「1回の充電で1000km走れる電動アシスト自転車」と聞いたら、あなたはどう思いますか?
満充電1回で、東京から大阪までの約500kmを往復できる距離です。
ところが、この自転車には少し気になる数字があります。
エコモードなら1000kmなのに、ハイモードでは75km。
その差、なんと13倍以上です。
「1000kmも走れるなんてすごい技術だ!」と思う一方で、
「では、1000km走れることに一体どれほどの意味があるのだろう?」
という疑問も浮かんできます。
「FEREMO™(フェリモ)」は太陽誘電株式会社により開発され、実際の市販モデルにも搭載されるようになりました。
現在では、このFEREMOを搭載した武田産業の電動アシスト自転車「rafoot(ラフート)」や丸石サイクルの「リバイク ステルナ」、サイクルベースあさひの「evol GNU」などが販売されています。
(関連記事:スマートモビリティJP「航続距離1000km、充電の手間から解放してくれる電動アシスト自転車『ラフート』。その圧倒的航続距離のカラクリとは」)
この記事では、FEREMOの仕組みを確認するとともに、FEREMOが搭載された「rafoot(ラフート)」とブリヂストンの「TB1e」を比較しながら、「1000km走れる電動アシスト自転車は、本当に必要なのか?」を考えてみたいと思います。
電動アシスト自転車が「1回の充電で1000km」走れる理由
rafootは本当に1000km走れる?
FEREMOの回生システムを搭載した電動アシスト自転車のひとつが、武田産業の「rafoot(ラフート)」です。
一般的な電動アシスト自転車は、モーターで人のペダリングを助けるためにバッテリーの電力を使い、当然、走れば走るほどバッテリーの残量は減っていきます。
これに対してFEREMOは、ブレーキをかけたときやペダルを止めて惰性走行しているときなどに、前輪のモーターを発電機として利用します。
この回生システムによって、「rafoot(ラフート)」はエコモードで最大1000kmという驚異的な航続距離をうたっています。
1000kmと言えば、東京〜大阪間(約500km)を往復できる距離です!
また「rafoot(ラフート)」の特徴はFEREMOだけではありません。空気を入れる必要がなく、パンクの心配もないTannus製エアレスタイヤを採用しています。
つまり、「バッテリーの充電」と「タイヤの空気圧管理・パンク」という、電動アシスト自転車を日常的に使ううえで面倒になりやすい2つの問題を減らそうという商品です。
ここまでを見ると、かなり魅力的な電動アシスト自転車に思えます。
1000kmと75kmではなぜ13倍も違う?
ところが、航続距離を詳しく見ると、気になる数字が出てきます。
エコモードでは最大1000kmなのに、最もアシストの強いハイモードでは75kmなのです。
1000kmと75kmでは、実に13倍以上もの差があります。
なぜ、同じ自転車なのにこれほど航続距離が違うのか疑問です。
また、エコモードの1000kmという数字は、一般的な電動アシスト自転車の航続距離と同じ条件で測られたのでしょうか。
そして何より気になるのが、1000km走れるエコモードでは、実際にどの程度モーターが人間を助けてくれるのかという点です。
まずは、この「1000km」という数字がどのようにして実現されているのか、FEREMOの仕組みから見ていきましょう。
FEREMOはなぜ走りながら充電できる?回生の仕組みを解説
モーターを発電機として使う「回生」とは?
電動アシスト自転車のモーターは、電気を流すと車輪を回すことができる一方で、外からモーターを回してやれば、今度は電気を作ることができます。
これが「回生」です。
FEREMOでは、この性質を利用します。
たとえば下り坂を走っているとき、自転車には坂を下ろうとする力が働いています。
このとき前輪のモーターを発電機として働かせると、車輪の回転から電気を取り出すことができます。
その電気をバッテリーに戻すことで、使った電力の一部を再利用できるわけです。
太陽誘電によれば、FEREMOはブレーキをかけたときやペダルを止めたときなどの減速時に前輪のモーターで発電し、運動エネルギーを回収します。
次の図がそのイメージです。

下り坂では発電しながら減速できる
FEREMOの面白いところは、回生による発電が単なる充電機能だけではないことです。
モーターを発電機として回すので、回生が働いている間は自転車の速度を抑える方向に力が働きます。
太陽誘電も、下り坂での発電時にモーターが「エンジンブレーキのような役割」をすると説明しています。
つまり、下り坂で本来なら捨ててしまうエネルギーを電気として回収しながら、同時に速度も抑えられるというわけです。
回生してもエネルギーが無限に増えるわけではない
もちろん、回収できるエネルギーには限界があります。
上り坂で使った電力を、下り坂ですべて取り戻せるわけではありません。
発電・充電にもそれぞれ損失があるからです。
それでも、従来なら捨てていたエネルギーを少しでも回収できれば、1回の充電で走れる距離を伸ばすことができます。
「1000km」はどう測った?電動アシスト自転車の航続距離測定方法
ここまで読んで、「1回の充電で1000km」という数字に、少し疑問を持った方もいるかもしれません。
このような驚異的な航続距離を謳っていますが、この数字は、メーカーが独自に設定した特殊な条件によるものなのでしょうか。
JISの標準試験ではどんな条件で測る?
