サイクリングロードでは自転車が王様? 歩行者がいるときどう走る?

自転車乗りは、車道では周りを走る車やバイクに怖い思いをし、歩道では、歩行者に遠慮しながら走らせてもらっている身の上です。

そのため、「サイクリングロード」って聞くと、「自転車乗りの皆さん、いつも肩身の狭い思いをしながら走っておられ、ご苦労様です。サイクリングロードを造りましたので、ここでは思う存分サイクリングを楽しんでください!」
と言ってくれているような気がしてワクワクします (笑) 。

私は神奈川県に住んでおり、家の近くには「県道451号藤沢大和自転車道」(通称、「境川サイクリングロード」)という道があります。

この道なんかは「自転車道」という素晴らしいネーミングがされており、「歩行者」という文字はどこにも見当たらないので、「この道は自転車優先なの?」と思ってしまいます。

ところが、実際、ここでサイクリングをするとどうでしょう。

ウォーキングやジョギングに精を出している人や犬の散歩をしている人が大勢いたりして、「サイクリングロードなのに気持ちよく走れないなぁ・・」とストレスがたまってしまいます。

サイクリングロードについての誤解(妄想?)があると、腹が立ったりガッカリしたりして精神衛生によくありません。

ストレスをため込むと免疫力が下がると言われています。

ただでさえ、免疫力は中年以降、加齢と共に大きく低下してきます。

免疫力が下がると新型コロナのような感染症にかかりやすくなるのはもちろん、重症化もしやすくなります。

サイクリングロードの実体は何?

そこで、サイクリングロードというのは何なのか、改めて調べてみました。

実際に行ってみた

私の家から比較的短時間で行けるサイクリングロードには次のものがあります。

  • 湘南海岸サイクリングロード
  • 県道451号藤沢大和自転車道(境川サイクリングロード)
  • 太平洋岸自転車道(大磯町の西湘バイパス沿い)
  • 県道409号相模川自転車道(さがみグリーンライン自転車道)
  • 青少年サイクリングコース(金目川サイクリングロード)

普段はボーっとしてサイクリングロードを走っているので、今回は、どんな交通標識があるのかを調べることを目的に行ってきました。

以下はその結果です。

湘南海岸サイクリングロード

茅ヶ崎市の柳島海岸から藤沢市の鵠沼海岸までを走る約8kmのコースです。https://www.fujisawa-kanko.jp/spot/katase_kugenuma/14.html

海岸沿いを走り、サーフィンをする人や江の島、茅ケ崎の烏帽子岩なども見え、非常に良い景色です。

次の写真のように、「自転車歩行者専用道路」との標識があります。

湘南海岸サイクリングロード

道幅が4m近くあり、歩行者とすれ違うのも危なくない区間も多くあります。

ただ、砂で道が覆われているところもあり、次の動画のように実質の道幅はかなり狭いところもあります。

また、砂でタイヤがスリップするので、気を付ける必要があります。

県道451号藤沢大和自転車道線(境川サイクリングロード)

神奈川県藤沢市鵠沼海岸から大和市下鶴間までの自転車道です。
https://fujisawa-jitensya-p.com/road_yamato/

次の写真のように、「自転車歩行者専用道路」の標識と「オートバイ乗り入れ禁止」のサインがあります。

境川サイクリングロード1

境川沿いの田園地帯を走るのどかな道です(次の動画)。

道幅が約2mほどしかない狭いところが多いので、歩行者の横を通り過ぎるときには注意が必要です。

次の写真のように、「危ない!歩行者優先」という路上のペイントが頻繁に出てきます。

境川サイクリングロード2

太平洋岸自転車道(大磯区間)

太平洋岸自転車道は、千葉県銚子市から神奈川県、静岡県、愛知県、三重県、和歌山県の太平洋岸を結ぶ、大規模な自転車道です。
https://www.kkr.mlit.go.jp/road/pcr/index.html

