人から「健康ですか?」と聞かれたら、なんて答えますか?
健康診断では大きな異常は無くても、「ちょっと血圧(脂質、血糖値など)が高めでね」「まあまあですかねぇ…メタボ気味だけど」などと答えるーーこういう人は少なくないようです。
実は、健康診断の数値より『気の持ちよう』が寿命を左右するかもしれません!
日本の平均寿命は世界トップクラスですが、他の先進国に比べて自分の健康に自信を持っていない人が多いという調査結果もあります。
健康寿命(健康に生活できる期間の長さ)に影響を与えるものとして「主観的健康感」、つまり「自分自身で自分の健康状態をどう感じているか」が注目されています。
私はこれを聞いたとき、「それは健康じゃないから自己評価が低く、健康寿命が短い…当たり前では?」と思いました。
ところが、客観的な健康状態が同じような人同士を比較しても、主観的健康感が低い人の方が死亡率や疾患発症率が高いというエビデンスがあるのです!
例えば、Aさんは朝起きた瞬間から「今日も腰が痛いなぁ…散歩なんて無理かもしれない」とため息をつきます。
外出を控える日が増え、人と会うこともおっくうになり、気持ちは沈みがちで、体を動かさないので筋力も少しずつ落ちていきます。
一方、Bさんも同じように腰に違和感がありますが、「それでも今日も歩けた。昨日より少し長く歩けた気がする」と前向きに考えます。
近所の公園まで散歩に出かけて、花を眺めたり、友人に声をかけたりして、気持ちが軽やかになる分、行動も自然に増えていきます。
同じ腰痛を抱えていても、「不安に縛られるか」「前向きにとらえるか」で5年後、健康状態は大きく変わるかもしれません。
この記事では、次のことについて紹介しますので、ぜひ一緒に考えてみませんか?
● なぜ、日本人の主観的健康感は低めなのか?
● なぜ、主観的健康感が高めになると健康寿命に良い効果があるのか?
● 自分の主観的健康評価を高めるために、どんな方法があるのか?
目 次
なぜ、日本人は健康でないと思う人が多い?
OECDが指摘:「日本人の平均寿命は世界一でも“主観的健康感”は悲観的」
OECD(経済協力開発機構)の資料には、このことが明記されています。(参照:『OECD Reviews of Public Health: Japan』)
健康状態が「良い、非常に良い」と答えている人は、日本の場合、約35%しかおらず、OECD諸国の平均値は70%近くなので約半分です!(次の図)。

また、京都大学の調査でも、日本人は他の先進国に比べ「自分の健康を低く評価しやすい」傾向があるとされています。
(参考文献:京都大学特定教授・高橋由光ら『主観的社会的地位と自己評価健康状態の軌跡:日本と米国の比較分析』)
日本人の主観的健康感が悲観的な理由
専門家によれば、理由として次の事柄が挙げられています:
- 控えめさと不安強調の傾向
たとえ元気であっても、「まあまあですね」「なんとか生きています」と答えるなど、謙遜的な表現を用いる傾向がありますね。
会話の中で「いやぁ、肩(首、腰、膝)が痛くて…」といった体の不調を共有するのは、結構、日本人のあるあるです。
逆に、「私、もう元気すぎるぐらい元気!!」などと言うと、なぜか水を差すような雰囲気になりがちです。 - 精神衛生の課題
たとえば、OECDでは日本を「メンタルヘルス課題が残るグループ」に分類し、特に精神的苦痛や自殺率に関する懸念を示しています 。 - 健康・医療情報へのアクセスが容易=不健康を意識しやすい
つまり、「知らぬが仏」の逆ですね。
日本では、病院や医師へのアクセスが非常に容易であるため、身体的・精神的な異変に敏感になります。
また、日本では健康番組や医薬品や健康食品のコマーシャルが多く、不安をあおる内容が多いため、健康に対する自己評価が厳しくなりやすい環境があるともいえます。

実は幸福度についても日本人は低めに評価する傾向があります。
日本の生活水準は高く、犯罪率も比較的低くて安心に暮らせる国なのに、国連の世界幸福度ランキングでは日本は51位で、「自分は幸せだ」と感じにくいようです。
(参照:Sustainable Japan 『国際】国連の世界幸福度ランキング2024。北欧諸国が上位ほぼ独占。日本は51位で4つ後退』)
次のようなことがその理由と言われていますが、主観的健康感が悲観的である理由と共通していると思います:
● “控えめさ”を尊重する文化
日本では「幸せです」と公言することが「自慢」となり、周囲の状況や感情を考慮していないと受け取られるのではないかと懸念する気持ちがあるかもしれません。
周囲との調和や全体の安定を重視する傾向があり、「私だけ幸せ」と感じることに罪悪感を覚える人もいます。
● 自己評価の厳しさ
「まだまだ不十分だ」「ここがダメだ」という自己批判的な傾向があります。
「満点」の状態や、周囲から見て完璧な状態を理想としがちで、その理想に対して、今の自分や状況を厳しく照らし合わせるため、「まだ達成できていない」「もっと良くなるはずだ」と感じ、現状の自己評価を低く抑える傾向があります。
日本人が完全でないところに目が行きがちな一方で、ラテンアメリカなどの「ケセラセラ(なるようになるさ)」的な文化を持つ国々では、たとえ客観的な問題があっても「今、生きていること」や「小さな幸せ」を重視し、高い幸福度を保っています。
これは、自己評価が健康に与える影響を理解するのにも大切な示唆のように思います。
主観的健康感が低いと危険な訳とは?