現在のJIS D 9115では、電動アシスト自転車の走行距離を測定する際、一定の走行パターンを使います。
代表的な条件は、
- 平坦路を1km、15km/h
- 4度の上り坂を1km、10km/h
- 平坦路を1km、15km/h
- 4度の下り坂を1km、20km/h
という4kmのパターンです。
これを繰り返し、バッテリーが駆動補助を終了するまでの走行距離を測定します。
測定環境も決められています。
温度は20±5℃、無風で、バッテリーは新品を使用し、乗員と荷物を合わせた車載重量は65kg。
路面は乾燥した平滑な路面で、シャーシダイナモという室内の試験装置を使って測定します。
FEREMOの1000kmという数字は、JIS D 9115:2018の測定パターンに基づいた結果です。
つまり、「1000km」という数字は、単純にメーカーが自由な条件で走らせて出した数字ではありません。
実際、パナソニックなどの主要メーカーもこの業界統一テスト条件を使って航続距離を表示しています。
カタログ航続距離と実走行距離が違う理由
ただし、実際の道路では、向かい風が吹くこともあります。
長い上り坂を走ることもあります。
信号で何度も停止・発進することもあります。
荷物をたくさん積むこともあるでしょう。
当然、体重が65kgを超えれば、標準条件とは異なります。
こうした条件では、カタログに表示された航続距離より実際の走行距離が短くなる可能性がありますが、これはFEREMOだけの問題ではありません。
どの電動アシスト自転車の「1充電あたり○km」という数字は、基本的にすべて同じような性格の目安です。
なぜ1000km走れる?「回生」だけではない航続距離の秘密
FEREMOの1000kmという数字がJISに基づいた測定結果であることは分かりましたが、次に気になるのが、「なぜFEREMOは1000kmも走れるのか?」ということです。
アシストを弱くすると航続距離は伸びる
電動アシスト自転車の航続距離は、モーターがどれだけ電力を使うかによって大きく変わります。
強いアシストを使えば、それだけバッテリーの電力を消費しますし、逆に、モーターが人間のペダリングを少しだけ補助するのであれば、電力消費は少なくなり、走行可能距離が延びます。
さらにFEREMOでは、減速時などに回生によって電力を回収します。
つまり、
電力消費を抑える
+
走行中に電力を回収する
この2つが組み合わさることで、長い航続距離が可能になります。
エコモードのアシスト力はどれくらい?
では、「rafoot(ラフート)」のエコモードは、実際にどの程度のアシストをしてくれるのでしょうか。
「rafoot(ラフート)」の商品情報では、モーターの定格出力は250Wとされています。
しかし、この「250W」という数字だけでは、エコモードでどの程度のアシストが得られるのかは分かりません。
知りたいのは、たとえば、
- エコモードではモーターが何W程度でアシストするのか
- 人間の力に対してモーターがどの程度の割合で補助するのか
- エコ・ノーマル・ハイで、どれくらいアシスト量が違うのか
- それぞれのモードで、どの程度の坂まで快適に上れるのか
といった情報です。
ところが、現時点で公開されている情報からは、こうした具体的な数値を確認することができません。
特に気になるのがトルクです。
電動アシスト自転車の坂道での力強さを考える場合、モーターの出力だけでなく、どれくらいのトルクを発生させられるのかが重要になります。
(関連記事:『電動アシスト自転車の坂道性能はここで決まる|失敗しない5つの選び方』)
ところが、FEREMOのモーターについて、最大トルクやモードごとのトルクが公表されているわけではありません。
