11月から自転車の「スマホながら運転」が犯罪に…何が違反?グレーゾーンは何?

2024年10月12日に記事を更新

2024年5月17日に可決・成立した「改正道路交通法」に基づき、自転車の「ながら運転」と「酒気帯び運転」が2024年11月1日から罰則の対象になります
● 携帯電話を使用しながら自転車に乗って、事故を起こすなど危険を生じさせた場合、1年以下の懲役または30万円以下の罰金
● 画面を注視するなどした場合についても、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金

私もそうですが、ナビゲーション・アプリなどを使うために、自転車のハンドルにスマホホルダーを取り付けて、それにスマホをセットして使っている人が多いですが、これは違法なのでしょうか?

またイヤホンとマイクのついたヘッドセットを使って、自転車に乗りながらハンズフリーで通話するのは、スマホを手で保持しないから問題ないのでしょうか?

この記事では、自転車でのスマホ「ながら運転」に関して、どこまでが違法となり、何がグレーゾーン(明確になっていないところ)なのかを紹介したいと思います。

ポイントだけを知りたい方は警察に処罰されたいための要点のところをご覧ください。

どこまでが「ながらスマホ」として違反になるのか?

自転車のマナーや安全の向上のために、スマホの「ながら運転」を取り締まるのは理解できますが、具体的に何が違反と見なされるのか、よく分からない点もあります。

違反と分かりやすいのは「走行中の場合」

まず、違反かどうか分かり易い、走行中の場合です。

次のケース1から4は違反でしょうか、あるいはそうではないでしょうか?

【ケース1:走行中に片手でスマホを持って、スマホの画像をじっと見る・通話する】

【ケース2:走行中にスマホホルダーにセットしたスマホの画面をちょっと確認する】

【ケース3:走行中にスマホホルダーにセットしたスマホを操作する】 

【ケース4:走行中にスマホホルダーにセットしたスマホとヘッドホンを使ってハンズフリーで通話する】

回答を紹介する前に、スマホの「ながら運転」に関する法令を要約すると、自転車は次の二点を守る必要があることになっています。

1)スマホを手で保持して通話やスマホの操作をしないこと
(「手で保持して」とあるので、スマホホルダーにセットしたスマホの場合はOKということになります)

2)スマホの画面を注視しながら運転しないこと

詳しくこの法令を知りたい人は、次の囲みの中の説明をみてください。

自転車での携帯電話使用に関する法令

道路交通法71条(運転者の遵守事項)6号では、自転車を含む車両等の運転手は、各都道府県の公安委員会が「道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事項」を守らなくてはならないとされています(違反した場合は、5万円以下の罰金になります。)。

これを受けて、例えば、私の住む神奈川県の公安委員会は、「携帯電話用装置を手で保持して通話をし、若しくは操作し、又は画像表示用装置に表示された画像を注視しながら自転車を運転しないこと」と定めています。

東京や大阪の公安委員会も同様で、日本全国を調べたわけではないですが、恐らく他の道府県の公安委員会も同様だと思われます。

上記の法令に基づいて、先程の4つのケースを判断すると、次のようになると思います。

● ケース1:走行中に片手でスマホを持って、スマホの画像をじっと見る・通話する
違反(これは明らかに法令に違反しているので分かりやすいですね)
以前、女子大生がスマホを片手に電動アシスト自転車を運転し、高齢の女性に衝突して転倒させ、死亡させてしまった事故がありました。

● ケース2:走行中にスマホホルダーにセットしたスマホの画面をちょっと確認する
違反ではない(ただし、ずっと注視すると、違反の可能性があります。
注視とは具体的にどのくらいの時間なのかについては、道路交通法には定義されておらず、グレーゾーンです。)

● ケース3:走行中にスマホホルダーにセットしたスマホを操作する
違反ではな(スマホを手に保持して操作すれば違法ですが、スマホホルダーにセットしていれば違法になりません。
例えば、ナビの地図をズームイン、ズームアウトするのにポンと画面をタッチするぐらいは問題ありません。
ただし、ナビの目的地を再設定しようと走行しながらずっと操作していると、画面を注視しているととられ、違反とされる恐れがあります。)

● ケース4:走行中にスマホホルダーにセットしたスマホとヘッドホンを使ってハンズフリーで通話する
違反(スマホを手に保持しておらず、画面を注視していないので、スマホの「ながら運転」にはあたりませんが、「イヤホン等の使用の禁止」で「安全運転義務違反」です。
安全運転義務違反と言いましたが、道路交通法上ではイヤホンをつけたまま自転車に乗ることについて明確な規則はありません。
しかし、自治体によって自転車でのイヤホン走行を禁止する公安委員会遵守事項という条例があり、そこで禁止されています。
例えば、私の住む神奈川県の場合、「イヤホン、ヘッドホン使用(5万円以下の罰金)」が「安全運転義務違反」の中に入っています。
「両耳のイヤホンやヘッドホンは周囲の音が聞こえづらいので安全義務違反なのは分かるが、片耳イヤホンならOK?」という疑問を持つ人もいると思います。
条例には「片耳ならばOK」という記載はないため、片耳だけ装着しても違反とされる可能性があり、ここもグレーゾーンで、自転車に乗っているときはイヤホンを使わないことを強くお勧めします。)

分かりにくいのは「赤信号で止まっている場合」

次は、赤信号で止まっている場合です。

こちらは、後で説明しますが、スマホの「ながら運転」の違反にあたるのか、はっきりしません。

例えば、次のケース5と6は違反でしょうか?

