電動アシスト自転車の坂道性能はここで決まる|失敗しない5つの選び方

坂道が多い地域で電動アシスト自転車を選ぶとき、「思ったより登らない…」と後悔する人は少なくありません。

「アシスト力ランキング」や「坂に強いおすすめ10選」といったサイトが山ほどありますが、実は登坂性能とはあまり関係のない基準で並べられていることが少なくありません。

この記事では、技術的な観点からランキングの付け方の問題点を整理しつつ、消費者の立場から「本当に坂道に強い一台」を見極めるための実践的な方法を考えてみたいと思います。

私はYAMAHA WABASH RTやBESV JR1、ブリヂストンのTB1eなどの電動アシスト自転車を所有しています。

たとえば、BESV JR1は車重が軽量なこともあって緩やかな坂では軽快な走行を楽しめます。

しかし、急坂になると体重が80kg近い私の場合、アシストの非力さを感じてバッテリーもみるみるうちに減っていきます。

7年前に購入したときは私の知識も足りなかったのですが、急坂にはあまり対応できないという点では期待はずれでした。

実はこの登坂力、この記事で紹介する方法を使うとカタログを見ただけで、ある程度の予想がつきます。

特に坂道の多いエリアで乗ることが多く、体重がある方は是非お読みください。

トルクのNmや電気容量のWhといった、昔、中学・高校で習った単位が出てきたりしますが、できるだけ分かりやすく説明しますので、ご安心ください。

また、トルク値が公表されている14台のモデルについて、登坂力の評価をしてみましたので、購入を検討されている方の参考になれば幸いです。

この記事でわかること

① 「楽天市場」「Yahoo! ショッピング」「ゆんとも」「マイベスト」などの電動アシスト自転車ランキングやおすすめが、登坂性能と無関係、あるいは適していない理由

② カタログのどの数字を見れば登坂性能がわかるか

③ トルク値が公表されている14台のモデルについて、登坂力の評価

④ お店の試乗でチェックすべき7つのポイント

なぜ電動アシスト自転車のランキングは信用できないのか?

ひと口に「ランキング」や「おすすめトップ10」といっても、その中身はサイトによってまったく違い、私が調べた限りでは次のような種類があります。

結論から言うと、ランキングの多くは「登坂力」を評価していません。

  1. 楽天・Yahooの売れ筋は「坂道の強さ」とは無関係
    楽天市場やYahoo!ショッピングは、電動アシスト自転車のランキングを発表しています。
    楽天市場のランキング
    Yahoo!ショッピングのランキング
    これらは売れているもののランキングで、坂道をラクに登れるかどうかとは全く別の話です。
  2. モーターの「W(ワット)数」が高い=最強ではない
    例えば、「ゆんとも」の場合、「坂道が楽に登れる、アシスト最強の電動自転車」としてTOP3を紹介しています。
    その根拠は、仕様に書かれているモーターのW(ワット)数です。
    後程、説明しますが、W数は坂道の登坂力の判断基準としてはあまり適していません。
  3. 独自の商品テストに基づいたランキング
    マイベスト」のように、独自の手法で性能をテストした結果で坂道に強い商品を紹介しているところもあります。
    総合的な使い勝手が評価されていると思いますが、こと「激坂を登る力」という一点に関しては、それを評価するテストとしては、少し条件が異なる可能性があります。
    その理由は後程、説明します。
  4. 問答無用型のランキング
    意外と多いのが、根拠を説明せずに「これがおすすめ。とにかくこれを買ってください。」とモデルを紹介しているサイトです。
    商品を紹介して成果が発生するとサイトへの報酬が支払われる仕組みを利用しているところが多いですね。

上記を簡単にまとめたのが次の表です。

サイトの種類ランキングの決め方登坂力を評価?
1. 売れ筋ベース
● 楽天市場のランキング
● Yahoo!ショッピングのランキング
売れた数・売上金額など、売れ筋の順番✖ していない
2. W(ワット)数ベース
「ゆんとも」サイト
「Wが大きい=アシスト力が強い」という基準△不完全(後述)
3. 独自の商品テスト
「マイベスト」サイト
独自の測定テストのスコア順△ 不完全(後述)
4. 問答無用不明(説明なし)✖ していない

