「ハンガーノック」ってご存じですか?
ハンガー(hunger)は「空腹」、ノック(knock)は「ノックダウン」、つまり「空腹によるノックダウン」 のことです。
自転車の長距離ライドなどでハンガーノックになると、強い空腹感や脱力感、めまい、集中力低下、運動能力低下などが起こります。
重症化すると意識を失うことさえあり怖いです。
私もヒルクライムをした際、知らず知らずのうちに無理をしていたのだと思いますが、気が付いたらハンガーノックになったことがあります。

今回は、年齢・走行スタイル・コース・そしてお財布事情まで考慮した、ハンガーノック対策を紹介します。
これからロングライドやヒルクライムを計画している方に、ぜひ読んでほしい内容です!
目 次
【基礎知識】ハンガーノックとは?|原因・症状・リスク
ハンガーノックとは、長時間の運動により「体内の糖質(グリコーゲン)」が枯渇してしまい、力が出なくなったり、思考が鈍ったりする状態のこと。
要するに、エネルギー切れ、車で言えば「ガス欠」です。
初期症状としては、強い空腹感や集中力の低下、めまい、ふらつき、倦怠感、手足のしびれなどがあります。
これらが現れたら、ハンガーノックの初期症状かもしれないので、要注意です。
ハンガーノックは、一度なってしまうと回復に時間がかかり、走行を続けることが困難になるだけでなく、場合によっては意識を失うなどの危険な状態に陥る可能性もあります。
ただの空腹や疲労と違って危険ですね。
【体験談】補給を怠ってヒルクライム中にノックダウンした話
春の快晴で気持ちいい日でした。
朝、あまり空腹を感じることもなく、パン1枚とコーヒーを摂っただけで、50km先の峠へ向かいました。
行きはテンションが上がり、元気でした。
「今日、調子いい!」と思ってペダルをガンガン踏んでヒルクライム。
補給なしで折り返し、その帰り道、平坦路で突然足が動かなくなりました。
立ち止まりそうなレベルで力が出ない。
頭がボーッとして、コンビニの看板がぼやけて見えた瞬間、「あ!これ危険なやつだ!」と気づきました。
ようやく立ち寄ったコンビニでアンパンとコーラを詰め込み、30分休んで何とか脚が動くようになり、家にたどり着きました… 後で冷静に考えると、「典型的なハンガーノック」でした。
【年齢別対策】若者・中年・高齢者別ハンガーノック予防と補給食
🔵 20〜30代(若者)
起こりやすさ:★★★
- 筋肉量が多く、エネルギーの消費が早い
- 補給を怠りがち
- 「元気だからいける」が最大の罠
おすすめ補給食:
- スポーツ羊羹(井村屋)
- カロリーメイト(私のお勧めはチョコレート味)
- バナナ、どら焼き、干し芋
🟡 40〜50代(中年)
起こりやすさ:★★
- 経験値でペース配分できる
- でも無補給ロングはやはり危険
おすすめ補給食:
- コンビニ羊羹やアンパン
- おにぎり(梅が意外と美味しい)
- カステラ(軽いけど高糖質)
🔴 60代〜(シニア)
起こりやすさ:★★★
- 筋肉量の減少で糖のストックが少なめ
- 個人差はありますが、60歳以上になると、脳の感知力の低下や体のセンサーの変化で喉の渇きやお腹の減り具合に気づきにくくなる
- 消化・吸収スピードもやや低下
- 年寄りの冷や水と言われるように、無理は禁物
おすすめ補給食:
- 漉(こ)し羊羹(消化が良い)
- 甘酒(液体+糖質+アミノ酸)
- 塩タブレットと併用でバッチリ
高齢者の場合は、1時間に1回、最低でも糖質20g補給というのを、若い健常者のようにそのまま実行するとリスクがあります。
高齢者が甘いものを摂取すると、血糖値が急激に上昇しやすく、その後急激に下降しやすい傾向があります。
このような血糖値の乱高下は、体に負担をかけ、倦怠感や眠気、集中力の低下などを引き起こす可能性があります。
また、高齢者の場合、腎機能が低下している場合があり、過剰な糖分摂取は腎臓に負担をかける可能性もあります。
【お勧め】
GI値が高くない携帯食を30分毎など、こまめに摂ることです。
GI(Glycemic Index:グリセミック・インデックス)は摂取した食品がどれくらい血糖値を上昇させるかを示した『食後血糖値上昇の指標』のことです。
糖尿病が強く疑われる人や予備群を含めると約2,000万人にものぼり、糖尿病は日本の国民病みたいになっており、超高齢社会の進展とともに今後も増加が予想されています。
この糖尿病患者の栄養指導などでGI値が低い食品が勧められるので、聞いたことがある人も多いと思います。
GI値はドウ糖を基準(100)として数値で表し、一般的に、GI値70以上を高GI食品、56~69が中GI食品、55以下が低GI食品に分類されています。
最近は低GIをウリにした食品もあるので、割と見つけやすいと思います。
中GIあるいは低GI食品としては、ゼリーやナッツ、バナナなどの果物が有名ですね。
私のお勧めは干し芋!
