真夏31℃サイクリング|1000円氷結ベルトvs.3万円REON POCKET比較!34km実走で分かった驚きの結果

近年、日本では危険な暑さが急増し、それが常態化していますね。

40℃を超える日に対して「酷暑日」という新しい呼び名が、2026年4月に気象庁によって正式に導入されたほどです。

健康のために、ウォーキングやジョギング、サイクリングを続けている人が、夏になると外出を控え、運動不足に陥ってしまう―― そんな声をよく耳にします。
(関連記事:室内でできる健康長寿に良い運動については、『猛暑でも運動不足にならない!室内運動おすすめ10選|結局どれが一番?』という記事をご覧ください。)

ただ、「夏でもサイクリングをしたい!」という私のような人も多いと思います。

以前の記事では、夏のサイクリングに限って言えば、首筋に当てて体表面を冷やすソニーのREON POCKETは十分な効果を発揮しないことを紹介しました。
(参照記事:『REON POCKETは真夏のサイクリングで効果なし?実際に使って本音レビュー【購入前必読】』)

そこで、「他に夏のサイクリングを支えてくれる冷却グッズはないのか?」と考え、今回は、昔からある「氷結ベルト」を実際に試してみることにしました。

なお、今回の実走は冷却グッズの比較実験であり、WBGT(暑さ指数)が31(危険)という条件でのサイクリングを推奨するものではありません。

今回の34km実走比較で分かったこと
  • 平均心拍数:REON POCKET 120 → 氷結ベルト 111
  • 走行中の冷却感:氷結ベルトの方が明確
  • 暑熱による体への負荷が、氷結ベルトの方が明らかに低かった
  • ただし今回の比較は1回ずつなので、科学的な優劣を断定できるものではない
  • 冷却能力や特性に関する物理面では、真夏のサイクリングなら氷結ベルトが向く

【結論】真夏のサイクリング暑さ対策なら「氷結ベルト」の圧勝!

「1,000円の庶民派アナロググッズ(氷結ベルト)」が「3万円の大企業ハイテクメカ(REON POCKET)」に挑んだ結果はどうだったでしょう?

34kmの実走比較と物理面の評価で、真夏のサイクリングでは氷結ベルトの圧勝でした。

今回の比較結果では、私は氷結ベルトの方が走行中の冷却感と心拍数、走行後の疲れの程度の面で優れていると思います。

理由はシンプルな物理的理由です。

氷結ベルトは氷の融解熱で冷やしますが、REON POCKETはペルチェ素子で冷やします。

冷却能力は、氷結ベルトが8〜21W程度、REON POCKET PRO Plusが0.4〜2.6W程度と推定され、少なくとも3倍、条件によっては一桁以上の差になります。
(この推定の計算過程は、この記事の後の方で全部、公開しています)

また、価格は氷結ベルト2個セット※が1,980円です。
(※氷結ゲル1本の持続時間は40〜90分なので、真夏に2時間以上サイクリングするなら、氷結ゲルが合計で4本入った、この2個セットがお勧めです。)

一方、REON POCKETの最上位機種、PRO Plusは29,700円です。

※今回、実際に着用したのは私のPRO(Plus無し)ですが、本体・バッテリー・冷却性能は共通のため、上記、最新モデルのPRO Plusについても参考になると思います。ただし、PRO Plusの実走性能を直接検証したものではありません。

このように冷却力あたりのコストパフォーマンスも、氷結ベルトの圧勝です。

昔からある2,000円(2セット)の商品が、大企業の30,000円する先進機器に勝つというジャイアントキリング(下剋上)です!

さらに詳しく見ていくと、この差は、気温が上がるほど広がります。

なぜなら、真夏日以上の気温で暑いという一番冷やしてほしい場面で、REON POCKETはペルチェ式なので放熱条件が厳しくなりますが、氷結ベルトは最も強いままです。

その科学的な理由は後ほど説明します。

真夏34km実走レビュー!心拍数と運動負荷データで効果を徹底検証

検証条件:WBGT(暑さ指数)が31(危険)の日に同じコース・e-Bikeで比較

REON POCKET PROを装着した場合と氷結ベルトを装着した場合で心拍数がどう変わるかを調べてみました。

走る条件は次のようになるべく同じになるようにしました。

● ルート
市街地が3分の1、残りの3分の2が里山の全く同じルートで、総距離34km、獲得標高232m。

● 気候
気温、湿度、風速、WBGT(暑さ指数)ほぼ同じ日を選びました。

・1回目(REON POCKET PROを装着):7月30日10時~12時、気温32度、湿度64%、風速 1m/s、WBGT 31(危険)

