WABASH RTのチューブレス化のやり方を写真で解説|初めてでもできる実践マニュアル

タイヤ前後で754gの軽量化、バッテリーは約1割長持ち——
比較的簡単なタイヤ交換作業で、ここまでe-bikeの走りが変わるとは思いませんでした。

前回の『e-bikeユーザー必見! チューブレスタイヤで走りが激変する理由とは?』という記事で、「チューブレス化とは何か」、「そのメリット・デメリットは何か」などを紹介しました。

この記事では、サイクリングの90%は舗装道路を走っている筆者がより良い乗り心地とバッテリー消費の効率化を求めて、YAMAHA WABASH RTをチューブレス化したときの作業手順とその結果を紹介します。

代える前のタイヤはWABASH RTの標準タイヤである MAXXIS「RAMBLER 700×45C」で、これをパナレーサーのチューブレスレディタイヤ「グラベルキング R 700×35C」に代えました。

WABASH RT以外の自転車でも基本的に作業は同じですので、自分の自転車もチューブレス化してみようかなと考えている方の参考になれば幸いです。

タイヤをチューブレス化のために準備するもの

タイヤのチューブレス化には次のものが必要です。

品名説明
チューブレス対応のホイール普通のクリンチャー用ホイールではなく、チューブレスに対応しているホイールが必要です。
多くのホイールでは、リムの側面や製品の説明に「チューブレス対応」や「Tubeless Ready」などの表記がされています。
チューブレス対応タイヤメーカーにより変わりますが、 TLR / TR(チューブレスレディ)、TLC(チューブレス・コンパティブル)といった表記のあるタイヤです
チューブレスバルブリム高により適切な長さのものを選択
チューブレスリムテープ幅はリム内寸に合ったものを選択
チューブレスシーラントStan’s、Muc-Off、パナレーサーなど
シーラント インジェクター
(シリンジキット)
シーラントを注入するためのシリンジ(注射器)です。
シーラントを直接バルブに注げるパウチ型のシーラントの場合、これは不要です。
空気入れ
(または、空気圧縮機や チューブレスタイヤ用インフレーター)
フロアポンプでビードが上がらない場合、空気圧縮機やチューブレスタイヤ用インフレーターが必要になることもあります
タイヤレバータイヤのリムへの装着や取外しに使います。

 

あと、重たいe-bike(電動アシスト自転車)を持ち上げて、ディスクブレーキなどに傷を付けないよう、これまた重たいホイールを外したり取り付けたりするには、作業用スタンドはほぼ必須だと思います。

作業効率が良くなるだけでなく、より安全に作業できます。

キャプテンスタッグの自転車メンテナンススタンド

次のスタンドを私は使っていますが、40kgまでの荷重をしっかり支えられ、しかもリーズナブルな価格なので、重たい電動アシスト自転車のメンテナンスにお勧めです。
(なお、『サクラチェッカー』の評価は 4.79/5 と非常に高評価です)

チューブレス化のために選んだアイテム

私が使用した具体的な商品を紹介します。
選ぶにあたってちょっとしたコツがあるので、それも説明します。

なお、WABASH RTのホイールはチューブレス対応なので、これはそのまま使用しました。

チューブレス対応タイヤ:パナレーサー「グラベルキング R 700×35C」

YAMAHA WABASH RT標準のタイヤ、MAXXIS社製の「RAMBLER 700×45C」もチューブレス対応なのですが、より楽に早く走れることを期待して、もっと細いチューブレス対応タイヤを選ぶことにしました。

チューブレス対応のタイヤの商品には「TUBELESS READY」や「TLR」、「TR」、「チューブレスレディ」、「TLC」(チューブレス・コンパティブルの意味)などと書かれています。

チューブレス対応のマークの例

私は評価が高い「パナレーサーのグラベルキング R」で、サイズが700×35Cのものを選びました。

WABASH RTのリムの幅から言って、これより細いタイヤは安全上、お勧めしません。

太いタイヤを細いタイヤに代えるとき、思いっきり細いタイヤに代えて、変化をよく感じたいと思う方もいると思います。
けれども、リム幅に対してタイヤが細すぎると、タイヤが変形しやすくなったり、リムからタイヤが外れるリスクが高まります。