上記のランキングの種類の中で、登坂力の根拠として、W(ワット)や独自商品テストの結果を用いることの技術的な問題を次に説明します。

「Wが大きい=坂に強い」は本当か?よくある誤解

まず、「350Wモーター」「500Wモーター」など、カタログの仕様に書かれているモーターのW(ワット)数の大きさを登坂力の根拠にしているランキングについてです。

しかしながら、W数は坂道や発進で体感する「グッと押される力」の評価には適していません。

ここから先は少し詳しい内容なので、細かい説明を飛ばしたい方は、次の『独自測定テストも坂道性能評価とはズレがある』へお進みください。

W(ワット)は坂の強さを表さない

モーターのW(ワット)数をランキングを付けるのには、次のように落とし穴がいくつもあります。

1)それ、定格?ピーク?どの条件?

Wにはだいたい2種類あります。

  • 定格出力:長く出し続けられる出力
  • ピーク出力:瞬間的に出る最大値

要するに、マラソンが得意か、短距離走が得意かの違いです

『ピーク出力』は、条件しだいで数字が盛れます。

2)坂で欲しいのは『高回転のW』ではなく『低速の粘り』

Wは1秒あたりのパワーの大きさを示す数字で、下図のように、実は次の式で決まります。
W=トルク(Nm)×回転数

つまり、W数は『回転数しだいで簡単に大きく見えてしまう数字』なのです。

坂でしんどいのは、速度が落ち、回転数が下がる局面ですが、モーターの出力は回転数によって大きく変わります。

一般的な傾向として、モーター特性は次のようになり、ピークWは「ある特定の回転数」でしか出ません:

  • 低回転 → トルク最大、Wはまだ小さい
  • 中回転 → Wが最大
  • 高回転 → トルク低下、Wも低下

このため、問題なのは、登坂力ランキングの根拠としている「350W」「500W」が、

・何回転のときのWなのか

・持続値か瞬間値か

が書いていないことです。

この局面で頼りになるのは、『① トルク値(Nm)|坂道で最も重要な指標』のところで詳しく説明しますが、ピークWより 低速域のトルク特性(Nm) のほうです。

自動車で言えば、排気量より最大トルクの方が登坂力の目安になるのと同じです

独自測定テストも坂道性能評価とはズレがある

「マイベスト」は、「アシストの強い商品=座ったままスムーズに坂道を登れる商品」とし、自転車をローラー台(スマートトレーナー)にセットして、ペダルを踏む力を計測するテストを実施し、その結果でランキングを付けています。

けれども、このテスト法は『平地』でのアシスト効率が高い機種を選ぶのも向いている方法であって、坂道に強い電動アシスト自転車を判断するのに適しているとは言い難いと言えます。

詳しい説明を飛ばしたい方は『坂道に強い電動アシスト自転車はここで見抜ける【5つの基準】』に進んでください。

問題① 平地テストでは坂の性能は分からない

「マイベスト」に紹介されているテスト方法を要約すると、スマートトレーナーとパワーメーターを使って、速度が10km/h時、15km/h時、20km/h時のパワーを計測して、その結果をスコア化しています。

このテストは平地(ローラー台)での定速走行であって、坂道と平地では、モーターに求められるものがまったく違います。

坂道では、

  • 必要な推進力が斜度に比例して増える
  • ペダルの踏力パターンが変わる(低ケイデンス・高トルクになりがち)
  • モーターが高負荷域でどれだけトルクを維持できるかが大事

という別次元の話になります。

したがって、平地でのアシスト効率が高い機種が、登坂でも優秀とは限りません。

問題② ギアの条件がそろっていない可能性

変速機付きの自転車は、ギアを軽くすると同じ速度でもペダルが「軽く」感じられ、重いギアでは「重く」なります。

ギア比の違いだけで ±30〜50W 変わる可能性があります。

ギア比というのは次の図のように、フロントチェーンリング歯数 ÷ リアスプロケット歯数 です。

ギアの条件がそろっていなければ、異なる自転車を公平に比べることはできませんが、「マイベスト」の測定方法の説明には、どのギアで測定したかは明示されていません。

問題③ 「4.51」などの細かいスコアに意味はある?

