最近、小径車(タイヤのサイズが小さい自転車)の人気が高まっていますね。
特に、折りたたみ自転車はコンパクトさが重視されるので、ほとんどが小径車です。

もし、あなたがすでに小径車に乗っている場合、「タイヤをもっと太くして安定性を増したい」とか、「もっと早く走れるようにタイヤを細くしたい」と思ったことはありませんか?
けれども、例えば、同じ20インチのタイヤであっても、あなたの20インチの自転車に合わないこともあります… 不思議ですね?
また、そのタイヤに合うサイズのチューブがあったとしても、バルブの規格が合わないとか、バルブの長さが短すぎるという問題も起こり得ます。
結論から言うと、『小径車のタイヤ交換で失敗する大きな原因は「インチ表記」を信じてしまうこと』です。
タイヤもチューブも、ETRTO(リム径の数字)とバルブ規格・バルブ長を確認すれば、規格の沼から簡単に脱出できます。
これは我々ユーザーの知識がないのではなく、自転車業界の規格が乱立していてカオス状態であること、メーカーの販売店への情報提供が不十分なこと、そして規格をよく理解していない販売者がいることが原因です。
この記事では、小径車ユーザーが絶対に知っておくべきタイヤとチューブ選びのポイントを、分かりやすく整理してお伝えします。
目 次
私が経験した小径車のタイヤ・チューブ選び地獄
『中高年の自転車は頑張らないが正解!健康寿命を延ばす中強度の乗り方』という記事に書きましたが、私はのんびりと長時間自転車に乗りたいと思っています。
そのため、所有している折りたたみの小径車が、ペダルの漕ぎだしの際に少しふらついたり、ハンドル切ったときにクイックな挙動をしたりするのを減らしたいと思っていました。
『太いタイヤに交換すれば安定性が増すらしい』という話を聞いていたので、いつかタイヤ交換をしようと思っていました。
そんな矢先、事件が起きました!
時速20km近くで走っていたとき、次の写真のように、排水溝のふたの隙間に細いタイヤがすっぽりはまり込み、ガシン!と体が吹っ飛ぶそうになったほどの衝撃を受けたのです。

まったく危険性がないように見えていた道路なので、突然のことに心臓が止まるかと思いました。
幸い、チューブのパンクだけで済み、リム(タイヤをはめる、車輪の輪っか部分)やディスクブレーキは無事でしたが、この一件で細いタイヤがすっかり怖くなり、「これはもう太いタイヤに換えるしかない」と決心しました。
ところが、ここから規格の沼にはまり始めました。
20インチのタイヤを探しているのに、なぜか406と451という謎の数字が出てきて、互換性がないらしい…
さらにタイヤに合うチューブを選ぼうとすると、今度はバルブの規格が違う、私の自転車の深めのリムにはバルブ長が足りないという事態まで発生。
正直、「これは素人には無理では…」と思うほどの混乱ぶりでした。
でも、なんとか以前の太さ28mmから、今度は37mmの太いタイヤに交換でき、溝にもはまらなくなって一安心!(次の写真)

