を準備するためのチェックリストを紹介したいと思います。
快適で安全に輪行をするには、プランが必要ですし、準備するものが多いので、チェックリストを作って、忘れ物がないようにすることをお勧めします。
次はチェックリストの例です。
- 地図関連
- 乗車駅や下車駅、自転車の目的地などを決めたら、地図アプリ(GoogleマップやNAVITIMEなど)にコースをセット
- 駅の近くで自転車を折り畳む(展開する)場所の候補を地図で予め調査
- 地上から駅の改札口階への(駅の改札口階から地上への)エレベーターの場所を駅の構内図で予め調査
- 自転車関連
- タイヤの空気圧
- パンク修理キットまたはパンククイック充填ボンベ
- 携帯工具(六角レンチなど)
- 駐輪する際の自転車のロック
- 自転車にガタや緩みはないかのチェック(前後輪のクイックの緩み、ステムやサドルの取付ボルトの緩みなど)
- ブレーキ(ブレーキシューの摩耗などによりブレーキの効きが悪くなっていないか)
- チェーンや変速機(錆ついたり汚れたりしていないか)
- 輪行アクセサリー関連
- 輪行袋
- 輪行袋を担ぐためのベルト
- 身だしなみ関連
- 日焼け止め(目に沁みない日焼け止めがお勧めです)
- 自転車用グローブ
- フェースカバー(日焼け防止のため)
- 上着
- パンツ(股ずれしないもの。長距離のサイクリングの場合、下にレーパンをはき、さらにシャモアクリームを塗ると良い)
- 靴下
- 靴
- ティッシュペーパー
- お手拭き、ボディータオル(汗まみれで電車に乗るのは憚られるので、携行をお勧めします)
- 飲食関連
- 現金(スマホで決済できない店もあるので)
- 補給食(パワーバーやジェルなど)
- 飲み物を入れたボトル
- その他
- カメラ(サイクリング中の動画を撮りたい場合、そのための道具も必要)
- お土産用の袋
- ・・・・
上のチェックリストにある、「パンククイック充填ボンベ」というのは、次のようなものです。
これがあると面倒なパンク修理をしないでも、応急処置をして帰ってこれます。
ちなみに、これは仏式バルブ専用です。
英式バルブの場合は、別の類似製品があるので、そちらを使う必要があります。
自転車を折り畳んで輪行袋に入れる場所を選ぶ
自転車は駅舎に入る前に折りたたみ、輪行袋に入れるのがマナーです。
周りの人の邪魔にならない場所で行います。
大きな駅の場合、輪行袋に入れるところから、駅の乗車ホームまで長い距離を担いで歩くのは嫌ですよね。
そのためGoogleマップのような地図で、あらかじめ折り畳むための候補の場所をチェックしておくとよいでしょう。
また、エレベーターで地上階から改札口のある階に上がる駅の場合、どこにエレベーターがあるのかも、「○○駅 構内図」などとインターネット検索して調べておきます。
次の動画は茅ヶ崎駅で自転車を折り畳む場所を選んでいるところです。
茅ヶ崎はサザンオールスターズの桑田佳祐さんの地元で、商店街や歩いている人も湘南っぽい雰囲気があります。
茅ヶ崎駅のすぐ横にあるベンチは、周りの邪魔にならなさそうだったので、ここで折り畳むことにしました。
ここは、改札口のある階へ上がるエレベーターまでの距離もそんなにないので便利でした。
自転車を折り畳む
駅の周辺で、いざ、折り畳もうとすると、周りの人が自分に注目しているような気がして緊張します。
実際、「どこまで行くんですか?」、「この自転車はいくらするの?」と急に声をかけられることがありました。
初めてのときはもちろん、久しぶりに行うときは、折り畳み・展開の練習を輪行に出かける前にして、緊張していてもできるようにしておいた方が良いと思います。
うろ覚えのまま、無理に折り畳もうとすると高価な自転車の部品を壊したり、キズを付けたりしてしまいますので、これは大事です。
私の場合、時間が経つと、「あれ?どうだっけな」ということがよくあるので、YouTubeを見て、Birdyの折り畳み・展開手順を再確認しています。
折り畳むときに、自転車に固有のコツがあるので、そこはちゃんと押さえる必要があります。
例えば、Birdyの折り畳みのポイントは、次の写真のように、チェーン側のペダル位置を12時のところにセットしておくことです。
なお、フレームに白い斑点がこの写真で見えますが、これは次のボディ保護テープをフレーム全体に貼っていて、それが浮いて見えています。
もう一つのBirdyのポイントは、ギアを軽い方から3段目に合わせておくことです。
上記はBirdyの場合でしたが、ご自分の折り畳み自転車を持っている場合、その自転車特有の折り畳み時のポイントがあると思いますので、それをちゃんと覚えている必要があります。
