サイクリング補給食に高いジェルは不要?羊羹・おにぎりで賢く節約

サイクリングにパワーバーやパワージェルを持参していますか?

ある調査では、サイクリング中、パンやおにぎり、お菓子よりも、スポーツ専用補給食やゼリー飲料を食べる人の方が多かったそうです。
(参照:FUNRiDE 『ライドの途中でよく食べる補給食は何ですか?【WEEKLY FUNRiDEアンケートより】

「サイクリング 補給食」でネット検索してみても、上位に出てくるのは、パワーバー、エネルギージェル、アミノ酸ドリンクの粉末……。

メーカーや自転車ショップのサイト、アフィリエイト系のブログ、サイクリングYouTuberが、こぞってこれらの商品を紹介しています。

記事を読むと、専門用語も交えた説明で、いかにも「こういう商品でないと効果が出ない」というような印象を受けます。

こういう私も、実はそう思い込んでいた一人です。

私は以前、ロングライドに出るたびにジェル4本と粉末ドリンクを購入していました。

ある日レシートを見て驚きました。

補給食代だけで1回1,800円。

月4回走れば7,000円以上です。

これでは、体はハンガーノック(エネルギー切れ)にならなくても、お財布の方がハンガーノックになってしまいます。

で、ふと「これ、本当に必要なのだろうか?」と思いました。

よく調べてみると、あることが分かりました。

高額な補給食は、栄養成分が特別に優れているわけではない。
「運動中に素早く、手軽に摂取できるよう設計されている」のが、その本質だった。

つまり、摂れればいい栄養素は、安い食材でも十分まかなえるのです。

この記事では、補給食として本当に必要な栄養素は何かを整理した上で、羊羹やおにぎりといった身近な食材と専門補給食のコスパを比較します。

そして、賢く節約してサイクリングを楽しむためのヒントをご紹介します。

高いエナジージェルは必要?補給食の本当の役割

なぜ高くても売れる?スポーツ補給食の売り文句に惑わされない視点

スポーツ専用補給食の紹介記事には、「エネルギー吸収が速い」「筋肉の回復を助けるBCAAを配合」「浸透圧を調整した電解質バランス」といった、一見すると非常に科学的な説明が並んでいます。

読んでいると、「専門家がそこまで計算しているのなら、確かに効果が違うのかもしれない」という気持ちになってきます。

また、有名アスリートがコマーシャルに登場して推薦するので、「この選手のパフォーマンスの秘密の一つはこれか?」なんて妄想してしまいます(笑)。

しかし、少し立ち止まって考えてみましょう。

補給食に重要な栄養素はなんでしょうか?

一般的なサイクリングでは、補給食として特に重要なのは糖質・電解質・水分

補給食の主な役割を栄養素に分解すると、以下の3つに整理できます。

  • 糖質:運動中の主なエネルギー源
  • 電解質(ナトリウムなど):発汗で失われる塩分の補給
  • 水分:脱水防止

これらはすべて、身近な食材でも補給できます。

例えば羊羹はあんこ由来の糖質が豊富で吸収も速く、おにぎりは糖質と塩分を同時に摂れ、梅干しはナトリウムとクエン酸を含んでいます。

専門補給食には、これらの栄養素を「ひとまとめにして、すぐ食べられるパッケージ」にしてある、という設計上の工夫があります。

これは確かに便利ですが、「栄養素が格段に優れている」ことを意味するわけではありません。

なお、詳しい方だと、上記の3つ以外にも、「プロテイン(タンパク質)は?」「カロリーは?運動で消費するカロリーを補給しないといけないのでは?」と思われるかもしれませんが、それほど重要ではありません。

なぜそう言えるのかについては、『補給食のよくある疑問|プロテイン・カロリー・血糖値を解説』のところで説明します。

1本300円の高級ジェルが本当に必要な「3つの過酷な状況」

もちろん、高額な補給食にもきちんと価値がある場面はあり、それは主に次のようなケースです。

  • レース・高強度ライドで心拍を落としたくないとき
    集団走行中や競技中は、補給のために速度を落とすわけにはいきません。
    手を使わず飲み込めるジェルは、こうした場面で真価を発揮します。
  • 胃腸への負担を最小限にしたいとき
    強度が高いライドでは、消化器官への血流が減るため、固形物が胃に残りやすくなります。
    ジェルや粉末ドリンクは消化の負担が少なく、こうした状況に向いています。
  • 炎天下の超ロングライド(100km超)
    発汗量が極端に多い場面では、電解質と糖質を精密にコントロールした専門ドリンクが役立つこともあります。

このように、過酷なライドでの摂取のしやすさが高級ジェルの本領発揮の部分であって、栄養素が特別、優れているわけではありません。

99%の自転車乗りには「身近な食品」での補給で十分な理由

あなたの日頃のサイクリングで、上記のような場面はあるでしょうか?