干し芋は血糖値の上昇が穏やかで、エネルギーが長く持続します。
また、小分けにしてラップやジップロックで携帯でき、潰れても気にならない。
冷凍保存すれば長持ちし、サイクリングに出かける前日に必要な分を自然解凍すればバッチリです。
【コース別対策】ヒルクライム・ロングライド・街乗りでの補給戦略
⛰️ ヒルクライム:ハンガーノックの危険度高い!
- 常に踏み続ける負荷
- 消費カロリーが急上昇
- 汗で糖分+塩分も失われる
対策:
- 登る前に1口なにか食べる
- 1時間に1回、最低でも糖質20g補給
アメリカスポーツ医学会のガイドラインによると、「疲労を防ぐために、1時間あたり30~60g の糖質摂取が望ましい」とされています。
プロレベルやトレーニングを積んだ人でない場合、消化吸収能力や血糖管理も考慮して20~30g/時間が現実的で安全とされるのです。
🛣️ 平坦ロード:長時間走るとじわじわ来る
- 油断して無補給で長距離走りがち
- 「疲れが出てきた」時にはもう遅い
対策:
- こまめなドリンク補給(糖入り)
- 信号待ちでちょっとつまむ
🚲 ポタリング:補給少なめでもOK(でも念のため)
- 強度が低ければ脂肪エネルギーでカバー可能
- でも「突然の登り」や「距離が延びた」でピンチも
対策:
- 羊羹1本だけでも持っておくと安心
- コーヒー休憩で甘いものを一緒に
🔥 高強度ライド:即補給!絶対補給!
- 消費スピードが段違い
- 1時間に30〜60gの糖質が理想(ジェルなら2本分)
対策:
- スタート1時間前からエネルギー摂取開始
- ドリンクにも糖質を含ませる
【コスパ重視】コンビニで買える!安くて効く補給食おすすめ7選
アスリート用のエネルギー補給ジェルは、例えば、40gで1000円とビックリするような価格のものがあります。
プロスポーツ選手のように成績で収入が変わるとか、マラソンでサブスリーを目指しているような本気の市民アスリートでもない人は、やっぱりコスパ重視だと思います。
ただし、高齢者や糖尿病、あるいはその予備軍、腎臓の機能が弱い人は注意してください。
高糖質の食品は血糖値を急激に上げたり、腎臓に負担をかける恐れがあり、かかりつけ医などの専門家の指導に従ってください。
補給食 | 価格目安 | ポイント |
井村屋スポーツ羊羹 | ¥100〜150 | 糖質27g、手軽にポケットに |
アンパン | ¥130前後 | 糖質の塊、コスパ抜群 |
どら焼き | ¥150前後 | 疲れてるときに嬉しい甘さ |
干し芋 | ¥200前後 | 食物繊維+糖質、自然派にも◎ |
カロリーメイト | ¥200〜250 | 糖質+脂質で持続力あり |
バナナ | ¥100前後 | 即効性あり、コンビニでも手に入る |
ブドウ糖タブレット | ¥100前後 | 緊急用に最適!軽くてコンパクト |
【まとめ】ハンガーノックを防ぐ!自分に合った補給法を見つけよう
ハンガーノックは、若くても、年配でも、誰にでも起こること。
ただし、「ちゃんと食べてさえいれば」ほぼ確実に防げます。
1時間に1回、なにかしら口に入れる。
ペースとコースに応じて、補給の質とタイミングを調整する。
そして何より、 高い補給ジェルじゃなくても、アンパンと羊羹で十分戦えます!
(注意:くどいですが、糖尿病や腎臓病、あるいは健康診断などでその予備軍とされた人は低GI値の食品を選んでください)
長く、楽しく、安全にサイクリングを続けるために。
ぜひあなたも自分に合った「マイ補給セット」を作ってみてください!