猛暑が延々と続いていますね… 長時間のサイクリングは体に危険なので、クーラーの効いた部屋で石磨きをしている方が良さそうです。
だんだんと石が綺麗になってくるのを楽しみながら、無心になって磨いていると時間が経つのを忘れてしまいます。
前の記事『電動ルーターで初心者でも簡単石磨き|ダイソーのフローライトをピカピカに!』で、フローライト(蛍石)をカボションカット(丸くドーム状の滑らかな形状)に研磨する方法をご紹介しました。

今回は、より立体的で個性が光る「ファセットカット」に挑戦してみました(ファセットとは面のこと)。

ファセットカットは光を反射する平らな面を複数つけるカット方法です。
次の写真は元のフローライトの原石と研磨後です。

フローライトはモース硬度4と柔らかく、劈開性(へきかい=特定の方向に沿って平らに割れやすい性質)があるため、「ファセットカットには向かない」と思われがちです。
でも、実はその特性をうまく活かせば、ユニークで魅力的な作品に仕上げることができます。
本記事では、デザインの方向性の決め方から、荒削り・研磨の具体的な手順、さらに飾り方の工夫まで、初心者にもわかりやすく紹介します。
自分だけのきれいなフローライトを作れますよ。
目 次
削る相手(フローライト)の特性を知ろう
フローライトは、美しい色合いと透明感で人気の高い鉱物です。
紫、緑、青、黄など、ひとつの石に複数の色が混ざることもあり、見る角度や光の入り方によって表情が変わるのが魅力です。
しかも、DAISOの「ストーンディフューザー(グリーン・フローライト)」だと3〜4cmサイズのフローライトが8個くらい入って330円、つまり1個がたったの約40円!
気軽に入手できて、失敗してもドンマイ。

