【長距離・軽量】水素アシスト自転車の仕組み・電アシとの違い・未来予測

電動アシスト自転車はもうすっかりおなじみの存在になりましたが、その『次の進化系』として現れてきた「水素アシスト自転車」。

朝の通勤路、隣の人が乗ってる自転車、実は『水素』で走っている!という日もそう遠くないかもしれません。

実際、トヨタ紡織は試乗できる水素アシスト自転車をイベントで公開し、地域の行政機関などと連携して実証実験も始めています。

画像の引用元:トヨタ紡織『THE水素祭2025

また、大阪万博では中国企業の日本支社であるYOUON JAPANの水素アシスト自転車が会場スタッフの移動の足として使われました。

水素アシスト自転車は『軽さ・長距離・補給の速さ』で今の電動アシスト自転車の弱点をほぼ克服する次世代モデル、ただし普及にはインフラなどの課題も残ります。

ハイブリッドカーとして1997年に発売された初代プリウスは高価で、バッテリーや寿命への不安もあり、「環境マニア向け」とも言われましたが、今では、燃費・コスト面でも優れた選択肢として主流になっています。

「水素アシスト自転車」も将来、通勤・通学風景で普通に見かける日が近いうちに来るかも?

私たちの便利な足になるのかどうか、調べてみました。

水素アシスト自転車って、水素エンジンなの?

『水素アシスト自転車』という名前を聞くと、「水素で直接動く自転車?」「水素エンジンを搭載した自転車?」と想像する人もいるかもしれません。

水素アシスト自転車の将来を考える前に、まず、これはどういうモノなのかという基本を紹介したいと思います。

結論から言うと、水素アシスト自転車も『電動』アシスト自転車です

正確には燃料電池式電動アシスト自転車(FCアシスト自転車)という名前ですが、次のように、電気を作る燃料が『水素』なので、便宜上こう呼ばれています。

  • 電気の作り方:水素と酸素を燃料電池で化学反応させて電気を生成
  • 使用時:生成した電気でモーターを動かしてペダリングをアシスト
  • 補給方法:水素ステーションでの補充、または家庭用水素生成装置での生成
    (下図の左側が水素生成貯蔵エネルギーシステムの例です)
画像の引用元:PRTIMES 『YOUON JAPAN、水素アシスト自転車と水素生成機が2025年大阪・関西万博会場に導入

つまり、水素アシスト自転車において、水素は:

直接的な動力源ではありません

電気を作るための燃料です

電気を作る方法が違う電動アシスト自転車』として理解するのが正しいということですね。

水素アシスト自転車は、電動アシスト自転車と比べて何がすごい?

まだ一般の街で見かけることはほとんどありませんが、その技術は想像以上に実用的で、電動アシストの弱点をまとめて克服しているとも言われています。

では、具体的に何が優れているのでしょうか?
分かりやすくポイントを紹介します。

  • 車体が軽く軽快に走れる
    燃料電池で発電する仕組みのため、バッテリーのような重量物を積む必要がありません。
  • 補給は数十秒。充電待ちゼロの圧倒的な便利さ
    水素カートリッジを交換するだけで補給完了し、所要時間は数十秒〜数分です。
  • アシスト出力が最後まで落ちない(発電しながら走る安心感)
    走行中に燃料電池が常に発電するため、アシスト出力が最後まで安定しています。
  • 寒さや暑さに強く、一年中性能が安定
    燃料電池は温度変化の影響が少ないため、真冬でも真夏でも性能が安定します。
  • 走行時の排出物が水だけ
    環境負荷が非常に小さいです。
  • バッテリーのようにすぐ寿命が来ない
    水素アシストの水素カートリッジ(ボンベ)は劣化しづらく、安全規制に基づき10〜15年程度で交換が必要になる可能性が高いです。

以上を電動アシスト自転車との対比で要約したのが次の表です:

項目電動アシスト自転車水素アシスト自転車
エネルギー源リチウムイオンバッテリー水素カートリッジ+燃料電池
補給方法3〜5時間の充電が必要カートリッジ交換で数十秒〜数分
車体重量バッテリーが重くなりがちバッテリー不要で軽量化しやすい
アシスト出力バッテリー残量が減ると弱くなる発電しながら走るため最後まで安定
走行距離バッテリー容量に依存燃料電池で長距離走行がしやすい
温度耐性冬に弱い・夏の高温で劣化温度変化に強く性能が安定
環境負荷バッテリー製造・廃棄で負荷あり排出物は水のみ。環境負荷が極小
バッテリー/カートリッジの寿命3〜5年で劣化・交換費用が高いカートリッジは劣化しづらく、長期利用可能
コスト構造バッテリー交換が大きな負担長期所有でコスト安定・交換頻度少