では、どうすれば許容できる最小のタイヤ幅を知ることができるでしょうか?
それには、次の簡易計算式を使います:
  推奨最小タイヤ幅 ≈ リム内幅 × 1.4〜1.6

この式によれば、WABASH RTのリムの内幅は22mmなので、次の計算のようにタイヤの最少幅は32cとなります:
  最小推奨:22 × 1.4 = 30.8mm → 約32c

つまり、28cや25cのタイヤは細すぎて不適ということですね。
私は安全性を考慮し、一つ上の幅の35cを選びました。


「グラベルキング」には様々なモデルがありますが、私の場合は9割方、舗装路を走っているので、オンロード やライトグラベルに適したR」モデルを選びました。

 

たまに荒れ地を走りたくなったら、WABASH RTに元々付いていた「RAMBLER 700×45C」タイヤに戻せば良いと考えました。

次の写真のように、タイヤの幅が45cから35cと大幅に細くなり、トレッドもゴツゴツから滑らかなものになって、乗り心地が大きく変わることを期待しました。

左がパナレーサーの「グラベルキング R 700x35c」、
右がMAXXISの「RAMBLER 700×45C」

e-bike(電動アシスト自転車)のタイヤ幅を細くする分には、電動アシスト自転車のスピード制限に関する法令違反にはなりませんが、太くすると違反になる可能性があります。
詳しくは『電動アシスト自転車のタイヤ交換で法令違反? 知っておくべき重要ポイント』の記事をご覧ください。

チューブレスバルブ:IRC「フォーミュラ プロ チューブレスバルブ」

チューブレスバルブの長さは、ホイールのリム高に応じて、長すぎず短すぎないものを選ぶ必要があります。

私が購入したのは、IRC の「フォーミュラ プロ チューブレスバルブ」で、長さは50mmです。

チューブレスリムテープ:パナレーサー「TLR リム用リムテープ」

ここがポイント👉:必要なリムテープ幅は「リム内幅」によって決まり、推奨サイズ(目安)は次のとおりです:

  • リム内幅が 17mm なら、リムテープの幅は 20mm 程度
  • リム内幅が 19mm なら、リムテープの幅は 22mm 程度
  • リム内幅が 21mm なら、リムテープの幅は 24mm 程度
  • リム内幅が 23mm なら、リムテープの幅は 26mm 程度

YAMAHA WABASH RTの場合、「リム内幅」は22mmなので、25mm幅のテープにしました。

購入したのは、次のパナレーサーの商品です。

チューブレスシーラント:IRC「チューブレスレディースタイヤ用シーラント」

チューブレスレディ(TLR)のタイヤにはラテックス系のものを選びます

シーラントの商品説明に成分の確認して購入しましょう。

私はサクラチェッカーで4.39/5と評価が高く、価格もリーズナブルな次のIRCのものを選びました。

シーラント インジェクター:THINVIK「チューブレス シーラント インジェクター」

タイヤ内にシーラントを注入するのに、インジェクター(注射器)とホースを使います。

サクラチェッカーの評価が4.50/5と非常に高かったので、次のシリンジキットを選びました。

チューブレス化にかかった費用

片輪のチューブレス化にかかった主な費用(私が購入した時点の税込価格)は次のとおりです:

項目商品名金額(目安)
チューブレス対応タイヤパナレーサー グラベルキング R(700×35C)約6,000円/本
チューブレスバルブIRC フォーミュラプロ チューブレスバルブ(2個入り)約1,500円
チューブレスリムテープパナレーサー TLT-25(25mm幅・10m)約1,200円
チューブレスシーラントIRC TIRE シーラント 500ml約2,000円
シーラント インジェクターTHINVIK「チューブレス シーラント インジェクター」約1,400円
合計(片輪)約12,100円

※前・後輪、両輪をチューブレス化する場合は、上記にプラスしてチューブレス対応タイヤがもう1本必要になるので、18,100円くらいの費用になります。

チューブレス化の作業は意外と簡単!