とはいえ、少々扱いが難しい面もあるので、まずはフローライトの性質を理解しておきましょう。
モース硬度は「4」|やわらかく傷がつきやすい
モース硬度とは、鉱物の硬さを1~10の数字で表したもので、ダイヤモンドが最も硬い「10」です。
フローライトのモース硬度は「4」で、ナイフの刃や釘で簡単に傷がついてしまうレベルです。
そのため、研磨の途中でうっかり深い傷をつけたり、角が欠けてしまうことがよくあります。
劈開性(へきかいせい)が強い|一定方向にパキッと割れる
フローライトは劈開性が非常に強く、特定の方向に沿ってきれいに割れやすい性質があります。
この性質のために「加工に向かない」と敬遠されることもありますが、実は既存の劈開面を活かしてデザインを考えることで、他にはない面白い形に仕上げることもできます。
うまく活かせば、「自然の割れ目がそのままアートになる」… そんな作品も作れるのが、フローライトの魅力です。
やわらかく光を透過|光を通す美しさ
フローライトは、やわらかく光を透過する性質があります。
ファセットカットでは、光が入る角度や方向によって、透明感や色のグラデーションが際立ちます。
美しく個性的なファセットカットを作るコツ
ファセットカットは、ただ機械的に面を作ればよいというより、原石の形や模様、光の入り方を活かして、唯一無二の形に仕上げることが醍醐味です。
市販の宝石のように、規則正しい面で構成された完璧な形に仕上げる必要はありません。
自由な発想で、石と対話しながらデザインしていく楽しさがこの工程には詰まっています。
原石の「個性」を見極める
研磨を始める前に、まず行うべきなのが「原石観察」です。
削る前からすでに、その石には固有の“個性”が存在しています。
形状を観察する|「活かす」前提で眺める
石を手に取ったとき、まず注目してほしいのが自然な形の傾きや凹凸です。
「どこが正面になると美しいか?」「この角度から見るとバランスがいいかも」… そんな直感的な視点が、デザインの出発点になります。
無理に「綺麗な幾何学的カットに整えよう」とせず、すでにあるラインや平面をベースにカットプランを考えることで、初心者でも無理のない加工ができます。
色の分布を見る|「光の入り口」と「見せたい面」
フローライトは色の入り方が非常に個性的で、透明・緑・紫・青がグラデーション状に混ざっていることもあります。
蛍光灯などで石を透かしてみると、これがよりはっきり分かります。
そこで大切なのが、「どの方向から光が入ると、もっとも美しく色が透けるか?」という視点です。
- 明るい色の面は光を通す入口に
- 濃い色の面を利用して奥行き感を演出
- 色の境界線は斜めにカットしてグラデーションを見せる
このように、色の配置を“活かす”ことを考えると、仕上がりに差が出ます。
既にある「劈開面」を活かす|トラブル回避+デザイン性
フローライトにはすでに割れた跡(自然の劈開面)が残っていることがよくあります。
この面をあえて“面のひとつ”として利用すると、次のメリットがあります:
- 無理に削らなくて済むので割れるリスクが減る
- 自然にできた平面なので平面にする労力が少なくてすむ
- 加工途中に割れてもデザインに組み込めばリカバリーしやすい
初心者のうちは、こうした“もともとある形”を味方にすることが成功のコツです。
次のセクションでは、このように個性を活かすことを念頭に、どうデザインの方向性を決めていくか、その実践的な考え方を紹介します。
デザインの方向性を決める
原石の個性を見極めたら、次に考えるのは「どんな形に仕上げたいか」という全体のデザイン方針です。
ここをしっかり決めておくことで、削りすぎや方向のブレを防ぎ、作業がスムーズになります。
とはいえ、最初から完璧な設計図を描く必要はありません。
むしろ、ざっくりとした方向性を持ちながら、加工の途中で微調整する柔軟さが必要です。
削る場所と残す場所を決める
石を上下左右、ぐるぐると回して眺めてみてください。
すると、「ここは残したい」「ここは削って整えたい」という部分がだんだんと見えてくるはずです。
たとえば…
- 特に美しい色の層がある面 → できるだけ広く残す
- 欠けていたり凸凹している面 → 整える候補
- 劈開面がある場所 → 平面に使えそう
こうして石の個性に合わせたデザインを考えることが、満足度の高い作品づくりに繋がります。
光の入り方を意識する
ファセットカットでは、面の角度や配置によって光の入り方と反射の仕方が変わります。
あえて正面に透き通る面を配置したり、側面に斜めの面を入れることで、光が内部を通ってキラッと輝く演出が可能になります。
初心者向けの基本としては、以下の考え方がおすすめです:
- 上面に広めの平面を設けると、天井光を受けて内部が明るくなる
- 側面を斜めにカットすると、光の反射角が増え、表情が豊かになる
- 濃い色が出ている方向を正面にすると、奥行きと深みが生まれる
面数は少なめから始めよう
最初はつい、「たくさんの面をつけたほうがカッコいいのでは?」と思いがちですが、多面にするほど正確な角度とバランスが求められるため、難易度が一気に上がります。
まずは5~8面程度のシンプルな多面体から始めるのがおすすめです。
具体例:
- ピラミッドのような四角錐型
- サイコロの角を斜めに落としたような変形六面体
- 石の形に合わせて適当に3~4面だけを整えたラフカット風も魅力的
また、プロの作品を見るとイメージしやすくなります。
例えば、次の楽天のお店ではフローライトを研磨した商品が沢山掲載されており、参考になるし、見ているだけでも楽しいです:
● 楽天 BELLPIERI フローライト商品一覧
● 楽天 K.Y.FACTORY フロー ライト商品一覧

