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物欲に負けて、両方を買ってしまった
数ある折り畳める小径車(ミニベロ)のなかでも両雄と言われているのは「ブロンプトン」と「Birdy(旧BD-1)」でしょう。
https://pacific-cycles-japan.com/birdy/
購入を検討する際によく比較される両車ですが、私もどちらを買うべきか、かなり悩みました。
その結果、最初に購入したのは、ブロンプトンです。
「最初に」というのは、その後、物欲に負けてBirdy Airも買ったからです。
両方を購入した訳ですが、その結果、もっぱらBirdy Airの方を乗るようになりました。
趣味嗜好の分野で、自分が好きなものを人に押し付けるのは、「最高の美女(美男)というのはこういう人だ!」と主張するのと同じで、ヤボというものです。
何を好きになるのかは個人の自由ですが、どちらを買うべきかと悩んでいる人の参考に、なぜ、私の場合、Birdy Airの方をより気に入ったのか、その理由を説明したいと思います。
最初にプロンプトを購入した理由
輪行をしたい!と強く思うようになったのがきっかけです。
自転車でペダルを漕いで行けば、遠くの町での買い物や、家の近所とは違う自然(海や山、川)の風景を楽しめます。
しかし、もっと遠くに行って、もっと非日常感を楽しみたいという欲が湧いてきて、電車を利用する輪行をしたくなりました。
それには、折り畳みができる小径自転車がベストと考えました。
購入の際、どの折り畳み小径自転車を選ぶかの基準は次のようなものでした。
- (ア) 電車で輪行する際、他の乗客に迷惑をかけないように、できるだけコンパクトに折り畳めるもの
- (イ) 高齢者と言われる歳になった自分が、駅構内で自転車を担いで運べるよう、重量が軽いもの
- (ウ) 足の負担を抑えるため、変速ギアが多いもの
- (エ) メンテナンスをしてくれるサイクルショップが近所にあること
- (オ) 景勝地や観光地で乗ることが多いと思うので、ゆっくりリラックスして走るのが自然に見える自転車
これらの選択基準に基づいて、ブロンプトンのM6Lを購入することに決めました。
具体的に言うと、(ア)については、ブロンプトンは他社の自転車よりも折りたたみ寸法が圧倒的に小さいく、これがブロンプトンを購入した一番の理由です。
また、魔法のように小さくなるギミックにも惹かれました。
(イ)の重量については、ブロンプトンM6Lの場合、11.8kgです。
軽くはないけれども、輪行袋に収納して、肩掛けにすれば何とか運べる重量です。
(ウ)のギア数ですが、M6Lは内装3段変速と外装2段変速の掛け合わせで6段変速なので、これだけあれば何とかなるだろうと思いました(これが大きな誤算であったのは、後で述べます)。
(エ)については、歩いても40分程でいけるブロンプトンの正規ディーラーがあったので、これも問題ありませんでした。
(オ)については、Mハンドルだと、ゆっくりリラックスして走るのが自然に見えるので、SではなくMハンドルを選びました。
なお、ブロンプトンにはPハンドルというのもありますが、これはあまりに人目を引きそうな形状なので、初めから選外にしました。
購入した当初は、その独特の佇まいを眺めているだけでもニヤニヤしてしまうほど、所有欲は満たされました。
ブロンプトン自転車を見て「かわいい!」と言う人がいるようですが、何を隠そう、私もそう思う一人です。
ブロンプトンが自分には合わないと思ったところ
ブロンプトンに乗り始めて感じたのが、「確かに移動の道具としては問題ないが、走る楽しみが足りないなぁ」ということです。
ブロンプトンの走行性能は、明らかにクロスバイク以下と言わざるをえません。
その理由は大きく次の2点です。
- ちょうど良いギアの選択が少ない
- 乗車姿勢が直立気味(Mハンドルの場合)
以下に詳しく説明します。
ちょうど良いギアの選択が少ない
ブロンプトンは、M6Lの場合、内装3段変速と外装2段変速の掛け合わせで6段変速を実現しています。
しかし、ギア幅が大きいので、スピードにギアを合わせるというよりは、ギアにスピードを合わせることになります。
そのため、平坦コースを走っても、ロードバイクやクロスバイクよりも疲れやすくなります。
これは数字を見ればはっきりします。
下の表は、Brompton 6速の場合において、各ギアの時速をケイデンス(1分あたりにクランクを回す回数)60、70、80について算出したものです。
ちなみに、巡航時にケイデンスを90に維持するのはプロや上級者の技量であり、健康増進のために自転車に乗っている普通の中高年はあまりいないと思いますので省きました。
私が平坦な道を走っていて、気持ちよく走っていると感じるのは、時速18~27kmです。
ママチャリの平均速度は15km/hと言われていますから、時速18kmだとママチャリをすいすいと追い抜けるスピードです。
また、私の場合、時速27kmを超えて走ろうとすると、無理してる感じが強まり、長い距離をこのようなスピードでは走れません。
私の足が貧脚であるのはもちろんですが、小径自転車のホイール径が小さいため、高速を維持しづらいことも大きな要因だと思います。