それでは上記のアイテムを使ったチューブレス化の作業手順の説明をします。

事前準備として、クリンチャー用のリムテープが貼られている場合は、たとえ真新しく綺麗であっても剥がしておきます。

私のYAMAHA WABASH RTの場合、次の写真のように白いリムテープが貼ってあったので、これを取り除きました。

YAMAHA WABASH RTのクリンチャー用リムテープ ⇒ これは取り除く

手順の全体的な流れと時間の目安

タイヤとチューブを外したホイールだけの状態から、チューブレスタイヤを装着完成までのおおまかな手順は次のとおりです。
なお、()内の時間は、私がかかった時間で大体の目安です。

作業の全体的な流れ
  1. リムの清掃 (2分)
  2. チューブレスリムテープの貼り付け (8分)
  3. チューブレスバルブの取り付け (3分)
  4. タイヤ装着 (7分)
  5. シーラントのタイヤへの注入 (10分)
  6. 空気注入とシーラントの馴染ませ (15分)
    ――――――――――――――――――――
    ここまでで合計45分
  7. 初期チェック・仕上げ (1〜2日ほど放置し空気漏れがないか確認)

初めて行う方は、色々と調べながら作業するでしょうから、①~⑥までは上記の時間の倍程度を見ておくとよいと思います。

それでは、各作業を詳しく紹介します。

1. リムの清掃

そうしておいて、チューブレス対応の専用リムテープの密着性が良くなるように、ホイールをきれいに掃除し、旧リムテープや異物、油分が残っていないようにします。

リムを丁寧に拭いて綺麗にする

私はMuc-Off(マックオフ) 自転車専用洗剤「ナノテックバイククリーナー」という製品を使用しています。

この製品は金属、プラスチック、ゴム、シールに対して安全であり、バイオ分解性の成分を使用しているため、リム素材を傷めることなく環境にも優しいのでお勧めです。

クリーナーをリムに塗付したら、清潔なウエスやキッチンペーパーで丁寧に拭き取り、完全に乾燥させます。

2. チューブレスリムテープの貼り付け

貼り始めの位置はバルブホールの少し手前、10cmくらいにします(次の写真)。

後で説明しますが、貼り終わりをバルブホールを少し通り過ぎたところにすることで、バルブホールの付近が二重貼りになって、密閉度が高まります。

リムテープ貼り付けの開始位置

テープを引っ張りながら、指の腹でテープをリムの中央から左右のヘリに向かって押さえながら、20~30cmずつ貼っていきます(次の写真)。

リムテープを引っ張りながら貼っていく

貼り終わりの位置は、バルブホールを超えて、約10cmの位置までです。

リムテープの終わり位置

先に説明したように、こうすることで、バルブホールの付近は二重重ねになり、密閉度が上がります。

自転車屋さんによっては完全に二重巻きするところもあるようですが、私の経験ではバルブホール付近だけの二重重ねで問題ありません。

貼り終わったら、念のために、特にテープの左右の端がリムに密着するようにしっかり押さえます。

指の腹は面積が大きいので押しづらいため、私の場合、100均で購入した綿棒の頭を指で押さえてぐるっと一周、テープを念入りに押さえました(次の写真)。

100均の綿棒の頭を押さえてテープを更に密着させる

テープの終わりの端は斜めにカットすると、後ではがしやすくなります(次の写真)。

テープの終わりは斜めにカット

3. チューブレスバルブの取り付け

次は、バルブを取り付ける穴をリムテープに開ける作業です。

リムにあるバルブホールの位置にこの穴を開けるわけですが、開ける位置が分かりにくいので、反対側(内側)から細いもので跡を付けると良いでしょう(次の写真)。

反対側から先の尖ったもので、バルブホールの位置に跡を付ける

次に手前から先程付けた跡(目印)のところに先の尖ったもので穴を開けます。

私の場合、千枚通しを使いました。

ここがポイント👉: 穴を大きく開けすぎるとエア漏れの原因になるので、バルブがキツめに入る程度の小さ目の穴を開けるのがコツです(次の写真)。

先の尖ったもので、バルブホールに穴を開ける

バルブを開けた穴にバルブを入れる前に、次の図のように、ゴムパッキンをバルブの根本に移動しておきます。

ゴムパッキンを根元に移動

開けたリムのバルブ穴に、チューブレス専用バルブを取り付け、バルブの根本をリム側から押さえながら、専用のバルブナットでしっかりと固定します。

こうして、空気漏れ防止のため、ゴムパッキンがリムに密着するようにします。

バルブをリム側から押さえながら、バルブナットをしっかりと固定

次の写真が取り付け終わったところです。

バルブの装着完了

4. タイヤ装着

いよいよ、タイヤの装着です。

私はタイヤに向きがあることを忘れて、初め、反対方向に付けてしまいましたが、装着の前に、タイヤに向きを確認する必要があります。

今回装着するパナレーサーの「グラベルキング R」の場合、タイヤのサイドに回転の向きの矢印(⇒)が刻印されているので(次の写真)、この矢印の方向にタイヤが回る向きにします。

