クロスバイクは、ママチャリやロードバイクのようなはっきりした個性が無いため、『中途半端な自転車』と言われることがあります。
しかし、実はこれが大きな強みなのです。
この記事では、ママチャリやロードバイクと比較しながら、クロスバイクの総合的な長所をなるべく客観的に評価してみたいと思います。
「通勤・通学用にクロスバイクを考えている方」や「ママチャリから乗り換えを検討している方」の参考になれば幸いです。
目 次
クロスバイクという「中途半端な自転車」
クロスバイクというと、一般的には「ロードバイクとマウンテンバイクの特徴を融合したスポーツバイク」という説明がされます。
しかし、このような一般的な説明と違い、太いタイヤを装備し、ママチャリ並みの安定性を追求した自転車や、通勤通学に便利なカゴや泥除けを取り付けられ、日常での実用性を重視した自転車もクロスバイクとして売られています。
メーカーによる呼び方も、クロスバイクだけでなく、シティバイク、シティサイクル、アーバンバイク、コンフォートクロスなど、様々な呼び名があります。
実態は、クロスバイクには明確な定義がありません。
「ママチャリ」「ロードバイク」「マウンテンバイク」「小径車」「折り畳み自転車」といったはっきりとした特徴のない自転車を総称してクロスバイクと呼んでいるようです。
このため、「中途半端な自転車」と言われることがあります。
しかし、この中途半端さは、実は大きな強みです。
ママチャリ vs. クロスバイク vs. ロードバイクのバトルロワイヤル
クロスバイクが総合的にみて優れているのかどうか、できるだけ客観的に評価してみました。
7つのポイントでの比較
クロスバイクをママチャリ、ロードバイクと比べてみたいと思います。
次の7つの比較ポイントに関して、どれが最適かを点数で評価してみました。
- 速度
- 走破性
- 価格
- メンテナンスのしやすさ
- カスタマイズの幅広さ
- 長距離サイクリングのしやすさ
- 駐輪場での安心感
配点は以下のとおりです:
3点:優れている
2点:普通
1点:いまいち

では、3者(車)のバトルロワイアル開始!
速度対決
自転車 | 得点 | 理由 |
---|---|---|
ママチャリ | 1点 | 平地での平均速度は時速約15kmと言われており、ゆっくりと走行。 坂道では重量があり、選べるギア数が少ないため、かなり遅くなりがち。 |
クロスバイク | 2点 | 平地での速度は一般的に時速15~25km(乗る人の体力やギア数による)。 坂道でもギア比を活用すれば安定して速度を維持できます。 |
ロードバイク | 3点 | 平地での速度は時速25~30km、上級者だと時速35kmと圧倒的な速さを誇る。 軽量で、しかもギア数が多いので坂道でも他を圧倒。 |
クロスバイクはロードバイクには及びませんが、日常的に使うには十分な速さが得られます。
走破性対決
自転車 | 得点 | 理由 |
---|---|---|
ママチャリ | 2点 | 太いタイヤとクッション性のある幅広いサドルで安定感があり、段差でも快適。 ただし、未舗装路では重さが原因で進みにくいことも。 |
クロスバイク | 3点 | 適度な衝撃吸収性がある比較的太めのタイヤを装着しているので、街乗りから 軽い未舗装路まで対応可能。 |
ロードバイク | 2点 | タイヤが細く、チューブに高圧の空気をパンパンに入れるので、 道路との接地面積が小さく、舗装路を疾走するのには最適。 しかし、砂利や溝に細いタイヤをとられるので、未舗装路の走行には向かない。 |
クロスバイクは、適度に細いタイヤと比較的軽量な車体で、舗装路や軽い未舗装路でもスムーズな走行ができます。
価格対決
自転車 | 得点 | 理由 |
---|---|---|
ママチャリ | 3点 | 2〜3万円程度で購入でき、コストパフォーマンスが非常に良い。 但し、有名メーカーのものは4~10万円くらいする。 |
クロスバイク | 2点 | 5〜10万円で質の良いものを購入可能。 価格は高めだが、その性能を考えれば納得できる。 |
ロードバイク | 1点 | エントリーモデルでも10万円以上、中級者だと20万円以上、 プロ仕様だと100万円以上もザラで、趣味として楽しむ人向け。 |
クロスバイクは価格と性能のバランスが抜群です。
メンテナンスのしやすさ対決
自転車 | 得点 | 理由 |
---|---|---|
ママチャリ | 3点 | シンプルな構造で、メンテナンスが簡単。 |
クロスバイク | 3点 | それほど繊細ではなく、初心者でも扱いやすい。 チェーンやタイヤ交換などが容易。 |
ロードバイク | 2点 | 高精度なギアやディスクブレーキのメンテナンスはやや手間がかかる。 部品が高価で金銭的に負担になることもある。 |
クロスバイクは、メンテナンスが比較的簡単で、特別な技術がなくても基本的な作業ができます
ロードバイクは、より高性能な部品を使っているため、細かな調整が必要となり、少し手間がかかります。
カスタマイズの幅広さ対決