私の家から約20kmの大磯町の西側にも、西湘バイパスに沿って造られた太平洋岸自転車道があります。http://www.town.oiso.kanagawa.jp/isotabi/meguru/pagedate/14444.html

次の写真のように、入口のところに「自転車歩行者専用道路」の標識があります。

太平洋岸自転車道(大磯区間)

次の動画のように、道幅が比較的幅広い区間が多いので、走りやすいです。

県道409号相模川自転車道(さがみグリーンライン自転車道)

国道129号の厚木市関口から国道134号の平塚市千石河岸に至る全長約21kmの自転車道(自転車歩行者専用道路)です。
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/v2m/cnt/f70249/p1017783.html

次の写真は平塚市千石河岸にある、さがみグリーンライン自転車道への入り口に立っている標識で、「自動車・バイク乗り入れ禁止」とあります。

相模川自転車道

この道路は、次の動画のように道幅が約5、6mあるところが多いので走りやすいです。

なお、ところどころ、未舗装の土や砂利の道で道幅も約2mくらいしかない区間もあります。

神奈川県青少年サイクリングコース(金目川サイクリングロード)

これは神奈川県平塚市にあり、1967年に日本で最初に開通したと言われている自転車専用道です。

http://www.asahi.com/travel/bicycle/TKY201108250348.html

現在は花水橋以南が工事中で、そこの区間はほぼ全面通行止めになっています。

国道134号線沿いにある、このサイクリングロードへの入り口付近の動画が次です。

人がすれ違うのも難しいくらい狭い道です。

サイクリングコースの案内板がありました。

金目川サイクリングロード

サイクリングロードの大半は「自転車歩行者専用道」

実際に行って確かめたように、サイクリングロードには、歩行者と自転車が描かれた標識が掲げられ、「自動車・バイク乗り入れ禁止」という標識も立っていることもあります。

もちろん、日本全国を調べた訳ではないですが、ほとんどのサイクリングロードは「自転車歩行者専用道」と言えそうです。

「自転車歩行者専用道」ということは、自転車ではなく、歩行者が優先です。

「サイクリングロード」、「自転車道」などという名前が付いていますが、それに惑わされてはいけません。

実質は、自転車も通行可の歩行者優先道と考えるのが妥当だと思います。

なぜなら、後で詳しく説明しますが、自転車はサイクリングロードを走るとき、歩行者との間に安全な側方距離を取るか、それが無理なら徐行する義務があり、守らない場合は罰則もあるからです。

それに対して、歩行者はサイクリングロードのどこを歩いても、基本的に罰せられません

ですから、サイクリングロードの左側や右側、ときにはど真ん中を散歩やランニングしている人が邪魔に思えても、自転車乗りは文句は言えません。

つまり、サイクリングロードは歩行者優先の道路だと割り切って、無用に腹を立てたりせず、ストレスを溜めないことが自転車乗りには必要です。

サイクリングロードでの自転車の走り方に関する疑問

サイクリングロードは、「自転車歩行者専用道」であり、歩行者優先という基本的な位置づけは分かりました。

しかし走り方に関する疑問がまだ残ります。

自転車と歩行者はサイクリングロードの左側、右側、どちら側を通行する?

以前の記事で、歩道に「自転車歩行者専用道」という標識があれば、普通自転車は歩道を走れることを説明しました。

そして、歩道上に自転車が走るところの区分が無い場合、「歩道の中央から車道寄りの部分を徐行しなければならず、歩行者の進行を妨げることとなるときは一時停止しなければならない」という義務があることを紹介しました。

上記の記事で説明したのは、車道脇にある歩道での自転車の走り方でした。

サイクリングロードも「自転車歩行者専用道」ですが、「歩道の中央から車道寄りの部分」という考えが当てはまりません

サイクリングロードは、川沿いや海岸沿いに造られた道が多く、一般的にその直ぐ横には車道はありません。

では、サイクリングロードでは自転車はどちら側を走ればいいのでしょう?