自転車レースやトレーニングを楽しむ「アスリート層」は30~40万人と言われています。
(参考:ツール・ド・ニッポン『サイクリスト国勢調査2021 調査結果レポート』

国土交通省の資料では、自転車に乗る人は国民の約半分とのことですので、約6000万人います。

つまり、「アスリート層」は、自転車に乗る人の1%以下しかいないということになります。

高額補給食のメーカーはもちろん、メディアもスポンサーであるメーカーの製品を売るため、『もっと速く、強くなれる』と訴えるコマーシャルや記事が目立つので、アスリート層が多い印象がありますが、こんなに少ないのです。

つまり、高価なジェルが真価を発揮する「1秒を削り出さねばならない、止まれない競技環境」にいる人はごく少数派です。

休憩を取りながら、おにぎりや羊羹を食べる余裕がある人が99%ではないでしょうか。

コラム:健康のためには1時間~1時間半ごとに休憩をとる方が良い

休憩は補給食をしっかり摂取して、脱水や熱中症のリスクを下げる効果だけではありません。

お尻、首や肩などの筋肉に疲労が溜まってしまうので、一度サドルから降りて、グッと背筋を伸ばしてストレッチをするだけで、後半の『足が終わる』のを防げます。

また、コンビニの駐車場で、青空の下で食べるおにぎりや羊羹の美味しさは格別で、気分転換になります。

こう考えると、わざわざ高価なジェルを使わなくても、より安くて身近な食べ物で同じ補給をした方が合理的です。

補給食コスパ比較|羊羹・おにぎりとエナジージェルはどちらが得?

「では実際どれくらいコストが違うのか」を具体的な数字で比較してみます。

補給食に求めるのは「糖質」

さきほど、サイクリングの補給食に最も重要な栄養素は糖質と言いました。

一般に1時間あたり40〜60gの糖質摂取が推奨されています。
(なお、1.5時間以内程度のライドであれば、補給無しでも可)

そこで、「1時間あたり50gの糖質を摂取するのに、いくらかかるか」という切り口で、身近な食材と専門補給食のコストを比べてみます。

比較に使う糖質量は各商品の栄養成分表示をもとにしています。

価格は執筆時点(2026年6月)での価格で、セブンイレブンの商品についてはセブンイレブン公式サイトの税込価格、その他の商品はAmazonでの税込価格です。

1時間あたり糖質50gを摂取する場合のコスパ比較表

次の計算で、50g分の価格を算出しています:
50g分の価格 = 商品価格 × (50 ÷ その商品の糖質量)

【固形タイプ】

商品名1個の糖質50g分に必要な量1個の価格50g分の価格
井村屋 58gミニようかん(煉)38.3g1.3本約92円約120円
7プレミアム カステラ(3切入・1袋)72.5g0.7袋321円約225円
7プレミアムフレッシュバナナ(1本)約23.5g2.1本127円約267円
セブン 手巻おにぎり 熟成仕立て紀州南高梅約36g1.4個197円約276円
セブン 手巻おにぎり 炭火焼銀しゃけ約34g1.5個232円約348円
セブン つぶあんぱん約25g2.0個194円約388円

【ジェルタイプ】

商品名1個の糖質50g分に必要な量1個の価格50g分の価格
エクスプロージョン ポーションX(50g)約36g1.4本約198円約277円
アミノバイタル アミノショット(45g)約24g2.1本約212円約445円
メダリスト エナジージェル(45g)約26g1.9本約245円約466円
Mag-on エナジージェル(41g)約30g1.7本約298円約507円
MAURTEN GEL100(40g)25g2.0本1,390円2,780

【粉末タイプ(水に溶かして飲む)】

商品名1袋の糖質50g分に必要な量1袋の価格50g分の価格
グリコ CCD(45g・500ml用)約41g1.2袋約133円約160円
アミノバイタル BCAAチャージウォーター(7g)約4.6g10.9袋約64円約698円
VAAM プレミアムパウダー(10.5g)約5g※10.0袋約133円約1,330円