自転車 | 得点 | 理由 |
---|---|---|
ママチャリ | 1点 | 荷台やカゴなどの簡単なカスタマイズが可能。 互換性が低いため、アフターマーケットパーツの選択肢は少ないことが多い。 |
クロスバイク | 3点 | タイヤやサドル、ハンドルバーなど、カスタマイズの幅が広い。 泥除け・荷台が標準装備されていないクロスバイクも少なくないが、 後付けできるアクセサリーパーツが豊富。 |
ロードバイク | 2点 | 軽量化や空気抵抗の最小化など、走行性能を最大化するために、 こだわりのカスタマイズが可能だが、高価になりがち。 例えば、ホイール交換による300~500gの軽量化で6~10万円かかる。 また、通勤通学や買い物などの日常的用途のカスタマイズには不向き。 |
クロスバイクは、タイヤやハンドルなどのパーツを交換することで、走行性能や快適性を大きく向上させることができます。
さらに、荷台やどろよけなどのパーツも豊富で、実用性を高くすることができます。
ロードバイクも軽量化などを追求できるものの、日常使いの便利さを加えるには不向きです。
長距離サイクリングのしやすさ対決
自転車 | 得点 | 理由 |
---|---|---|
ママチャリ | 1点 | 自転車が重く、前傾姿勢が取りづらく、ギア数も少ないため、 疲れやすいので長距離走行には不向き。 |
クロスバイク | 2点 | 比較的軽量でタイヤも細めで、適切な前傾ポジションを 取れるため、長距離でも快適に走れる。 |
ロードバイク | 3点 | 軽量でタイヤが細く、多くのギア数があり、前傾姿勢をとることにより、 長距離走行には最適。ただし、初心者には深い前傾姿勢は負担がやや大きい。 |
クロスバイクは、長距離サイクリングにも適しており、疲れにくいポジションで快適に走行できます。
ロードバイクは効率的に走行できるものの、前傾姿勢が初心者には負担になることがあります。
駐輪場での安心感対決
自転車 | 得点 | 理由 |
---|---|---|
ママチャリ | 3点 | 低価格で目立たないため、盗難リスクは比較的少ない。 |
クロスバイク | 2点 | 盗難リスクは中程度。スポーツバイク全般に盗難対策が必要。 |
ロードバイク | 1点 | 高額で非常に目立つため、盗難リスクが高い。 鍵をかけていても盗まれることが多い。 |
クロスバイクは、手ごろな価格であっても盗難リスクが存在します。
ロードバイクは高額で目立つため、特に注意が必要です。
総合評価:クロスバイクが最高!
以上の個々のポイントでの評価をまとめると次の表のようになります。
クロスバイクの合計点が最も高く、総合的にみてバランスが良い自転車だと言えると思います。
項目 | ママチャリ | クロスバイク | ロードバイク |
---|
速度 | ★☆☆(時速約15km) | ★★☆(時速18〜25km) | ★★★(時速25〜30km、上級者で35km) |
走破性 | ★★☆(安定性は高いが未舗装路に弱い) | ★★★(舗装路・軽い未舗装路OK) | ★★☆(舗装路特化、未舗装路に弱い) |
価格 | ★★★(2〜3万円程度で購入可能) | ★★☆(5〜10万円程度) | ★☆☆(10万円以上が一般的) |
メンテナンス | ★★★(構造がシンプルで手軽) | ★★★(初心者でも扱いやすい) | ★★☆(高性能部品が多く、調整が必要) |
カスタマイズ性 | ★☆☆(基本装備のみ、拡張性低め) | ★★★(タイヤやハンドルなど自由度が高い) | ★★☆(パーツ交換は可能だが実用性向上は難しい) |
長距離適性 | ★☆☆(重量があり、ギア数が少ないため疲れやすい) | ★★☆(軽量で快適な走行が可能) | ★★★(軽量かつ前傾姿勢で効率的な走行が可能) |
駐輪場での安心感 | ★★★(盗難リスク低め) | ★★☆(盗難リスク中程度) | ★☆☆(高額で目立つため盗難リスク大) |
総合評価 | 14点 | 17点(最もバランスが良い) | 14点 |
以上のように、クロスバイクは総合的にバランスが良い自転車です。
特に「日常的に使いたい」けど「週末サイクリングも楽しみたい」といったニーズには、最適な選択肢となります。
「クロスバイクは中途半端な自転車」という評価は、むしろクロスバイクの柔軟性を表すものとして、ポジティブに捉えるべきだと思います。
お勧めのクロスバイク(5万~10万円)
5万~10万円で良いクロスバイクを探してみました。
メーカーや販売店からお金をもらっている自転車のレビュー記事やランキング記事、YouTube動画は、バイアスがかかっているので、あまり参考になりません。
そこで、実績があるモデルでなお且つ、信頼性が高い口コミに基づいて次の3つを厳選しました。
ブリヂストン TB1
ブリヂストンのTB1は、通勤・通学に適した実用的なクロスバイクです。
オートライトや泥除け、サークル錠、長寿命でパンクに強いタイヤなどの便利な装備が標準搭載されています。