テスト走行した結果をスコア化し、「アシスト力:4.51」「アシスト力:4.32」のように小数点2桁まで数字が出ると、「科学的に正確に測った数字だ」と感じてしまいがちです。

また、ランキング化されていると、ついついその根拠をよく見ずに、順位付けの結果だけを信じてしまう傾向があります。

しかし実際には:

  • そもそも、登坂力を測るのに適したテストがされていない
  • 測定条件(ギア比・ケイデンス差など)が不統一で、データのばらつきが大きい可能性が大きい

など、誤差の方が大きい可能性が高いので、高精度っぽさを強調するような表示にあまり意味がないと言えます。

坂道に強い電動アシスト自転車はここで見抜ける【5つの基準】

よく見かけるサイトのランキングが当てにならないとなると、どうやって登坂力のある電動アシスト自転車を選べばいいのか困りますよね。

実は、メーカーのカタログやスペック表に記載されている数値から、坂道性能をある程度予測することができます。

ポイントは、次の5つの項目に注目することです。

  1. モーターのトルク値(Nm)
  2. モーターの位置(センターモーター、それともハブモーターか?)
  3. センサーの方式(トルクセンサー式か速度センサー式か)
  4. バッテリー容量(Wh)
  5. ギア数(変速数)

それぞれについて説明します。

なお、本来はギア比が分かればよいのですが、載っていないカタログが多いので除外しています。

また、他にも車重(重量が軽ければ坂を上りやすい)やタイヤの太さ(太いと転がり抵抗が増えて登坂に不利)などの要素もありますが、評価が複雑になるので割愛しています。

説明は飛ばして、どういう仕様がおすすめなのかのポイントだけ知りたい方は『坂道に強い電動アシスト自転車の条件まとめ|登坂力の比較方法』に進んでください。

① トルク値(Nm)|坂道で最も重要な指標

坂道や発進で「強い!」と感じるのは、大体こういう場面です。

  • 低速のまま坂を上る
  • 体重をかけて踏んだときに粘る
  • 信号スタートでスッと前に出る

このとき効いているのは、ざっくり言うと 『回す力の強さ』=トルク(Nm です。

実際にはモーターのトルクだけではなく、「アシストの味付け(プログラム)」や「センサーの感度」も登坂感に影響を与えますが、ここでは割愛します。

大体の目安として言われているのが、次の表のトルク値です。

最大トルクの目安どんな坂を想定?一言コメント
〜40Nm程度ゆるやかな坂(傾き3〜5%)平地中心の利用に
40〜60Nm程度一般的な市街地の坂(傾き5〜8%)多くの場面で十分
60Nm以上急坂・荷物が重い・体格が大きい坂道の多い地域や体重のある人に最適
一口メモ:国内大手(パナ・ヤマハ・ブリヂストン)は全て非公表

国内の大手メーカーはスポーツ指向のe-bikeを除き、トルク値を公表していません

理由は明らかにされていませんが、恐らく、公開すると他社と比較されてスペック競争になるのを避けたいのと、条件を揃えてトルク値を測定・公表するのにコストがかかるのが非公開の理由と思われます。
最近、海外勢を中心とする日本でも勢いのある新興メーカーは公表しているところが少なくありません。
また消費者も、カメラやパソコンがそうであったように、電動アシスト自転車の普及につれて、より詳しい性能情報を求めるようになってきています。
かつてテレビや冷蔵庫と言えば国内の大手メーカーでしたが、今は見る影もありません。
国内大手が保守的な姿勢を続けていると、この二の舞になるのではと心配になってしまいます。