・2回目(氷結ベルトを装着):8月8日10時~12時、気温32度、湿度65%、風速 2m/s、WBGT 31(危険)
※本当は、「REON POCKET PROを装着」と「氷結ベルトを装着」をそれぞれ数回行って、平均をとりたかったのですが、後で説明するように、「REON POCKET PROを装着」の場合、熱中症が心配になるような状態になったので、無理な検証は控えて、それぞれ1回しか行いませんでした。

● 服装
同じ服装。

● 走り方
・ YAMAHA WABASH RTというe-Bikeを使い、アシストモードは「エコモード」縛り
・ 40分おきに水分(ポカリスエット)摂取と小休憩
(『チープカシオで自転車の補給管理が激変!中高年も安心なハンガーノック予防法』の記事で紹介しましたように、ハンドルに付けたチープカシオのタイマーを使って簡単に時間管理ができました)

REON POCKET PROの運転モードは「5(最強)」
氷結ベルトは40分ごと※に予備の氷結ゲルと交換
※氷結ゲルが冷たくなくなってから交換したのではなく、まだ冷たさが若干残っている状態で、40分ごとに予備のゲルと交換しました。
予備のゲルはLOGOS保冷剤で冷やしていたのですが、この保冷剤の性能は非常に高く、2時間近く経ってもゲルはキンキンに冷えていました。

写真:氷結ゲルを入れて首に巻くベルトは柔らかい素材でベルクロで留める構造

重さは大丈夫?予備ゲル・保冷剤・保冷バッグを積んで走ったリアルな感覚

氷結ベルトには弱点があります。

持続時間は40〜90分なので真夏日以上の気温の日に1時間以上サイクリングするなら、予備が必要になります。

では、その予備一式は実際どれくらいの重さになるのか。今回、実際に使う構成で実測しました。

【氷結ゲル予備 3個を保冷剤で冷やしながら携行する場合の構成】

下記一式を自転車に積んで持ち運びました。

  • LOGOS保冷剤(Sサイズ 15cm×10cm×2cm)× 2枚:氷結ゲルを両側から挟んで保冷する用途
  • 氷結ゲル予備 × 3個:氷結ベルト本体に入れ替える用
  • 保冷バッグ(DEAN & DELUCA クーラーバッグ Sサイズ)
写真:DEAN & DELUCA クーラーバッグに入れたもの

重量

品目重量
LOGOS保冷剤 Sサイズ × 2枚1324g(1枚 662g)
氷結ゲル予備 × 3個495g(1個 165g)
DEAN & DELUCA クーラーバッグ S102g
合計1921g
写真:予備用氷結ゲル 3個を保冷剤とともに保冷バッグに入れたところ

この1921gという重量は、電動アシストが無い普通の自転車でもあまり問題にならないと思います。

もちろん、電動アシスト自転車の場合は、まったく気にならない重量増でした。

つまり、氷結ベルト運用は「重装備」ではなく、誰でも気軽に取り入れられる対策です。

写真:リアバッグに保冷バッグを積んだところ

私が使っているリアバッグは次のもので、これに先程紹介した保冷バッグを入れると、横幅はぴったりで、縦方向は余裕があります。

データ比較:平均心拍数120(REON)vs. 111(氷結ベルト)の明確な差

運動強度

● 1回目(REON POCKET PRO):中強度 66 分、高強度 65 分

● 2回目(氷結ベルト):中強度 98 分、高強度35分

1回目のREON POCKET PRO装着時の方が、高強度の時間が明らかに長く、運動負荷が高かったことが分かります。

1回目の後、天気の条件がほぼ同じになった日を待って2回目を行いました。
体調も同じで、前日の疲れが残っていたというようなことはなく、REON POCKETと氷結ベルトの差が出たと推測されます。