次はいよいよ、実際の作業に入る準備です。
必要な道具と、初心者が押さえておきたい作業の進め方について見ていきましょう。
使う道具の紹介
まずは必要な道具をそろえましょう。
ここでは、私が実際に使っている道具を中心にご紹介します。
次の表のように、使う道具はカボションカットのときと殆ど同じですが、ファセットカットでは面をまっ平にすることが肝心なので、平面出しの土台としてガラス板を使うところが異なる点です。
これらの道具の詳しい説明は、次の表の「道具名」のところのリンクをクリックすると、その道具の紹介のところにジャンプします。
| カテゴリ | 道具名 | 主な用途・特徴 |
|---|---|---|
| 主力工具 | リューター(ミニルーター) | 研磨・カット用、回転数調整可能なもの推奨 |
| 研磨ビット | ダイヤモンドビット | 粗削り〜整形 |
| 手仕上げ用 | 耐水ペーパー(ヤスリ) | 平面やエッジの調整・仕上げ |
| 研磨剤 | 酸化セリウム、ダイヤモンドペースト | 鏡面仕上げに使用 |
| 研磨剤用バフ | バフ | 研磨剤を使った最終仕上げに使用 |
| 印付け用 | マーカー、マスキングテープ | 削る場所の目印に使用 |
| 作業環境 | 防塵ボックス、ゴム製排水溝カバー | 粉塵・水はね防止 |
| 平面出し土台 | ガラス板 | 耐水ペーパーを貼り付ける平面土台 |
| ガラス板を敷く作業台 | トレイ(バスケット) | ガラス板下に敷き、水跳ねを防ぐ |
| 耐水ペーパーの滑り止め | 滑り止めシート | ガラス板のズレ防止 |
| 安全装備 | ゴーグル、防塵マスク、グローブ | 目・呼吸器・手の保護 |
次に、こうした道具を使った実際の加工作業──荒削りから仕上げまでのステップについて詳しく解説していきます。
作業にかかる目安時間(初心者の場合)
石のサイズや形、仕上がりのクオリティ、使用する道具のパワーによっても大きく変わりますが、以下はDAISOの3〜4cmサイズのフローライトを加工した場合の一例です。
| 行程 | 時間の目安 |
|---|---|
| 荒削り | 1.5〜2時間 |
| 面の整形・調整 | 1〜2時間 |
| 仕上げ研磨 | 30分〜1時間 |
| 合計 | 約3〜5時間 |
どのくらいファセットカットに凝るかで時間は大きく変わりますが、簡単なものであれば、トータルで3時間程度で1つ仕上げられるようになります。
しかし、最初はじっくりと時間をかけて進めることをおすすめします。
最初の数作品は“練習用”と割り切り、まずは「削る感覚」に慣れることを目指しましょう。
荒削り|削る面の決め方や印の付け方
荒削りは、原石をファセット(面)付きの形に仕上げるうえで最も重要な工程です。
この段階での「削り方」「面の位置取り」が、その後のバランスや美しさを大きく左右します。
とはいえ、最初から完璧に設計するのは難しいので、“面を追加しながら整えていく”くらいの柔軟な気持ちで進めると失敗が少なくなります。
削る面の決め方|「正面を決めて」そこから広げる
まずは石のどこを“正面”にするかを決めましょう。
その正面から見て、どこに光が入り、どこがもっとも色や形が引き立つかをイメージします。
決め方に迷ったら、以下の視点を参考にしてください。
● 一番きれいな色が出ている面を正面に
● 劈開面などすでに平らな面を活かす
● 欠けや凹凸が多い面は裏側や底面に
正面が決まったら、そこを起点に他の面を順番に構成していくと、全体のバランスが取りやすくなります。
削る位置をマーキング|作業中の迷いを防ぐために
作業に入る前に、削る場所に印を付けておくことがとても重要です。
とくに初心者のうちは、削っているうちに「どこまで削るつもりだったか」を忘れがちです。
使用するマーキング道具:
- 石工用鉛筆(ダーマトグラフ)
→ 水に濡れてもある程度消えにくく、柔らかい線が引ける - マスキングテープ
→ 面と面の境目に細く貼ると、削る範囲の目印になる
マーキングのポイント:
- マーキングする前に石についている石紛やゴミなどをふき取り、マーキングしやすくしておく
- 削る面の輪郭に沿って枠を描く
- 面と面の交差点(エッジ)をあらかじめ意識しておく
- 可能なら、定規や分度器を使って角度を意識してもよい
石の表面に凹凸があって線が見えにくいときは、テープとペンを併用するのが有効です。

