「健康寿命を過ぎたら要介護」は誤解!高齢者の8割が自立して生活【厚労省データで検証】

テレビで「健康寿命を過ぎたら介護生活」という言葉を耳にして、ドキッとしました。

私は既に高齢者と言われる歳で、まるで「あなたももうすぐ介護される側ですよ」と言われたような気がしたのです。

男性の健康寿命は約73歳、女性は約75歳と聞いて、「私は後、何年したら介護されるようになる?」と不安になることはありませんか?

けれども実際には、それは大きな誤解で、健康寿命を過ぎても、自立して元気に暮らしている人はたくさんいます。

もし、これが本当なら、私たちの周りは要介護の高齢者であふれているはずですよね?

この記事では、健康寿命の本当の意味と、介護に関する公的データから「思っているよりも長く、自立した生活を楽しめる」ことを紹介したいと思います。

これからの生活に安心と前向きさをプラスする一助になれば幸いです。

『健康寿命は要介護になった年齢』説は誤り

『平均寿命-健康寿命=要介護の期間』という説がよく流れている

この説に基づいたWeb記事やテレビのコマーシャルをよく見ませんか?

例えば:

Yahoo!ニュース『平均寿命と健康寿命 男女とも最後の10年ほどは他人からの助力が必要に→男性72.1歳、女性74.8歳

『2024年の日本人の平均寿命(男性81.09歳、女性87.14歳)に比べ、健康寿命は男性72.1歳、女性74.8歳と10年前後の解離があります。つまり男性で9年、女性は13年は、支援事業所などから、何らかの介護か看護を受ける必要があるということです。

大正製薬の大正健康ナビ

『2019年の時点で、男性は平均寿命が81.41年なのに対して、健康寿命は72.68年。女性は平均寿命87.45年に対して、健康寿命は75.38年です。つまり、介護を必要とする期間が男性は平均で8.73年間、女性は平均で12.07年間もあるのです。』

第一薬品工業株式会社
平均寿命と健康寿命の差に注意』の記事の図

健康寿命とは何か?厚労省の定義

『健康寿命は、介護や看護が必要になった年齢である』というのは全くの誤りです。

このようなことを述べる専門家は、恐らく、健康寿命の大切さを強調するためといった理由で大げさに言っているのだと想像しますが、後で紹介するように、その弊害が少なくないと思います。

厚生労働省の「健康寿命」の定義は「日常生活に制限のない期間」です。
(参照:厚生労働省『平均寿命と健康寿命』)

支援や介護を受ける程ではなくても、肩(首、膝、腰)が痛くて日常生活が大変とか、アレルギーが酷くて頭痛がし、生活や仕事に支障がでることがあるなどという場合、「健康上の問題で日常生活に影響がある」ということになります。

ですので、要介護の重度状態の期間は「平均寿命ー健康寿命」の一部に過ぎません

なお、2022年における健康寿命の全国平均は女性: 75.45歳男性: 72.57歳です。
(注: 健康寿命の公表頻度は3年ごとで、2024年12月24日に厚生労働省から公表された、この2022年時点のデータが最新です)

ちなみに、男女別、都道府県ランキングは次のとおりです:

男性

順位都道府県健康寿命(歳)
🥇1位静岡県73.75歳
🥈2位石川県73.60歳
🥉3位山梨県73.47歳
🚫最下位岩手県70.93歳

女性

順位都道府県健康寿命(歳)
🥇1位静岡県76.68歳
🥈2位山口県76.43歳
🥉3位岐阜県76.20歳
🚫最下位岩手県74.28歳

次にセクションで紹介するように、実際は、健康寿命を過ぎても大半の人が自立して生活しており、『健康寿命は要介護になった年齢』という説はあまりに実態から離れています

あなたの周りでも、元気な高齢者の方を多く見かけませんか?

 

一口メモ:世界の中で日本の健康寿命はどのレベル?