【ケース5:信号待ちで停止している際に、スマホホルダーのスマホを注視している】

【ケース6:信号待ちで停止している際に、スマホを手に保持して通話している】

これらのケースはグレーで、違反かどうかはっきりしません。

なぜなら、赤信号などで自転車が停止中の時のスマホ使用については、法令に明記されていないからです。

これに対して、自動車や原付自転車の場合は、「自動車等が停止しているときを除き、携帯電話で通話したり、画面を注視したりしないこと」と明記されています(詳しくは、次の道交法の引用をみてください)。

道路交通法第71条第1項第5号の5
自動車又は原動機付自転車(以下この号において「自動車等」という。)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。第百十八条第一項第四号において「無線通話装置」という。)を通話(傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く。同号において同じ。)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置(道路運送車両法第四十一条第一項第十六号若しくは第十七号又は第四十四条第十一号に規定する装置であるものを除く。第百十八条第一項第四号において同じ。)に表示された画像を注視しないこと。

e-GOV 法令検索 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000105

つまり、自動車や原付自転車の場合、違反となるのは走行中であって、完全に停止しているときのスマホ使用は道路交通法違反の対象ではありません

もし、自転車も自動車や原付自転車と同様のルールに従うと仮定すれば、先ほどのケースは、次のようになります。

● ケース5:信号待ちで停止している際に、スマホホルダーのスマホを注視している
⇒違反ではない(違反となるのは走行中のときだけなので)

● ケース6:信号待ちで停止している際に、スマホを手に保持して通話している
⇒違反ではない(違反となるのは走行中のときだけなので)

繰り返しになりますが、この判断は、「自動車や原付自転車と同じく、完全に停止しているときは違反にならない」という想定に基づいています。

しかし、自転車の場合、赤信号で止まっていても、完全に停止していると言えるのかという疑問があります

たとえば、自転車の場合、赤信号で止まっているとき、左足を車道と歩道を区切る縁石などに置いて、サドルにまたがったまま止まっていることが多くあります。

この場合、若干、グラグラしながら止まっていて、ミリ単位ですが、タイヤが動いていることがあります。

そのため、完全には停止していないとみなされ、違反となってしまう恐れがあります。

「何を細かいことを言っているの?」と思う人も多いとは思いますが、次の弁護士さんのブログによると、赤信号で停止は「停止」ではないという前提で違反切符を切られた人もいるそうです。

弁護士 谷原誠のブログ 「赤信号停止中の携帯電話やスマホの使用禁止について」

https://taniharamakoto.com/archives/2239/

この違反切符を切られた人は自動車か原付に乗っていた人で、自転車ではなかったと思われます。

青切符の導入をみても分かるように、最近、自転車に対する取り締まりが強化されてきているので、停車中の自転車のスマホ使用についても、警察官によっては違反と判断される恐れがあると思います。

警察庁には、グレーゾーンを排して現場での取り締まりに不公平感が出ないようにして欲しいですね。

赤信号で停止中のときのお勧め

「李下(りか)に冠(かんむり)を正さず」で、警察官との余計なトラブルをさけるには、赤信号で停止中もスマホを手に保持して操作をするのは止めた方が良いと思います

また、スマホをスマホホルダーにセットしていても、スマホ画面を注視するのも避けた方が良いと思います

ジ~とスマホの画面に見入ったり操作に夢中になったりして、信号が青に切り替わったことに気づかないなんてことになると、危険だし、周りの迷惑です。

警察に処罰されたいための要点

以上をまとめると、警察により「自転車のスマホながら運転」の処罰の対象とされないための要点は次のようになります。

  • 違反内容
    • スマホを手で持って通話または操作すること。
      ハンドルに取り付けたスマホホルダーにセットしたスマホをちらっと見るのはOK。
    • スマホ画面を注視しながら運転すること。
      「注視」とは何秒なのかは定められていない。通説では2秒以内ならOK。
  • グレーゾーン:赤信号で停止中のスマホ使用については明確な規定がないため注意が必要。
    推奨行動:赤信号で停止中もスマホを手で保持しての操作や注視を避けること。

おわりに

自転車運転中のスマホ「ながら運転」は、マナーと安全に直結する重要な問題です。

この記事では、スマホを使用しながらの運転がどのように取り締まり対象となり、どこまでが違法行為と見なされるのか、具体例を交えて説明しました。

特に、赤信号での停止中のスマホ使用に関しては、グレーゾーンが存在するため、注意が必要です。

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