② モーターの位置|『センター』か『ハブ』か

センター(車体の中央)にある場合、クランク軸にモーターのトルクを加える方式なので、 人間と同じクランクとリアのギアを共有します。

例えば、私が乗っている YAMAHA WABASH RT がそうです(次の写真)。

WABASH RT(2022モデル)のモーター

一方、ハブ方式には、前輪のハブにモーターが付いているフロントハブモーターと、後輪のハブに付いているリアハブモーターがあります。

次の画像はフロントハブモーターの例で、ブリヂストンのTB1eです。

ブリヂストンの商品紹介ページより引用した画像を修正

次の写真はBESV JR1でリアハブモーターの例です。

例外はありますが、一般的に言ってセンターモーター駆動の方がハブモーター駆動よりもトルク値が高いです。

次のおりたたんだセクションは、実際のモデルのトルク値を表にしたものです。

これを見ると、センターモーター駆動の方が高トルクのものが多い傾向にあることが分かります。

モデル名駆動方式
最大トルク(Nm)
備考
【センターモーター駆動】
YAMAHA WABASH RTセンターモーター75Nm坂に強く、ツーリングや長距離ライド向け
BESV TRS 2 AMセンターモーター約70Nm山道対応のe-MTB、登坂力に優れる
YAMAHA PASセンターモーター100Nm(非公表)カタログには記載がないが、プレス発表で100Nmと紹介されている
Panasonic XEALT S5センターモーター90Nm急坂対応、街乗りから郊外ライドまで幅広く使える
【ハブモーター式(ホイール駆動)】
MIYATA EX-CROSS e’22リアハブ60Nm通勤・通学向け快速モデル、比較的高トルクなハブモーター
BESV JR1/JF1/PSA1リアハブ非公開トルク値未公表。JR1の急坂での実走感はWABASH RTより明らかに非力
BAFANG HFシリーズフロントハブ(OEM)約40Nm多くのシティe-bikeに採用、軽量・街乗り向け、スペック非表記も多い
Brompton Electric
(折り畳みEバイク)
フロントハブ40Nm海外の記事より
この表は『電動アシスト自転車のモーター位置で後悔しない選び方!坂道・乗り心地が劇的に変わる!』の記事より引用

トルク値が公開されていればモーター位置は無視できる?

これは、無視できず、セットで見るべきです。

なぜなら、センターモーターの場合の登坂力はホイールに伝わるトルクで、モーター軸トルク × ギア比ですが、ハブモーターはギア比の恩恵がなく、公称トルクがそのまま限界になるからです。

別の言い方をすると、センターモーターはギア比でトルクを“増幅”できるけれども、ハブモーターはそれは無理ということです。

つまり、同じ40Nmでも、センターモーターはギア比でトルクを増幅できるため、登坂では有利になることが多いのです。

③ センサーの方式|『トルクセンサー式』か『速度センサー式』か

電動アシスト自転車には、ペダルへの入力やスピードを感知するセンサーが内蔵されています。

大きく「トルクセンサー式」と「速度センサー式」の2種類があり、「クランクセンサー」「スピードセンサー」と書いてある場合は速度センサー式の可能性が高いです。

画像の引用元:YAMAHA『トリプルセンサーとは

次の表のように、センサーの方式によって坂道での使い心地が大きく変わります。

センサー方式トルクセンサー式速度センサー式
どんな仕組み?ペダルを踏む「力」を感知して それに合わせてアシストペダルが「回っているかどうか」 を感知してアシスト
坂道の感覚力を入れるほど ぐっと押してくれる。自然でスムーズ一定のアシスト。 急坂では物足りないことも
価格傾向やや高め手頃
坂道おすすめ度★★★ 坂道が多い方に!★★☆ 平地中心の方に

④ バッテリー容量|坂道では一気に減るので重要

坂道でいくら力強くアシストしてくれても、それが短時間で終わってしまうのでは困りますね。

「1回の充電で60km走れます!」よりも、400Wh や 500Wh と書いてあるほうが、実は信頼できます。

バッテリーのスペックなどで目にする「Wh」(ワットアワー)は、そのバッテリーがどれだけのエネルギー(電気の総量)を蓄えているかを表す単位です。

一方、カタログの走行距離は「平地中心、エコモード、ライダーの体重軽め、無風」という“理想的な条件”での目安なので、自分が実走した場合の走行可能距離とはかなり違うことがよくあります。

坂があるだけで、消費電力は体感的に1.3〜1.5倍になることもあり、坂道では電気の減り方が一気に変わります。

私が所有しているBESV JR1というe-bikeのバッテリー容量は252Wh(36V/7.0Ah)と少な目です。

私の体重が80kg近くあるせいもあり、急な坂道ではバッテリーがみるみる減っていくので、長い坂上りにはあまり向いていません。

このように、坂を走ることが多い人は、バッテリー容量にも注目する必要があります。

電動アシスト自転車のバッテリー容量の目安は?