日本の平均寿命が世界でもトップクラスであることはよく知られていますが、健康寿命はどうでしょう?
実は、健康寿命も世界的にもトップクラスです。
WHOが発表した2019年のデータでは、日本の健康寿命は74.1歳で世界第1位でした。
続くのはシンガポール(73.6歳)、韓国(73.1歳)などです。
つまり「日本人は長生きするだけでなく、健康問題による生活の制限がなくて過ごせる期間も世界で最も長い」ということ。
日本は確かに平均寿命と健康寿命の差が他国より大きい傾向にありますが、それでも健康寿命の絶対値では世界トップクラスを維持しており、「世界に冠たる長寿国」であることに変わりありません。

健康寿命を過ぎても8割以上が自立

健康寿命より高齢な75歳以上の人の内、要介護2以上の認定者は、その年齢層の約15%しかいません(この数字は次の折り畳んだセクションのデータに基づいています)。

75歳以上の年齢層、男女別に、より詳しく紹介すると、要介護2以上の認定を受けた方の数は次のようになります。

【参照データ】
● 年齢別人口: 内閣府HP『高齢化の状況
● 認定者数: 厚生労働省 介護給付費等実態統計『17 性・年齢階級、要介護(要支援)状態区分別認定者数』
https://www.hws-kyokai.or.jp/images/info/table17-k.xls

上記のデータを元に筆者が次の表を作成しました。

年齢層性別人口 (万人)要介護2以上認定者(万人)受給率 (%)
7584男性61240.06.5%
女性79059.27.5%
8594男性20441.220.2%
女性399122.730.8%
95歳以上男性146.546.6%
女性5839.167.4%
75歳以上総計男性83087.810.6%
 女性1247221.017.7%
 男女2077308.814.9%

なお、『要介護2以上の認定者を自立した生活が困難な方としている』のは、これが専門家の一般的な見解だからです。

区分状態の説明
要支援1日常生活の基本的な動作はほぼ自立していますが、部分的な見守りや手助けがあれば、生活機能が維持できる状態です。予防的支援により、要介護状態になることを防ぐことが期待されます。
要支援2日常生活に一部介助が必要な場面があり、状態が悪化するリスクが高い状態です。要介護1に近い状態ですが、適切な予防サービスを利用することで、自立した生活に戻ることが期待されます。
要介護1日常生活動作(排泄、入浴など)に部分的な介助が必要な状態です。歩行や立ち上がりが不安定になることがあり、家事や金銭管理なども難しくなる場合があります。
要介護2以上は自立した生活が困難に
要介護2日常生活の広範囲で介助が必要な状態です。食事や排泄、入浴など、多くの動作で部分的な介助が必要となります。自力での移動が困難になることもあります。
要介護3自力での生活が非常に困難で、全般的な介護が必要な状態です。立ち上がりや歩行がほぼできず、食事や排泄、着替えなどもほとんど介助が必要になります。
要介護4日常生活のほぼすべての動作で全面的な介助が必要な状態です。自力での移動が困難で、意思疎通が難しくなることもあります。身体機能が著しく低下しています。
要介護5最も介護の必要度が高い状態です。ほぼ寝たきりで、すべての生活動作で全面的な介護が必要となります。コミュニケーションも困難な場合が多く、医療的なケアも必要になることがあります。

以上の「健康寿命」や「平均寿命」、「75歳以上で自立した生活が困難な方の割合」を図にすると、次のようになります。

このように、健康寿命の年齢を過ぎても、多くの人は自立して生活しているので、「健康寿命を過ぎたら支援や介護を受ける身になるのか」と深刻に考える必要はなく、安心してください。

『健康寿命は要介護になった年齢』説が招く弊害は大きい

「『平均寿命-健康寿命=○年』という式は簡単で説明しやすい」「健康意識を喚起するために大げさに言ってみた」「商品を売りたいから話を盛ってみた」では済まないレベルの間違いだと思います。

なぜなら、このような誤った説を広めると次のような弊害があるからです。

不必要な不安が増幅され、健康ビジネスのいいお客にされてしまう

健康食品・高額サプリ・怪しい医療サービスのセールストークに利用されやすくなります。

【ある商品のコマーシャル】

健康寿命は、平均寿命よりも9~12年も短い。その間、あなたは誰かの手を借りて生きていくことになるかもしれません

『介護は誰かの問題ではありません。あなたやあなたの家族の問題です』

科学的根拠があるとして販売されている機能性食品ですら、殆どと言ってよいくらい根拠が不明確であることが専門家によって確認されています。

東京農業大学・上岡洋晴教授の研究グループの分析(NHKの記事より引用)】
機能性表示食品として販売されている製品の科学的根拠についても問題があることが判明しました。製品の有効性を裏付ける論文や研究データの信頼性が極めて低く、消費者庁に届け出られた研究レビューの95%が「極めて信頼性が低い」と評価されています。

