電動アシスト自転車のモーター位置で後悔しない選び方!坂道・乗り心地が劇的に変わる!

電動アシスト自転車(e-bike)を選ぶとき、様々な願望があると思います。

「荷物を沢山積んでも、急な坂を楽に上りたい」

「遠乗り中にパンクしたとき、修理しやすいのがいい

「走行中、ウィンウィンとうるさいモーター音がするのはダメ」

また、「とりあえず電動アシスト自転車を買ったけど、良くない面も分かって、もっと慎重に選べば良かった」という後悔の声も聴きます。

私は前輪にモーターがあるブリヂストンTB1e、後輪にモーターがあるBESV JR1、そして真ん中、クランク付近にモーターがあるYAMAHA WABASH RTと、全部、モーターの位置が違う電動アシスト自転車に乗ってきて、乗り味がかなり違うことを体感してきました。

例えば、私は体重が約80kgで荷物を3~6kg積んで走ることが多いですが、急な坂ではYAMAHA WABASH RTの登坂力の強さは圧倒的で、楽に安心して上れます(参考記事:『鎌倉の激坂に挑戦! e-bike「ヤマハ WABASH RT」の実力を試してみた』)

この記事では、自分のニーズに合った電動アシスト自転車を選ぶために、モーターの付いている場所(センター、フロントハブ、リアハブ)の違いによる乗り手への影響をわかりやすく説明します。

また、質問に答えるだけであなたに合うモーターの位置を選べる筆者作成のツールもご参考までに紹介します。

あなたにぴったりの1台がすぐに見つかるかも!

「モーターの位置なんて気にしてなかったよ」という方は是非一読ください。

まずは結論:あなたの使い方に合ったモーター位置とは

電動アシスト自転車を選ぶ際の評価項目

電動アシスト自転車を選ぶとき、『バッテリー容量・走行可能距離』や『車体の重量』、『メーカーの信頼性』、『デザインや色』をチェックする人は多いと思います。
(参照:GfK Japan「電動アシスト自転車 購入者調査」株式会社しんげん 電動自転車の購入で”重視するポイント”

でも、次の評価項目も電動アシスト自転車を選ぶ際に大切ですよね。

  • モーターのパワー(トルク
    「トルク」とは、回転軸を中心に物体を回す「ねじりの力」のことで、単位は Nm(ニュートンメートル)で表されます。この数値が大きいほど坂道や加速時に強い押し出し力を発揮します。
    特に、体重のある方や重い荷物を運ぶ方が急な坂を上るには重要です。
  • ペダリングのフィーリングの自然さ
  • ドライブユニットの音の静かさ
  • 停止・発進が頻発する繁華街のようなところに向く、発進時の滑らかさ
  • 故障しにくさ
  • パンク修理の楽さ(パンクしたホイールの脱着が楽)

実は、上記の項目は駆動方式でかなり変わります。

これらの評価項目を駆動方式で比較・評価したのが次の表です。

各評価は一般的な傾向をまとめたもので、具体的なモデルによって多少異なる場合があります。

評価項目フロントハブモーターリアハブモーターセンターモーター1軸タイプセンターモーター2軸タイプ
体重がある人向き高トルク△(トルクは控えめ)○(リア駆動でトルクは出やすい)◎(体感的な「パワフルさ」や「ダイレクト感」に優れる)◎(漕ぎ出しの力強さや坂道でのアシスト力には定評がある)
ペダリングが自然なフィーリング△(アシスト感が独立しやすい)△(同左)◎(ペダリング感が強く、アシストの反応がダイレクト)◎(ペダルの漕ぎが軽く自然)
ドライブユニットの静音性◎(静か)
◎(同左)
○(モーターがクランク軸に直結し、動力伝達・減速機構があるため、やや音がする)△(モーターの力を別の駆動軸を介してチェーンで伝える際、チェーンの擦れ音やギア音が発生しやすい。ただし、ベルト駆動や高精度ギアを使用した製品は非常に静か)
繁華街などストップ&ゴーの滑らかさ△(直結感が無い)△(同左)○(ダイレクトな発進感)◎(自然で滑らかな発進感)
故障しにくさ◎(構造単純で耐久性高い)◎(同左)○(中程度)○(同左)
パンク修理のしやすさ○(前輪なので脱着は比較的簡単)△(後輪はチェーンやギアが絡むためやや難)◎(普通車のパンク修理と同様)◎(同左)