水素アシスト自転車の普及をはばむ要因

水素アシスト自転車には、次のように、その普及を阻んでいる壁もあります。

  • インフラ不足(=水素ステーションがほとんどない)
    • 水素の充填インフラが整っていないため、ユーザーが自宅や街中で気軽に水素を補給できません。
    • 日本国内にある水素ステーションは、自動車向けが中心で、その数も限られています。
    • 自転車用水素カートリッジの『交換ステーション』や『自動販売機』のようなものも、現時点ではほぼ存在していません。
  • 製品価格・コストが高い
    • 水素燃料電池や水素吸蔵合金ボンベなどの部品が高価。
    • 現在は実証段階のため、大量生産がされておらず、スケールメリットによるコストダウンが進んでいません。
    • 水素の供給コストもまだ高い(最近、よく耳にする再エネ由来の『グリーン水素』は特に割高)。
  • 法制度や認可の課題
    • 水素は可燃性ガスであるため、法的な規制や安全基準が厳しい。
  • 一般消費者の認知度と心理的ハードル
    • 「水素=危ない」「爆発しそう」といった誤解が一部にあり、心理的な抵抗感が大きい
    • 燃料電池自体がまだ一般家庭に馴染みの薄い技術であり、使い勝手やサポートに関する不安も持たれがち。
  • メンテナンスやサポート体制が未整備
    • 電動アシスト自転車と違って、街の自転車店で簡単に修理できるわけではありません。
    • 専門技術を持つ業者や整備士が少なく、アフターサービス面での不安が普及の障壁になっています。

このように、超えるべきハードルはたくさんありますが、現在の電動アシスト自転車に対する優位性のポテンシャルを考えると、それでも水素に期待したくなりますね。

水素アシスト自転車のターゲットユーザーは誰?

先程、紹介しましたポテンシャルが現実のものとなれば、以下のようなユーザー層にとって現実的な選択肢になっていく可能性があります。

配達・警備などの業務ユーザー

一日100km以上を移動するような業務用自転車では、長時間の稼働や頻繁な再充電がネックになります。

水素アシスト自転車なら、短時間での燃料補給が可能で、しかも出力が安定しているため、バッテリーが劣化していく心配も少なく、長時間の連続使用に向いています。

シェアサイクルやレンタル事業者

都市部や観光地で広がるシェアサイクルでは、『回転率の高さ』と『運用の効率性』が重要です。

水素カートリッジの交換が数十秒で済むようになれば、今よりも管理がしやすく、充電切れによるサービス中断も防げます。

環境意識の高い企業・自治体・個人

『脱炭素』や『再生可能エネルギー』の活用を掲げる自治体や企業にとって、水素アシスト自転車はイメージアップにもつながるアイテムです。

特にグリーン水素と組み合わせれば、CO₂排出ゼロも夢ではありません。

テクノロジー志向のアーリーアダプター

新しいものが好きな人にとって、水素で走る自転車は非常に魅力的。

実用性だけでなく、話題性や未来感を求める層にとっては、最先端のモビリティとして注目される存在になるでしょう。

災害時やインフラ停止時の移動手段を確保したい人

災害時には停電や通信障害が起こることもあります。

そんなとき、発電しながら走れる水素アシスト自転車は、移動手段としても心強い存在になり得ますので、災害支援や自治体の備蓄用車両としても注目され始めています。

長距離を走るサイクリスト

まだあまり語られていませんが、筆者が注目しているのが『長距離を走るサイクリスト』です。

今の電動アシスト自転車でも、エコモードで200km以上も走れるモデルがありますが、これはあくまで理想条件下での話。

体重が重い人や、アップダウンが多いルートを走る場合、実際の航続距離は100km以下に落ちることも珍しくありません。

水素アシスト自転車は、燃料電池の出力が高まれば、坂道やロングライドでも安定したアシストが得られ、しかも水素カートリッジを携帯すれば、途中補給も短時間で済みます。

海外はすでに導入進行中

日本ではトヨタ紡織などが積極的に開発を進め、海外でもフランス・中国・スイスなど多くのメーカーが参入し始めています。

水素アシスト自転車は、『次世代e-bike』の座を狙う新市場だけに、参入している企業は数多くありますが、例えば、次のような企業があります。

【主な開発企業と特徴】

将来、どこのメーカーが水素自転車の覇権を握るのでしょうか?

短期(3〜5年)のスパンでは、勝つのは、完成度の高い水素カートリッジ規格を持つメーカーと言われています。

しかし、長期的なスパンでは、水素サプライチェーンを作れる企業、言い換えるとインフラ構築力とエコシステム形成力のある企業が勝者になると言われています。

トヨタ紡織はトヨタグループの一員であり、トヨタの水素インフラ構想と連動できる点は強みですね。

なんだか、私のようなただの自転車乗りでもワクワクドキドキします。

水素アシスト自転車普及へのロードマップ

私はもう高齢者と呼ばれる歳になり、あと何年、自転車に乗れるか分かりませんが、水素アシスト自転車が普及する頃まで自転車乗りでいたいです。

そこで、水素アシスト自転車普及へのロードマップを調べてみました。

もちろん、未来予想で確実ではありませんが、業界では次のフェーズが想定されているようです:

