40cm台からのロコモ片足立ちテストが高身長に不利な理由

年をとると、筋力など運動能力が衰えた状態(ロコモティブシンドローム)になり、転倒・骨折などから支援や介護が必要になるリスクが増えます。

自分の体の状態を知るために、ロコモティブシンドローム判定テストを受けた人も多いと思われます。

このテストの中で有名なのは、片足立ちテストでしょう。

これができずにがっかりした… そういう声が多いテストです。

40cmの台に両腕を組んで腰かけ、片脚を軽く膝を曲げて上げた状態から、反動をつけずに立ち上がり、そのまま3秒間保持することができないと、ロコモ度1(ロコモティブシンドロームの初期段階)と判定されます。

普段、運動しているので密かな自信があった私は、初めはできなくて悔しい思いをしました。

私は身長が181cmあり、高身長だと40cmの高さの台に座るには、深くしゃがむことになるので大変です。

クリアするコツがあることを知り、『諦めないで!ロコモ度テスト「片足立ち上がり」をクリアするコツ』という記事で、それを紹介しました。

もしできていなくても、それは筋力の問題ではなく、身長の問題かもしれません。

この記事を読めばがっかりしなくてよいかもしれませんよ。

ロコモ度1は意外に多い!40代でも4割が該当

ロコモ度テストには3つのテストがあり、この記事が焦点を当てている立ち上がりテストの他に、2ステップテストとロコモ25(問診票)があります。

各テストで「ロコモ度0(正常)」「ロコモ度1」「ロコモ度2」「ロコモ度3」のいずれかに分類し、複数のテスト結果が異なる場合は、最も進行した段階を採用します

例えば、立ち上がりテスト → ロコモ度1、2ステップテスト → ロコモ度0、ロコモ25 → ロコモ度0 の場合、ロコモ度1と判定されます。

詳しくは日本整形外科学会 ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト「ロコモONLINE」 をご覧ください。

ロコモ度1、つまり、ロコモティブシンドロームの初期段階と判定される人は多く、ある調査では次のようになっています:

  • 40歳代:35〜45%が該当
  • 50歳代:約5割が該当
  • 60歳代:約7割が該当
  • 70歳代:8割以上が該当
図の引用元:理学療法学 『ロコモの簡易測定法とその頻度』https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/45/5/45_45-5kikaku_Yoshimura_Noriko/_pdf/-char/ja

40cm台の片足立ちテストは高身長には不公平

いきなり、不公平と言うのもなんですが、次のように身長差があると、同じ高さの台から立ち上がるのに必要な力が違うので、公平に筋力などの運動能力を測っていることになりません。

  • 高身長者(脚が長い)
    • 40cmの椅子に座ると、股関節・膝関節の屈曲角度が大きくなる
    • 立ち上がる際に、大腿四頭筋などの膝伸展筋群により大きな力が必要
    • 結果として、筋力が十分でも「立ち上がれない」と判定される可能性がある。
  • 低身長者(脚が短い)
    • 同じ椅子でも膝の屈曲が浅く、有利な角度で筋力を発揮できる
    • 相対的に楽に立ち上がれるため、筋力が同等でも「立ち上がれる」と判定されやすい。

実際、ある研究結果では、立ち上がりテストにおいて、膝下長が長い(高身長)程、ロコモ度1の判定が増えると報告されています。
(参照:京都女子大学養護・福祉教育学研究『若年女性のロコモ度テスト判定と判定結果における
身長と BMI の影響について
』)

別の研究でも、ロコモ高リスクが背の高い人で多く、脚の長さがテストのパフォーマンスを下げている可能性について言及しています。
(参照:健康支援『若年女性のロコモティブシンドロームの実際』)

先ほど、ロコモ度1以上の中高年が多いことを紹介しましたが、身長別の詳細についてのデータは見当たりません。

しかし、上記の研究結果より、高身長の人はロコモ度1以上と判定される割合が多いことが想像されます。

身長に応じた台の高さとは

膝を90度曲げた状態からの立ち上がりで統一すれば、負荷が身長によらず平等にしやすいと思います。

90度ということは、つまり、台の高さを下腿長(床から膝蓋骨の下端までの高さ)の100%とすることです。

この説に基づくと、適正な台の高さは次の表のようになり、これこそが不公平さの正体です!