削るときのコツ|少しずつ・こまめに確認
マーキングが終わったら、いよいよリューターやヤスリを使って削っていきます。
このときに心がけたいのが、「少し削る→確認→また少し削る」というステップです。
削っていくうちに見えてくる「きれいな模様」や「自然な面」は、途中で計画を変えて取り込んでもOKです。
加工において「予定通りにいかないこと」はむしろ普通です。
割れ・欠けを防ぐポイント
フローライトは柔らかく劈開性があるため、削り方にも注意が必要です。
- ビットの回転数はできるだけ低速から始める
- 削る力は“押す”のではなく、“当てて滑らせる”感覚で
- ヒビが入っている場合は、面の位置を避けるか、早めに処理する
万が一、割れてしまった場合も落ち込む必要はありません。
割れた形を新たな面として活かせば、個性的なデザインにつながることもあります。
この荒削りの段階が終わると、作品の“骨格”がほぼ出来上がります。
次はいよいよ、磨きと仕上げの工程です。段階的な番手の使い分けと、美しく仕上げるコツを紹介していきます。
研磨と仕上げのコツ
荒削りで全体の形が整ったら、次は研磨と仕上げの工程に入ります。
ここからは、石の魅力を引き出すための“磨きの技術”が求められます。
フローライトは柔らかく、磨けば磨くほど輝きが増す石です。
段階的に番手を上げながら丁寧に仕上げていくことで、ツヤや透明感のある美しいファセットカットに仕上げることができます。
番手を上げながら少しずつ磨く
研磨の基本は、粗い番手から始めて、徐々に細かい番手へと段階を追って磨くことです。
一気に細かい番手へ飛ばすと、荒い傷が残ってしまい、あとで消すのが困難になります。
【研磨の一例(フローライトの場合)】
① #400番またはダイヤモンドビットを付けたリューター(整形仕上げ)
次のループ動画はその例で、電動リューターを使って大雑把に平面を出しています。
後の耐水ペーパーによる研磨で曲面を平面にるのは大変な作業になるので、この段階では、平面を出すことを第一にします。

②#800番(面の均し)
次のループ動画は、ガラス板の上に載せた#800番の耐水ペーパーで磨いた結果です。
少し光沢が出ましたが、手で触った感触はツルツルではなく、水が乾くとくすんだ色になります。

③#1500番(細かいキズの除去)
④#3000番(下地の最終調整)
#3000番までやると、次のループ動画のように、表面はツルツルで、見た目の透明度もかなりアップしました。
ただし、完全に乾くと表面がくすんで、鏡面感は足りません。

⑤フェルトバフ+研磨剤(最終仕上げ)
酸化セリウムのパウダーで最終研磨した結果が次の写真です。
ここまでくると鏡面になり、表面の水分が乾いても、くすまずにピカピカです!

耐水ペーパーでの手磨きと道具の併用
リューターのビットだけで仕上げようとしても、面に微妙なゆがみや研磨跡が出やすいです。
そこで、耐水ペーパーでの手磨きを併用することで、より滑らかで均一な面を作ることができます。
ペーパーは木片やガラス板などの平らな面に巻きつけて使うと、より正確な面出しができます
詳しくは『面の精度を高めるためのテクニック』をご覧ください。
● 最終仕上げに使う研磨剤
鏡面仕上げには、以下のような研磨剤が活躍します:
- 青棒(クロム酸系研磨剤):金属・石にも使用可能。ツヤ出しに優れ、比較的安価
- 酸化セリウム:ガラスやフローライトのような軟らかい石向き。透明感のある仕上げに最適
- ダイヤモンドペースト:高価だが非常に細かい粒子で、繊細な最終仕上げに効果大
これらをフェルトバフやウレタンバフに少量つけて、低速回転で軽く当てるように磨くのがポイントです。
バフを当てすぎると摩擦熱で石が欠けることがあるので、軽く、短時間ずつ当てるようにしましょう。
研磨中の注意点
- 水をこまめに使うこと:乾いたまま磨くと、摩擦熱でヒビが入ったり、傷がつきやすくなります
- 途中経過をしっかり確認:一度仕上げてしまった面は修正が難しいため、必ず確認しながら進めましょう
- 照明を当ててキズを見る:室内光の下では見えない微細なキズも、強い光を斜めから当てるとよく見えます
次のセクションでは、さらに面の精度を高めるためのテクニックを紹介します。
面の精度を高めるためのテクニック
リューターでの研磨工程が終わると、石の形は整い、全体のバランスも見えてきます。
でも、仕上がりに差が出るのは耐水ペーパーによる研磨で、ここからが本番です。
作品の完成度を左右するのは、「面がどれだけ平らで、エッジがきれいに出ているか」です。
とくに初心者にとって難しいのが、「まっ平な面」を出すことと、「面と面のつながり(辺・角)」を美しく整えること。
例えば1cm四方の面でも、ほんのわずかな凹凸があると光が乱反射して、きれいに見えません。
次に、まっ平な面を出すための具体的な道具や手順、コツを紹介します。
平面出しのための道具と手順
- ガラス板(強化ガラス製などの平滑な面)
→ 耐水ペーパーを貼り付けるベースに使います。 - その上に耐水ペーパー置いて各辺をテープでとめます
私の場合、水貼りテープを使っています。

