健康診断で『BMIは正常』という結果だったけれど、鏡に映る自分のお腹を見て、少しモヤっとしたことはありませんか?
健康診断で血液検査に異常がなくても、お腹の脂肪(内臓脂肪)がじわじわと増えていることがあります。
内臓脂肪が多い人ほど、心臓病や脳卒中などのリスクが高まり、健康寿命が短くなってしまう恐れがあることが分かっています。
内臓脂肪は、皮下脂肪と違い、血中に有害物質(悪玉ホルモンなど)を放出しやすく、これがそれらの病気のリスク を高めるからです。
その「隠れたリスク」をより簡単に見つけられる新しい指標として、腹囲身長比(Waist-to-Height Ratio:WHtR)が最近、注目されているので、紹介したいと思います。
目 次
BMIの限界 |「身長と体重」だけでは見えない危険
BMI(Body Mass Index)はボディマス指数と呼ばれ、体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数で、国際的な指標として用いられています。
BMIは次の式で計算されます。
BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m)²
たとえば、身長170cmで体重68kgなら、
68 ÷ (1.7)² = 23.5 で標準範囲(18.5〜25)です。
(参考:健康長寿ネット 『医学的に理想の体重とは』)
健康診断で「BMIは正常ですね」と言われて安心しても、BMIは筋肉と脂肪の区別ができず、内臓脂肪の蓄積状態を反映しにくいという弱点があります。
そのために、次のような限界があります:
- アスリートの人が「筋肉が多いので体重が重いからBMIは高いけど、気にしなくていいよね」と思ってしまう
(参考:スポーツ栄養Web 『男子投擲選手の約半数がメタボリックシンドローム BMI・脂肪率・血圧などと相関、引退後を見据えた栄養指導の必要性』) - 見た目は細いのに、内臓脂肪が溜まっている「隠れ肥満(スキニーファット)」であることがわからない
- 「シニアになっても若い頃の体重と変わらないが、筋肉が落ちてお腹が出てきた」という人の内臓脂肪リスクがわからない

最近では体脂肪率を測る健診も増えていますが、まだ実施していない職場も多く、「BMIが正常=安心」と思いがちです。
新常識「腹囲身長比(WHtR)」とは?
WHtRというのは「Waist-to-Height Ratio」の略です。
これは、メタボリックシンドロームなどのリスクを評価するための指標で、腹囲を身長で割るだけの簡単な計算で分かります。
WHtR = 腹囲(cm) ÷ 身長(cm)
たとえば、腹囲が85cmで身長が170cmなら、
85 ÷ 170 = 0.50 になります。

腹囲を測ることで、心臓病リスクと関係が深い内臓脂肪(中心性肥満)をより直接的に把握できます。
BMIよりも「どこに脂肪がついているか」を反映する点が、この指標の強みです。
また、WHtRは男女差の影響を受けにくく、女性にも使いやすい指標です。
健康診断での血液検査で中性脂肪を調べるため、間接的に、内臓脂肪がどれだけ溜まっているか、ある程度わかります。
ただし、その数値が悪化してからでは、すでに脂肪の影響が出始めている段階です。
腹囲身長比(WHtR)は血液検査の結果が悪くなる前に、脂肪の蓄積傾向を知ることができる指標として注目されています。
また、メジャー1本で測れるシンプルな数値なので、日常の健康チェックにも使いやすいのが良いですね。
日本人16万人を13年間追跡! WHtRがBMIより正確と判明
日本人約16万人を13年間追跡した大規模研究では、BMI・腹囲・WHtRなどの体格指標と心血管疾患リスクの関連を比較しました。
(出典 Ichikawa T. et al. (2025). 『Anthropometric Indices for Predicting Incident Cardiovascular Disease: A 13-Year Follow-Up Study in a Japanese Population.』)
結果、WHtR(腹囲身長比)やBRI(Body Roundness Index)が、男性・女性ともに、BMIよりも心血管疾患のリスクを予測する精度が高いことが示されました。
BRIは、WHtRと同様に近年、世界的にも注目されるようになっています。
これは、アメリカの研究者たちが提案した「体の丸み(roundness)」を数学的に数値化した新しい指標です。
BMIが「体重と身長」だけを使うのに対し、BRIは身長と腹囲(ウエスト)をもとに、体がどれくらい球体に近い形かを計算します。
つまり、お腹の出っ張り具合(内臓脂肪の量)をより反映する指標ですね。
近年の研究では、BRIがBMIよりも心臓病や糖尿病のリスクと強く関連しているという報告もあり、WHtR(腹囲身長比)と並んで「次世代の体格指標」として注目されています。
「最適カットオフ値」というのは、健康リスクが高まるかどうかを判断するための“境界ライン”のことですが、WHtRの最適カットオフ値は0.494(ほぼ0.5)とされています。
つまり、WHtRが0.494以上になると、心臓病などのリスクが高まる傾向があることが分かりました。
この値は、欧米で推奨されている「WHtRは0.5未満が望ましい」という基準とほぼ一致しており、 「ウエストは身長の半分以下」というシンプルな目安が、この研究で科学的に裏付けられています。
なお、イギリスの公衆衛生機関は、健康維持のために「ウエストを身長の半分未満に保つこと」を推奨し、BMIの限界を補完する指標として公式に位置づけています。
(参照:英国国立医療技術評価機構 ガイドライン 『肥満:特定、評価、管理』)
今すぐできる!自分のリスクをチェック
測り方はとてもシンプルです。
- メジャーを用意し、おへその高さで腹囲を測る。
- その数値を身長(cm)で割る。
例:腹囲85cm ÷ 身長170cm = 0.50
なお、測るのは、ファッションでいうウエスト(腰の最もくびれて細い部分)ではありません。
そうしたくなるのは分かりますが(笑)。
そうではなく、次の図のように、おへその高さでの腹囲です。
お腹を凹ませたり膨らませたりせず、息を吐いた自然な状態で測定しましょう。