5kmごとのラップ・データの推移

次の表が、私がスマートウォッチ(Garmin Venu3 )で測った、5kmごとの心拍数、ケイデンス、速度データです。

さきほどのように、1回目はREON POCKET PROを装着し、2回目は氷結ベルトを付けました。

  平均心拍数最大心拍数平均ケイデンス最高ケイデンス平均移動速度最高スピード
ラップ距離(km)1回目2回目1回目2回目1回目2回目1回目2回目1回目2回目1回目2回目
1599951151146665848517.21727.123.9
251121091281226968958418.318.33834.3
351191111341287371928619.21930.629.8
451231111411277169918818.218.432.233.2
5512211013913569678910517.317.537.833.4
651271191431346869919118.918.63938.5
74.11351251461387271899119.819.128.425.5
概要34.112011114613870699510518.418.338.038.5

ケイデンス(1分間にペダルを回す回数)やスピードは1回目と2回目であまり変わらず、走り方はほぼ同じです。
平均心拍数は1回目のREON POCKETを付けていたときは120、2回目の氷結ベルトを付けたときは111と差がでました。
天気や体調もほぼ同じなので、REON POCKETと氷結ベルトの差がでたのかなと思います。

走行中のひんやり感

● 1回目(REON POCKET PRO):一番ひんやり効果を感じたのが信号待ちや休憩などで止まっている時で、中強度以上の運動強度での走行中は「あれっ、付けてる?」と思う位、涼しさや冷たさはほとんど感じられませんでした。

REON POCKETのキャッチコピーは「着るクーラー」ですが、私は局所的にひんやり感を作り出す「着る熱さまシート」と言う方が、より実感にぴったりだと思います。

● 2回目(氷結ベルト):走行中もずっと首回りを氷で冷やしているという感覚があり、気持ちが良かったです。
REON POCKET PROとの違いは歴然としていました。
これは冷却の仕組みの違いに起因するため、再現性は高いと考えられます。

走った後の体調

● 1回目(REON POCKET PRO):帰宅して、クーラーの効いた部屋で安静にしていましたが、1時間くらい心拍数が100前後で、なかなか下がりませんでした。

気分的には不調はなく、ただ心拍数が下がらないという状況で不安を感じました。

どうやら、暑熱による体への負荷が残っていたようです。

水分は40分おきに摂っていたので多分、脱水ではないと思いますが、体温がまだ高い状態で、皮膚への血流を増やして熱を逃がそうとするため、心拍数がしばらく下がらなかったのだと思います。

やはりWBGT(暑さ指数)が危険となっている日は、本当に危険ですね。

● 2回目(氷結ベルト):1回目のことがあったので、帰宅して心拍数の変化に注目しましたが、10分で心拍数が70以下に下がりました。

疲れもあまりなく、後で6000歩の室内ウォーキングも行いました。

ここで紹介した、氷結ベルトとREON POCKETとの実走比較はそれぞれたった一回であり、天気や体調、走行コースの交通状況の複雑な条件の絡み合いも考えると、科学的には信頼できる結論とは言えません。

そこで、それぞれの冷却の原理や冷却能力などの面からも次のように比較してみました。

なぜ暑いほどペルチェ素子より氷が有利なのか?科学的に5項目で比較

まずは主要な指標を一覧にまとめました。

項目氷結ベルト(氷)REON POCKET PRO Plus
冷却方式氷の融解熱ペルチェ素子(デュアル)
冷却能力8〜21W程度※10.4〜2.6W程度※1
持続時間40〜90分(高い気温では短縮)給電すれば無制限
冷却の当たり方帯状に首をぐるっと包む(首回り最大50cm対応)本体の冷却面を首筋に密着させる
価格1,000〜1,500円29,700円

※1 ソニーはREON POCKETシリーズの冷却能力(何Wの熱を奪えるか)を公表していません。
氷結ベルトについても、メーカーは「何W」という数値を出していません。
そこで本記事では、両方とも公表されているスペック(バッテリー容量・駆動時間・氷の融解熱など)と物理法則に基づいて筆者が試算しました。
あくまで理論上の推定値であり、使用環境や個体差によって実際の値は変動します。
推定方法の詳しい説明は、次の折りたたんだセクション『冷却能力はどう推定したか?』をご覧ください。
※細かい話なので物理的な計算ロジックに興味があるマニアックな方だけ開いてご覧ください