身長 H下腿長(膝窩高)の概算 (H×0.25)等価な台の高さ (下腿長の100%)備考
140 cm35.0 cm35 cmロコモ度テストの40cmの台は相対的に低負荷(容易)
150 cm37.5 cm38 cm
160 cm40.0 cm40 cmロコモ度テストの基準値(40cm)と一致する身長
170 cm42.5 cm43 cm
180 cm45.0 cm45 cmロコモ度テストの40cmの台は相対的に高負荷(困難)
190 cm47.5 cm48 cm

考察

  • この表から、公式のロコモ度テストで用いられる40cmの台は、下腿長を身長の25%と仮定した場合、おおよそ身長160cmの方にとって、膝関節を約90度曲げた状態からの立ち上がりとなり、最も公平な負荷設定になっていることが分かります。
  • 身長140cmの方にとって、40cmの台は下腿長の約114% の高さとなり、膝が浅い曲がりの状態から立ち上がれるため、相対的に容易になります。
  • 身長180cmの方にとって、40cmの台は下腿長の約89% の高さとなり、膝を深く曲げた状態から立ち上がる必要があり、相対的に高負荷となります。

つまり、高身長の人は40cmの台からの片足立ちができなくても、上の表の「等価な台の高さ (下腿長の100%」でできるのであれば、良いのではないでしょうか?

台の高さが一律的になっている理由とその弊害

地域の健康診断や介護予防事業では、簡単・迅速・安価な評価方法が求められます。

そのため、身長の違いによる不公平さには目をつぶって、判定に用いる台の高さを一律にしていると想像します。

なお、ロコモ度テストには「2ステップテスト」というのもあって、これは測定値を身長で割った「身長補正2ステップ値」を用いてロコモ度を判定する方法です。

これは、身長の違いをある程度考慮するものですが、とにかく片足立ちテストの方をクリアできず、「あなたはロコモ度1です」と言われると、私がそうであったように、少なからずショックを受けます。

実施者は簡易テストだと思っているかもしれませんが、テストを受ける方は真剣ですからね(笑)。

機能性食品への誘導

ロコモ度1以上の人が多いせいかと思いますが、次の画像のように、テレビのCMで高齢者が片足立ちテストをクリアしている映像を見せて、筋肉や関節の機能維持を目的とした機能性表示食品の宣伝も行われています。

画像引用元:ライプス『CM出演情報

このようなコマーシャルを見ると、より正しく判定できるように、身長に応じた台の高さの調整が必要だと思います。

さもないと、本来、必要ないのに、サプリについ手を出してしまう人が出続けてしまいます。

さらに言うと、グルコサミンやコンドロイチンなどの成分は軟骨や関節に良いというイメージがあると思いますが、それらの効果については確証が得られていません。

お金を出して効果のよく分からないサプリを買うよりも、少しでも体を動かす方が、効果があり、しかも無料でできます。

一口メモ:「膝や筋肉への効果」を謳う機能性食品の効果は不明!

脚(筋肉・関節)まわりの機能維持を目的とした「機能性表示食品」は、多く販売されていますが、これは、事業者の責任で科学的根拠に基づいた健康効果を表示する食品です。

その「科学的根拠」は企業の自己申告であり、届け出を受けた消費者庁が研究の質や妥当性まで詳細に検証するわけではありません

このようなサプリメントによく含まれている成分には次のものがあります。

  • グルコサミン・コンドロイチン:軟骨や関節のケアをサポートする成分
  • ケルセチン・アンセリン:筋肉・筋力維持や筋肉の質・血流・柔軟性といった観点で用いられている成分