京都大学の分析
国内の大手CRO(開発業務受託機関)5社によって登録された臨床試験から、無作為に選び、論文として発表された32件を調査。32件中、26件(81%)で「得られた結果よりも有利に結論を書いている」内容だったことが確認されました。また、一部は広告として消費者に情報発信されたが、優良と誤認させる要素が多く含まれることが明らかになりました。

詳しくは『【知らないと損】健康食品やサプリの広告に潜む4種類のトリックと賢い選び方』の記事をご覧ください。

不安を煽られた消費者がそのような商品にお金を出し、余計な出費をすることになります。

正しい健康行動の阻害になる

「どうせ健康寿命を超えたら介護されるようになるんだから」と間違って理解すれば、生活改善に取り組む動機が失われます。

結果として、本当に防げるはずの介護リスクが高まってしまいます。

社会的偏見の助長

「高齢者=介護が必要な存在」という誤ったイメージが強化される恐れがあります。

実際には高齢でも自立して活動している人が多いのに、社会的に「役に立たない」「負担になる」とみなされる危険があります。

平均寿命と健康寿命の差をもって、日本は介護の期間が長いとし、世界に冠たる長寿国というのは間違いと書いている本を読んだことがありますが、これも偏見の助長だと思います。

65歳で健康面の支障がない人の健康寿命は結構長い

私が65歳になったとき、行政や医療の場で公式に高齢者と扱われるようになって、「私も高齢者なのか…気持ちはまだ50代だけど」と寂しい気持ちが湧きました。

そのとき、「あと何年、自転車に乗ったり、重い自転車を担いで輪行できるのだろう」と思いました。

男性の健康寿命は73歳だから、後、8年(= 73 – 65)…と考えてしまいそうですが、先ほどの介護データでみるように、実際は違います。

「あと何年自立した生活ができるのか?」を知るのに一番、参考になるのは「65歳健康寿命」でしょう。

これはつぎの式で表されます:
65歳健康寿命=65歳+65歳時点から介護認定を受けるまでの自立して暮らせる平均年数
(詳細は『【知らないと損!】「健康寿命」と現在65歳で元気な人の健康寿命には驚きの差が!』の記事をご覧ください)

地方自治体では自分の地域の65歳健康寿命を発表しているところもあるので、『65歳健康寿命 ○○市』とネット検索してみると、あなたの地域の「65歳健康寿命」が分かるかもしれません。

例えば、東京都は次のデータを公表しています。

引用:東京都保健医療局『65歳健康寿命の推移(東京都)

これを見ると、65歳から要支援1以上や要介護2以上になるまで、結構、長く、これも安心材料ですよね。

自転車で健康長寿を延ばす方法

健康寿命を延ばすには運動・食事・社会参加の3つの習慣が大事と言われています。

このブログではサイクリング(運動)を活用して健康長寿を延ばす多くの方法を紹介しています。

例えば、以下のような記事です。

まずは週に2回、自転車で30分走ることから始めてみませんか?

おわりに

「健康寿命=要介護になる年齢」という思い込みは、必要以上に不安を大きくしてしまいます。

けれど実際の公的機関のデータを見ると、健康寿命を過ぎても自分らしく過ごせる期間は意外と長いことが分かります。

つまり、「やりたいこと、すべきことのための時間がまだまだある」ということ。

不安を感じるよりも、「元気でいられる時間をどう使うか」を考えた方が、ずっとお得です。

厚生労働省の資料によれば、『現在の高齢者においては、10〜20年前と⽐較して、加齢に伴う⾝体・⼼理機能の変化の出現が5~10年遅延しており、「若返り」現象が⾒られている』そうです。
(参照:厚生労働省『高齢者の身体機能等の現状』)

健康意識の向上や栄養状態の改善、医療・社会環境の進歩がその理由だそうです。

「健康寿命」についての正しい理解を持つことで、安心して日々を過ごし、前向きに行動することが大事ですね。

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