衝撃の事実! 健康診断の結果が全く同じでも、『不健康だ』と感じている人の方が早く亡くなるというデータがあります。
つまり、“自分をどう見るか”が、私たちの行動や生き方に影響を与えており、それが長期的に健康寿命や生存率にも関係しているのです。
- ラトガース大学『自己評価による健康と死亡率:27の地域研究のレビュー』
「自分の健康状態は良い」「普通」「悪い」といった簡単な自己評価が、他の多くの健康リスク要因を考慮に入れた後でも、死亡率を予測する独立した要因となる、つまり、主観的健康評価が重要であることを明らかにしています。 - ヨハネス・グーテンベルク大学マインツ大学医療センター『高齢者の死亡率は、客観的な健康リスクを超えて、自己評価による身体的健康度によって予測される』
自己評価による身体的健康度は、客観的な健康リスクとは独立した、高齢者の死亡を予測する重要な指標であると結論付けています。 - テュレーン大学『一般的な自己評価型健康質問1問による死亡率予測』
この研究は、健康状態に対する自己評価がPoor(悪い)とExcellent(良好)では2倍のリスク上昇が見られたと報告しています。
このように主観的健康感が低いと寿命が短くなる理由として、次のことが言われています:
- 「不健康だ」と思うだけで、活動を控えてしまう
主観的健康評価が低い人は、「無理をして悪化したら困る」と考え、運動や外出を避ける傾向があります。
こうして、活動を控えること自体が、筋力や体力の低下を招き、転倒や介護リスクを高めてしまう恐れがあります。 - 孤立や気分の落ち込みにもつながる
「身体に不調なところがあるから、人と会うのもおっくう」と感じてしまうと、社会とのつながりも薄れがちです。
実際、主観的に不健康だと感じる人ほど、うつ症状や不安、孤立感が強まりやすいという研究結果もあります。 - 健康管理のバランスが崩れる
「どうせ治らないから」と受診を避けたり、逆に「心配だから」と頻繁に病院に通いすぎたりして、主観的な不安が医療の利用不足や逆に利用過剰を生むこともあります。
これらが示唆していることは、実際に病気でなくても、「不健康だ」と思い続けることが、健康を損ねる引き金になり得るということです。
このことから専門家は次のように『主観的健康感』の大切さを説いています:
● 東京都健康長寿医療センター研究所 『主観的健康寿命を延ばす』
● 日本生活習慣病予防協会 『16年にわたる「中高年縦断調査」(厚生労働省)からわかる主観的健康感の高さと「一無、二少、三多」』
● すみれが丘ひだまりクリニック 『あなたにとっての健康とは?~主観的健康感とポジティヴ・ヘルス~(2/3)』
主観的に健康だと思い込むだけでいいの?
「じゃあ、とにかく自分は健康だと思い込めば、健康寿命が延びるの?」と思う人もいると思います。
そんなわけ、ないですよね!
これには、見落としてはいけない重要な前提があります。
- 客観的な医療の視点は必須
「私は健康だ、大丈夫!」と思いこんで健康診断などの検査を受けずにいると、高血圧や糖尿病、がん、慢性腎臓病のように初期の段階ではほとんど自覚症状がないので、病気が進行してから気づくことになります。
結果的に健康寿命を縮めてしまうおそれもあります。 - 不調を「気のせい」と片づけない勇気も必要
体が発するサインを「多分、問題ないだろう」と無視し続ければ、重大な病気の発見が遅れるリスクもあります。
主観的な健康感は大切ですが、自分の身体の声を聞いて、必要な場合には医療の力を借りることも必要です。
今日からできる!たった3分で自己肯定感を上げる6つの習慣
「自分は健康だ」と感じられることは、健康寿命を延ばすための大切な要素です。
でも、どうすればその“健康感”を高めることができるのでしょうか?