実際にFEREMO搭載車に乗った人の動画や記事を見ると、色々な声があります。
たとえば、坂道でもアシストによって楽に走れた、という試乗レポートがあります。
ただ、それがエコモードでもそうなのかということは書かれていませんし、試乗会でのちょい乗りだけで、私が一番気になる、きつい坂が多いところではどうなのかも分かりませんでした。
逆に、「満充電で1000km走れる」というキャッチコピーは、アシストを極限まで弱めたほぼ人力で走るモードを前提としており、エコモードを日常的に使う人はいないのでは、というコメントをしている人もいます。
公開情報の少なさに加えて、まだ実走レビューの数が少なく、現時点では、
「1000km走れるのは、エコモードのアシストが極端に弱いからだ」
と断定できません。
これについては、さらなる情報公開や実走評価記事を待ちたいと思います。
1000kmの航続距離は本当に必要?自転車の利用実態から考える
ここまで、「1回の充電で1000km」という航続距離の仕組みや体験者の声をみてきました。
次に、少し視点を変えて、電動アシスト自転車にとって「航続距離が長いこと」に、どれほどの価値があるのかを考えてみます。
問題は、「1000kmという性能に、多くの一般ユーザーがどれだけの価値を感じるのか」ということです。
5km未満の利用が約8割というデータ
ここで参考になる興味深いデータがあります。
国土交通省の「自転車の活用推進に向けた有識者会議」の資料に、自転車の1回あたりの移動距離、いわゆる「トリップ長」の分布が掲載されています。
それによると、自転車の利用は5km未満の短距離が約8割を占めています。
一方、10km以上はわずか4%です。
もちろん、このデータは「電動アシスト自転車だけ」を対象にしたものではありません。
それでも、自転車利用の実態を考えるうえで、参考になる数字だと思います。
多くの人にとって、自転車は数十km、数百kmを連続して走るための乗り物というより、比較的短い距離の移動手段として使われていることが分かります。
100km走れれば何回充電せずに使える?
例えば、1回の利用距離が5km程度だとします。
1回の充電で100km走れる電動アシスト自転車なら、単純計算で、
100km ÷ 5km = 20回
走行してバッテリーがゼロになります。
実際には、坂道や向かい風、体重、気温、アシストモードなどによって航続距離は変わります。
それでも、100kmという航続距離があれば、短距離中心の利用ではかなり長い期間、充電なしで使えることが分かります。
このように、一般的な自転車利用者にとって、1回の充電で1000kmという性能が大きなメリットになるとは考えにくいです。
ロングライドでも1000kmは必要なのか?
では、休日などに長距離を走る人ならどうでしょう?
一般的な日帰りロングライドでも、1日150km前後なら帰宅後に充電できます。
宿泊ツーリングでも、宿泊先で充電できれば翌日に再び走れます。
したがって、ロングライド派にとっても「1000km連続走行」が必須とは言いにくいでしょう。
私自身の経験で言えば、藤沢市の自宅から朝出発し、熱海まで往復して日が暮れるまでに帰宅する120kmくらいがロングライドで走る目安です。
むしろ重要なのは、
「1日の走行距離を十分カバーできる航続距離があるか」
ということではないかと思います。
たとえば、最長150km程度のロングライドをする人にとっては、余裕も見て200km走行できる性能であれば、もう十分ということになります。
もちろん、充電できない環境で何日も走り続けるような特殊な用途なら、1000kmのような航続距離は大きなメリットになりますが、それは一般的なロングライドとは違った使い方でしょう。
1000kmの恩恵が大きいのはどんな人?