前述の通り、REON POCKETの冷却能力も氷結ベルトの冷却能力も、メーカーの公表値ではありません。

ただ、次の計算法で推定する限り、REON POCKETの冷却能力は氷結ベルトの数分の一どころか、条件によっては一桁以上小さいという結果になりました。

ここでは、なぜこの計算方法を選んだのか、なぜ他の方法を採らなかったのかも含めて公開します。
前提が違うと思う方は、ぜひご自身で計算し直してみてください。

氷結ベルトの冷却能力(8〜21W)の根拠

氷(氷結ゲル)の冷却は、氷が水に変わるときに周囲から熱を奪う「融解熱」を利用しています。

水の融解熱は334 J/g(1gの氷を溶かすのに334ジュールの熱が必要)という物理定数です。

今回使用した氷結ゲル1個の重量は実測で165g(うち、氷相当分をおよそ130〜150gと仮定※)。持続時間はメーカー公称で40〜90分(2,400〜5,400秒)です。

※ゲルには保水ポリマーなど氷以外の成分も含まれるため、165g全量が氷の融解熱と同じ挙動をするわけではありません。ここでは目安として130〜150gを「実質的な氷相当量」と仮定しています。

計算式:冷却能力(W) = 氷相当量(g) × 334(J/g) ÷ 持続時間(秒)

  • 短時間側(40分・150g換算):150 × 334 ÷ 2,400 ≈ 20.9W
  • 長時間側(90分・130g換算):130 × 334 ÷ 5,400 ≈ 8.0W

→ 約8〜21W。

REON POCKETの冷却能力(0.4〜2.6W)の根拠

REON POCKETはペルチェ素子(熱電素子)で肌側の熱を吸い上げ、反対側から外気に捨てる方式です。

ここで、「40mm角のペルチェ素子」というサイズ情報から推定する方法も検討しましたが、採用しませんでした。
理由は、素子単体のカタログスペック(Qmax=最大吸熱量50〜60W級)は、15V・6A(約90W)というかなり大きな電流を流した理論上の最大値だからです。

もしREON POCKETが本当にこの領域で動作しているなら、90W前後の入力電力が必要になり、公式スペックにあるバッテリー容量(3,000mAh、約11.1Wh)では、最強モードでもわずか7分程度(= 11.1Wh ÷ 90W x 60分)しか持たない計算になってしまいます。
しかし実際の公表スペックは「レベル5で約5.5時間」です。つまり、素子のカタログ値をそのまま使うと、メーカー公表のバッテリー持続時間と大きく矛盾します。
「器」のスペックだけを見ると大きな数字が出ますが、この小さなバッテリーでは、その器を十分に使うだけの電力を物理的に供給できません。

そのため、より制約の強い「バッテリー容量から実際の消費電力を逆算する方法」を採用しました。

計算式:平均消費電力(W) = バッテリー容量(Wh) ÷ 最強モード駆動時間(h)

  • バッテリー容量:3,000mAh × 3.7V(リチウムイオン電池の公称電圧)= 11.1Wh
  • 最強モード(レベル5)駆動時間:5.5時間
  • 平均消費電力 = 11.1 ÷ 5.5 ≈ 2.0W

この2.0Wは、ペルチェ素子だけでなく放熱ファンや制御基板も含めた本体全体の消費電力です。
ペルチェ素子への配分を、公式が「新開発の放熱ファン」を明記している点を踏まえて、やや積極的に85%と仮定すると、ペルチェへの入力は約1.7W。

さらに、ペルチェ素子には「投入した電力の何倍の熱を移動できるか」を示すCOP(成績係数)という指標があります。体表面と外気の温度差が小さい好条件を想定し、積極的に1.5というやや高めの値を採用しても:

冷却能力 = 1.7W × 1.5 ≈ 2.6W

これが、物理的に無理のない範囲で最大限積極的に見積もった上限です。
逆に保守的な仮定(COP 0.3)では0.4Wまで下がります。

→ 約0.4〜2.6W。

2つの推定値の比較

氷結ベルトREON POCKET PRO Plus
推定冷却能力8〜21W0.4〜2.6W
倍率氷結ベルトの約3〜50倍(幅が広いのは両者の推定誤差による)