実は、ちょっとした習慣や考え方の工夫で主観的健康評価を上げることができます。
ここでは、誰でも今日から実践できる方法を6つご紹介します。
1. 小さな運動を「できた」と自覚する習慣をつくる
今すぐできる3分アクション:「健康貯金ノート」を作ろう
- スマホのメモアプリを開いて「今日の健康アクション」というメモを作成
- 今すぐ以下のどれかを実行して記録:
- その場で30秒足踏み →「✓ 30秒足踏み完了!心拍数up」
- 深呼吸を5回 →「✓ 深呼吸5回で酸素チャージ」
- 肩回し10回 →「✓ 肩こり予防の肩回し達成」
- ポイント: 「できた」という達成感を言葉で記録することが重要。
GarminやHuaweiなどのスマートウォッチを使えば、運動を自動的に記録し、管理してくれるので楽ですね。
記録をみると、『今日もできた!』と気分が晴れて、前向きになれます。
2. 健康に関する「ポジティブな自己評価」を可視化する
今すぐできる3分アクション:「今日の健康発見」タイム
- 今この瞬間の体の状態をチェック
- 次の質問に答えて、良い点を3つ見つける:
- 「痛みのない部分はどこ?」→「腕が軽やか」
- 「昨日より良い点は?」→「よく眠れた」
- 「普通にできていることは?」→「呼吸が楽」
- 見つけたことを、スマホのメモなどに書き出す
3. 身だしなみや外見を整える
今すぐできる3分アクション:「3分間セルフケア」ルーティン
- 洗面所の鏡の前に立つ
- 身だしなみを整える: 髪、洗顔、服装、姿勢
- 鏡の自分に向かって「今日もいい感じ!」と微笑む
- 効果: 外見が整うことで「自分をケアできている」実感が生まれる。
私は男性高齢者ですが、外出する際、シミ隠しにコンシーラーをときどき付け、気分を上げています。
小さな外見ケアでも健康感を高められます:記事👉『敏感肌でも安心! 目にしみないBBクリーム&コンシーラー|涙が出る悩みに』
4. 社会とのつながりを持つ(小さくてもOK)
今すぐできる3分アクション:「つながり1アクション」チャレンジ 以下から1つ選んで実行:
- デジタル編:
- 家族や友人に「元気です」のLINEを送る
- SNSで誰かの投稿に心からの「いいね」を3つ
- 古い友人の近況をSNSでチェックして、心の中でエールを送る
- リアル編:
- 近所の人に会ったら「こんにちは」と挨拶
- コンビニ店員さんに「ありがとうございます」を心を込めて
- 電話で家族の声を聞く(「元気?」の一言でOK)
5. 一人の時間を楽しむ
今すぐできる3分アクション:「積極的孤独」ミニ体験
- 静かな場所で、以下から1つ選んで集中:
- 創造系: 今日の出来事を3行で詩にしてみる
- 技術系: 新しいスマホ機能を1つ覚える
- 思考系: 「今年やってみたいこと」を3つ考える
- 感覚系: 目を閉じて周りの音に集中し、5つの音を識別
- 終了後、「一人の時間を有効活用できた」と自分を褒める
6. 健康診断の結果を前向きに受け止める
今すぐできる3分アクション:「健康データ ポジティブ変換」ワーク
健康診断書が手元にある場合:
- 結果用紙を見て、正常値の項目を赤ペンで○をつける
- 「私の○○(臓器名)は正常に働いている」と声に出す
- 要注意項目があっても「早めに気づけてラッキー」と書き込む
健康診断書がない場合:
- 今の体調で「普通にできていること」を5つ書き出す
- 例:「歩ける」「食べられる」「眠れる」「考えられる」「笑える」
- 各項目の横に「これは健康な証拠」と書く
- 「私の体は基本的な機能がしっかり働いている」と宣言
行うための工夫
【継続のための工夫】
- 毎日同じ時間に実行(朝起きた時、昼休み、寝る前など)
- スマホのアラームを活用(「健康アクションタイム」と名前をつける)
- 小さな成功を積み重ねる(完璧を求めず、1つでもできたら成功)
【効果を実感するために】
- 1週間後の変化をチェック:「健康だと思う度合い」を10点満点で評価
- 周りの人の反応を観察:表情や行動の変化に注目
- 体調の記録をつける:睡眠の質、活力レベルなどを簡単にメモ
おわりに
主観的健康感を高めるということは、単なる気分の問題ではなく、実際の健康維持や日常の行動に影響を与える重要なことです。
また、ただ健康感を高めるだけでなく、健康診断などの客観的な視点や予防的ケアと両立する形でこそ、真の効果を発揮します。
まずは「今日も少し運動した」「昨日よりよく眠れた」といった、ささやかな達成感からはじめてみませんか。





