タイヤの向きのマークに注意

始めにタイヤでリムをすっぽりと覆います。

まずは、リムをタイヤでスッポリ覆う

そうしたら、まずは片側のビードをはめます。

リ ビードとは「タイヤのふち」のこと

タイヤのビードとは、タイヤの内側の端(ふち)の部分で、リム(金属のホイール部分)にはまるところを指します。
「タイヤがリムにガッチリとつかまるための爪」みたいなもので、タイヤとリムをしっかりと固定してくれます。
空気の圧力でタイヤが外れないようにする、大切な役割を果たしています。

◆ チューブレス化においてビードは超重要!

チューブレス化では、タイヤとリムの密閉性がとても重要になります。
このとき、ビードがしっかりとリムに密着しているかどうかが成否を分けます
チューブレスタイヤ用のビードは専用設計で、リムとの密着性が高いように作られています。
ですので、タイヤレバーなどでビード部を傷つけないように作業することがとても大事になります。

装着の開始はバルブの反対側(対角側)からです。

ここがポイント👉: 最後の方になるとビード部をはめるのに力が要りますが、ビード部の保護のため、ビード部の裏側を擦るようにしてはめます

また、タイヤレバーを使うときは、金属製ではなく、プラスチックの方がビードに優しいので、ベターだと思います。

次の写真は片側のビードをはめ終わったところです。

片側のビードをはめ終わったところ

方側のビード部がはまったら、もう反対側のビード部をはめます。

最後の部分はすんなりとはまらず、苦労することが多いと思います。

ここがポイント👉: うまくはめるコツは、前準備として、既にはめているビードのセンター落としをすることです。

「センター落とし」とは、ビードをリムの中央の一番凹んだところに落とす(寄せる)ことです。
こうすることで、すきまの余裕が生まれてはめやすくなります(次の写真)。

「センター落とし」をしておくと、最後にはめ易くなる

ビードをはめ終わったら、リムにしっかり入っていることを確認します。

両側のビードをリムにはめ終わったところ

5. シーラントのタイヤへの注入

タイヤをリムに装着したら、いよいよシーラントの注入です。

シーラントの注入と空気を入れるタイミングには次の2つがあります:
1) シーラントを注入する前に、一回、空気を入れてビードを上げ、その後、バルブコアを外してシーラントを入れて、再度空気を入れるやり方
2) 先にシーラントを入れてから、空気を注入する方法
私の場合、後者の2)のやり方で行っています。
この方がシーラントが隙間をふさぎやすく、ビード上げがしやすくなるのがその理由です。

1) シーラントを入れられるようにバルブコアの取外し

シーラントをタイヤに注入するのに、タイヤの片側のビードを少し外して、その隙間からシーラントを入れる方法もありますが、ここではシリンジとホースを使ってバルブから注入する方法を紹介します。

バルブに付属している専用レンチを使ってバルブコアを外します(次の写真)。

バルブに付属している専用レンチを使ってバルブコアを外す
バルブコアを外したところ

バルブコアを外したバルブの位置は真下ではなく、次の写真のように少し、ちょっと横のところにして、シーラント注入の際、バルブのところからシーラントが漏れないようにします。

バルブの位置は真下でなく、少し、横になるようにする

2) シーラントをタイヤに注入

シリンジに吸い込む前にシーラントの容器は良く振っておきましょう。

ここがポイント👉: 使用するシーラントの量は、一般的にタイヤ幅の約1.5倍の量(ml)とされています。
ですから、35c幅のタイヤなら53ml(= 35 x 1.5)となります。