トップクラスのコスパは「井村屋のミニようかん」と「グリコCCD」

このように数字で並べてみると、いくつかのことが見えてきます。

  • コスパ上位2商品は「井村屋 58gミニようかん」と「グリコCCD」
    「井村屋 58gミニようかん」は50g分換算で約120円、粉末ドリンクの「グリコCCD」は同じく50g分換算で約160円と、「コスパ上位」ツートップで、他の商品とは別格です。
    「ミニようかん」は封を切って、片手でそのまま食べられる携帯性の高さがグッドです。
    サイクリングには水分補給も重要ですから、水分+糖質を手軽に摂取するためには、「グリコCCD」がお勧めです。
    ただし水に溶かす手間と、ボトルが必要という前提があります。
  • ジェルの中では「ポーションX」が健闘
    専門ジェルの中では「ポーションX」が約277円と、固形食のおにぎりと同程度のコスパです。走りながら摂取したい場面での現実的な選択肢になります。
  • MAURTENは別格の高さ
    「MAURTEN GEL100」は50g分で2,780円と、他を大きく引き離しています。
    世界トップアスリートが愛用する最高峰製品であり、一般サイクリストが日常使いするには価格が突出しています。
  • BCAAウォーター・VAAMは「糖質補給」には不向き
    どちらもスポーツドリンク用パウダーとして有名ですが、1袋あたりの糖質が非常に少なく、糖質補給の観点からはコスパが悪くなります。
    あくまでアミノ酸・電解質の補給が主目的の製品として理解しておきましょう。

コンビニで買うならこれ

糖質摂取の観点で言うと、次の順位になります:

1位 ミニようかん
2位 カステラ
3位 バナナ
4位 梅おにぎり
5位 しゃけおにぎり
6位 つぶあんぱん

なお、ミニ羊羹ですが、セブンイレブンで「7プレミアム 煉羊羹」を買うと106円(税込み)です。

若干ですが、アマゾンでまとめ買いした方が安くなります。

「井村屋 ミニようかん 煉 58g×10個」は915円ですので、1個当たり92円で、セブンイレブンより14円安いです。

しかも、「7プレミアム 煉羊羹」は1個の炭水化物が37.3gですが、アマゾンの「井村屋 ミニようかん 煉」は38.3gと、炭水化物が少し多いです。

ですので、私はアマゾンで買うようにしています。

コラム:電解質・塩分について

電解質、特にナトリウムの補給は確かに大切です。

発汗によって塩分が失われると、筋肉のけいれんや熱中症のリスクが高まります。

一般に塩分1.3〜2.5g/時間※の摂取が推奨されています。
(※: これは真夏の炎天下で大量に発汗する場合の目安です)

ただ、これも身近な食材で十分まかなえます。

おにぎりには塩分が含まれており、梅干し入りなら特に効果的で、梅干し1個には約1〜2gの塩分が含まれています。

グリコCCDのような粉末ドリンクにも500ml用(製品45g)1袋あたりにナトリウム(236mg、食塩相当量0.60g分)が含まれています。

補給食の選び方|固形・ジェル・ドリンクの使い分け

身近な食材が専門補給食に引けを取らないことはお分かりいただけたと思います。

ただ、「安ければ何でもいい」というわけでもありません。

補給食のタイプには、それぞれ得意な場面と苦手な場面があります。

次に、固形・ジェル・粉末の3タイプについて、どんな場面で使うのが賢いかを整理します。

①固形タイプ——「休憩できる」ライドの主役

羊羹、おにぎり、カステラ、あんパンなどがこれに当たります。

  • メリット
    腹持ちが良く、ライドの前半から中盤にかけてエネルギーを持続させるのに向いています。
    よく噛むことで唾液が分泌され、消化を助ける効果もあります。
    また何より、価格が安い。
  • デメリット
    走りながら食べるのは難しく、口の中が乾いていると飲み込みにくいこともあります。
    冬場は羊羹やチョコレートが固くなるなど、季節によって食べにくさが出ることもあります。