そのため、私が楽しく巡行できる最適速度は時速18~27kmとしました。
この速度域に合う、ギアとケイデンスの組み合わせは、6速のBromptonの場合、上の表で6個(ピンクになっているところ)しかありません。
ということは、限られたギアの選択肢の中から選ばざるを得ないことになります。
その結果、「少し軽すぎる」あるいは「少し重すぎる」というギアを選ぶしかなく、長距離のサイクリングをするとロードバイクやクロスバイクよりもかなり疲れます。
また、6段変速は、外装2段、内装3段のギアで実現されています。
左手のシフターで「+」、「ー」の2段、そして右手のシフターで「1」、「2」、「3」の3段で変速を行います。
この、左右のシフターを交互にガチャガチャしてなんとか変速するという感じです。
ロードバイクやクロスバイクのように、ディレイラーを滑らかにシフトチェンジするような感じではありません。
私はこれになかなか馴染むことができませんでした。
乗車姿勢が直立気味(Mハンドルの場合)
ブロンプトンの走行性能があまり良くないと感じる理由の2番目は、ハンドルの高さが高いということです。
私の購入したブロンプトンのハンドル形状はM型です。
ブロンプトンと言えばMハンドルという印象が強く、あまり深く考えずにこのハンドル形状を選びました。
実際に走ってみると、このハンドルでは、前傾姿勢をとりづらく、ママチャリと同じように、うまく上半身の力を使えません。
このため、上記の最適なギア選びにくいということに加えて、楽しく走れません。
また、ママチャリ風乗車姿勢では、健康作りに効果のある運動にはあまりなりません。
詳しくはこちらの記事の中に、ママチャリ風乗車姿勢では、電動アシストが有っても無くても、どちらも良い運動にはならないことの説明があります。
「クロスバイクと同等に走れる」という噂のBirdy Airを購入
上記のように残念な思いをしたので、よく走ると噂のBirdy Airの方にも食指が動き、悩んだ末に買ってしまいました。
結果はオーライで、「買って良かったぁ~」としみじみ思っています。
「Birdy Airはよく走る」ということは、実際に乗ってみて「その通り!」と断言できます。
その理由を下に詳しく説明したいと思います。
Birdy Airのギア比はちょうど良い
Birdy Airの場合、時速が18~27kmで、ケイデンスが60~80になる組み合わせは、下表で10個(ピンクになっているところ)もあります。
これは、変速数が多いうえに、ギア幅が狭いためです。
すなわち、Birdyの方が、「足にかかる負荷とクランク回転数がちょうど良いギア」を、ブロンプトンより圧倒的に見つけやすいと言えます。
また、リアのギアのみで9段変速を実現しているので、ギアのシフトアップ・ダウン操作が簡単です。
Birdy airのハンドルの高さは低い
Birdy Airが良く走るもう一つの大きな理由は、そのハンドルの低さです。
Birdy Airのハンドルはフラットバー一択で、高さは固定です。
Birdy Standardもフラットバーですが、こちらはアジャスタブルステムにより、ハンドルの高さを変えることができます。
Birdy Standardで最も低い位置にハンドルをセットしたとしても、Birdy Airのハンドルの高さはそれよりも低い位置に設計されています。
このように、Birdy Airは、Birdyの数あるモデルの中でも、かなりスポーティーな前傾姿勢をとれるモデルになっています。
ギヤやハンドルの高さ以外のところもちょっと比較してみます。
まず、折りたたみ時のサイズですが、
- ブロンプトン:長さ60cm、高さ58cm、奥行き30cm
- Birdy Air:長さ72cm、高さ60cm、奥行き34cm
というように、Birdy Airはブロンプトン程には、小さくなりませんが、それでも、輪行してみると、それ程大きな違いは感じません。
次に重量はどうでしょう。
- ブロンプトンM6L:11.6kg
- Birdy Air: 9.87kg(ペダルは含まず)
仮に、左右で300gのペダルをBirdy Airに取り付けても、ブロンプトンより1kg以上軽いことになります。
私のような高齢者にとっては、正に「軽さは正義」で、1㎏といえども、軽いのは助かります。
まとめ
「足にかかる負荷とクランク回転数がちょうど良いギア」を選べる上に、前傾姿勢もとれることが、ブロンプトンよりもBirdy Airの方が、気持ちよく走れる大きな理由です。
これは、健康増進に役だつ「中強度」の運動がしやすいということにもなります。
考えてみれば、最初に折り畳み自転車を選ぶ際の基準の一つとして、「(オ) 景勝地や観光地で乗ることが多いと思うので、ゆっくりリラックスして走るのが自然に見える自転車」というのを挙げていました。
しかし、実際には、私はこの項目を大して重要視していなかったことが分かりました。
アップル社の創業者であるスティーブ・ジョブズが、「顧客は自分が何を欲しいのか、分かっていない」と言ったそうです。
正に、私は自分が何を重視しているのかをよく分かっていなかったということですね(とほほ)。