「チューブレスタイヤに注入するシーラントは多い程、しっかり密閉してくれるから、多量を入れた方が良いのでは?」と思いませんか?
けれども、シーラントは「多ければ良い」というものではなく、適量を守ることが非常に重要です。
過剰に入れると次の問題が起こってしまいます:

  1. ホイールバランスが崩れる
    • タイヤ内部で液体が偏りやすくなり、走行中に振動が発生することがあります。
  2. タイヤ内で固まりやすくなる
    • 多すぎると乾燥や凝固のリスクが高まり、シーラントが本来の性能を発揮できなくなります。
  3. 重量増による走行性能低下
    • 不必要に重くなり、回転部分の慣性が大きくなることで、加速や登坂で不利になります。

まず、上記の量をシリンジに吸い込みます(次の写真)。

シリンジにシーラントを吸い込む

シリンジの先に付けたホースをバルブの穴からタイヤの中に入れ、シリンジのピストンを押してシーラントをタイヤに注入します。

このとき、勢いよく入れず、ゆっくりシーラントを入れていくのがポイントです。

シーラントはゆっくりと注入する

3) ホースを抜いて、バルブをしっかりと締める

ホースをタイヤから抜いて、次に、バルブコアを締めます(次の写真)。

バルブコアを付け戻す

最後に、布などで拭いてバルブ周りを綺麗にします。
シーラントがバルブについたまま放置すると固着してバルブを開けられなくなります。

使ったシリンジやホースは次の一口メモのように、早い目に掃除をします。

掃除は、すぐに行うことが大切です。
シーラントは水性で洗いやすいですが、時間が経つとゴム状に固まり、除去が困難になります。

◆ 掃除のために用意するもの

  • 水道水(ぬるま湯がベター)
  • 中性洗剤(台所用でOK)
  • 細めのブラシ(ストロー用ブラシなどが便利)
  • ペーパータオル or ウエス

手順

  1. できるだけ残ったシーラントを排出
    シリンジを空にして、中の残りはペーパーなどで拭き取ります。
  2. 水洗い(すぐに)
    シリンジとホースにぬるま湯を通して、シーラントをある程度洗い流します。
  3. 中性洗剤で洗浄
    シリンジに中性洗剤を少し入れて水を加え、何度かピストンして内部を洗います。ホースにも洗剤入りの水を通しましょう。
  4. 必要ならブラシでこする
    落ちにくい部分はストロー用ブラシなどで軽くこすります。
  5. よくすすぐ
    洗剤が残らないよう、しっかり水ですすぎます。
  6. 乾燥させる
    完全に乾燥するまで、分解して風通しのいい場所に置いておきましょう。シリンジを逆さにすると水が抜けやすいです。

6. 空気注入とシーラントの馴染ませ

タイヤがバルブベースを覆っていることを確認してから空気を入れます(次の写真)。
もし、しっかり覆っていないと、いくら空気を入れてもタイヤは膨らみません。

タイヤがバルブベースを覆っていることを確認

シーラントが漏れ出ないように、バルブの位置は真下ではなく少し斜め上の方にして、フロアポンプやコンプレッサーで空気を入れます。

ビードがリムにうまくはまるとバンと大きな音がするとよく言われますが、次の「一口メモ」に書きましたように、バンという音がしないからといって、必ずしも失敗ではないこともあります。

安心してください!
「ポン」という音がしなかった=ビードがはまっていないとは限りません。

◆ ポンという音がしない場合もある理由

  1. ビードがスムーズにはまった
    • タイヤとリムの相性が良く、ビードが滑らかに上がった場合、「ポン」という大きな音はせず、静かに密着することがあります。
  2. すでに片側のビードがはまっていた
    • 作業前に片側のビードがリムにしっかりはまっていた場合、残りの側だけでは大きな音がしないこともあります。
  3. 低圧のままでビードが密着している
    • 十分な空気圧になっていないと、音が出るほど勢いよくはまらない場合があります。ただし、それでも密着していれば問題ないこともあります。