駆動方式(モーターが付いている位置)の種類

上記の表には次の4種類の駆動方式が載っています。

【駆動方式】
● フロントハブモーター
● リアハブモーター
● センターモーター・1軸タイプ
● センターモーター・2軸タイプ

以下に、実際のモデル例を紹介します。

① フロントハブモーター

前輪にモーターが内蔵されているタイプ。

モデル例:ブリヂストン TB1e、VOTANI Q3

画像はブリヂストンの商品紹介ページより引用

② リアハブモーター

後輪にモーターを内蔵しており、スポーツバイク型e-bikeに多い。

モデル例:BESV JR1やPSA1など

画像はBESVの商品紹介ページより引用

 

③ センターモーター(1軸タイプ)

クランク軸にモーターが一体化されている(次の図)。

図はパナソニックのWeb記事より引用:
新開発のドライブユニット・バッテリー搭載 電動アシストマウンテンバイク「XM1」を発売

モデル例:WABASH RTやRC、パナソニック XEALT(ゼオルト)シリーズ、Shimano STEPS E6100が搭載されている電動アシスト自転車

画像はYAMAHAの商品紹介ページより引用

 

④ センターモーター(2軸タイプ)

クランク軸と別にもう1軸あり、駆動をチェーン通して伝える(次の図)

図はパナソニックのWeb記事より引用:
新開発のドライブユニット・バッテリー搭載 電動アシストマウンテンバイク「XM1」を発売

モデル例:ブリヂストン アシスタU DX、YAMAHA PAS With、パナソニック ViVi シリーズ

画像はYAMAHAの商品紹介ページより引用

 

自動車の4輪駆動のように、前輪と後輪をモーターで駆動する電動アシスト自転車はあるのでしょうか?

結論から言うと、現在、市販されている電動アシスト自転車(e-bike)で、前輪と後輪の両輪ともモーターでアシストするモデルは存在していないようです。

多くの両輪駆動と称される電動アシスト自転車は、ブリヂストンの「デュアルドライブ」のように、前輪にモーターを搭載してアシストし、後輪は人力で漕いだペダルの力をチェーンやベルトドライブで駆動する方式です。
つまり、前輪はモーター駆動、後輪は人力駆動の組み合わせで、後輪用にモーターはありません。

「センターモーター駆動(ミッドドライブ)は坂に強い」は本当か?

電動アシスト自転車(e-bike)の一番の魅力は、「普通の自転車では無理だった坂が登れるようになる」という感動に尽きるでしょう。

この体験があるからこそ、多くの人が電動アシスト自転車にハマっていくわけですが、だからこそ気になるのが「坂道にはセンターモーター駆動がいいらしいよ」という話です。

実際、私は体重が約80kgでさらに6kgくらいの荷物を載せて、リアハブモーターのBESV JR1で斜度が10%を超えるような急な坂を上ると、アシスト不足を感じ、息が上がってバッテリーもみるみる減っていきます。

BESV JR1のバッテリーに寿命が来たこともあり、今は主にセンターモーター方式のWABASH RTに乗っていますがパワーが全然違います。

この疑問について、詳しく見ていきましょう。

トルク値でわかる登坂性能の違い

坂道でのパワーを語る上で重要なのが、モーターのトルク(Nm)です。
これは「回転力の強さ」を表す数値で、数字が大きいほど、坂道や加速時に「グッと押し出す力」が強いということになります。

