自転車に乗りたいけど、雨になってしまった…こういう日は乗るのを止める人が多いと思います。
雨の日でも自転車に乗れば、運動不足解消になるし、電車やバスに切り替えるよりも、交通費の節約になる上、運行スケジュールに関係なく自由に時間を設定できます。
それに、雨の日は公共交通機関の混雑や遅延、運休が増えますが、自転車であれば、影響されずに移動できます。
また、外出そのものを取りやめる人も多いと思いますが、雨の日の外出には良い点が多くあります。
観光地は空いているし、しっとりとした緑や水滴に輝く花々など、雨の日ならではの風景が楽しめ、雨の音や雨に濡れる風景は、心を落ち着きリラックスするのに適しています。
さらに、雨の日限定の割引や特典があるお店や観光スポットなどもありますね。
でも、雨の日の自転車には危険がいっぱいなのも事実です。
大分、前のことですが、私も雨の日に自転車に乗っていて、マンホールの上で「アッ!滑った!」と思った次の瞬間には、道路に倒れていたという経験があります。
また、別の時は雨の中、気分よくカーブを曲がろうとして、自転車を思い切り傾けたところ、タイヤのグリップがあっという間に失われてしまいました。
その結果、見事に横転し、まるでスローモーションの映画のように、倒れた私と自転車は一体となって、数メートルも道路を滑走しました😰。
このように、自転車の乗り方に気を付ける必要がありますが、それ以外にも雨の日に安全に乗るために気を付けるべきことは沢山あります。
それらを全部、暗記しているのは大変なので、楽をするために雨の日の自転車の安全チェックリストを作ってみました。
この記事ではそれを紹介したいと思います。
目 次
雨の日の自転車走行は危険が増加
雨の日の自転車走行には次のように危険が増す要因が増えます。
● 視界が悪い
雨の日は雲が多く、昼間でも薄暗い上、降り注ぐ雨や路面の反射もあるために、視界がよくありません。
● 風が強いことが多い
雨の日は低気圧で風があることが多く、強い風にあおられることもあります。
● 路面がスリップし易い
路面が濡れているため、タイヤがスリップしやすくなります
● ブレーキが効きにくくなる
雨により、ブレーキの制動力が低下しますが、特に、電動アシスト自転車は注意が必要だと思います。
電動アシスト自転車は重量がある上に、強いアシストが働くので、ブレーキをかけても止まるまでの距離が長くなる傾向があり、余計に注意が必要です。
● 周りの歩行者や車両も注意力が低下している
雨に濡れるのを避けるために急いで目的地に着こうとして、周りに対する注意力が落ちている歩行者や二輪車の人が多いことにも注意を払う必要があります。
このように、雨の日にはいつもよりも気を付けて自転車に乗る必要があります。
そこで、「①自転車に乗る前」と「②乗っているとき」、「③乗った後」のそれぞれについて気を付けるべき点を挙げてみました。
そしてその後、まとめとして作成したチェックリストを紹介します。
チェックリストだけを知りたい人は最後の「まとめ: チェックリスト」を見てください。
① 雨の日、自転車に乗る前にすべきこと
雨の日に自転車にいきなり乗る前に、自転車のブレーキやライトなど、各パーツが大丈夫かどうか普段から確認していると安心ですね。
また、身に付けるレインウェアも同様です。
では、まず、雨の日に自転車に乗るときに、特に気を付けなければならないパーツからです。
乗る前にすべき自転車各部の点検
● ブレーキ
雨天時はブレーキが濡れて効きが悪くなりますよね。
ブレーキレバーを引いたときに、ブレーキがしっかり効くか、ブレーキワイヤーが伸びすぎていないか、ブレーキシュー(次の商品写真の黒いゴムです)がすり減っていないかを点検します。
● ライト
雨の日は昼間でも薄暗かったり、雨で視界が悪くなったりすることがあります。
前後輪に明るいライトを常時点灯し、バッテリーが電源の場合は、バッテリー切れになっていないことを確認しましょう。
● タイヤ
タイヤの溝が次の写真のようにすり減ってはいませんか?