◆ 確認すべきポイント

以下を確認すれば、ビードがちゃんとはまっているかを判断できます。

確認ポイント詳細
🔍 タイヤサイドのビードラインタイヤの側面にある「均一な線(ビードライン)」が、リムの縁から等間隔で見えていればOKです(リムとタイヤの間に線が隠れていたり、波打っていたらNG)。
💨 空気が漏れていないか空気を入れた直後から、シューッという音がせず、1、2日ほどで大きく空気が減っていなければOK。
💦 シーラントの滲みがないかリムのビード部分やバルブ周辺から白い液体(シーラント)が染み出していなければ密閉できています。

◆対処が必要な場合

  • 空気がどんどん抜ける
  • ビードラインが一部だけずれている

この場合は、以下の対応をしてください:

  1. 一度空気を抜く
  2. タイヤを手で揉んでビードをリムにはめ直す
  3. シーラントを回すためにタイヤを振る or 回す
  4. フロアポンプまたはコンプレッサーで一気に空気を入れる

【うまくビードが上がらないときの対処法】
こんな場合、次の手を試してください:
・リム底からビード部にかけ石鹸水を塗付する
・リム底が深い場合、チューブレスリムテープを何重か巻いて底上げをする

「うまくビードが上がらないのは空気圧が足らないからだろう」と思って、タイヤの最大適正空気圧を超えて空気を入れるのは推奨されません
リムやタイヤが破損するリスクがあり、非常に危険です。

重要!:シーラントのなじませ
注入したシーラントがタイヤ内で行きわたるようにすることが、空気漏れを防ぐのに重要です。

私が行っている方法は次の写真のように、ホイールにアクスルシャフト(車軸)を挿して保持し、もう片方の手でホイールをくるくる回す方法です。

その際、アクスルシャフトの角度やタイヤの上下を変えて、まんべんなく中のシーラントがタイヤ内に行き渡るようにします。

ホイールにアクスルシャフトを挿してホイールを手でくるくる回す

さらに、その後、タイヤを床にあてて振動を加える(パナレーサー社の推奨方法)ことをタイヤの全周に対して行います。
こうすることで、より確実にシーラントがタイヤ内に行き渡ります。
次のYouTube動画の18分50秒辺りから、その実演を見ることができます。

数時間置いてから空気圧を再確認し、問題が無ければ完成です(次の写真)。

数時間放置して、空気が抜けないことを確認

7. 初期チェック・仕上げ

さらに、1〜2日ほど放置し、空気漏れがないかチェックします。

24時間で80%以上の空気圧を維持できていることが目安。

微量の漏れはシーラントが塞いでくれることが多いですが、漏れが続く場合は… 残念! 施工のやり直しが必要です😢

チューブレスタイヤのメンテナンスのポイント

チューブレスタイヤならではのメンテナンスの重要点がありますので紹介します。

空気圧管理

通常のチューブタイヤよりも空気圧管理がシビアです。

数日に1回チェックします。

シーラントの補充

一般的に 3ヶ月に1回 の点検・補充が安心です。

次の表は季節や環境に応じた補充頻度です。

季節・環境シーラントの補充目安
夏場(気温高め・乾燥)2〜3ヶ月ごと
冬場(気温低め・湿度あり)3〜6ヶ月ごと
湿度が高い地域・屋内保管4〜6ヶ月程度
週1以上の頻度で走行する場合3ヶ月以内推奨

シーラントは完全に乾く前に追加することで効果を維持できます。

シーラントが乾燥しているかの確認方法には次の3つがあります:

  1. タイヤを振って音を確認する方法(最も簡単)
    ホイールを外して、上下・左右に振る
    「チャポチャポ音」がすればOK、音がしない場合は乾いている可能性大。
  2. バルブコアを外して覗き込む
    バルブのコアを外し、タイヤ内部をライトで照らしてみる。
    液体が見えなければ乾燥気味です。
    注意:シリンジで内部を汚さず確認するには、タイヤを寝かせて静かに行うのがポイント。
  3. タイヤの一部を外して目視する(確実だが手間あり)
    片側のビードを外し、内部の状態を直接チェック。
    ドロドロしていたら追加不要、乾いて粉状なら要補充
    ついでに内部の汚れや固まりも掃除できます。

実際に走ってみた感想

実走の感想を述べる前に、今回のタイヤの交換でかなりの軽量化ができたことを紹介します。

前後輪で754gもの軽量化

チューブ入りの太いタイヤ「MAXXIS RAMBLER 700×45C」から、チューブレスの細いタイヤ「パナレーサー グラベルキング R 700×35C」に前後輪のタイヤを交換しました。