一般的な使用に対して、どのくらいの容量があれば安心かという実用的な目安は次のように言われています。

住んでいる環境おすすめ容量
ゆるい坂が少しある250~360Wh
坂が多い住宅地360~500Wh
かなりアップダウンが多い500Wh以上

これはあくまで目安で、実際には、次のような要因で変わり得ます。

  • アシストモードの選択
    例えば、「エコモード」で走れば消費を抑えられます。
  • モーター性能
    同じ坂でもモーターの効率で消費量が変わります。
  • 体重・荷物の重さ
    重いほど消費が増加します。
  • 気候・路面状況
    低温ではバッテリー性能が下がりますし、向かい風や荒れた路面でも消費が増加します。

なお、容量と走行距離の関係(平坦路換算)は、大まかに言うと次のようになります。

・500Wh → 約80〜120km
・250Wh → 約40〜60km
・360Wh → 約60〜90km

ただし、バッテリーは経年劣化で、だんだんと容量が低下していってしまいます。

⑤ ギア数(変速数、段数)|坂の変化への対応のしやすさで疲労が違う

ギア数は坂の上りやすさに大きな影響を与えます。

坂がきつくなるほど、本来は軽いギアに落として回転数を保つのが楽です。

本来はギア比をチェックすべきですが、e-bike以外はこれを公開していないモデルが多いので、次善の策としてギア数に注目しています。

ギアが1速や2速しかないと、坂道に対応するギアが細かく設定できず、「重すぎる・軽すぎる」というズレが出やすく、疲れやすくなります。

このような電動アシスト自転車は、坂が短い、あるいは勾配が緩い(体感で5%前後まで)エリア向きです。

メーカーによっては「ギアは1速だけれども、アシストレベルは3段階ありますよ」という商品説明をしていることもありますが、アシストレベルが多くあっても、ギアの代わりにならないので注意が必要です。

アシストレベルはモーターの力の出し方を変えるだけで、ペダルの実効的な“重さ・軽さ”の範囲を大きく変えられるわけではありません。

急な坂では、どれだけ高いアシストでも、ペダルは重く感じ、ケイデンス(回転数)が落ちる…
このような根本的な“ギア比”という物理的要素はアシスト段階では補いきれません。

次の表は、ギア数とそれに適している走行地域の目安です。

ギア数向いている走行地域
2速軽め〜中程度の坂道・街乗り中心
3速〜7速坂道が多い・起伏が激しい地域
8速以上山道でも使いたい人・高負荷運用

坂道に強い電動アシスト自転車の条件まとめ|登坂力の比較方法

ここまで説明しました、電動アシスト自転車のカタログを見るときの5つのポイントに、次のような点数付けをして、合計値の大きさで比べてみようと思います。

① モーターのトルク値(Nm:ニュートン・メートル)

これは軸を回転させる力です。

重み最大トルクの目安どんな坂を想定?一言コメント
1点〜40Nm程度ゆるやかな坂(傾き3〜5%)平地中心の利用に
2点40〜60Nm程度一般的な市街地の坂(傾き5〜8%)多くの場面で十分
3点60Nm以上急坂・荷物が重い・体格が大きい坂道の多い地域や体重のある人に最適

② モーターの位置

一般的にセンターモーター駆動の方がハブモーター駆動よりも登坂力が強いことが多いです。

2点…ハブ

3点…センター

③ センサーの方式

大きく「トルクセンサー式」と「速度センサー式」の2種類があり、坂道を上りやすいのは「トルクセンサー式」です。

2点…速度

3点…トルク

④ バッテリー容量(Wh、ワットアワー)

バッテリー容量が大きいと、坂道が多いところでも長い時間アシストが働きます。

重みおすすめ容量住んでいる環境
1点250~360Whゆるい坂が少しある
2点360~500Wh坂が多い住宅地
3点500Wh以上かなりアップダウンが多い

⑤ ギア数(変速数、段数)

ギア数が多く、坂の勾配に合わせてこまめにギアを変えられる方が、楽なペダル回転数を保てるので、登坂が楽です。

重みギア数向いている走行地域
1点2速軽め〜中程度の坂道・街乗り中心
2点37速坂道が多い・起伏が激しい地域
3点8速以上山道でも使いたい人・高負荷運用

2026年版|登坂力で選んだおすすめモデル比較

メーカーやショップのサイトを検索した結果、トルクを公表している14のモデルを見つけたので、それを比較してみたいと思います。

【調査結果についての注意】
2026年3月時点の仕様を基にしています。
また、各モデルの仕様や価格に関する情報は、筆者が自転車のメーカー・ホームページやネットショップを見て、一つ一つのモデルに関する情報を表に手入力して計算・作成しました。
そのため、間違いが含まれているかもしれませんので、自転車の購入などにこの表を参考にされる場合は、ご自分で興味のあるモデルの情報を確認してください。