【物理の壁】外気温40℃でも「0℃」を保つ氷 vs. 外気温に左右されるペルチェ

冷却能力そのものは、氷結ベルトが桁違いに強いです。

氷は「溶ける温度」が外気に左右されない

氷結ベルトの冷却は氷(氷結ゲル)の融解熱を使っています。

氷が液体に変わる間、その界面温度はほぼ0℃前後に固定されます。

これは外がどれだけ暑くても変わりません。

40℃の酷暑日でも、氷結ベルトの表面は0℃近くを保ち続けます(もちろん溶け切るまでの時間は短くなりますが、冷却の「強さ」自体は落ちません)。

先に推定方法を紹介しましたが、冷却能力は8〜21W程度です。

ペルチェ素子は「外気に熱を捨てる」方式で、暑い程、効率が落ちる

REON POCKETはペルチェ素子で肌側から熱を吸い上げ、その熱を本体の反対側(放熱側)から外気に捨てています。

ここに弱点があり、外気温が高いほど、熱を捨てにくくなるのです。

実際、REON POCKET 6のユーザーレビューにも、この弱点がそのまま体感として報告されています。

気温が30℃を超えると涼しさが弱まる気がしたという声があり、これは外気温が高いほど放熱が難しくなるためで、どのREONシリーズにも共通する特性だとされています。

つまり、外気温が高くなるほど「涼しさが落ちる」というのは、個体差でも体感の問題でもなく、REON POCKET全シリーズに共通する物理的な宿命です。

ソニー自身も世代を重ねるごとに冷却面温度を下げる改良を続けていて、前の世代のモデルの冷却面温度が23.3℃であったのが、最新モデルでは19.5℃へ低下したとされ、これはメーカー自身がこの弱点を課題として認識し、改善を試み続けている証拠とも言えます。
(参照:ALPEX – おすすめ商品レビュー

ただし改良は「マシになる」方向であって、「外気温に依存する」という根本構造そのものは変わりません。

冷却能力は、先ほどの表のように、最上位機種「REON POCKET PRO Plus」で0.4〜2.6W程度と推定されます。

要約すると

  • REON POCKET:気温が上がるほど、冷却力そのものが下がる
  • 氷結ベルト:気温が上がっても、冷却力は変わらない(持続時間は短くなる)

真夏日以上の暑い日という「一番冷やしてほしい場面」で、REON POCKETは残念ながら性能が低下し、氷結ベルトは最も強いまま、という現象が起きます。

これが、気温が上がるほど両者の差が開く理由です。

筆者はREON POCKET PROと氷結ベルトのどちらも持っていますが、体感でもはっきり違うことを感じます。

一方、持続時間だけで見れば、REON側に分があります。
給電さえすれば理論上は無限に使えるからです。

ただし氷結ベルトも、先の実走比較のところで紹介しましたように、予備の氷結ゲルを複数本ローテーションすれば同じように長時間運用が可能です。

推定レベルでは冷却能力のコストパフォーマンスの差は歴然

冷却1Wあたりの価格で見ると、氷結ベルトはREON POCKET PRO Plusの少なくとも数十倍、条件によっては1,000倍以上安い計算になります。

もちろん、REON POCKETには目立たないデザイン、給電すればずっと使えるといった氷結ベルトにはない利点もあります。

しかし、氷結ベルトには、REON POCKETのような装着のズレやフードが外れるといった煩わしさはなく、多くの人が期待する「真夏での冷却力」という点に注目すると、この価格差は大きいです。

REON POCKETが活躍する4つのシーン

ここまで「真夏のサイクリング」という条件に絞ってREON POCKETを評価してきましたが、これはREON POCKETが全体的に劣っているという意味ではありません。

評価が変わる条件がはっきりしているので、それを整理しておきます。

① 気温25〜28℃前後の初夏・秋口ライド

先に紹介しました推定計算に出てきたペルチェ素子のCOP(成績係数)は、体表面と外気の温度差が小さいほど高くなります。

つまり、真夏の炎天下ではなく、初夏・梅雨・秋口など外気温が25〜28℃程度の場面では、REON POCKETの冷却効率はもっと高くなっている可能性があります

氷結ベルトは外気温に関係なく常に0℃近くで冷やす「一定出力」の道具ですが、REON POCKETは外気温が下がるほど本来の実力に近づく「条件付き高効率」の道具です。

今回の34kmの実走比較はWBGT(暑さ指数)が31(危険)という条件だったため、REON POCKETにとって不利な条件で戦わせたことになります。

気温がもう少し低い時期に同じ比較をすれば、差はここまで開かないはずです。

② 通勤・街乗り・ポタリングなど低強度の走行

今回の心拍数データ(平均心拍数120、高強度65分)は、それなりにしっかりと走ったライドの数値です。

運動強度が上がるほど体内での発熱量が増えるので、ペルチェ素子の冷却が追いつかなくなります。

逆に言えば、通勤や買い物、写真を撮りながらのんびり走るポタリングのような低強度の場面では、体からの発熱そのものが少ないので、REON POCKET程度の冷却出力でも十分に涼しさを感じられる可能性があります。

