「最近、健康診断で“血糖値が高め”って言われた😢」、
糖尿病は国民病とも呼ばれているので、こういう人は少なくないと思います。
高血糖が持続する糖尿病になると、頻尿や喉の渇き、疲労感、視力障害、傷の治りが遅くなるなどの症状や、長期的には目・腎臓・神経などの合併症や心血管疾患のリスクが高まります。

「医師から運動を勧められたけど、膝が痛くてウォーキングはつらいし…」、
そんな人に知ってほしい運動があります。
それが “サイクリング” です。
サイクリングは、体への負担が少ないのに、高い運動効果をもたらす「中高年の味方」です。
特に、糖尿病やその予備軍と言われる方には、血糖値を下げる力があることが、近年の日本人対象の研究で次々と証明されてきました。
この記事では、糖尿病の現状とともに、サイクリングの血糖改善効果をわかりやすく解説します。
目 次
成人の糖尿病リスク実態:5人に1人!
日本の糖尿病患者数は、いまや579万人超で、予備軍を含めると2,200万人に達すると言われています。
これは、日本の成人の約5人に1人!が糖尿病またはそのリスクを抱えているという驚くべき数字で、戦後、急増しています。
特に男性に多く、女性の約2倍と言われています。
以下の表は、糖尿病の背景にある主なリスク要因を簡潔にまとめたものです。
【 糖尿病リスクを高める主な要因(戦後の生活習慣の変化)】
要因カテゴリ | 内容の具体例 | 解説・背景 |
---|---|---|
食生活の欧米化 | 糖質・脂質の過剰摂取(パン・ファストフード・菓子など) | 戦後の食文化の変化により、白米+肉中心の高カロリー食が日常化 |
運動不足 | 機械化・都市化による身体活動の減少 | 車・エスカレーターの普及、デスクワーク中心の生活スタイルに |
ストレスの増加 | 長時間労働・不規則な生活・社会的孤立など | ストレスが血糖上昇ホルモン(コルチゾール)を促進 |
肥満の増加 | 内臓脂肪の蓄積がインスリン感受性を悪化 | 特に男性の肥満率は上昇傾向。糖尿病との関連が強い |
高齢化の進行 | 年齢とともにインスリンの分泌・作用が低下 | 高齢者ほど糖尿病リスクが高く、予防的運動の重要性が増す |

【科学的エビデンス】自転車運動で血糖値が改善!注目の3つの研究結果
1. 糖尿病患者の死亡リスクが最大32%低下(EPIC研究)
国際的な研究である EPIC が行った、欧州8ヵ国・糖尿病患者7,459人を対象とした調査では、「週に150〜299分サイクリングする人は、全死亡リスクが32%低下」するという結果が出ました。
しかも、たった週1時間未満でも22%のリスク減。
この研究を主導したマティアス・ラーセン博士は、「高齢でも、軽いサイクリングの継続が命を守る可能性がある」と述べています。
🔍 中高年にとっての意味: 早朝に20分だけ、週3回走るだけでも健康寿命が延びる可能性があります。
2. 自転車通勤で糖尿病の発症リスクが約28%減少(厚労省J-ECOHスタディ)
厚生労働科学研究(J-ECOHスタディ)では、全国の働く世代を対象に、通勤方法と糖尿病の関係を調査しました。
結果は明らか。自転車通勤者は、そうでない人より28%も糖尿病リスクが低いという結果に。これは、肥満度(BMI)を考慮した後でも変わらず、極めて信頼性の高いデータです。
🚲 たとえ毎日の通勤が10分でも、塵も積もれば山となる!
