自転車で急な坂を上るのは苦にならないですか?
絶景で名高い峠や山中にあるお寺の拝観に行ってみたら、激坂に遭遇しあえなく撃沈!
自転車を降りてゼーゼーハーハーと押して上り、きつい!… こんなこと、ありますよね?
この記事は、そんな激坂トラウマを持つあなたのために書きました。
一般に、8%くらいの斜度でややきつい、10%の長い坂だと上るのは厳しくなり、12%以上はいわゆる激坂で、あきらめるか、自転車を押して上ることになると言われています。
例え、急坂用のギヤを装備した自転車でも、激坂を上るのは難しいです。
(関連記事:『【苦行は卒業】輪行も激坂も楽々!折りたたみ自転車の失敗しない選び方』)
また、電動アシスト自転車(e-bike)であっても、体重が重めの人がモーターパワーがあまりないものに乗ると激坂は上れないことがあります。
(関連記事:『電動アシスト自転車のモーター位置で後悔しない選び方!坂道・乗り心地が劇的に変わる!』)
行き当たりばったりのサイクリングはスリルがあって好きという人もいますが、このような目に会いたくないと思う人は多いはず。
サイクリングルートを計画するとき、そのルートにある坂の最大斜度やその坂が現れる場所を簡単に知ることができれば便利ですよね?
そうすれば、そのルートを無理せず安全に走り切れるかどうか判断でき、迂回するルートを検討することもできます。
この記事ではこれを簡単にできるツールの使い方を紹介したいと思います。
世界最高峰の自転車レースと言われるツール・ド・フランスの山岳コースの最大斜度は、なんと24%から26%に達することがあります。
例えば、激坂で有名な、ラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユ。
最大勾配が24%にもなる区間があり、それが何キロも続きます。

ツール・ド・フランスの選手が激坂を登る際のパワーは、6W/kg以上がひとつの目安だそうです。
普通の人は2,3W/kg、市民レースに真剣に取り組んでいる人でも4,5/kgなので、超人ですね。
しかも、持久力、回復力も桁違いです。
彼らは、この高いパワーを長距離のレース(200km前後)で維持し、さらに連日それを繰り返すことができます。
目 次
Googleマップでは物足りない
Googleマップのルート検索で、歩行者モードや自転車モードを選択すると、標高グラフが表示されます。
これを使って、ルート全体の高低差をざっくり把握できます。
✅ 手順
- Googleマップで出発地と目的地を入力
- 「自転車モード」または「徒歩モード」でルート検索
- 画面左下の「標高グラフ」を見る
次の図は箱根のルートのGoogle地図です。
高さの傾きの変化から傾向は分かりますが、斜度%は表示されないので、なんとなくの印象しか得られません。

無料のツールで簡単に最大斜度と平均斜度を知る方法
方法の概要
Googleマイマップ(勿論、無料)と Ride with GPS(無料プランの機能でOK)を使い、次のステップで簡単にできます。
- Googleマイマップを使い
- ルートを作成
- 「KML」形式でエクスポート
- Ride with GPSを使い
- ログイン(無料アカウントでOK)
- 「ルートをインポート」からKMLファイルをアップロード
- 平均斜度や最大斜度、標高グラフを確認
最初は慣れないかもしれませんが、数回、やってみると、調べたいルートの斜度を数分で確認できるようになりますよ。
『Ride with GPS』の概要
Ride with GPS を使って驚いたのは、米国の企業が提供しているサービスであるにもかかわらず、日本の地図データも非常に詳細にカバーしていることです。
次の表のようにナビ機能やルートの編集などが必要なら、有料プラン(プレミアム)がお勧めですが、この記事のテーマである、斜度を調べるだけであれば、無料プラン(スターター)の機能でできます(2025年9月現在)。
| 機能 | 無料(スターター) | 有料(プレミアム) |
|---|---|---|
| GPX・KMLインポート | ✅ | ✅ |
| 標高・斜度表示 | ✅ | ✅ |
| ターンバイターン音声ナビ | ❌ | ✅ |
| ルートのカスタム編集(POI追加など) | △ | ✅ |
| オフラインマップ | ❌ | ✅ |
スマートフォンでも使える?
iOS・Androidのアプリはあります。
けれども、大きな画面で地図や標高をみられるPC版の方が斜度の確認などはしやすいです。
使い方の例
山登り区間として有名な箱根駅伝5区のルートを例に、斜度を調べてみましょう。
ちなみに、このルートは神奈川県の坂好きな自転車乗りに人気があります。
私も挑戦したことがありますが、途中の急坂では心拍数が爆上がりし、足をつかずに上りきるのは無理でした。
Googleマイマップでルートを作成しKML形式でエクスポート
1. Googleマイマップにアクセス
Googleアカウントにログインした状態で、以下のURLにアクセスします: https://www.google.com/mymaps
「新しい地図を作成」をクリックして、新しいマップを作ります(次の画像)。