ここでいくつかの代表的なモデルを比べてみましょう。

電動アシスト自転車:モデル別トルク比較表

モデル名駆動方式最大トルク(Nm)備考
【センターモーター駆動】
YAMAHA WABASH RTセンターモーター75Nm坂に強く、ツーリングや長距離ライド向け
BESV TRS 2 AMセンターモーター約70Nm山道対応のe-MTB、登坂力に優れる
YAMAHA PASセンターモーター100Nm(非公表)カタログには記載がないが、プレス発表で100Nmと紹介されている
Panasonic XEALT S5センターモーター90Nm急坂対応、街乗りから郊外ライドまで幅広く使える
【ハブモーター式(ホイール駆動)】
MIYATA EX-CROSS e’22リアハブ60Nm通勤・通学向け快速モデル、比較的高トルクなハブモーター
BESV JR1/JF1/PSA1リアハブ非公開トルク値未公表。JR1の急坂での実走感はWABASH RTより明らかに非力
BAFANG HFシリーズフロントハブ(OEM)約40Nm多くのシティe-bikeに採用、軽量・街乗り向け、スペック非表記も多い
Brompton Electric
(折り畳みEバイク)
フロントハブ40Nm海外の記事より

補足するとBAFANGのHFシリーズはフロントハブモーターで、250W出力、最大トルク40Nmの軽量モーターです。
このモーターはOEMで多くのシティバイクや通勤用e-bikeに採用されています。

ご覧のとおり、センターモーター駆動の電動アシスト自転車(e-bike)は70Nm以上の高トルクなモデルが多く、坂道での安定感・粘り強さに優れています。

一方で、ハブモーター式は30〜50Nm台が多いですね。

体重が軽い人は、30Nm台でも「そこそこ登れる」感覚になることもありますが、体重がある、あるいは重い荷物がある場合だと、トルクが60Nm以上ないと“アシストが足りない”と感じる場面が増えます。

たとえばトルクが30Nm近辺の場合、表にするとこんな感じです:

坂の状況軽量ライダー(55kg前後)重量ライダー(80kg以上)
緩やかな坂(3〜5%)十分登れるゆっくりなら登れるが脚力が必要
中程度の坂(6〜9%)アシストで何とかギアを最軽にしても辛い。足をつく可能性あり
急坂(10%以上)乗ったままは困難アシストでは登れず、押して歩く必要も

【乗り心地重視派へ】センターモーターがもたらす“自然なアシスト感”とは

センターモーター駆動方式が「坂に強い」と言われる理由は、トルクの数値だけではありません。

  • 人力(ペダルを踏む力)とモーターの力が合わさってチェーンを介して後輪に伝達される
  • 変速ギアの活用でトルクを効率よく路面に伝えられる

この2点により、登坂時のアシストがとても自然かつ滑らか

ハブモーター駆動のような“後ろから押されている”あるいは”前から引っ張られている”というよりも、”自分がスイスイ踏めている”ように感じられます。

総合評価:登坂性能ならやはりセンターモーター駆動方式が有利

というわけで、実際の数値、構造の仕組み、ユーザー体験の3つの観点から見ても、次のことは言えそうです:
坂道が多い地域や、登坂を重視したい人にとって、センターモーター駆動(ミッドドライブ)の電動アシスト自転車はやはり“最適”

常に『センターモーター=高トルク』というわけではなく、モデルによってはそうでないものもあるので、モデルの仕様をよく確認してください

電動アシスト自転車のモーター位置選び方のためのYes/No診断

あなたにぴったりのモーター位置はどれでしょうか?

次の図の質問に沿って進めば、おすすめの駆動方式が見えてきます!

電動アシスト自転車のモーター位置を決めるための質問

おすすめの駆動方式(モーターの位置)が決まりましたか?

この記事で紹介した内容は一般的な傾向で、実際のモデルによって異なることも少なくありません。

ですので、気になるモデルの仕様を確認し、ぜひ試乗してみてください。

走り心地の違いは、体感するとよくわかります!

試乗するときは、急な坂道での登坂やモーターの静音性、発進時のフィーリングなど、自分が重視することをしっかりチェックしましょう。

おわりに

駆動方式によって、電動アシスト自転車の性能や快適性は大きく変わります。

自分の走行スタイルや地形、体格に合ったモーター位置を選ぶことが、長く満足できる一台に出会うコツです。

この記事がその一助になれば幸いです。

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