以上のことから、航続距離1000kmという性能に大きなメリットを感じるのは、一般ユーザーよりもレンタサイクルやシェアサイクルなど、充電作業回数を減らしたい事業者かもしれませんね。
実際、太陽誘電はFEREMOについて、シェアサイクルなどで充電頻度を減らせることをメリットとして挙げています。
また、FEREMOのSMART POWER機能では、平地でも自転車を漕いで発電できる「スマート発電モード」と、バッテリーの電力を自転車以外のデバイスなどにも給電可能にできる「USBアダプタ」の機能があります。
ラフートの小径モデル「rafoot mini」にはこのSMART POWER機能が搭載されています。
このため、災害時の停電のときのような非常事態にも備えたいという人にとっては魅力的に映るかもしれません。
「必要な性能」と「あると便利な性能」は違う
ここが、FEREMOを考えるうえで重要なポイントだと思います。
1000km走れること自体は、間違いなく高い技術力の証です。
しかし、
「なくては困る性能」
と、
「あれば便利な性能」
は同じではありません。
ここまでみたように、自転車の利用実態を見る限り、多くの一般ユーザーにとって1000kmという航続距離は、後者に近いのではないでしょうか。
むしろ電動アシスト自転車では、
- 坂道をどれだけ楽に上れるか
- 車体がどれだけ軽いか
- 価格がどれだけ手頃か
- 1回の充電で日常の用途を十分カバーできるか
- メンテナンスの手間が少ないか
といった点のほうが、購入後の満足度に直結する可能性があります。
rafoot(ラフート)とTB1eの比較で、電動アシスト選びの重点項目が見えてくる
では、この点を実際の商品で確かめてみましょう。
FEREMOを搭載した「rafoot(ラフート)」と、同じく回生による自動充電機能を持つブリヂストン「TB1e」を比較します。
航続距離だけでなく、価格、重量、アシストモード、メンテナンス性なども含めて比較することで、「1000km」の価値がどこまで大きいのかを考えてみたいと思います。
TB1eは、走行中にモーターを発電機として利用し、減速時などにバッテリーを充電する「走りながら自動充電」を採用しています。
つまり、「回生によって充電回数を減らす」という点では、「rafoot(ラフート)」と共通する部分があります。
では、具体的なスペックを比較してみましょう。
航続距離・重量・価格を比較
| rafoot(ラフート) | TB1e | |
| 回生機能 | FEREMO | 走りながら自動充電 |
| エコモード | 1000km | 200km |
| 標準的なモード | 150km | オート105km |
| 強アシスト | 75km | パワー62km |
| バッテリー | 36.3V×8.5Ah | 36.5V×9.9Ah |
| バッテリー容量 | 約309Wh | 約361Wh |
| モーター | 250W | 250W |
| 変速 | 内装3段 | 外装7段 |
| タイヤ | エアレスタイヤ | 空気入りタイヤ |
| 車体重量 | 約27.6kg | 約22.5kg |
※走行距離はメーカー公表の標準試験条件による数値です。実際の走行距離は使用条件によって変わります。
強アシストモードではrafootとTB1eの差は小さい
まず目を引くのは、もちろん航続距離です。
rafoot(ラフート)のエコモードは1000kmに対して、TB1eはエコモードで200kmです。
数字だけを比較すれば、rafoot(ラフート)は5倍で圧勝です。
しかし、ここまでの記事で見てきたように、1000kmという数字だけで優劣を決めることはできません。
むしろ興味深いのは、強いアシストを使った場合です。
rafoot(ラフート)のハイモードは75kmで、TB1eのパワーモードは62kmです。
つまり、強いアシストを使う場合の航続距離は、両者でそれほど大きな差がありません。
約5kgの重量差は意外に大きい
もうひとつ、大きな違いがあります。
それが車体重量です。
rafoot(ラフート)は約27.6kg、対してTB1eは約22.5kgです。
その差は約5kg。
電動アシスト自転車では、5kgの違いは決して小さくありません。
走行中はモーターがアシストしてくれるため、重量差をそれほど感じない場面もあるでしょう。
けれども、自転車を押して歩くとき、駐輪場から出し入れするとき、段差で自転車を持ち上げるときなどには、5kgの違いは効いてきます。
価格差に見合うメリットはある?
価格についても見てみましょう。
rafoot(ラフート)のメーカー希望小売価格は21万7,800円(税込)です。
一方、TB1eのメーカー希望小売価格は17万5,000円(税込)です。
この価格だけを比較すると、rafoot(ラフート)のほうが約4万3,000円高くなります。
ただし、実際の販売価格は店舗や時期によって異なります。
2026年9月現在で確認できる販売例では、rafoot(ラフート)が16万円台、TB1eが12万円台で販売されているケースもあります。
したがって、実売価格ベースでは価格差がさらに小さくなる場合もあります。
とはいえ、数万円の価格差があることには変わりません。
そこで重要になるのが、
「その価格差で何を得られるのか?」
ということですね。
エアレスタイヤにもメリットと注意点がある