この写真のようになっていると地面へのグリップ力が無くなり、雨の日には転倒しやすくなります。
また、雨の日のコツは、自転車のタイヤの空気圧を少し下げておくことです。
こうすると、路面との接地面積が増えて滑りにくくなります。
● ペダル
ペダルは靴底が滑らないように、ギザギザが付いているのがお勧めです。
例えば、次のようなペダルです。
頑丈でしっかりとしたグリップ力で、安定した走行をサポートします。
● フェンダー
フェンダーは、タイヤからの水しぶきが服や体にかかるのを防ぐのに役立ちます。
例えば、次のような商品があります。
● 反射板(リフレクター)
視界が良くない雨の公道では、周囲の車両に自分の自転車が認知されやすいことが大切なので、反射板が取り付けられていることを確認しましょう。
なお、法律上、反射器材は自転車で公道を走る際に必須のパーツとされています。
(参照: SHIMANOの通勤サイクリングラボ 「自転車のライト、ベル、反射板の取り付けは義務?法律とおすすめの取り付け方を解説」 https://x.gd/XibQa )。
雨中のサイクリングに向く服装の用意
● レインウェア
自転車用にはセパレートタイプのレインウェアがお勧めです。
最近、次の商品写真の「NNOUMレインウェア」というセパレートタイプのものを買ったのですが、高い耐水圧と透湿性で快適な乗り心地を実現してくれます。
雨の日でも自転車に乗るのが楽しくて仕方ありません。
私が買った時点のサクラチェッカーの評価は4.89!という驚異的な高さでした。
https://sakura-checker.jp/search/B0CSSD6TWZ
ポンチョ・タイプはハタハタと広がって風の抵抗を受けやすいのであまり良くないと思います。
また、国民生活センターからポンチョ・タイプのレインウェアは自転車の前かごや車輪に引っかかったり巻き込まれる恐れがあるという指摘がされています。
(独立行政法人国民生活センター 「自転車用レインウェアの運転への影響と安全性について」https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20160218_1.html )
更に、ポンチョ・タイプと丈長のレインコートは、サドルに座ってペダルを漕ぐ際に膝から下が濡れやすい点からもお勧めしません。
自転車用のレインウェアには次の性能を持つものが望ましです。
・耐水圧: 20,000mm以上
・透湿性: 10,000g/㎡/24h以上
その理由やレインウェアの選び方の詳細については次の記事をご覧ください。
また、雨が目に入ったり、眼鏡に水滴がついて見えづらくなるのを防ぐためには、透明バイザーがお勧めです。
次の商品は私の愛用しているレインバイザーです。
顔に雨がかからず、視界を広く確保できる上、価格もリーズナブルでこちらもお勧めします。
● ヘルメット
昨年、2023年の4月1日から道路交通法の改正によって、すべての自転車利用者に乗車用ヘルメットの着用の努力義務が課されるようになりました。
特に雨の日は滑って転倒する事故が増えるので、被害を軽減するためには頭部を保護するヘルメットを被ることが大切です。
自転車乗用中の交通事故で亡くなられた方の内、約5割が頭部に致命傷を負っています。
また、自転車乗用中の交通事故においてヘルメットを着用していなかった方の致死率は、着用していた方の約1.9倍です(参照: 警察庁 「頭部の保護が重要です ~自転車用ヘルメットと頭部保護帽~」 https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/toubuhogo.html )。
● レインブーツ
足が濡れるのを防ぐためにレインブーツを着用することもお勧めです。
靴底にギザギザがあり、ペダル上で滑りにくいレインブーツを選びましょう。
私が使っている次の商品は、購入時点でのサクラチェッカーの評価は4.19という高いものでした。
https://sakura-checker.jp/search/B076W5S8Q4
完全防水のサイドゴアレインブーツで、ビジネスシーンにもカジュアルシーンにも使えるシンプルなデザインが良いと思います。
また、かかとにストラップが付いていて着脱が楽なのが嬉しいです。。
② 雨の中での自転車の乗り方についての注意点
自転車の各パーツの確認もOK、自転車に向くレインウェアをちゃんと揃えた、といっても雨の日は自転車の乗り方にも注意が必要です。
● 急ブレーキは避け、早めに速度を落とす
ブレーキと車輪が濡れると、車輪を押さえつけるゴムパッド(ブレーキシュー)の力が弱くなる上、路面も滑りやすくなっているんで、ブレーキの効きが悪くなります。
また、自転車は重量が重くなればなるほど、ブレーキをかけてから停止するまでの距離が長くなります。
特に、電動アシスト自転車は重く、約25~35kgくらいあり、一般的なロードバイクが8kg前後と想定すると、ロードバイク3,4台分になります。