(タイヤの幅は37mm)
また、当初の目的である直進安定性が高まり、クッション性が上がったことで乗り心地も良くなりました。
小径車のタイヤ規格はなぜ混乱する?(406・451・349など複数規格)
ロードバイクのタイヤ交換は何度も経験していたので、「タイヤやチューブ選びなんて簡単だ」と思い込んでいたのですが、小径車の世界ではその認識が完全に間違っていたことに気づかされました。
最初にぶつかった壁が 「同じ20インチのタイヤなのに規格が2種類ある」 という事実です。
406と451という数字を見ても意味が分かりません。
調べて分かったのですが、小径車の世界では規格が複数あるのが普通なようです。
こんなことになってしまっている理由は、歴史的にまったく別の文化圏で発展した規格が、そのまま残ってしまったからです。
20インチに406と451がある理由|用途が異なる2つの規格
20インチという呼び方は同じでも、実際にはリム径がまったく違う2つの規格が存在します。
- 406規格 → BMX、折りたたみ自転車、子供車で普及 → 太めのタイヤが主流で、衝撃に強い
- 451規格 → ミニベロ、スポーツ小径車で採用 → 細めでスピード重視
つまり、同じ「20インチ」でも、451規格の方が車輪の直径が45mmも大きいため、タイヤ・チューブの互換性は一切ありません。
14インチ・16インチの小径車にも複数のタイヤ規格がある
混乱しているのは20インチだけではありません。
- 16インチ → 305 と 349(ブロンプトン)
- 18インチ → 355(Birdyなど)
- 14インチ → 254 / 288 / 305 など
このように、小径車のインチ表記は『インチ=リム径ではない』ため、インチの数字だけを信じると簡単にタイヤ選びの沼にはまってしまいます。
ETRTO規格の登場後もインチ表記が残り、カオスはそのまま
昔の自転車はインチ表記が主流でしたが、 国やメーカーごとに独自の規格が乱立していました。
その後、国際規格として ETRTO(European Tyre and Rim Technical Organisation) が整備され、「リム径をミリ単位で統一しよう」という流れが生まれました。
ちなみに、ETRTOは「エトルト」と発音します。
しかし、既存のインチ表記はそのまま残り、『〇〇インチ』という名前が生き残ってしまった のです。
その結果、インチでの数字は同じだけど、中身は別物なので、互換性ゼロ という、ユーザー泣かせの状況が続いています。
ETRTOとは何か?小径車ユーザーが必ず見るべき数字
小径車のタイヤ規格がカオスである理由が分かったところで、次に必要なのは『ではどう選べばいいのか』という実践的な話です。
結論から言うと、タイヤ選びで最も大切なのは インチ表記ではなく、ETRTO です。
これさえ押さえれば、規格の迷路に迷い込むことはありません。
ETRTOはインチ表記より100倍信頼できる『真の規格』
ETRTOは上記のように、タイヤとリムの互換性をミリ単位で統一したものです。
タイヤの側面に、次のようなETRTOでの数字が書かれていることがあります: 37‑451、28‑406、32‑355…
(残念ながら、ETRTO表記が無いタイヤは普通に存在します。特に完成車付属の無名タイヤは刻印なしが多いです。)
この数字が、タイヤ選びの絶対基準になります。
- 前半の数字 → タイヤの幅(mm)
- 後半の数字 → リム径(mm)=互換性の核心
つまり、
タイヤの後半の数字(451 / 406 / 355 / 349 など)がリムのETRTOと一致していれば装着可能
ということです。
なお、リムにもETRTOの刻印があることがありますが、タイヤ同様、ETRTO表記が無いリムは普通に存在します。

このタイヤやリムに書かれている 451 や 406 が、タイヤ選びの絶対条件 になります。
- 現在のタイヤ・リムが 451 → 新しいタイヤも 451 を選ぶ
- 現在のタイヤ・リムが 406 → 新しいタイヤも 406 を選ぶ
なお、無名タイヤやリムの場合は、自転車専門店に相談した方が良いと思います。
タイヤの太さはETRTOの前半の数字で決まる
ETRTOのリム径の数字が一致していれば、太さは自由に選べます。
タイヤの太さは、ETRTOの前半の数字で決まります。
- 23‑451 → 幅23mm
- 28‑451 → 幅28mm(20インチ × 1 1/8)
- 37‑451 → 幅37mm(20インチ × 1 3/8)
例えば、タイヤを太くしたいなら、前半の数字が大きいものを選ぶだけです。
注意: タイヤを太くすると、フレームやフォーク、ブレーキ(特にVブレーキ)、泥除けに干渉する可能性があるため、クリアランスの確認は必須です。
タイヤの選び方のまとめ:3ステップで迷わない
- 今のタイヤやリムのETRTOを確認する
→ 側面をチェック
(ETRTOの記名が無いタイヤやリムの場合は、自転車専門店に相談した方が良いと思います) - ETRTOの後半の数字(406、451など)と一致している新しいタイヤを選ぶ
- 太さはETRTOの前半の数字を好みで選ぶ
→ 例:太くしたいなら数字を大きくする
(クリアランスは大丈夫か、必ず確認する)
これだけで、素人でもプロと同じようにタイヤを選べます。
小径車のチューブ選びは要注意|バルブ規格とバルブ長の落とし穴
タイヤ選びはETRTOを見れば迷わなくなりますが、実はチューブ選びにはETRTO以外にも注意点があるという現実があります。
その代表例がチューブのバルブ規格とバルブ長問題です。
チューブもETRTOで選ぶのが基本
まず大前提として、チューブもタイヤと同じく ETRTOで選ぶ 必要があります。
- タイヤが 37‑451 なら
- チューブも 451用(32〜40‑451など) を選ぶ
ここまではタイヤ選びと同じで、比較的分かりやすい部分です。
しかし、小径車のチューブ選びには、次のように他にも重要なポイントがあります。
バルブ規格も間違えないようにする
チューブ選びではサイズばかりに目が行きがちですが、実はバルブ規格(仏式・米式・英式)も同じくらい重要です。
というのも、バルブは「空気を入れる穴」であると同時に、ホイール側の仕様と密接に結びついた規格だからです。
ホイールの穴径が規格ごとに違う
仏式(Presta)、米式(Schrader)、英式(Dunlop)は、見た目だけでなくバルブの太さが異なります。