電動アシスト自転車でも血糖改善の効果あり(厚労省2018年研究)
「体力がない」「坂道がツラい」と感じる方も多いはず。
「電動アシストでも運動になるの?」と疑問を持つ人も少なくないと思いますが、電動アシスト自転車でもしっかり効果があることが、2018年の厚生労働科学研究で確認されました。
通勤時に電動アシスト自転車を利用したグループでは、わずか4週間の介入で「食後の血糖値が有意に改善」されました。
『【データで検証】電動アシスト自転車は運動にならない?乗り方次第で効果は大きく違う!』の記事では、電動アシスト自転車の有酸素運動としての効果の実証データと効果的な乗り方を紹介していますので、よろしければご覧ください。
💡 つまり、“楽ちんでも効く”ということ。
高齢者や膝・腰に不安がある方でも、安心して取り組める手段です。
【なぜ効く?】サイクリングで血糖値が下がる3つの理由
1. 筋肉がブドウ糖を消費するから
サイクリング中、筋肉は多くの糖をエネルギー源として使います。
つまり、動けば動くほど血糖が消費される=血糖値が下がるのです。
2. “糖を使いやすい体”に変わるから
継続的な運動により、糖の代謝能力が向上します。
つまり、食後に血糖値が上がりにくい体質へと変わっていくのです。
3. お腹の脂肪が減るから
内臓脂肪が多いと、インスリンの働きが悪くなります。
サイクリングで脂肪を減らすことにより、インスリンが正常に働き、血糖価が安定しやすくなるのです。
(参考:「 シンクヘルスブログ 血糖値を下げるために運動が有効〜初心者でもできる5つの運動を紹介」、糖尿病お助け隊 血糖値を下げる運動を効果的に行うにはどうすれば良い)
【今日から始める】サイクリングで効果を出す運動量とタイミングの目安
以下が、専門家が推奨する基準です:
項目 | 推奨内容 |
---|---|
運動時間 | 1回20分以上(できれば30分以上) |
頻度 | 週に3回以上、計150分以上 |
タイミング | 食後1〜2時間以内がベスト |
(参考:こうのうえ内科クリニック 糖尿病の運動療法)
運動時間が計150分以上というのはWHOの推奨とも一致しています。
🩺「運動していいか不安…」という方は、かかりつけ医に一度相談を。
【まとめ】無理なく続けられる「血糖にやさしい運動」は自転車だった!
- サイクリングは、膝に優しく、継続しやすい
- 血糖値の改善効果は、科学的に実証済み
- 電動アシストでも効果あり、気軽に始められる
サイクリングは楽なのに健康効果があるということについては、『運動嫌いでも続く!自転車で健康寿命を延ばす、今日からできる運動習慣!』の記事も参考にしてください。
「体が重くて、外に出るのが億劫…」そんな日もあるでしょう。
でも、少しだけ意識を変えて、自転車で近くのスーパーや公園まで出かけてみませんか?
その一歩が、健康寿命を延ばす第一歩になるかもしれません。
関連記事・参考リンク一覧
📘 糖尿病の現状・統計データ
- 日本生活習慣病予防協会『生活習慣病の調査・統計』
https://seikatsusyukanbyo.com/statistics/2024/010775.php - VNET『糖尿病の現状(日本人における実態)』
https://gogochiken.jp/feature/disease/diabetes/column/currentstatus.html
🚲 サイクリングと血糖改善に関する研究・報告
- 糖尿病ネットワーク『サイクリングが糖尿病リスクを減少』
https://dm-net.co.jp/calendar/2025/038915.php - 厚生労働科学研究費報告書(J-ECOHスタディ)
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202109022A-buntan16.pdf - 平成30年度厚労科学研究『電動アシスト自転車の血糖改善効果』
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2018/182031/201809020A_upload/201809020A0009.pdf
🧠 血糖値が下がる仕組みを解説した信頼サイト
- Health2Sync『運動と血糖値の関係』
https://health2sync.com/ja/blog/blood-sugar-level-lower-exercise - Gluco-Help『糖尿病に効く運動とは?』
https://gluco-help.com/media/exercise-lower-blood-glucose18/ - 厚生労働省『運動・食生活に関するガイド』
https://www.mhlw.go.jp/content/001194020.pdf