できれば、あっという間に格好良く折り畳めるようになりたいですね。
次の写真はハンドル周りを写したものですが、結構、色々と取り付けています。
バックミラー、ライト、ベル、GoPro用アタッチメント、スマホホルダー、ハンドルポーチなどです。
ハンドルポーチはGoProに給電するモバイルバッテリーを入れるのに使っています。
ライト、ベル、GoPro用アタッチメント等は、ハンドルにスペースが無いので、次のエクステンションバーに取り付けています。
また、グリップは純正のものを、ERGONグリップに換えています。
これは、幅広なので手首を快適にグリップに置け、疲れた時に持ち手を変えることもできるのでお勧めです。
ハンドルにこれだけのものを取り付けていますが、外さずにこのまま折り畳むことができて便利です。
輪行袋はサドルバッグに入れています(次の写真)。
Birdyを折り畳みました(次の写真)。
折り畳みは本当に簡単で、慣れれば1,2分でできます。
折り畳んだ自転車を専用の袋に完全に収納する
次のJRの案内にあるように、折り畳んだ自転車をすっぽり覆って「専用の袋に完全に収納」する必要があります。
ビニール袋やゴミ袋、自転車カバーなどに入れて運ぶのはルール違反です。
https://railway.jr-central.co.jp/ticket-rule/_pdf/temawari.pdf
https://www.jr-shikoku.co.jp/02_information/kippu_info/kippu_sonota/cycle_jirei.pdf
また「完全に収納」することが必要ですから、ハンドルやサドルなどの一部が出ているのはNGです。
自転車のタイヤや付属パーツのキャスターを使った駅構内や車両内での転がしも禁止されています。
この理由も、自転車が完全に袋に収納されていないからです。
(注:駅構内に入るまでなら、転がすことは可能です)
サイズと重量については、先ほどのJRの案内にあるように、3辺の合計が250㎝以下、長さは200cm以下、重量30kg以下である必要があります。
私のBirdy Air用に使っている輪行袋は、オーストリッチ(OSTRICH) 輪行袋 [ちび輪バッグ]です。
「ちび輪バッグ」にBirdy Airを収納したところです(次の写真)。
輪行袋の紐が細くて肩に食い込んで辛いのを解消するため、ベルトを自作しました(次の写真)。
作る方法については、次の記事で説明しました。
輪行袋を担ぐ
折り畳み自転車は一般的に10㎏以上の重量があります。
しかも、輪行袋は大きくかさばるので、担いで歩くのは楽ではありません。
輪行袋を担ぐスタイルには次の図のように、肩掛けスタイルと袈裟(けさ)懸けスタイルがあります。
上の図に記したように、どちらも一長一短がありますが、私は袈裟懸けスタイルで運んでいます。
これだと輪行袋がブラブラしづらく、体の左右に荷重がかかり、それほど重く感じません。
次の動画のように、人が多い駅構内では、このブラブラしにくくなるのは大きなメリットです。
袋の中にはゴツゴツした重い自転車が入っているわけですから、すれ違う人にぶつけないことは必須です。
改札の幅が狭いときも、輪行袋をブラブラさせて自転車を改札機にぶつけないように気を付ける必要があります。
私は大柄な体なので、体を斜めにして、カニ歩きでよちよちと改札を通っています(笑)。
一方、袈裟懸けスタイルのデメリットは、階段などで足を踏み外してしたりして転倒すると、輪行袋をとっさに離せないため危険が増すことです。
このようなリスクを減らすために、エレベーターがあるところは、階段やエスカレーターではなく、エレベーターを使うことをお勧めします。
次の動画は、今回の輪行の終着駅だった橋本駅で、エレベーターに乗るところです。
ただ乗るだけなので何の変哲もない動画ですが(笑)。
輪行袋を担いでエレベーターに乗るとエレベーター内がかなり狭くなるので、同乗者がいる場合は、迷惑をかけないようにする必要があります。
乗車する車両を選ぶ
言うまでもありませんが、輪行袋という大きな荷物があるので、車両に乗り込むにあたっては、周りの乗客に迷惑をかけないことが第一です。
通勤通学のピーク時に無理に乗り込むと他の人の大迷惑になりますので、避けましょう。
なにしろ、通勤通学の人と違い、こちらは遊びに行くわけですからこのような配慮は当然ですね。
また、自分のストレスを増やすと、健康長寿のための運動という目的に反してしまいます。