そのため、ホイールのリム穴は特定の規格に合わせて作られており、合わないバルブを無理に通すと次の問題が起きます。
- バルブ根元が擦れて破損しやすくなる
- 無理に通すとリム穴が変形し、ホイール自体を傷める
- そもそも通らず、装着できない
つまり、サイズが合っていても、バルブ規格が違えば物理的に取り付けられないことがあるわけです。
空気入れ(ポンプ)も規格に依存する
バルブ規格が違うと、使えるポンプも変わります。
仏式専用のポンプに米式は刺さらないし、英式はアダプターが必要になる場合もあります。
出先で空気を入れたいときに「規格が違って入れられない」というのは、初心者が最も困るトラブルのひとつです。
小径車で『バルブ長』も重要になる理由
バルブ規格の確認に加えて、バルブ長もチェックが必要です。
小径車にはホイール径が小さいにもかかわらず、 スポーツ車と同じようにディープリムが使われているものも少なくありません。
ディープリムというのは、タイヤがはめられている『ふち』(リム)の背の高いホイールのことで、空力効果などの機能だけでなく、見た目もカッコいいので、好きな人が多いと思います。
30mm、40mm、50mmといった深さのリムが普通に存在します。

ところが、市販されている20インチ用チューブには バルブ長40mm以下のものが少なくありません。
この長さでは、ディープリムの場合、バルブがリム穴からほとんど出てこないのです。
私もまさにこれで失敗しました。
451用チューブを買ったのに、バルブが短すぎてポンプを装着できず、空気が入れられないという事態に陥りました。
これはETRO規格の問題ではなく、バルブ長を確認していなかったことが原因です。
必要なバルブ長の目安
小径車 × ディープリムでは、バルブ長は次のように選ぶと安全です。
| リムの深さ | 必要なバルブ長の目安 |
|---|---|
| 20〜25mm(浅い) | 30~40mm でも可 |
| 30〜35mm | 48mm が安全 |
| 40〜50mm | 60mm 必須 |
| 50mm以上 | 80mm も検討 |
迷ったら「長いほう」を選ぶ
長すぎて困ることはほぼありません。
短いと空気が入れられず、チューブが無駄になります。
チューブの選び方のまとめ:4ステップで迷わない
- タイヤのETRTOに合うチューブを選ぶ → 451なら451
- チューブが対応できるタイヤ幅のレンジが合っているか確認する → 1 1/8~1 3/8 など
- バルブ規格(仏式・米式・英式)を確認する
- リムの深さに合うバルブ長を選ぶ → 特にディープリムの場合、重要
まとめ ― ETRTOとバルブ規格、バルブ長を確認
ここまで、小径車のタイヤ規格がなぜ複雑なのか、そしてどう選べば迷わないのかを整理してきました。
実際に自分でタイヤ交換をしてみると、ロードバイクとはまったく違う、独特の落とし穴があることに気づきます。
しかし、安心してください。
小径車のタイヤ交換は、次の 2つのポイント さえ押さえておけば、もう迷うことはありません。
① タイヤもチューブも「ETRTO」で選ぶ
- インチ表記は名称にすぎない
- 互換性を判断できるのは ETRTO(後半の数字 = リム径)だけ
- リムのETRTOとタイヤのETRTOを一致させる
- タイヤを太くする場合は、クリアランスもOKか確認する
- チューブも同じETRTOを選ぶ
これだけで、あのややこしい規格の沼から脱出できるはずです。
② チューブの『バルブ長』と『バルブ規格』の確認も忘れずに
- 小径車にはディープリムのものも存在する
- バルブは「空気を入れる穴」であると同時に、ホイール側の仕様と密接に結びついた規格
- 40mm以下のバルブでは届かないことがある
- 48mm、60mmなど長めを選ぶと失敗しない
- 迷ったら長いほうを選ぶのが正解
この2ポイントを押さえれば、タイヤ交換が難しい作業ではなく、自転車を自分好みに育てる楽しい作業に変わりますよ。
小径車のタイヤ・チューブはなぜ買いにくいのか
ここまで、タイヤを交換する場合の、タイヤとチューブの規格や長さ(ETRTOとバルブ長、バルブ規格)の選び方を説明しました。
次はそのスペックに合うタイヤやチューブを購入すれば良いわけですが、実はこれが意外と簡単ではなく、私は四苦八苦しました。
というのも、Amazonや楽天で販売されている20インチタイヤを見ると、ETRTOでの数字が書かれていない商品の方が多いからです。
また、やっと商品説明の中にETRTOの情報があるものを見つけても、チューブの長さが自分の自転車のリムには短すぎる、仏式バルブのものが欲しいのに英式しかないなど、自分の条件に当てはまる商品を探し出すのに、本当に時間を使ってしまいました。
さんざん調べた結果、分かったのは、私が欲しかった37-451のタイヤと、それに合う仏式バルブでバルブ長が48mm以上のチューブというものはごく限られた商品しかネットで販売されていないということでした。
