先日、e-bikeのBESV JR1の左クランクのペダル・ネジ穴をつぶしてしまいました・・・トホホ

これまでペダルをよく交換していましたが、無理にねじこんでしまったことが何度かありました。
その結果、先日ペダルを漕いでいたら、急に左のペダルがグキッと曲がってしまいました。
驚いてペダルを見ると、もうペダルがクランクから抜けそうになっていました。
幸い、家の近所でのトラブル発生だったので自転車を押し歩きして帰ってこられました。
ペダルは手でクランクから簡単に抜け、クランクのペダル・ネジ山を見るとつぶれ、次の写真のようにほぼ無くなっていました。

クランクに空いているペダルのネジ山はアルミ合金に直接、溝が切られてできているので、無理に締め付けると簡単につぶれてしまいます。
ペダル(SHIMANO PD-ME700というSPDペダルです)の方はスチールで出来ているので、こちらのネジは無傷のようでした。

目 次
修理の方法はいくつもある
ガックリきましたが、気を取り直し、修理の方法をインターネットの記事やYouTubeなどを利用して調べてみました。
その結果、次のような修理法の候補があることが分かりました。
選択肢1 クランク交換
これはネジ穴を修復するのではなく、クランクそのものを交換する方法です。
私の場合、左のクランクの交換になりますが、左右のクランクセットを買う必要はなく、左のクランクだけを購入できることが分かりました。
例えば、次のような商品です。
ただし、BESV JR1のクランクキャップを外すには特別な工具が必要となり、それを購入する必要があります。
選択肢2 クランクのペダル・ネジ山のヘリサート加工(リコイル)
これは、つぶしてしまったネジ穴の場所に新たなネジ山を作りだす加工法です。
あまり多くはないと思いますが、この加工をしてくれる自転車屋さんもあります。
(例: CHIBA CYCLE 「ネジ穴修復」 https://chibacycle.com/maintenance/maintenance.php?p=870#bolt )
自分で行うには次に紹介するように専用の工具が必要で、値段も結構するので、頼める自転車屋さんが近所にあれば、そこにお願いする方が良いと思います。
自分でこの加工をするには、次のような「ネジ山修正リコイルキット」が売られています。
このキットを使う場合、まず、舐めたネジ穴より少し大きいドリルで穴を広げ、次に、タップで大き目のネジ穴を掘り、最後に、ます。そのネジ穴にリコイルをねじ込みます
こうして新しいネジ穴が作ることができます。
選択肢3 「ネジ穴補修キット」の利用
これは、次のような商品を使う方法です。
ゆるくなって馬鹿になったネジ穴に、上の商品をハサミで細かく切って巻き付けるように挿入して、ゆっくりネジをねじ込むとしっかりネジが止まるようになるという商品です。
インターネットにこの商品を使った人の感想が沢山載っており、期待通りに使えたという人ばかりではなく、ネジ穴が完全に潰れている場合、使い物にならなかったとのコメントもありました。
ある程度、ネジ穴が残ってないと、この商品のネジ穴への食いつきがよくないし、ペダルのようにかなりの力がかかる場合、このような簡易的な補修部品では歯が立たないと思われます。
選択肢4 接着剤の利用
これはペダル軸をクランクのネジ穴に接着剤で固定してしまう方法です。
簡単にできるというメリットがありますが、ペダルはもう交換できなくなるというデメリットがあります。
重量のある金属や負荷がかかる金属を接着することができる接着剤が売られていて、主なものには、次のような商品があります。
●「ジーナス GM-8300」
次のYouTubeでの紹介のように「ジーナス GM-8300」はかなり強力なようですが、値段は結構します。
●「J-Bウエルド オートウェルド」
こちらも強力な接着剤で「ミクロ鉄粉」が入っており、抗張力は352kgf/㎠と商品説明にあります。
また硬化後はドリル加工やネジ切り加工もできるそうです。
●「セメダイン メタルロック」
この商品も次の動画で紹介されているように、かなり強力なようです。
接着するもの同士をしっかり圧着できる場合に向いているようで、穴埋めや隙間埋めにも使えるとは商品説明に書いてありません。
選択肢5 接着剤(パテ)で穴埋め+ねじ切り
先ほど紹介した「ジーナス GM-8300」や「J-Bウエルド オートウェルド」は穴埋めのパテとしても使えます。
これで先ずクランクのペダル穴を埋めて、その後、次のような自転車用ねじ切り(タップ)とタップハンドルを使ってねじ切りをする方法です。
この方法であれば、選択肢4と違ってペダルを交換できるようにすることができます。
「J-Bウエルド オートウェルド」で隙間埋め&接着をすることに決定
先ほどのように修理する方法は幾つかありますが、「選択肢4 接着剤の利用」で修理することにしました。
この方法ではペダルの交換はできなくなり、SPDペダル固定になりますが、それでも良いと思ったのと、お金がかからず作業も簡単だからです。
他の方法は以下の理由で選びませんでした。
● 選択肢1 クランク交換
⇒ クランクだけでなく、クランクキャップを外す工具も買わなければならず、お金がかかる
● 選択肢2 クランクのペダル用のネジ山のヘリサート加工(リコイル)
⇒ 近所にこの加工ができる自転車屋さんがなく、自分でやろうとするとかなり高価な専用工具を買う必要がある
● 選択肢3 「ネジ穴補修キット」の利用
⇒ ネジ穴がかなりつぶれていることと、ペダルという体重の数倍の力がかかるようなところなので、これは解決策にならないと判断
● 選択肢5 「接着剤(パテ)で穴埋め+ネジ切り」の利用
⇒ パテ(接着剤)に加えて、ネジ切り用工具を揃えるのはお金がかかる
「J-Bウエルド オートウェルド」を選んだ理由
「ジーナス GM-8300」は非常に強力で、接着剤としてだけでなく穴埋めや隙間埋めのパテとしても使えるので、最初、これを使おうと思いましたが値段が高い!
「J-Bウエルド オートウェルド」は「ジーナス GM-8300」半額程度で、商品の説明に穴埋めや肉盛りにも使えるとあったので、それを期待してこちらを選びました。