研磨をしていて、「一部だけ当たっている」「端が削れすぎてしまう」などの偏りが見られる場合は、角度や圧力を調整しながら、面全体が均一になるよう微調整しましょう。
エッジと角を整える
面と面が出揃ってくると、自然とエッジ(辺)と頂点(角)が形成されます。
このつながりがシャープに整っていると、作品の完成度が一段と上がり、満足感も高まります。
鋭いエッジや頂点が形成されてくると、それで手を切ることがあるので、素手ではなく、手袋を着用して研磨をすることをお勧めします。
▶︎ エッジの整え方
- 隣り合う2面の接点をよく観察し、一直線に交わっているかをチェック
- 不自然な「ずれ」や「段差」がある場合は、2つの面を少しずつ調整して揃える
→ 耐水ペーパーを木片に巻きつけて、面の交差部分だけを軽くなぞるように削ると、きれいな直線が出せます。
▶︎ 角(頂点)の仕上げ方
- 複数の面が交わる頂点は、集中して力がかかりやすいポイントなので、欠けやすくなっています。
- 鋭角にしすぎると破損しやすいため、ほんのわずかに“面取り”しておくと耐久性も上がります。→ 角に小さく当てて磨けるような、先端が細いビットや小型ヤスリを使うと安全かつ正確に作業できます。
仕上げ前の最終チェックリスト
この工程を丁寧に行うことで、作品に“職人感”(笑)が生まれます。
次は、作業中に起きがちな失敗とその対策についてご紹介します。
よくある失敗とその対策|初心者がつまずきやすいポイント
どんなに丁寧に準備していても、最初のうちは思い通りにいかないことが必ずあります。
でも、それは誰にでも起こることであり、「失敗は成功のもと」です。
ここでは、私自身が実際に経験した「ありがちな失敗」と、それぞれに対する対策をご紹介します。
削りすぎてしまった
よくある場面:
面のバランスを取ろうと削っていたら、気づいたら予定より小さくなっていたり、色のきれいな部分がなくなってしまった…。
対策:
- 削る前に残したい部分をしっかりマークする
- 少し削る → 角度を変えて確認 → また少し削る、を繰り返す
面がゆがんでしまう(平面にならない)
よくある場面:
削ったつもりでも、光を当てると面が波打っていたり、反射がムラになる。
対策:
- ガラス板+耐水ペーパーの平面出しを使う
- 手磨きのときは、石を斜めに押し当てず、均一な圧で当てる
- ペーパーは定期的に交換して、目詰まりした状態で使わない
角(頂点)が欠ける・丸くなる
よくある場面:
いい感じに仕上がってきたのに、最後の段階で角がポロッと欠けたり、曖昧な形に…。
対策:
- 鋭角にしすぎず、ほんのわずかに面取りして保護する
- 荒削り段階で角をできるだけ最後に整えるようにする
- 無理な方向から力を加えない(とくに仕上げ段階)
失敗を防ぐことも大事ですが、実際には「失敗をどう活かすか」が、上達への近道です。
次に、せっかく仕上げた作品をどう飾るか? という楽しみの部分をご紹介します。
作品の見せ方を工夫することで、あなたの努力とセンスがより際立ちます。
磨いた石の飾り方アイデア集
せっかく手間ひまかけて磨き上げた作品、どうせなら美しく飾って、毎日眺めて楽しみたいですよね。
フローライトは光に透ける美しさや色のグラデーションが魅力なので、飾る角度や光の当て方によって印象が大きく変わります。
手軽にできる飾り方のアイデアをご紹介します。
飾る場所の選び方|自然光またはLEDライトを活用
フローライトのファセットは光を通して初めて本来の美しさが引き立つため、光源の位置がとても大切です。
おすすめの場所・環境:
- 窓辺や明るい棚の近く(直射日光は避けて)
- デスクライトや間接照明のそば
- LED台座(下から光を当てると透明感が強調されて幻想的に!)
100均やAmazonで買えるおすすめディスプレイグッズ
| アイテム | 特徴・使い方 |
|---|---|
| ミニガラスケース | セリアやダイソーにある小型のガラス容器。ほこり除けにも便利 |
| コレクションケース | アクリル製や木製。複数の石を並べて飾れる |
| LEDライト付き台座 | 下から光を当てて、宝石のような見せ方が可能。Amazonで1,000円前後で購入可 |
| 白または黒の布・紙 | 背景を単色にすることで、石の色や輝きが引き立つ |
| 天然木の台座やトレイ | 温かみのある素材と組み合わせてナチュラルに展示するのも人気 |
次の写真はLED台座に載せた例です。