向いている場面】

  • ポタリングやツーリング
  • 普通に休憩を取れるライド

コンビニで手軽に調達できる点も大きな強みです。
補給食を忘れてしまっても、途中のコンビニで羊羹やおにぎりを買えば事足ります。

②ジェルタイプ——「止まれない」場面のための保険

アミノショット、Mag-on、メダリスト、ポーションXなどがこれに当たります。

  • メリット
    飲み込むだけで補給できるため、走りながらでも摂取しやすく、消化の負担がほとんどありません。
    ポケットに数本収まるコンパクトさも便利です。
  • デメリット
    価格が高い(一般的に1本200円以上)。
    また甘みが強く、ライド後半に気持ち悪くなるケースもあります。
    使用後の空きパックのゴミ処理も地味に面倒です。
    (特にジェルはベタベタするので、ジップロックを1枚ポケットに入れて、それにゴミを入れるなどの工夫が必要)

向いている場面

  • 高強度・高心拍で止まれないライドの終盤
  • 集団走行やイベントライドで補給タイミングが限られるとき
  • 固形物を受け付けにくくなってきたロングライド後半

つまり、ジェルは「毎回使うもの」ではなく、いざというときの保険として1〜2本だけ携帯するという使い方が最も合理的です。

③粉末タイプ(ボトルドリンク)——水分補給と糖質補給を同時に

グリコCCD、アミノバイタルBCAAチャージウォーターなどがこれに当たります。

  • メリット
    ボトルに入れておけば走りながら少しずつ飲め、水分と糖質・電解質を同時に補給できます。
    特に夏場は熱中症対策としても有効です。
    グリコCCDのようにコスパの高い製品を選べば、ジェルより大幅に節約できます。
  • デメリット
    事前に水に溶かして準備する手間がかかります。
    ボトルが汚れやすく、帰宅後の洗浄が必要です。
  • また、糖質が少ない製品(VAAMやBCAAウォーターなど)はエネルギー補給としては不十分なので、別途固形食と組み合わせる必要があります。

向いている場面

  • 発汗量が多い夏場・炎天下のライド
  • 長時間ライドで電解質も同時に補給したいとき
  • 固形食を食べるタイミングの合間の「つなぎ」として

3タイプの使い分けまとめ

固形ジェル粉末(ボトル)
コスパ△〜×◎〜○
走りながら摂取
腹持ち
夏場の熱中症対策
入手のしやすさ◎(コンビニ)△(事前準備要)

「組み合わせ」が最も賢い

3つのタイプにはそれぞれ得意不得意があるので、場面に応じて組み合わせることが最も賢い補給方法です。

たとえば、夏の80kmライドであれば、

  • ボトル:グリコCCD(水分+糖質を走りながらこまめに)
  • 休憩時の固形食:ミニようかん1〜2本(確実な糖質補給)
  • 終盤の保険:ポーションXを1本だけポケットに

この組み合わせであれば、1回のライドあたりの補給食コストは500〜600円程度に収まります。
毎回ジェルだけで揃えると同じ距離で1,000円を超えることもあるので、大きな差です。

糖質摂取のタイミング

では、どのタイミングで、糖質を摂ればよいのでしょうか?

中・長距離のサイクリングの場合は、サイクリング中だけでなく、出発および直後まで考える必要があります。

【出発前】

  • 2〜3時間前に、体重1kgあたり2〜3gの炭水化物
  • 前夜の夕食と当日の朝食と併せて、この量でも可
    朝食だけで、こんなに沢山の炭水化物を摂れないという方も多いと思います。
    食事で摂った炭水化物は、消化されてブドウ糖になり、体内ではグリコーゲンという形に変換されて筋肉や肝臓に貯蔵されます。
    これが運動中のメインのエネルギー源です。
    前夜の夕食でグリコーゲンをしっかり補充し、当日の朝食でさらに増やすという「2段階補給」は、長距離ライドの定番アプローチです。
  • 直前(〜1時間)に摂取すると逆効果になることも
    一般的なサイクリングでは神経質になる必要はありませんが、運動の1時間前以内に炭水化物(糖質)を大量に摂ると、血糖値が急上昇します。
    するとインスリンが大量に分泌され、血糖値を下げようとします。
    運動開始のタイミングと血糖値が下がるタイミングが重なると、運動前〜開始直後に血糖値が必要以上に下がってしまうことがあります。
    結果として、だるさや集中力の低下、最悪の場合は、めまいといった症状が出て、パフォーマンスが落ちることがあります。
    ただし、これには大きな個人差があり、影響を受けない人も多いです。

【ライド中】

  • 1時間あたり40〜60g
    (1.5時間以内程度のライドであれば、補給無しでも可)
  • ポイントは「30分おきにこまめに摂取する」こと
    一度に大量に摂るのではなく、少量を定期的に補給する方が、身体への吸収も良く、胃腸への負担も少ないです。