比較結果―中価格帯

価格が25万円以下のモデルを先程の基準で評価し、合計点が高いものから順に並べた結果が次の表です。

なお、価格は同じモデルでもショップによって2,3万円違うことは普通にあるので、目安だと思ってください。

順位点数メーカー車種価格(目安)タイヤサイズトルク値モーター形式バッテリー容量(Wh)航続距離(km)センサーギア数重量
112CyrusherSonder
(折り畳み可)
約16万円20インチ40Nmリアハブ480Wh85kmトルク9速22.1kg
112ミヤタ・メリダCRUISE i URBAN CS 5080約21万円700C40Nmセンター360Wh90kmトルク7速23.4kg
112ERWAYA02
(折り畳み可)
約17万円20インチ42Nmリアハブ511Wh(ダブルバッテリー時)130km(ダブルバッテリー時)トルク8速23.4kg
211ERWAYA01
(折り畳み可)
約13万円20インチ42Nmリアハブ482Wh(ダブルバッテリー時)130km(ダブルバッテリー時)トルク7速19.8kg
211ミヤタ・メリダEX-CROSS e’22約15万円700C60Nmリアハブ313Wh72kmトルク8速22kg
310ERWAYA08
(折り畳み可)
約21万円20インチ42Nmリアハブ252Wh60kmトルク8速15.9kg
49ADOAir 20 Pro
(折り畳み可)
約20万円20インチ40Nmリアハブ345Wh100kmトルク2速オートマ変速18-21kg

同点で1位となった3つのモデルを紹介します。

1位(1/3)Cyrusher Sonder (折り畳み可)

中国の深センに本社を置くメーカーの自転車で、日本ではCyrusherの公式サイトや販売代理店を通じて展開されています。

サポートはCyrusherの日本窓口を通して提供されるようです。

折りたたみができる上、一般的な市街地の坂(傾き5〜8%)に適した、全体的にバランスがとれた性能です。

バッテリー容量は460Whと500Whにかなり近い数字なので、これを2点ではなく3点と評価すると、このモデルが単独一位です。

 

1位(2/3)ミヤタ・メリダ CRUISE i URBAN CS 5080

ミヤタサイクルはもともとは「宮田工業」の自転車部門で、現在は台湾のメリダの日本法人メリダジャパンの子会社となっています。

ミヤタが日本国内での製造・企画を担い、メリダがグローバル展開を担うという関係です。

この価格帯で比較した他のモデルは全部、モーター位置がハブですが、このモデルはセンターです。

 

1位(3/3)ERWAY A02 (折り畳み可)

ERWAYというブランドのメーカーは鑫三海(しんさんかい)という会社で、名前は中国っぽいですが、日本の企業です。

日本で企画・販売・サポートを行い、日本向けに設計・品質基準を調整した上で、中国での製造を行っています。

スペック的にはCyrusher Sonderと似ています。

バッテリー容量は、ERWAY A02は511Wh(ダブルバッテリー時)でCyrusher Sonderの480Whを少し上回っています。

ギア数はERWAY A02が8段と、Cyrusher Sonderの9段よりも1段少なくなっています。

 

比較結果―高価格帯

価格が25万円を超えるモデルを先程と同様に評価し、合計点が高いものから順に並べた結果が次の表です。

順位点数メーカー車種価格(目安)タイヤサイズトルク値モーター形式バッテリー容量(Wh)航続距離(km)センサーギア数重量
115ヤマハWABASH RT約44万円700C75Nmセンター500Wh約200km以上トルク11速約23kg
115ヤマハCROSSCORE RC約29万円700C75Nmセンター500Wh約200km以上トルク9速約23kg
214PanasonicXEALT S5約38万円27.5インチ90Nmセンター468Wh約99km(AUTOモード)トルク9速25.5kg
214ミヤタ・メリダCRUISE i 6180約34万円700C60Nmセンター418Wh105kmトルク10速19.0kg
312ERWAYA06
(折り畳み可)
約29万円18インチ75Nmセンター252Wh65kmトルク3速15kg
411ADOAir 20 Ultra
(折り畳み可)
約27万円20インチ40Nmリアハブ345Wh100kmトルク3速オートマ変速22.1kg
58ADOADO Air Carbon
(折り畳み可)
約33万円20インチ35Nmリアハブ345Wh100kmトルク1速14.5kg