しかしながら、結論から言うと、これらの成分はいずれも“効果の確証は不十分”です。

次の表の公的機関や学会の評価をご覧ください。

成分主な公的評価機関・学会評価・結論
グルコサミン/コンドロイチン厚労省(eJIM)・ACR・OARSI・NICE効果の科学的根拠は一貫せず主要国際ガイドラインでは「推奨しない」または「提供不要」。ESCEOのみ医薬品グレード限定で一部推奨。
ケルセチン(配糖体)欧州食品安全機関(EFSA)・消費者庁(日本)関節・筋機能に関する効果は証拠不十分。EFSAは健康強調表示を不承認。日本では体脂肪低減のトクホのみ認可(筋・関節は対象外)。
アンセリンNIBIOHN(国立健康・栄養研究所関連DB)ヒトでの有効性は「信頼できる十分な情報なし」。国際ガイドラインでも推奨・評価項目に含まれず。

機能性食品と聞くと「科学的なエビデンスに基づいた効果があるので販売してるんでしょ」と思う人が多いと思いますが、大半はエビデンスが無いと思った方が良さそうです。

詳しくは『【知らないと損】健康食品やサプリの広告に潜む4種類のトリックと賢い選び方』の記事をご覧ください。

おわりに

ロコモ度テストは運動器の状態を知り、転倒・骨折やその後の寝たきりのリスクを避けるための有用なテストだとは思います。

ただ、高身長の人は40cmの台からの片足立ちができなくても、上記の表のように、自分の身長に合った台の高さでできるのであれば、良いのではないでしょうか?

なお、テストは安全な場所(壁や椅子のそば)で行いましょう。

また、結果はあくまで簡易的な目安であり、医学的診断ではないことに留意が必要です。

補足:自宅でできるロコトレ(ロコモーショントレーニング)

ロコモ度テストで「ロコモ度1」と判定されても、落ち込む必要はありません。

これは、自分の運動器の状態を知り、改善を始める良いきっかけです。

ここでは、筋肉やバランス能力を維持・向上させるために、日本整形外科学会などが推奨する「ロコトレ」の中から、特に重要な2つのトレーニングをご紹介します。

片脚立ち(バランス能力と筋力強化)

片脚立ちは、ロコモ度テストの立ち上がり動作の核心である「片脚で体を支える能力」を鍛える最も効果的なトレーニングです。

目的

バランス能力、大腿四頭筋(太ももの前)、大臀筋(お尻)の筋力強化。

手順

  1. 安全の確保: 転倒の危険を防ぐため、必ず椅子の背もたれや壁のそばで行ってください。
  2. 姿勢: 両足でまっすぐ立ち、体幹(お腹)に軽く力を入れます。
  3. 片脚上げ: 左右どちらかの脚を軽く浮かせて、片脚立ちになります。
  4. 時間: 左右の脚それぞれ1分間、その姿勢を保ちます。
  5. 回数: 1日3回を目標に取り組みましょう。

POINT: 姿勢を保つのが難しい場合は、初めは壁や手すりに軽く触れて行い、徐々に手を離す時間を長くしていきましょう。

スクワット(下肢筋力強化の王様)

スクワットは、立ち上がりテストに必要な膝伸展筋力(大腿四頭筋)と、お尻の筋肉(大臀筋)を効率よく鍛えるトレーニングです。

目的

大腿四頭筋(太ももの前)、大臀筋(お尻)、ハムストリングス(太ももの裏)の筋力強化。

手順

  1. 準備: 足を肩幅より少し広めに開いて立ちます。
  2. 椅子を用意: 目の前に椅子を置き、「椅子に座るつもりで腰を下ろす」イメージで行います。椅子に手が届くギリギリまで下ろすことで、転倒の心配なく安全に行えます。
  3. 動作: 息を吐きながら、膝がつま先より前に出ないよう意識し、ゆっくりとお尻を後ろに引くように腰を落とします。
    椅子に座る直前で止め、息を吸いながらゆっくりと元の位置に戻ります。
  4. 回数: 5〜6回を1セットとし、無理のない範囲で1日3セットを目標に行いましょう。

POINT: 膝や腰に痛みがある場合は、無理に深く腰を落とさず、痛みのない範囲で行ってください。両腕を胸の前で組むと、より負荷を上げられます。

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