答えは、「自転車は左側を走る」です

次の法令がその根拠です(なお、自転車は「軽車両」です)。

【道路の左側端通行の原則】
道路交通法第18条第1項:

車両(トロリーバスを除く) は、 車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、自動車及び原動機付自転車にあっては道路の左側に寄って、軽車両にあっては道路の左側端に寄って、 それぞれ当該道路を通行しなければならない。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000105

では、歩行者はどうでしょう?

こちらの答えは、「歩行者は基本的に右側を通行する」です

次の法令がその根拠です。

【歩行者の通行方法 通行区分】
道路交通法第10条:

歩行者は、歩行又は歩行者の通行に十分な幅員を有する路側帯(次項及び次条において『歩道等』という)と区別のない道路においては、道路の右側端に寄って通行しなければならないただし、道路の右側端を通行することが危険であるときその他やむを得ないときは、道路の左側端に寄って通行することができる

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000105

この歩行者に対する法令自体に直接的な罰則は無く、警察から指示されても従わない場合のみ、罰則があります。

なお、この左右、どちら側を通行するのかについては、特定のサイクリングロードに対して決められたローカル・ルールがある場合があります。

例えば、「かわさき多摩川ふれあいロード」の場合です。

「かわさき多摩川ふれあいロードの利用について」からの抜粋

歩行者も自転車も左側通行です。
歩行者も自転車も左側通行をお願いします。
通行の際は後ろから来る自転車にも注意しましょう。
歩行者や速度の遅い自転車などを追い越すときは右側からゆっくり追い越しましょう。

歩行者の左側通行について

道路交通法第10条においては、一般的に歩行者は右側通行となっておりますが、かわさき多摩川ふれあいロードの大半が幅員2mと狭くなっているため、道路交通法第10条のただし書きを適応することにより歩行者も左側に寄って通行することとさせていただいております

https://www.city.kawasaki.jp/530/page/0000113987.html

このような、ローカル・ルールがサイクリングロードに定められている場合、もちろん、それを守る必要があります。

サイクリングロードで自転車はどのように歩行者の横を通過すべき?

サイクリングロードって、道幅が広くて舗装されている立派な道もあれば、歩行者同士でもすれ違うのがやっとという細い道もあります。

特に、細い道の場合、歩行者の横を自転車はどう通り過ぎればいいのでしょう?

次のように、歩行者との安全な間隔を保ち、それが難しい場合、自転車は徐行する決まりになっています。

【道路の左側端通行の原則】
道路交通法第18条第2項:

車両は、前項の規定により歩道と車道の区別のない道路を通行する場合その他の場合において、歩行者の側方を通過するときは、これとの間に安全な間隔を保ち、又は徐行しなければならない

(罰則 第二項については第百十九条第一項第六号)

三月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000105

このように、自転車はこのルールを守らない場合は罰則もあります

また、歩行者やランナーに接触したり突っ込んだりして、相手に怪我などを負わせたりすると大変なことになります。

次の記事に詳しく書きましたが、対歩行者の自転車事故で何千万円という巨額の賠償金を支払ったというケースも聞きます。

自転車歩行者専用道での事故の場合、自転車と歩行者の責任割合の観点では、自転車が圧倒的に不利になると思いますので、本当に注意が必要です。

歩行者との安全な間隔とはどのくらい?

安全な間隔とは具体的にどのくらいなのかについては、特に法令では定められていません。

けれども、予測できない歩行者の急な動きの変化に対応するためには、安全な間隔な間隔をとりたいものです。

犬が左右に蛇行するために、散歩させている人も左右に動いたり、ランニングしている人が石などを避けるためにピョンと急に横移動したりすることもあります。

自動車教習所の学科教習では、歩行者が車に気づいていない場合は1.5m以上、気づいている場合は1m以上の間隔をとると良い、と指導をしていることが多いようです(次の図)。
https://shorturl.at/jCQ12

歩行者との安全な間隔

自転車も、これを歩行者との安全な間隔の目安とするのがよいと思います。

徐行のスピードはどのくらい?