まず、同点で1位となった2モデルを紹介します。

1位(1/2)YAMAHA WABASH RT

満点の15点で、グラベル・アドベンチャー走行向きのe-bikeです。

私も乗っていますが、何も不満な点は無く、嬉々として湘南の里山を駆け巡っています。

他のモデルと違い、ドロップハンドルなので手を置けるところ色々と変えられ、疲れにくい点を特に気に入っています。

詳しい感想は『YAMAHA WABASH RT:未舗装路も長距離も楽しめるオールラウンダーe-bikeの徹底レビュー』をご覧ください。

 

1位(2/2)YAMAHA CROSSCORE RC

このモデルも満点の15点で、通勤・フィットネス・街乗り指向のe-bikeです。

ハンドルはフラットバーで、フレームの寸法もWABASH RTよりも楽なポジションをとれるように設計されています。

WABASH RTよりも約10万円安い価格で販売されているので、コスパを重視すると、これが1位だと思います。

次は同点で2位となった2モデルを紹介します。

2位(1/2)Panasonic XEALT S5

街乗り・ツーリング・アウトドアを幅広くこなす“スポーツユーティリティ型”e-bikeです。

大きな特長は最大トルク90Nmの強力なセンターモーターで、数あるe-bikeの中でもかなり高い部類です。

体重がある人でもこれなら安心ですね。

また、普通のスポーツe-bikeは装備が少ないことが多いですが、S5は最初からサイドスタンドやアルミフェンダー(泥除け)、リアキャリアなど実用装備が多いところもいいです。

次は同点で2位となった2モデルを紹介します。

2位(2/2)ミヤタ・メリダ CRUISE i 6180

最大トルクが60Nmのシマノ製センターモーター(STEPS E6180)を搭載しています。

ギア数は10段と多く、スポーティな走りが楽しめそうです。

重量が19kgとクロスバイクタイプのe-bikeとしては軽めの部類です。

トルクが同じなら軽い方が登坂に有利なので、実走では期待が持てます。

試乗で失敗しないために|絶対チェックすべき7項目

カタログだけではわからないことも、実際に乗ってみると確認できます。

お店でデモ車に試乗するときは、以下の7つのポイントを意識してみてください。

可能であれば、お店の周辺の坂道で試乗させてもらうことをリクエストしましょう!

No.チェックする場面何を確かめるか
発進するとき(平地)ゆっくりペダルを踏み始めたとき、スムーズにアシストが動き出すか。
「ガクン」と急に出る感覚がないか。
坂道を登るとき力を入れて踏んだとき、それに応じてアシストが強くなる感覚があるか。
踏んでも変わらないなら感度が低い可能性あり。
ゆっくり登るとき時速5〜8kmほどの低速で坂を登れるか。
低速でもアシストがしっかり効いているか確認。
坂道の途中で止まって 再発進するとき一度停車してから坂道で再発進したとき、しっかりアシストしてくれるか(最も負荷が高い場面!)。
アシストモードを 切り替えるとき「強・中・弱」などのモードを切り替えたとき、体感で違いがはっきりわかるか。
差がわかりにくければ全体的に弱い可能性あり。
モーターの音坂道でがんばっているときに、モーターが大きく唸る音や異音がしないか(静かなほど余裕があるサイン)。
車体の重さと取り回し足をついたときに車体をしっかり支えられるか。
バッテリーが重くて傾きやすくないか。
乗り降りしやすい高さか。

おわりに

電動アシスト自転車のランキングは多くありますが、坂道性能を正しく評価しているものは意外と少ないのが現実です。

しかし、

  • トルク
  • モーター位置
  • センサー方式
  • バッテリー容量
  • ギア数

この5つを見るだけで、特に坂道の多い地域での乗り心地はかなり予測できます。

また、カタログの数字を少し読むだけで、「ランキングに振り回されない選び方」ができるようになります。

この記事が、これから電動アシスト自転車を選ぶ方にとって、納得のいく一台を見つける手助けになれば嬉しく思います。

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