タイヤ1本あたりの重量で比較すると、
● Before::772g(MAXXIS RAMBLER 700×45C 554g + タイヤチューブ 218g)
● After::395g(パナレーサー グラベルキング R 700×35C 340g + シーラント 55g)
その差、377gですから、両輪では754gの軽量化で、これはかなり大きいです。

自転車の走行性能を向上させるうえで、タイヤやホイールの軽量化は特に効果が大きいとされています。

その理由は、回転する部品には「慣性モーメント」という力が働くためです。
これは「質量×半径²」で決まるため、タイヤのように外周にある重量は、フレームなど中心に近い部品よりもはるかに大きな影響を及ぼします。

つまり、同じ重さを軽くする場合でも、タイヤやリムを軽くする方が「漕ぎ出し・加速・登坂」などで効果が体感しやすいのです。

しかも、e-bikeの場合はバッテリー消費効率にも貢献するため、回転体の軽量化は非常にコスパの高いカスタマイズといえるでしょう。

チューブレス化の走行能力への影響

走行能力がBeforeとAfterでどう変わったかを次のように表にまとめました。

項目Before(MAXXIS RAMBLER 700×45C)After(パナレーサー グラベルキング R 700×35C)感覚的な変化
走行時の転がり抵抗高い(太くてゴツゴツしたタイヤ、チューブ入り)低い(細くて滑らかなタイヤ、チューブレス)軽くなり、特にスタート時が軽くなった
静粛性や振動やや大きい(ゴツゴツしたタイヤ)静か(滑らかなタイヤ、ロード向け)より静かになり、振動もやや減少した
クッション性高い(太いタイヤで衝撃吸収性が良い)少し低い(細いタイヤで若干低下)細くしたことでタイヤ内の空気ボリュームは減ったが、チューブレスなので空気圧を下げた結果、特に変わらない
坂道の上り易さ上りにくい(転がり抵抗が大きく重いタイヤ)上りやすい(転がり抵抗が少なく軽いタイヤ)軽く感じる
バッテリーの持ち短い(転がり抵抗が大きくエネルギー消費が多い)長い(転がり抵抗が少なくエネルギー効率が良い)より長く走れます
(実測で約1割増し)

上記の「バッテリーの持ち」については、実際に走ってみた結果、次のように良くなりました。

【テストの環境】
● コース:31kmで、急坂は無いが普通の坂が多くある
● アシストモード:Automatic/オートマチック

【テストの結果:31km走った後の、走行可能距離の減少】
● Before(MAXXIS RAMBLER 700×45C):18km減少
● After(パナレーサー グラベルキング R 700×35C):16km減少
つまり、約1割バッテリー消費が改善されました。

総合的に見ると、舗装路メインの私の使い方にはグラベルキング35cの方が圧倒的に相性が良く、走行がよりスムーズになり、バッテリーの節電効果も高まっているように感じます。

これからは用途に応じて、「軽快な走りの35cチューブレス」と「安定感・走破性重視の45c RAMBLER」を使い分けるスタイルで楽しんでいこうと思います。

おわりに

チューブレス化は難しそうに見えて、実際にやってみると意外とシンプルで、私のような器用でない人間でもできました。

正直、最初は不安でいっぱいでした。「本当に自分にできるのか?」と、緊張しながらリムテープを貼っていたのを覚えています。

ビード上げも事前にネットで調べた“センター落とし”を試したら見事に一発で成功!
その瞬間、心の中で「やった!」と喝采を叫びました。
コツをつかめば、自分でもちゃんと完成できると実感しました。

何より、タイヤの転がりが軽くなり、細かい振動が軽減されたことで、乗り心地が明らかに良くなり、バッテリーの持ちも改善された結果に満足しました。

e-bikeにとってチューブレス化は、単なるパーツ交換ではなく、走行性能全体をグレードアップするカスタマイズだと感じました。

今後はシーラントの補充や空気圧の管理など、チューブレスならではのメンテナンスにも気を配っていきます。

この記事が「ちょっと不安だけど、やってみたい」という方の参考となれば幸いです。

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