Amazonで購入した木製のLEDライトディスプレイベースを使っています。
木の部分の塗装を省略しているせいか、価格は899円と同種のものよりかなり安いですが、色や明るさの変更はちゃんとできるのでお勧めです。
おわりに
長い記事になってしまいましたが、ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
フローライトは、柔らかく割れやすいという難しさがある反面、お手頃価格で手に入れやすく、工夫次第で驚くほど美しく個性的な作品に仕上がる楽しい石です。
本記事では、そんなフローライトを素材にしたファセットカットの魅力と、実際の作業手順、道具、安全対策、飾り方までを初心者の方向けにご紹介しました。
思い通りに削れなかったり、欠けてしまったり──そんな小さな失敗の積み重ねも、作品作りの楽しさの一部です。
そして何より、形が整い、光を受けてきらりと輝く瞬間には、加工した人だけが味わえる特別な満足感があります。
今回の記事が、石磨きの楽しさを更に深めるきっかけになれば嬉しいです。






























リューター(ミニルーター)|主力の研磨・カット道具
最も使用頻度が高いのがリューターです。
フローライトの加工では、回転式のダイヤモンドビットを使って削る作業が中心になります。
おすすめは回転数が調整できるタイプ(低速が使えると石を割りにくい)
フローライトは比較的柔らかいので安価な製品でも使えますが、水晶やオパールなど硬度が高いものも将来、削りたいなら、回転数が可変でパワフルなリューターを初めから購入した方が良いと思います。
また、リューターは家具や家電製品、ガーデニングで発生する研磨や切削、切断などのDIYにも活躍しますので、そういう意味でも、1台、良いものを購入するのがお勧めです。
私が使っているのは「Dremel(ドレメル) ハイスピードロータリーツール〔4000-3/36〕」ですが、135Wの強力なモーターを搭載しており、回転数は5,000~32,000回転/分と可変なところも石磨きに向いています。
ダイヤモンドビット|面の加工
削るためのビットはダイヤモンド粒子付きのものを使用します。
番手を上げながら段階的に使うことで、つややかで美しい面に仕上げることができます。
円盤型のダイヤモンドビットで使って良かったと思うのが次の新潟精機のビットです。
全体にダイヤモンドが付着しており、中心に軸の突起がないので平面を削りやすいです。
次の写真は他社のビットですが、中心に軸の突起があり、平面を削りにくいです。
耐水ペーパー(耐水ヤスリ)|手仕上げに活躍
細かな調整やリューターで削りすぎた面の補正には、耐水ペーパーが便利です。
研磨剤(酸化セリウム、ダイヤモンドペースト)|鏡面仕上げに必須
鏡面のようにピカピカに仕上げたい場合、私が主に使っている研磨剤は酸化セリウムです。
バフ|研磨剤を付けて鏡面仕上げ
研磨の最終仕上げ段階で、バフに研磨剤やポリッシュ剤を付けて、高い光沢とツヤを出します。
私が使っているのは、次のスリーエムのウール製のもので、アマゾンで562円でした。
これを次の写真の右側のマジックテープ付きのパッドに貼り付け、電動リューターに取付けて研磨しています。
マーカー、マスキングテープ|印付け
どこを削るかを決めたら、作業中に見失わないように印をつけておくと失敗が減ります。
作業中、石に水をかけるため印が消えやすいので、こまめに確認・書き直しするのがコツです。
私は桃色が目立つので使いやすいと思います。
三菱ダーマトグラフ を使っていますが、ワックス系(油性)の鉛筆なので、石の表面にもしっかり書けます。