rafoot(ラフート)の特徴は、FEREMOによる超長距離走行だけではありません。
そのひとつが、エアレスタイヤです。
空気入りタイヤのように定期的な空気圧管理が必要なく、パンクの心配もありません。
自転車に乗る人にとって、タイヤの空気圧チェックやパンク修理は意外と面倒な作業です。
特に「自転車は便利だけれど、タイヤのメンテナンスはできるだけしたくない」という人にとっては、エアレスタイヤは大きなメリットになるでしょう。
ただし、従前の空気入りチューブタイヤと比較すると、乗り心地は明確に硬くゴツゴツとした感触になります。
乗り心地の快適さや走りの軽快感を重視する人にとっては、最適なタイヤとは言い難いという面があります。
また、一般的にエアレスタイヤは空気による衝撃吸収がない分、スポークやリム、フレームへの負担が大きくなるので、この影響について確認しておきたいところです。
比較のまとめ
ここまで比較すると、かなり興味深いことが分かります。
- rafoot(ラフート)は、エコモードなら1000kmという圧倒的な航続距離を持っているが、強いアシストを使った場合の航続距離は75kmで、TB1eのパワーモード 62kmとの差はそれほど大きくない
- 車体重量はTB1eより約5kg重い
- 価格は販売条件によってはTB1eより数万円高くなる
- rafoot(ラフート)にはエアレスタイヤという特徴があり、パンクしないのでタイヤのメンテナンスが減るというメリットがあるが、普通の空気入りチューブタイヤと比べて乗り心地が劣る。
また、一般的なエアレスタイヤでは、空気入りタイヤとはホイールへの衝撃の伝わり方が異なるため、その影響について確認しておきたい。
つまり、「1000km走れるから」あるいは「エアレスタイヤだから」、rafoot(ラフート)のほうが圧倒的に優れているとは単純には言えません。
結論|1000kmより「100~200kmを快適に走れる」ことが重要
ここまでFEREMOの仕組みから、「1回の充電で最大1000km」という航続距離の意味、そして実際の市販車であるrafoot(ラフート)とTB1eの比較まで見てきました。
次に、FEREMOは「すごいけれど必要性は低い技術」なのか、それとも今後の電動アシスト自転車を変える可能性を持った技術なのかを考えてみたいと思います。
改めて整理すると、FEREMOには確かに驚くべきところがあります。
走行中の減速エネルギーを回収して発電し、それをバッテリーに戻す技術によってJISの標準条件では、エコモードで最大1000kmという航続距離を実現しています。
つまり、単なる宣伝文句ではなく、技術としては、非常に興味深く、将来性のあるシステムだと思います。
しかし一方で、ここまで見てきたように、一般的な自転車利用を考えると「1000km」という性能そのものが、多くのユーザーにとって必要不可欠とは言いにくいことも分かってきました。
FEREMOは「次の段階」に期待したい技術
電動アシスト自転車は、単にモーターの力で人間を助けるだけの乗り物ではなくなりつつあります。
走りながら発電する。
減速しながらエネルギーを回収する。
充電の頻度を減らす。
そして、メンテナンスの手間まで減らす。
FEREMOは、そうした「自転車そのものを、より効率的に使う」という方向を示している技術のひとつだと思います。
1000km走れることは確かにすごい。
でも、多くの人にとって本当に欲しいのは、
「1000km走れる自転車」ではなく、「100~200kmを気持ちよく走れる自転車」
だと思われます。
「100km~」というのは先に紹介した国土交通省の資料の「自転車の利用は5km未満の短距離が約8割を占めており、10km以上はわずか4%」というデータに基づいています。
100km走行できれば、多くの人にとってはバッテリー充電はそれほど頻繁に必要にならないので煩わしいとは感じにくいと思うからです。
また、「~200km」というのは、これも先に紹介したように、朝出発して暗くなる前に帰ってくるという通常のロングライドでは150km以下になることが多く、余裕をみて200kmもアシストしてくれる性能があれば、ほとんどの人は満足するのではと思うからです。
したがって、FEREMOがこれから、航続距離の記録を競う技術から、軽く、安く、快適な電動アシスト自転車を実現する技術へと進化していけば、その可能性はもっと大きくなるはずだと思います。
例えば、
- 急な坂道でも十分なアシスト力を確保する
- 車体を20kg前後まで軽くする
- 価格を抑える
- 下り坂での速度コントロールをより自然にして、ブレーキへの負担をより減らす
こうした方向にFEREMOの技術が生かされれば、より多くの自転車ユーザーにとって魅力的なシステムになるのではないでしょうか。
今回調べてみて感じたのは、FEREMOは「完成された答え」というより、これからの電動アシスト自転車の可能性を感じさせてくれる技術だということです。
今後、FEREMOとFEREMOを搭載した新しい自転車がどのような形で進化するのか。
それに、これからも注目していきたいと思います。































● 1000kmはJIS基準に基づいて測定したエコモードでの本物の数字
● ただしハイモードは75kmで13倍差がある
● 一般ユーザーには100〜200kmで十分
● 重量や坂道性能、価格など、一般ユーザーのニーズに応えるさらなる進化に期待したい