急ブレーキは避け、早めに速度を落とすようにしましょう。
特に、表面が滑らかな舗装道路や白線、マンホール、橋の上など、滑りやすいところでの急ブレーキは危険です。
カーブはその手前でブレーキをかけ、しっかりと減速するようにします。
カーブの途中で急にブレーキをかけると、タイヤがロックして滑る危険があります。
また、両手でブレーキをかけましょう。
自転車はブレーキをかける際、荷重が前輪に集中するので、自転車を止める力の多くは前輪に依存します。
ですので、片手で後輪だけにブレーキをかけた場合は、制動力が非常に弱くなってしまいます。
大分、昔のことですが、私はマウンテンバイクを街乗りしていてマンホールの上でブレーキをかけたため、横滑りして転倒してしまいました。
地面にヘルメットを打ち付けましたが、凹みができていて、「もし、ヘルメットを被ってなかったら、どうなっていたか・・・」とゾッとしました。
● 路面の状態に注意
先程も言いましたが、雨で路面が滑りやすくなっているので、路面の状態によく気を付ける必要があります。
特に白線やマンホール以外にも下水溝の上の鉄製の蓋や急な下り坂、橋の上なども滑りやすいですね。
更に、水たまりも要注意です。
思わぬ深さがある水たまりもあるので、怪しいと思ったら避けて通りましょう。
● 周囲の歩行者や車両に注意
雨の日は早く目的地に着きたいと急ぐ歩行者や二輪車が少なくありません。
そのため、ただでさえ雨の日は視界が良くないのに、周囲をよく見ずに無理な追い越しや方向転換などをしがちです。
また、自動車が水たまりの水を自転車の方にはねかけることもあります。
ですから、自分の自転車の周囲の歩行者や車両からの妨害にも注意を払う必要があります。
右左だけでなく、後ろもよく確認しながら走行しましょう。
【自転車の傘差し運転は禁止です】
傘差し運転はバランスを崩しやすくする原因となるほか、傘によって前方の視界が遮られ、前方不確認となるおそれがあるので、道路交通法違反になります。
違反した場合は、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金等が科せられます。
(参照: 政府広報オンライン 「知ってる?守ってる?自転車利用の交通ルール」 https://www.gov-online.go.jp/featured/201105/ )
これまでは傘をさしていて注意はされても、捕まって罰金を払った人を見たことがないということから傘差し運転を続けている人が多いと思います。
けれども自転車にも青切符を切るという道路交通法改正案が今年の3月に閣議決定されました。
現時点では、2026年にも自転車への反則金が導入される見通しです。
これが実施されると傘差し運転を減らすのに効果があると思います。
では、次のような傘スタンドの器具を自転車に取り付けて、両手でハンドルを握りながら運転する場合はどうでしょうか?
実は、違反かどうかの判断は自治体によって異なります。
例えば、広島県の場合は、両手をハンドルで握って自転車を運転していれば規制の対象外になりますが、私の住む神奈川県では次の引用のように禁止されています。
傘を自転車に固定して運転することも、不安定となったり視野が妨げられたり、傘が歩行者に接触したりするなど危険な場合があるので、やめましょう。(交通の方法に関する教則より)
<関係法令 法第71条第6号、神公規第11条第2号>
神奈川県警察 「自転車に乗るときのルールとマナー」 https://www.police.pref.kanagawa.jp/kotsu/jiko_boshi/jitensha/mesf0178.html
③ 雨の日に走行した後のメンテナンス
雨の日に乗ると、どんなダメージが自転車にある?
雨の中で走行することで、すぐに自転車のどこかが壊れるという事はないので安心してください。
また、電動アシスト自転車もモーターやバッテリー、手元スイッチなどは「生活防水」の性能があります(参考: Panasonic 「電動アシスト自転車は雨の日でも壊れない?より安心して使うための注意点」 https://ec-plus.panasonic.jp/store/page/contents/bicycle_rain/ )。
ですから、雨の日に電動アシスト自転車に乗っても故障すると言うことはありません。
ただし、「雨の日に乗った後、ほったらかし」では自転車は長持ちしません。
雨の日に自転車に乗ると、晴れの日の10倍も汚れが付き、錆びや駆動部の不調などの問題が発生しやすくなります。そこで、雨天走行後のメンテナンスが重要になります。
雨天走行による自転車へのダメージの一つには、先ずサビがあります。
チェーンやギア、フレーム、ブレーキやシフトのためのワイヤー、動力伝達用歯車などの金属部分がサビすくなります。
これらは長時間放置するとうっすらとサビ始めてしまい、サビると性能低下やパーツの寿命縮短の原因となります。
もう一つのダメージは汚れです。
雨の日には雨水と一緒に砂や泥がが地面から巻き上げられ、フレームやパーツに付いてしまいます。