【ライド直後:30分~1時間以内】

  • 糖質+タンパク質を一緒に摂る
  • 運動直後は、栄養素の吸収効率が最も高い「ゴールデンタイム」
    糖質がインスリンの分泌を促し、そのインスリンがタンパク質(アミノ酸)の筋肉への取り込みも助けるため、両方を同時に摂ることで相乗効果があります。
  • ライドが1時間未満の軽いものであれば、通常の食事で十分です。
    中・長距離ライドの後の場合、一般的な目安は、
    糖質:体重1kgあたり1〜1.2g
    タンパク質:15〜25g

補給食のよくある疑問|プロテイン・カロリー・血糖値を解説

ここまで、糖質補給を中心にコスパの良い補給食の選び方を考えてきました。

でも、こんな疑問が浮かんでいる方もいるのではないでしょうか。

  • タンパク質の補給はどうするの?
  • 消費カロリーを補填するくらい食べないといけないのでは?
  • 糖質をたくさん摂ると血糖値が上がって体に悪いのでは?

順番にお答えします。

疑問1:プロテイン(タンパク質)も補給しなくていいの?

プロテインやアミノ酸配合を謳う補給食が多くあるので、こういう疑問を持つ方も多いと思います。

けれども、意外かもしれませんが、タンパク質は運動中のエネルギー源としてはほとんど機能しません

また、ライドの時間が4時間以内であれば、運動中にタンパク質を特別に意識して摂取する必要はないとされています。

普段の食事でタンパク質をしっかり摂っていれば、補給食にタンパク質が含まれているかどうかを気にする必要はほぼありません。

「プロテイン・アミノ酸配合」を謳う補給食は魅力的に聞こえますが、サイクリングの補給食としての観点では、それよりも糖質と電解質を優先すると考えると、選び方がシンプルになります。

タンパク質が本当に必要になるのは、筋肉の修復が始まる運動後です。

糖質+タンパク質をセットで摂ることで筋肉の回復と合成が促進されます。

運動終了後、なるべく早いタイミング(できれば30分〜1時間以内)がお勧めです。

疑問2:ハンガーノックが怖い…消費カロリー分を食べるべき?

サイクリングは消費カロリーが大きい運動です。体重70kgの人が時速20kmで1時間走ると、おおよそ500〜600kcalを消費します。

これを聞くと、「じゃあ、そのカロリー分を補給しないといけないのでは」と思いたくなります。

実際、補給食の中には「素早くエネルギーを補給できるジェルは、少量で高カロリーなエネルギーを摂取できるメリットがあります」と謳っている場合もあります。

けれども、サイクリングでの消費カロリーと釣り合うくらい、カロリーのある補給食を摂取する必要はありません。

人間の体には、数万キロカロリー分(フルマラソンを何回も走れる量)のエネルギーが『体脂肪』として常に蓄えられています。

運動中は、糖質と体脂肪の両方がエネルギー源として使われます。

ですから、走って消費した分のカロリーをすべて口から補給する必要はありません

補給食の役割は消費カロリーの全量を補うことではなく、血糖値が下がりすぎないようにするための「つなぎ」です。

特に運動強度が中程度(会話ができる程度のペース)であれば、体脂肪からのエネルギー供給割合が高まります。

補給食で摂るべき糖質の目安(1時間あたり40〜60g)は、消費カロリーのおよそ3分の1程度にすぎません。

残りは体脂肪と、事前の食事で蓄えたグリコーゲンがまかないます。

「カロリーが足りないのでは」という不安から高カロリーの専門補給食を選ぶ必要はなく、糖質の量さえ確保できれば、カロリーの総量にこだわる必要はないのです。

疑問3:中高年は気になる…運動中に糖質をドカ食いして大丈夫?