  • 2025〜2027年:実証実験フェーズ(今ここ)
    • 主に自治体・大学・観光地でテスト運用が進行
    • まだ『水素カートリッジ規格の統一』が未確定。
  • 2028〜2032年:初期普及期(限定エリアで普及)
    • 都市部や観光地で『水素ステーション付きサイクルポート』が登場
    • カートリッジ規格が数種類に整理される
  • 2033〜2037年:本格普及期(電動アシストと並ぶ選択肢に)
    • ここで一気に市場が拡大する可能性があります。
    • カートリッジ交換がコンビニ・ドラッグストアでも可能に
    • 価格が現在のミドルクラス電動アシスト並みに
  • 2038〜2042年:成熟期(一般の電動アシストを置き換える)
    • 水素アシストが“当たり前の選択肢”になります。
    • 水素カートリッジの全国流通網が完成
    • 長寿命・軽量・エコのメリットで、水素が主力に

令和の高齢者の体力は、平成初期よりも10歳、若いレベルと言われているので、私が更に高齢となっても趣味として乗れる気がします(笑)。
(参考記事:『高齢者の体力は10歳若返り! 令和の中高年向け健康寿命の延ばし方』)

水素アシスト自転車の軽量・充電不要という特性はシニアに非常に相性が良いので、最初の実用化を体験してみたいと思います。

まとめ

水素アシスト自転車は、正直、今すぐ買い替えるほどじゃないと思いますが、技術の進歩って面白いですよね!

水素アシスト自転車が、今の電動アシスト自転車に代わる現実的な選択肢になるためには、さまざまな課題を乗り越える必要があり、簡単ではなさそうです。

でも、それらを乗り越えられれば、水素アシスト自転車の特性を活かせるユーザー層はすでに明確に存在しているので、十分に『買い替えを検討する価値のある選択肢』となってくるでしょう。

ひょっとすると、今の電動アシスト自転車を置き換えるくらい将来、化けるかもしれません。

今後も、動向をウォッチしていきたいと思います。

付録:ちょっと深掘りコーナー

Q1. 水素ステーションの整備はこれからどうなる?

水素アシスト自転車が本格的に普及するには、『水素の補給インフラ』が欠かせませんよね。

経済産業省は、全国の水素ステーションを2030年までに約1,000か所にまで増やす方針を掲げています。

こうした整備には国からの補助金が活用されており、建設費だけでなく運用や保守、遠隔監視システムの導入なども支援対象になっています。

国だけでなく、各地の自治体も水素インフラの整備に積極的です。

  • 重点エリアを選定して優先的に整備
  • 都市計画と連携して水素ステーションを配置
  • 水素活用に関する地元企業との連携プロジェクトも拡大中
    たとえば、通勤・物流に水素車両を活用する地域や、観光地でのレンタル自転車導入などを想定した整備が進められています。

Q2. 『グリーン水素』『グレー水素』『ブルー水素』とは?

水素は、その製造方法によって“色分け”されることをご存じですか?

次の表のように、水素は作り方によって『環境負荷の大きさ』が大きく変わります。

水素アシスト自転車などの水素技術が“本当にエコ”になるかどうかは、グリーン水素がどれだけ広まるかにかかっています

色の名前製造方法CO₂排出量コスト普及状況
グリーン再エネ×電気分解なし高いまだ少ない
グレー化石燃料を使用多い安い現在の主流
ブルー化石燃料+CO₂回収・貯留少ない中程度一部で普及進行中

Q3. 水素は本当に危ない? 安全性に関する誤解

水素と聞くと、多くの人が「爆発しそう」「危険では?」といったイメージを持つかもしれません。

けれども、水素は非常に軽いため、漏れても空気中に一瞬で拡散しやすく、滞留しにくい性質があり、これはガソリンよりも危険性が低い理由のひとつです。

更に、次のように工夫で「安全に使えるエネルギー」へと進化しています。

【水素ボンベやカートリッジには多重の安全機構】
水素アシスト自転車で使われる水素カートリッジやタンクには、次のような安全装置を搭載:
過圧防止バルブ(PRV):内部圧力が高くなりすぎた際、自動で圧力を逃がして破裂を防止。
安全弁・逆止弁:逆流や外部からの衝撃による漏れを防ぐ構造。
耐衝撃・耐熱設計:万が一転倒しても破損しにくい堅牢な筐体。

【自動車でも実績ある技術が応用されている】
トヨタの「MIRAI」やホンダの「クラリティ」など、燃料電池車(FCV)に使われている水素関連技術がベースになっており、これらはすでに市販車として国内外で多数走行しています。
これまでに大きな事故が報告された例はきわめて少なく、実績と信頼性のあるテクノロジーです。

【法制度や監督も強化されている】
水素は高圧ガス保安法や消防法などの法律で厳しく管理されており、製造から運搬、貯蔵、使用までのすべての段階で法的な規制と監督が存在します

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