また、私のケースに近い、次のような事例をネットで見つけたことも選んだ理由です。
● 事例1 みんカラ「J-Bウエルド オートウエルドによるねじ山再生補修。 https://minkara.carview.co.jp/userid/1085087/car/911036/4081501/note.aspx
● 事例2 YouTube「J-Bオートウエルドで舐めたネジを外してやるぜ、ミラーのネジ穴も接着してやるぜ。」
なお、「セメダイン メタルロック」も強度が高いという評価が多かったのですが、接着する金属をしっかり圧着できる必要があるようで、クランクのペダル穴にペダル軸がスコスコ入ってしまう私のようなケースには不適だと思い、選びませんでした。
次に、オートウェルドを使った実際の作業を紹介します。
「J-Bウエルド オートウェルド」を使った作業
作業の流れに沿って説明します。
オートウェルドを使う前準備
オートウェルドを使う前に必要な作業があります。
オートウェルドの商品説明に、サビや油を事前に落としてくださいとあったので、まず、次のディグリーザーと呼ばれる商品でペダル穴を脱脂しました。
ディグリーザーをペダル穴に吹き付けて、ティッシュペーパーを突っ込んで回しながら拭きました

クランクのペダル穴が削れてできた金属粉がペダルのネジ山の間に付いていましたが、それもディグリーザーを吹き付けて、ワイヤーブラシと歯ブラシでゴシゴシと落としました。

次の写真のようにペダル軸もきれいになりました。

クランクのペダル穴にペダル軸をスコスコ差し込めるぐらい、ネジ穴をなめてしまったので、どうやったら垂直にペダル軸をペダル穴に立てられるのか悩みました。
そこで思いついたのが、ペダル用スペーサーです。
以前、ロードバイクに乗っていたときにQファクター(ペダルの取り付け点の距離のこと)を調整するために使っていました。
これを使うと簡単に垂直にペダル軸を取り付けることができました(次の写真)。

接着剤が付くと困るところにはマスキングテープを貼りました。

オートウェルドで接着
以上のように前準備が済んだので、いよいよ接着です。
オートウェルドは2液混合型なので、赤と黒のチューブから同量を出して混ぜます。

「混合後は25分以内に作業を終了させてください」と商品説明にありました。
瞬間接着剤ではないので、焦らずに作業ができます。
クランクのペダル穴にたっぷりオートウェルドを塗り込みます。
耳掃除の綿棒を使ったら接着剤がよくからんで、うまく塗れました。

ペダル用スペーサー(ワッシャー)を付けたペダル軸の方も同様にたっぷりと塗りました。

ペダルをクランクのペダル穴に差し込み、次のクランプで固定しました。
先程紹介したペダル用スペーサーのおかげで、クランクに対して直角に止めることができました。

オートウェルドの商品説明には、「6時間後で実用硬化、24時間後で完全硬化」とあったので、24時間、この状態で放置します。
結果は成功!
24時間経ち、マスキングテープをはがして接着したところを恐る恐る触ってみると、接着剤がカチカチに固まっていました。
隙間はしっかり埋まり、ペダル軸の周りは肉盛りになっていて狙いどおりです。
溶接のように固まると言われていますが、そこまで強度があるかどうかは測定器が無いので分かりません。
ただ、かなり硬いのは確かです。

黒色のタッチアップペイントで接着部分を塗り、目立たなくしました。

大丈夫なのかどうか心配でドキドキしながらサドルにまたがり、シューズのクリートをSPDペダルにカチッとはめ、また外してみましたが異常なし!
次に近所を試走し、パワーをかけながら坂道を立ち漕ぎするなど、ペダルに負荷をかけてみましたが全く大丈夫!
そこで、上り下りの多いコースを約40kmサイクリングしてみましたが、何事もなく帰ってこられました。
とりあえずうまくいったようで、後は長持ちするかどうかです。
今後、なにか異常が起こったら、この記事をアップデートしたいと思います。
うまく修理できたと思ったので以下の記事を投稿しましたが、その後、約100km走ったところで、またペダルが外れてしまい、接着剤「オートウェルド」での修理は失敗に終わってしまいました。
うまくいったことばかりでなく、失敗の例も参考になるのではと思い、この記事は残しておこうと思います。
結局、クランクを交換するという普通の方法で修理し直しました。