厚生労働省の『国民健康・栄養調査』によると、日本人の中高年(40〜74歳)では、およそ3〜4人に1人が「糖尿病または予備軍」です。

年代が上がるほど割合はさらに高くなり、60代以降ではほぼ2人に1人が該当します。

そのため、糖質と血糖値の関係を気にする方は多くいます。

確かに、安静時や日常生活では糖質を一度に大量に摂ると血糖値が急上昇し、体への負担になります。

糖尿病対策として自転車運動が勧められることが多くありますが、ハンガーノックを避けるには糖質をしっかり摂らないといけないと言われると、「えっ!大丈夫?」と思う人もいると思います。

しかし、運動中は、糖質と血糖値の関係のメカニズムが大きく異なります

運動中は筋肉が猛烈な勢いで糖質を消費し続けています。

摂取した糖質はすみやかにエネルギーとして使われるため、血糖値が急激に上昇しにくい状態になっています。

これは、インスリンに頼らずに筋肉が糖を取り込む仕組みが運動中に活性化されるためです。
(※:軽度〜中等度の糖尿病の場合です。重度の糖尿病の方は、医師への相談をお勧めします。)

むしろ運動中に注意すべきは、血糖値が「上がりすぎること」ではなく、「下がりすぎること(低血糖)」です。

補給が遅れて血糖値が下がると、強い疲労感・めまい・集中力の低下が起こり、いわゆる「ハンガーノック」と呼ばれる状態に陥ります。

これを防ぐためにこそ、こまめな糖質補給が推奨されているのです。

ただし一点だけ注意が必要です。

運動を終えて体が落ち着いた後も、惰性で甘いものを食べ続けると、今度は余剰な糖質が体脂肪に変わりやすくなります。

補給食はあくまで「運動中の燃料」として、走っている間に摂るようにしましょう。

ダイエットしている人が、「運動の楽しみは、運動後にケーキやラーメンを罪悪感無しに食べられること!」と言うのをよく聞きますが、せっかくの消費が帳消しになってしまうので、ダイエット目的の方にはお気の毒ですが、控えめにしましょう。

【まとめ】賢く節約して、もっとサイクリングを楽しもう

この記事では、サイクリングの補給食について「本当に高価な専門補給食でないといけないのか」という疑問を出発点に、栄養素・コスパ・タイプ別の使い分け・よくある疑問への回答と、順を追って考えてきました。

最後に、記事全体のポイントを整理します。

この記事でお伝えしたこと

  • 高額な補給食は「特別効果が高い」わけではない
    専門補給食の本質は、必要な栄養素を「素早く手軽に摂取できるよう設計されたパッケージ」であることです。
    栄養素そのものは、羊羹やおにぎりといった身近な食材でも十分まかなえます。
  • コスパで見ると、身近な食材が圧倒的
    糖質50g分あたりのコストを比較すると、井村屋のミニようかん(約120円)やグリコCCD(約160円)が全商品中トップクラスのコスパを誇りました。
    多くの専門ジェルはその3〜5倍のコストがかかります。
  • 3タイプは優劣ではなく、場面で使い分ける
    固形・ジェル・粉末にはそれぞれ得意な場面があります。
    日常のサイクリングでは固形食+ボトルドリンクを基本にして、ジェルは「止まれない場面の保険」として1〜2本だけ持つのが最も合理的です。
  • カロリー・電解質・血糖値は「気にしすぎ」に注意
    補給食で消費カロリーを全部補う必要はなく、糖質の量だけ確保すれば体脂肪が残りをまかなってくれます。
    電解質はおにぎり+梅干し+ドリンクで対応でき、運動中の糖質摂取は血糖値を急上昇させにくいという点も安心材料です。

「賢い補給食」の具体的な選び方

以上を踏まえて、予算を抑えながら効果的に補給するための、シンプルな組み合わせをご提案します。

【基本セット】夏場・80km程度のライド

  • ボトル:グリコCCD(水分+糖質+電解質を同時に補給)
  • 休憩時:ミニようかん 1〜2本
  • 保険:ポーションX 1本(終盤・緊急用)

合計コスト目安:500〜600円程度

【シンプルセット】涼しい季節・50km程度のライド

  • ボトル:スポーツドリンク(市販品またはポカリ・アクエリアスの粉末)
  • 休憩時:おにぎり 1〜2個+梅干し

合計コスト目安:300〜400円程度

どちらも、毎回専門ジェルで揃えた場合と比べて、年間で数万円の節約になりえます。

おわりに

「安い補給食で大丈夫なの?やっぱりいい値段がする補給食の方が効果が高いのでは?」という考えは、正直なところ、私自身もかつて持っていました。

しかし栄養素の中身を理解してみると、羊羹やおにぎりで走り切れることが分かり、サイクリングが、より気軽で身近なものになりました。

単なる節約ではなく、合理的に判断して満足のいく選択をするというのは、気持ちが良いものです。

ぜひ次のライドから、試してみてください。

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