道交法での徐行というのは、「車両等が直ちに停止することができるような速度で進行すること」となっていますが、速度でいうと時速10km未満とよく言われます

一般的なママチャリの平均速度は時速15km程度と言われますから、時速10km未満というのはかなり低速ですね。

徐行のスピード

家の近所の境川サイクリングロードは道幅が2m程しかないところが多く、ここなんかは歩行者との側方の距離を1.5mとることは困難です。

十分な間隔をとれないので、時速10km未満で歩行者の横を徐行することが望まれますが、実際、見ていると多くの自転車乗りはそこまで速度を落とさずに通り過ぎています。

特に、ロードバイクの人は、十分徐行しているかという点では、殆どが違反でしょうね。

サイクリングロードで最高速度はどこまでOK?

道路標識等で最高速度の指定が無い場合に出せる、車両ごとに定められた最高速度のことを「法定速度」と呼びます。

一般道では自動車や自動二輪などは時速60km、原動機付自転車の場合は時速30kmと法定速度が決まっています。

自転車はどうでしょうか?

実は自転車の法定速度は決められていないそうです。

なぜなら、自転車には速度計(スピードメーター)を取り付ける義務が無く、速度計が無ければ速度を知ることが出来ないからだそうです。

最近、これを知って、「へぇー、そうなんだ!」と驚きました。

このように、自転車には法定速度は適用されないので、最高速度の指定が無い道路では、無制限に速度を出せると法的には解釈できます。

私が走ってみたサイクリングロードのどれにも最高速度を指定する標識はありませんでした。

自転車レースの最高峰であるツールドフランスに出場するような選手は、30kmのタイムトライアルを時速47〜50km!で走り切るそうです。

タイムトライアル・ロードレース

そのくらいの高速でサイクリングロードを走ってもOKと、単純に考えるとなります。

しかし、実際には歩行者がいつ来るか分からない見通しの悪いところがあったり、歩行者の近くを通り過ぎる際は徐行したりしないといけないことを考えると、猛烈なスピードで走るのは控える必要があります。

まとめ & おわりに

サイクリングロードの大半は「自転車歩行者専用道」です。

実質は、自転車も通行可の歩行者優先道と考えるのが妥当なようです。

やはり、サイクリングロードでは自転車が王様なんてことはありませんね(笑)。

散歩やランニングをしている人達に注意しながら、自転車でのんびり走る場所と割り切った方がストレスがたまらないと思います。

その理由は、次のように自転車には罰則があっても、歩行者には基本的に罰する法律がないからです。

● 自転車はサイクリングロードを走るとき、歩行者との間に安全な側方距離を取るか、それが無理なら徐行する義務がある。守らない場合、罰則もある。

● 歩行者は、基本、右側通行だが、サイクリングロードの左右、中央、どこを歩いても、基本的に罰せられない。
(警察から指示されても従わない場合のみ、罰則がありますが、実際、そのようなシチュエーションが思い浮かびません)

なお、「サイクリングロードの左側・右側、どちらかを走るか」については、「自転車は左側を走り、歩行者は右側を通行する」が基本です。
(ただし、「かわさき多摩川ふれあいロード」の場合を紹介したように、ローカル・ルールが存在することがあります)

ただ、これを知っていて、守っている歩行者は少ないと思います。

万一、歩行者やランナーとの事故を起こして、相手に怪我などを負わせたりすると大変なことになります。
自転車歩行者専用道での事故の場合、自転車と歩行者の責任割合の観点では、自転車が圧倒的に不利になり、場合によっては、巨額の賠償金を支払うことにもなりかねません。

現実的には、「歩行者がサイクリングロードのどこを歩いていても、自転車はとにかく歩行者との側方間隔を十分とるか、徐行するかして通過する」しかないと思います(笑)。

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