そこで、451規格のタイヤとチューブを探している人の時間節約のために、451規格であることが明確なタイヤとチューブを次に紹介したいと思います。
サクラチェッカーの評価も付けたので、選ぶときの参考にしてください。
サクラチェッカーというのは、Amazonの商品レビューが「信頼できるかどうか」を自動で判定してくれる無料のウェブサービスです。
レビューの不自然な傾向や販売元の情報を分析し、サクラ度をスコア化して表示します。
ネット通販で失敗したくないときに、手軽にリスクを見極める助けになるツールです。
おすすめの451タイヤ一覧(用途別)
451規格は細めのスポーツ寄りが多いですが、太め(37‑451)も含めて幅広くまとめました。
スピード重視(タイヤ幅 28mm)
1. シュワルベワン TUBEタイプ(28-451)
サクラチェッカーの評価 4.39/5.0
- オールラウンド性能(走行性と快適性のバランス)
- ADDIXコンパウンド × RaceGuard による耐パンク性
- ミニベロで“軽快に速く走りたい人”向け
2. Panaracer Minits Lite(28‑451)
サクラチェッカーの評価 4.39/5.0
- 軽量で転がりが軽い
- ミニベロロードの定番
- 乗り心地よりスピード優先の人向け
3. IRC ROADLITE for MINIVELO (28‑451)
- グリップと軽さのバランスが良い
- 街乗り〜スポーツ走行まで対応
街乗り・安定性重視(タイヤ幅 37mm)
4. TIOGA FastR X(37‑451 / 1 3/8)
サクラチェッカーの評価 4.39/5.0
- スリックで転がりが軽い
- 37mm幅で安定性が高い
- 街乗り・通勤に最適
5. MAXXIS Detonator(37‑451)
サクラチェッカーの評価 4.19/5.0
- しなやかで乗り心地が良い
- ウェットでも安定
- 451で太めを探している人の定番
バルブ長別:451用チューブ一覧(仏式)
小径車 × ディープリムでは バルブ長が最重要 なので、長さ別に整理しました。
バルブ長 40mm(浅いリム向け)
1. SCHWALBE(シュワルベ) 20×11/8(451)用チューブ 仏式 40㎜バルブ
サクラチェッカーの評価 4.19/5.0
- 高い気密性と耐久性を持つブチルチューブ
シュワルベのチューブは気密性が高く、空気抜けが少ないため、日常使いからスポーツ走行まで安定した性能を発揮します。 - 伸びが良く、幅広いサイズに対応
高品質ラバーを使用しており、サイズの許容範囲が広いのが特徴。
451規格の1-1/8だけでなく、1-3/8など複数サイズに対応します。
→ リム深さが25〜30mm位でギリギリだと思いますので浅いリム用
バルブ長 48mm(最も使いやすい)
451 × ディープリムの“標準”と言える長さ。
2. R’AIR 軽量チューブ W/O 20×7/8~1-1/8 仏式バルブ 48mm
サクラチェッカーの評価 3.99/5.0
- 軽量でしなやか
- ETRTO 23/28-451に対応
3. ギザプロダクツ(GIZA PRODUCTS) 仏式チューブ 20×1.3/8 48mm
- ETRTO 37‑451で、451ホイール専用に設計
- コストパフォーマンスが高く、日常使いに最適
→ リム深さ30〜35mmに最適
バルブ長 60mm(深いリム向け)
4. ギザ CST 60mm (451)
サクラチェッカーの評価 4.49/5.0
- 50mm級のディープリムでも安心
- ETRTO 28-451
5. YunSCM 20 1 3/8 チューブ 仏式バルブ60mm
サクラチェッカーの評価 2.8/5.0
- ETRTO 37‑451
- コスパが良い
おわりに
小径車のタイヤ交換は、一見すると複雑な「規格の迷路」のようです。
しかし、今回ご紹介した「ETRTO」という共通言語さえ理解してしまえば、もう迷うことはありません。
私自身、排水溝でのヒヤリとした経験から、より太いタイヤに履き替えましたが、今では漕ぎ出しのふらつきも消え、路面状況を気にせずのんびりとサイクリングを楽しめるようになりました。
タイヤ一つで、自転車の安心感が高まり、精神衛生にも良いです。
この記事が、あなたの愛車を「より安全で、より自分好み」の一台に育てるきっかけになれば幸いです。
もしサイズ選びに迷ったら、まずは今のタイヤやリムの側面を覗き込んで、魔法の数字「ETRTO」を探してみてくださいね。





























最近、小径の電動アシスト自転車が人気のようですが、つぎの表の例のように、同じ20インチでもタイヤの規格が異なっています。
ヤマハの例のように、同じメーカーでも異なる規格の20インチ車を販売していることもあります。