2. 作った地図の管理がしやすくなるよう、名前を付ける(任意)
初期状態では次の画像のように「無題の地図」と表示されています。

作成する地図が分かりやすくなるように、地図に名前を付けます。
それには、左上の「無題の地図」をクリックして、表示されるメニューに地図のタイトルや説明を記入し、『保存』をクリックします。
ここでは「箱根駅伝5区のルート」と名前を付けました。

3. ルート作成ツールでルートを引く
次の画面が表示されるので、右上のメニューにある「ルートを追加」(道のアイコン)をクリックします。

出発地や経由地、目的地は次のように入力します:
ア)「A」(出発地)を指定(この例では、『鈴廣かまぼこの里』。箱根駅伝5区のスタート地点はこの近くです)
↓
イ)「B」(目的地)を指定(この例では、『箱根海賊船 箱根町港』。5区のゴール地点はこの近くです)
入力すると、地形に沿って自動でルートが描画されるので、必要に応じて、地図上でルートをドラッグして微調整します。
次の地図はマイマップで箱根駅伝5区のルートを作成したものです。
この地図をエクスポートするためにメニュー(3つの縦に並んだ点)をクリックします。

次に、この地図をエクスポートするためにメニューから『KML / KMZ にエクスポート』を選びます。

次の選択画面が表示されるので、『KMZではなくKMLにエクスポートします。・・・』とある□をチェックします(KMZ形式のファイルはRide with GPSでインポートできません)。

Ride with GPSでファイルをインポートし、斜度を確認
Ride with GPS(https://ridewithgps.com/)のホームページの右上の『始める』をクリックし、無料アカウントを作成します。

いきなり無料プランのユーザーになる方法は無く、先ずは『7日間の無料トライアルでプレミアムを試す』の料金プランを選び、支払い方法を入力する必要があります。
この無料期間のトライアル期間中にプレミアムプランを解約すれば、無料プラン(スターター)のユーザーになるので、プレミアム・プランを選ばない場合は、指定された日までに忘れずに解約してください。
斜度チェック機能は、プレミアムを解約した後も、無料のスタータープランで継続利用できます

次の画像がメインページで、左に並んでいるメニューの中から『アップロード』を選択します。

次の画面が表示されるので、アップロードするファイル(先ほど、Googleマイマップで作成したKMLファイル)を指定します。

ファイルを指定すると次の画面が表示されるので「ルートとして保存」を選びます。

アップロードが終わると、次の画面になるので、『完了』を選びます。

次に、左のメニューから『ルート』を選択します。

作成したルートが登録されているので、右端の『V』をクリックします。

次のように、ルートの概要が表示され、このルートの最大勾配は18.2%と分かります。

より詳細情報を見るには、次の画像のように、『詳細をフルで表示』をクリックする。

次の画像のように、より大きい地図が表示されました。

次の画像のように、地図の下にある『勾配』のボタンをクリックしてオンにし、他のボタンをオフにすると、勾配の詳しい情報が見やすく表示されます。

好きな地点を選ぶとその場所の斜度を知ることができます。
たとえば、このコースの最大斜度は18.2%ですが、その地図上の位置を知ることができます。
次の画像のように、下に表示されている斜度のグラフを見て、最大斜度のところ(この例の場合、18.2%)のところにカーソルを合わせると、上に表示されているルート上にその場所が示されます(オレンジ色の丸)。
これを見るとこの激坂はごく短いことも分かります。

Googleマップでは分からない細かい勾配が、この方法なら一目瞭然。
『Ride with GPS』様様です。
また、次の画像の左側にあるように、路面が舗装されているかどうかを教えてくれます。
この例のコースでは100%舗装ですね。
グラベルバイクなどで未舗装の道を走ってみたい人には有益な情報ですね。
さらに、路面情報の下に、ルートをクライムと下りに分けて、それぞれの区間の距離と斜度を教えてくれます。
上りにも細かなアップダウンがありますが、このアプリは小田原から国道1号線最高地点(標高874m)までを上り基調、そこから芦ノ湖までを下り基調と自動的に判断したようです。
すばらしすぎます!

なお、次の画像の右側のように、操作中も地図の種類は変更できますが、斜度確認にはRWGPS地図が最適です。
OSM(OpenStreetMap)は細道や林道も網羅しているところが特長です。
Google Mapは見慣れた表示で安心というところですね。

おわりに
GoogleマイマップとRide with GPSを使い、サイクリングルートにある坂の最大斜度とその坂が現れる場所を簡単に知る方法を紹介しました。
これが無料でできるなんて最高です。
これがあれば、激坂で足をついたり、諦めて引き返す悔しさを避け、程よい疲れ具合で登りきれる達成感を味わえます。
使ったことがない方は是非、試してみてください。




