今はインターネットで電車混雑リポートや電車混雑予想などを調べられるので、できるだけ事前にチェックしてピーク時を避けるようにしましょう。
車両数が多い場合、一般的に、車内で自転車を置きやすいのは乗客の少ない先頭か最後尾の車両です。
重い輪行袋を担いで、端の車両まで歩いていくのはちょっと気持ちがへこみますが、仕方ないですね。
次の動画は茅ヶ崎駅の相模線乗り場から先頭車両に乗車するところです。
乗車したのは、平日の10時くらいでしたが、車両は空いてました。
輪行袋を置いて座る
ドア付近や車両の端にある壁に輪行袋を持たれかけるようにすると、邪魔にもなりません。
運転席後ろの壁を利用する場合は、乗務員の出入りするドアを塞がないようにします。
また、壁に立てかける際は、急停車やカーブを曲がるときに倒れないよう、ひもで手すりなどに結ぶ等して固定する必要があります。
基本は、他の乗客の「邪魔にならない場所」に、「安全な状態」で置くことです。
ドア近くの小さなスペースを利用する場合は、乗り降りされる乗客が自転車に当たらないように細心の注意を払う必要があります。
輪行袋から離れることができるのは、ほとんど乗客がいない場合だけです。
床に置いて手で支える場合、急ブレーキで自転車が動いたり倒れたりしないよう、しっかり支えている必要があります。
混んでいる場合は、大きな輪行袋があるので、無理に座らないようにします。
途中で空いてくることもあるので、それまではずっと立つことはよくあります。
また、座れる場合、端の席にしましょう。
席の真ん中は、両隣の人に迷惑になる恐れがあります。
私が乗った茅ヶ崎駅発の相模線先頭車両は空いていたので、気兼ねなく座席に座れました(次の動画)。
このように、端の車両で良い場所が取れると、心の中で「やったー!」と叫びたくなります。
下車し折り畳んだ自転車を展開する
初めて来た駅に降り立つと、もの珍しいという気持ちと、ここから未知の場所のサイクリングを開始するという期待で高揚感がありますね。
電車を降りて、プラットフォームから改札口のある階に移動する場合も、できるだけエレベーターを使う方が良いと思います。
そして、改札を出た後も、地上階に移動する場合も、やはりエレベーターを利用することをお勧めします。
混んだエスカレーターに輪行袋を担いで乗ると、結構、周りの人の迷惑になります。
駅舎を出たら、周りの人の邪魔にならない場所で輪行袋から折り畳んだ自転車を出し、展開する作業行います。
展開し終わったら、いきなり走りださずに、はやる気持ちを抑えて、がたつきや異音がしないか安全確認をします。
身だしなみについて
まだ行きの輪行は大丈夫かもしれませんが、帰りに輪行する場合、サイクリングで衣服が汗まみれになったり、泥や砂が付着したりしている可能性があります。
特に暑い時期は、汗だくで電車に乗るのは躊躇しますよね。
余裕があれば着替えを持っていくといいですが、それが難しい場合、ボディーシート(体拭きタオル、ぬれタオル)などを持参して、電車に乗る前に拭いてから電車に乗りましょう。
最近はボックスではなく、個装で持参できる使い捨ての便利なものもありますね。
今回の帰りの輪行では冒頭にコースを説明したように、相模線下溝駅から乗車して、茅ヶ崎駅に戻りました。
この駅(次の写真)はひなびた無人駅で、私の他にはもう一人しか電車を待っていませんでした。
この下溝駅に到着するまでに、橋本駅を出発して、津久井湖、その後、相模川ふれあい科学館をめぐるサイクリングをしたので、汗まみれになっていました。
この日はかなり気温が高く、蒸し暑い日でした。
そこで、電車に乗る前に「からだふきぬれタオル」(次の写真)で顔や首、腕、足を拭きましたが、「あ~いい~!」と声が出るくらい気持ち良かったです。
これは55cm x 30cmの大きなぬれタオルなので、拭きやすいです。
個装なので、暑い時期や手足を汚しそうなときは1、2本、携行することをお勧めします。
下溝駅から乗車した相模線上りの車内も、次の動画のように空いていました。
乗ったのは平日の14時36分発の電車でした。
サイクリングの後で輪行し、座席に座れると、電車の快適さにうっとりします。
おわりに
計画および実際に輪行を行う手順に沿って、輪行を行うコツを説明しました。
輪行には楽をしながら普段行けない遠くまで行けて、非日常感を味わえるといった、多くのメリットがあります。
しかも、日本の電車交通インフラは世界から羨ましがられるほど完成度が高いので、是非、活用したいですね。
しかも自転車を無料で運べます!
この記事が、これから輪行をしてみたいと思っている方々の参考になれば幸いです