軽量アルミフレームと7段変速で快適な乗り心地を提供し、前後のブレーキシステムで安全性も確保しています。
パンク対策タイヤや耐久性の高いチェーンなど、メンテナンス性にも配慮されています。
スポーツバイクの性能とシティサイクルの実用性を兼ね備えた高コストパフォーマンスモデルです。
ユーザーからは軽快な走行性と充実した装備が高く評価されています。
- タイヤ:27×1-3/8WO スーパーチューブ 英式バルブ
- ブレーキ:ブリヂストンVブレーキ
- ギア:シマノ TOURNEY RD-TY300 7段
- 重量:15.3kg
価格:65,000円(税込)

楽天のサイクルベースあさひ店では、この記事を書いている時点では、57,200円で売られていますね。
GIANT ESCAPE R3
GIANTを代表するクロスバイク、ESCAPE Rシリーズのエントリーモデルです。
初心者向けに比較的アップライトな乗車姿勢を採用し、スポーツバイクビギナーでも安心して操作できる点が特徴です。
シマノ製のフロント3段×リア8段の24段変速システムを搭載し、市街地から軽めのオフロードまで幅広い路面に対応します。
太めの32Cタイヤとクッション性の高いサドルが路面の衝撃を緩和し、長時間の乗車でも疲れにくい設計になっています。
サイズはXXS~Mまでの4展開で、140cmから185cmの方までフィットするサイズバリエーションを備えています。
通勤・通学から週末のサイクリングまで多目的に活用できるバランスの良さが評価されています
- タイヤ:Kenda KWEST 700x32C
- ブレーキ:Tektro TK837AL
- ギア:Shimano EF500 24段変速
- 重量:11.1kg(Sサイズ)
価格:69,300円(税込)

ワイズロードのオンラインショップでは、69,300円。つまり定価で売られていますね。https://online.ysroad.co.jp/shop/g/g4711291132269
GIOS MISTRAL SHIMANO
価格:75,900円(税込)
GIOS(ジオス)の定番クロスバイクです。
GIOSは、イタリアの自転車メーカーで、デザインやカラーリングの評価が高い ことで知られています。
特に、ブランドを象徴する 「ジオスブルー」 のフレームは多くのファンに支持されています。
フロント3段×リア8段の24段変速は街乗りに最適で、坂道でも軽快な漕ぎ出しが可能です。
軽量なアルミフレームとシマノ製パーツを幅広く採用したクロスバイクです。
このことを考えると非常にコスパが良いと思います。
車体重量は約10.8kgと軽量で、700×28cタイヤにより舗装路での快適な走行を実現しています。
初めてのクロスバイクとしても人気があります。
- タイヤ:GIOSオリジナル 700×28C
- ブレーキ:SHIMANO BR-T4000
- ギア:SHIMANO 24段変速
- 重量:10.8kg
価格:75,900円(税込)

この記事を書いている時点では、楽天市場の「自転車のQBEI」で 68,310円+送料7,980円で売られていますね。
お勧めのクロスバイクの比較表
上記の3台を比較する表が以下です。
項目 | ブリヂストン TB1 | GIANT ESCAPE R3 | GIOS MISTRAL SHIMANO |
---|---|---|---|
価格 | 65,000円(税込) | 69,300円(税込) | 75,900円(税込) |
重量 | 15.3kg | 11.1kg(Sサイズ) | 10.8kg |
変速 | シマノ 7段変速 | シマノ 24段変速 | シマノ 24段変速 |
タイヤサイズ | 27×1-3/8WO | 700×32C | 700×28C |
ブレーキ | ブリヂストンVブレーキ | Tektro TK837AL | シマノ BR-T4000 |
特徴 | – 泥除け・オートライト・サークル錠付きで実用性◎ – 通勤・通学向け | – 軽量アルミフレームで初心者向け – 24段変速で幅広い用途に対応 | – シマノ製パーツを多用しコスパ◎ – 走行性能と軽量性のバランスが良い |
おすすめポイント | 買い物や通勤・通学に最適な装備が揃っている | 初めてのクロスバイクに最適で、スポーツ走行も楽しめる | 軽量かつ高品質パーツ採用で、よりスポーティな走りが可能 |
おわりに
クロスバイクは「中途半端」と言われがちですが、その中途半端さこそが最大の魅力です。
性能や機能の完璧さを追求しすぎると、融通が利かないものになってしまいがちです。
速度、快適性、価格、カスタマイズ性など、さまざまな要素を総合的にみると、バランスが取れているため、初心者から経験者まで幅広い人に適しています。
日常使いだけでなく、週末のサイクリングや軽い長距離旅行にも対応できる柔軟性は、他の自転車にはない大きなメリットです。
自転車選びはライフスタイルや用途によって異なりますが、クロスバイクの多様性はきっと多くの方にとって理想的な選択肢になるのではないでしょうか。