そのまま放置して汚れが固着すると落としにくくなり、可動部の動作不良や変な音が発生する原因となります。
メンテナンス方法
雨天走行後は必ずメンテナンスを行う必要があります。
なお、普段でも、週に1回程度は簡単な清掃と注油をすると良いと思います。
- 洗車
水で濡らしたスポンジやブラシを使って、フレーム、チェーン、ギア、スプロケット、ブレーキなど、全ての部分の泥や砂汚れを落とします。
洗い終わったら、乾いた布で水分を拭き取ります。
電動アシスト自転車に対しては、高圧洗浄機を使うのはやめましょう。
電動アシスト自転車は「生活防水」レベルの防水性能しかなく、高圧で水をかけるとモーターやバッテリーなどを壊してしまう恐れがあります。
- チェーンの洗浄
チェーンには地面から巻き上がった砂埃が付いているので、チェーンクリーナーを使って古いチェーンオイルと汚れを落とします。
歯ブラシなどでこすると良いでしょう。
- 各部への注油
ボルト類の緩みやサビがないか確認し、水気をぬぐってから注油します。
チェーンやブレーキワイヤー、シフトワイヤー、変速機などの可動部に注油します。
注油後、余分なオイルを拭き取ります。
変速機は注油後、スムーズに動作するか確認します。
- ブレーキの効きチェック
ブレーキレバーを握り、ブレーキの効きを確認します。
異音や違和感がある場合は、ブレーキワイヤーの伸びやブレ―キシューの摩耗、砂利の侵入挿入有無をチェックします。
自分で自転車店に持ち込んで調整してもらいましょう。
- タイヤの空気圧のチェック
雨の日にはタイヤの空気圧を少し下げた方が、タイヤの地面との接地面積が広くなりスリップしにくくなると先に説明しました。
雨でない日にはタイヤの空気圧が高い方が軽快に走ることがでるので、もし空気圧をさげていたのなら、空気を足して元に戻します。
まとめ: チェックリスト
上記の対策をまとめたチェックリストを紹介します。
【 雨の日に乗る前に確認すべき自転車各部 】
ブレーキ | ブレーキレバーを引いたときに、ブレーキがしっかり効くのを確認。 効きが悪い場合、ブレーキワイヤーの伸びすぎやブレーキシューの 摩耗が進んでないかをチェックする。 |
ライト | バッテリーが電源の場合は、バッテリー切れになっていないことを確認 |
タイヤ | ・タイヤの溝がすり減っていないか ・雨の日は、自転車のタイヤの空気圧を少し下げておくと、 路面との接地面積が増えて滑りにくくなる |
ペダル | ペダルは靴底が滑らないように、ギザギザが付いているの良い |
フェンダー | タイヤからの水しぶきが服や体にかからないようにフェンダーを付けておく |
反射板(リフレクター) | 反射板が付いていることを確認(道路交通法で定められている) |
【 レインウェアの準備 】
レインウェア | 自転車用には次の性能を持つものが望ましい ・耐水圧: 20,000mm以上 ・透湿性: 10,000g/㎡/24h以上 |
透明バイザー | 雨が目に入ったり、眼鏡に水滴がついて見えづらくなるのを防ぐためには、 透明バイザーを利用する |
ヘルメット | 雨の日は特に滑って転倒する事故が増えるので、ヘルメットは必須 |
レインブーツ | ペダル上で滑りにくいように靴底にギザギザがあるレインブーツを履く |
【 雨の日に自転車走行するときの注意点 】
ブレーキのかけ方 | 急ブレーキは避け、早めに速度を落とす。 特に、表面が滑らかな舗装道路や白線、マンホール、橋の上など、 滑りやすいところでの急ブレーキは危険。 両手でブレーキをかける。 |
路面の状態に注意 | 滑りやすいところだけでなく、水たまりも思わぬ深さがあるところも あるので要注意 |
周囲の歩行者や車両に注意 | 先を急ぐ歩行者や二輪車などに注意 |
【 雨の日に走行した後のメンテナンス 】
洗車 | 水で濡らしたスポンジやブラシを使って、全ての部分の泥や砂汚れを 落とす。 その後、乾いた布で水分を拭き取る。 |
チェーンの洗浄 | チェーンクリーナーを使ってチェーンオイルと汚れを落とす |
各部への注油 | チェーンやブレーキワイヤー、シフトワイヤー、変速機などの 可動部に注油する。 注油後、余分なオイルを拭き取る。 |
ブレーキの効きチェック | ブレーキレバーを握り、ブレーキの効きを確認する |
タイヤの空気圧のチェック | 雨でない日にはタイヤの空気圧が高い方が軽快に走ることがでるので、 もし空気圧をさげていたのなら、空気を足して元に戻す |
おわりに
雨の日の自転車走行は、危険と隣り合わせです。
しかし、正しい準備と注意点を守ることで、安全に楽しむことができます。
この記事では次の3点に関するチェックリストを紹介しました。
① 雨の日の自転車走行前の点検・準備
② 雨の日の自転車走行中の注意点
③ 雨の日の自転車走行後のメンテナンス
これらの対策をしっかり行い、雨の日でも安全に自転車ライフを楽しみましょう。
けれども、雨の日でも自転車に乗れば、メリットが多くあります。