氷結ベルトのような強力な冷却は、そもそも必要としない場面です。

③ USB給電しながらの長距離ロングライド・旅行

氷結ベルトの弱点は「持続時間が40〜90分で、超えると交換が必要」な点でした。

予備の氷結ゲルを複数本携行する運用は今回検証した通り現実的ではありますが、荷物が増えるのは事実です。

一方REON POCKETは、給電さえできれば理論上は無制限に使えます。

最近のe-bikeにはUSBポート付きのモデルもあり、走行中にモバイルバッテリーやバイク本体から給電できれば、この「無制限」という強みを氷結ベルトの交換の手間なしに活かせます。

長距離のロングライドや、氷を確保する手段がない旅先・出張先でのサイクリングでは、この給電できる利点は無視できません。

④ ビジネスシーンや日常使いなど「見た目の目立たなさ」を重視する場合

氷結ベルトは首回りに帯状のものを巻く形状で、パッと見て「冷却グッズを使っている」と分かりやすいデザインです。

REON POCKETは服の下に隠せる設計になっており、ビジネスシーンや人目を気にする場面では、この「目立たなさ」がそのまま価値になります。

サイクリングであっても、通勤や街乗りでスーツやオフィスカジュアルのまま乗る人にとっては、この点は氷結ベルトにはない利点です。

まとめると

条件有利なデバイス
真夏・高強度・長時間のサイクリング氷結ベルト
気温が高くない時期のライド差が縮まる(REON POCKETも選択肢に)
通勤・ポタリングなど低強度REON POCKETでも十分な場合あり
給電環境が確保できる長距離ライドREON POCKET
見た目・装着感を重視する場面REON POCKET

つまり「REON POCKET vs. 氷結ベルト」は単純な優劣ではなく、「今日はどれくらい暑くて、どれくらい追い込むライドをするか、どういう環境で着用するか」で最適解が変わるという結論になります。

今回の記事の実走比較が氷結ベルトに有利な結果になったのは、真夏日・運動強度がやや高いという条件を選んだからだという点は、公平のため明記しておきます。

まとめ:夏の自転車ライドは「氷結ベルト×電動アシスト(e-Bike)」がお勧め

真夏日以上の暑い日のサイクリングでは、氷結ベルトがREON POCKETより物理的に優れています。

ペルチェ式は外気温が高いほど冷却力が落ちますが、氷は外気温に関係なく、溶けている間は0℃近くを保ち続けます。

価格も氷結ベルトの方が圧倒的に安く、予備を持ち歩く重さも電動アシスト自転車でなくても、十分に実践できる運用です。

私の住む藤沢・湘南エリアは、夏場は江ノ島方面や海沿いを中心に直射日光を遮るものが少なく、体感的にも気温以上に厳しく感じる区間が多いです。

こうした場所を走るなら、氷結ゲルを3〜4本ローテーションしながら走る方が、REON POCKET一台に頼るよりずっと効果的だというのが、今回、比較検討して至った結論です。

なお、電動アシスト自転車を使うと、モーターがアシストしてくれるので坂道や向かい風での運動強度そのものが下がります。

運動強度が下がれば体内で発生する熱も減るので、電動アシストは間接的に熱中症のリスクを下げてくれます。

もちろん、真夏のサイクリングではこまめな水分・塩分補給や適切な休憩が欠かせません。

その上で、『首元を効率よく物理的に冷やす(氷結ベルト)』と『ペダリングの運動負荷を抑える(e-Bike)』を組み合わせることが、高気温下の走行で体温上昇や心拍数の急増を抑え、快適に走り切るための非常に有効なアプローチになります。

また、REON POCKETが不要というわけではありません。

通勤や軽い運動など、REONが本来想定している使い方であれば、給電すれば無限に使える手軽さは今でも魅力です。

ただし「WBGTが危険レベル以上になるような暑い日のサイクリング」という一点に絞るなら、今回の検討結果は明確に氷結ベルトに軍配が上がります。

前回のREON POCKETレビューで感じた「もっと夏に強い選択肢はないか」という疑問には、ひとつ、答えが出せたと思います。

まだ、水冷ベストはどうなのかについても気になっており、もし試した際にはその結果もお知らせしたいと思います。

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