面と面が接する境界をどこにするのかを決める補助として、私はハセガワの幅が0.5mmのマスキングテープを使っています。
幅が非常に細く一見、糸のようなので、曲がりくねりのある面にも曲げながら貼りやすく、重宝しています。
細いので、指でなくピンセットでテープを引き出しながら使うと扱い易いと思います。
防塵ボックス|粉塵と水はね対策に
石を研磨すると、次の防塵ボックスの写真でも分かるように、多くの細かい石の粒子がボックスの内側に付着します。
作業は基本的に防塵ボックスを使い、石の粉塵や水で部屋が汚れないようにします。
私が使っている防塵ボックスはアマゾンで2,000円でした。
コンパクト防塵ボックスの左右の側面に、手を入れるための穴が空いていますが、ここからも切削粉が多少漏れ出ます。
それを軽減するため、次のゴムの排水溝カバー(流し菊割れフタ)を左右の穴にはめ込み、接着剤で固定しました。
このゴムの排水溝カバーがこのコンパクト防塵ボックスの穴に偶然ぴったりで、いわゆるシンデレラフィットです。
ガラス板|平面磨きに最適な土台
平面出しのため、耐水ペーパーを貼り付けるのにこのガラス板を使います。
私はアマゾンで「ケイ・ジー・ワイ工業 強化ガラス棚板 5X200X300mm DG-2030」を1,000円で購入しました。
石磨きに手頃な大きさで、今回のような小さい石だけでなく、もっと大きなものの研磨にも使えます。
厚さも十分にあり、辺やコーナーには手を切らないよう滑らかにする処理もされていて、しかも、安いのでお勧めです。
トレイ|ガラス板の下に敷いて作業場を清潔に
平面磨き用のガラス板に張り付けた耐水ペーパーの上で、水を使いながら石を研磨するので、ガラス板をトレイに置いて部屋が汚れないようにします。
私はDAISOで110円で購入した「木目調収納バスケットA4」というプラスチック製トレイに、上記のガラス板を敷いています。
ガラス板がきつ過ぎずゆる過ぎず、いい具合に入りました。
滑り止めシート|ガラス板上の耐水ペーパーの滑り止め
耐水ペーパーをガラス板上にテープで固定して研磨すると、強い力がかかるので、ガラス板がズレてきます。
それを防ぐために、ガラス板の下に滑り止めシートを置いています。
私はアマゾンで「和気産業 極薄滑り止めシート 0.35mm×200mm×500mm」を591円で購入しました。
これは極薄なのに滑り止めとして非常に強力で、石磨き以外にも、車のダッシュボードの上に敷いて、置いたものが滑らないようにするなど、色んなところに使っています。
ゴーグル・防塵マスク・グローブ|作業時の安全対策
石の粉塵や破片が飛ぶ可能性があるため、目や呼吸器を保護。
石の粉塵は非常に微細で、普通の花粉症対策のマスクでは防ぎきれないので、N95かJ95規格のマスクを着用する必要があります。
石の粉塵(シリカ粉塵など)は、粒子が非常に微細で、PM2.5(2.5マイクロメートル)以下のサイズのことも多くあります。
これに対して、普通の花粉症対策マスク(不織布マスク)は、花粉(約30μm前後)のような比較的大きな粒子を防ぐ設計になっており、微細な粉塵には十分な防御性能がありません。
N95のマスクは産業用で値段が高いので、あまり性能が変わらず、より安価なJ95のマスクを使っています。
耐切創性グローブはルーターの高速回転ビットによる怪我を防ぎます。
パナソニックのタングステン耐切創手袋をアマゾンで購入(1,861円)しましたが、耐切創性のレベルはパナソニックの中で最強の手袋です。
誤ってビットや刃物に手袋がふと触れてしまったことがありましたが、手袋が切れることはありませんでした。(グッと押し当てる実験は怖いのでやったことはありません)