測定する時間は、食事や水分の影響を受けにくい朝、起床後がおすすめです。
特に、排尿後、朝食前が理想的です。
判定は次の表のようにシンプルです。
| WHtR値 | 判定 | 備考 |
|---|---|---|
| 0.50未満 | 低リスク | 健康的な範囲とされています |
| 0.5以上0.6未満 | 要注意 | メタボリックシンドロームのリスクが高まり始める範囲。 生活習慣の見直しが推奨されます |
| 0.6以上 | 高リスク | メタボリックシンドロームや心血管疾患のリスクが高い状態。 医療機関での相談が推奨されます |
「BMIは正常なのに、お腹が少し出ている」という方は、一度この数値を試してみてください。
あなたのWHtR値はどうですか?
例えば、身長170cmの場合 ⇒ ウエスト85cm未満、身長160cmの場合 ⇒ ウエスト80cm未満、が目安です。
腹囲身長比(WHtR)を下げる4つの行動
WHtRを下げる行動は内臓脂肪を減らすためなので、生活習慣病の一般的な予防策と同じです。

- 食事を見直す
内臓脂肪を減らすには、まず「糖質」と「脂質」の摂りすぎを防ぐこと。
白ごはん・パン・甘い飲料を控え、代わりに魚・野菜・食物繊維を多めに。
オリーブオイルやナッツ類もおすすめです。 - 無理のない運動を続ける
脂肪燃焼には有酸素運動が効果的です。- サイクリング:1回30〜60分、週3回
- ウォーキング:1日8,000歩程度
- 軽い筋トレ(スクワットやプランク)で代謝維持
- 睡眠・ストレス管理
睡眠不足や慢性ストレスは脂肪蓄積を促進するため、生活リズムの安定も重要です。 - 定期的に測って「見える化」する
腹囲とWHtRを週に一度測り、数値を記録。
変化が見えるとモチベーションも上がります。
「無理せず、少しずつ0.5未満を目指す」ことが大切です。
- 『【WHO推奨】健康寿命を延ばす運動量とは?中強度の有酸素運動で無理なく実践』
WHO(世界保健機関)は1週間に150~300分の中強度の有酸素運動を勧めていることなどを紹介しています。 - 『たった週3回のサイクリングで血糖値が改善? 3つの研究で証明された効果とは』
血糖値の改善にはお腹の脂肪を減らすことが有効ですが、サイクリングの効果を示す研究を紹介しています。 - 『根性は不要!脳科学で判明した『自転車』がダイエット継続に最強である理由』
サイクリングで摂取カロリーを減らすだけでなく、有酸素運動をすると脂肪を燃焼させるのに効果的です。
自転車でダイエットを成功させるためのヒントを紹介しています。
まとめ:「ウエストは身長の半分以下」を目安にしよう
BMIは便利な指標ですが、それだけでは健康リスクを完全に把握できません。
これからは、「腹囲÷身長(WHtR)」にも注目してみましょう。
合言葉は「ウエストは身長の半分以下」。
誰でもメジャー1本で測れるこの数値が、健康診断の結果を“もっと活かす”きっかけになるかもしれません。
今日、メジャーを手に取って測ってみませんか?






























ウエスト単独も有効ですが、身長の個人差を補正できるため、WHtRの方が汎用性が高い という見解が広く支持されています 。
まずはWHtRをチェックしましょう。