「二輪で走る車両と言ったら、自動二輪や原付自転車、自転車でしょ」と言う人が多いのではないでしょうか?
おおざっぱに言えば、その通りですが、免許不要で乗れる原動機付自転車という商品が今年になって続々と販売されだしました。
免許不要で乗れる原動機付自転車についての詳しい説明は、次の記事をご覧ください。
それだけではありません。
「自転車にも原付にもなる二刀流」という新しいコンセプトの二輪車が注目されています。
この記事では、その魅力や特徴、選び方のポイントをご紹介したいと思います。
移動手段の選択の幅が広がってきているのは、ユーザーとして嬉しい限りですね。
目 次
原付にも自転車にもなる二刀流モビリティの位置づけ
原付自転車と自転車のカテゴリーと特長の整理
二刀流の二輪車の位置づけを説明するために、先ず、原付と普通の自転車(電動アシスト自転車も含む)をその特徴で整理すると次の表のようになります。
(参考: 警察庁 「特定小型原動機付自転車に関する交通ルール等について」https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/tokuteikogata.html )
「特定小型原付自転車」などといった堅苦しい名前が並んでいますが、道路上の交通規則や交通事故や違反に対する罰則規定を定めているのは道路交通法なので、道路交通法上の分類名を使わざるを得ません。
*1:自転車は自動車や原動機付自転車と異なり、政令で定める最高速度(いわゆる法定速度)はありません。ただし、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度をこえる速度で進行してはいけません。
*2:都道府県によっては自転車損害賠償責任保険の加入を義務化しているところもあり
なお、この表にあるように、特定小型原付自転車モードと特例特定小型原付自転車モードを切り替えられる車両も売られており、例えば、株式会社カーメイトの「e-FREE 01」という商品です。
https://www.carmate.co.jp/news/press/202401/e-free.html
これだと免許不要で車道と歩道の両方を走ることができます。
原付にも自転車にもなる二刀流モビリティとは?
さて、本題の二刀流モビリティですが、これは特定のシステムや機能を利用して、原付と自転車の間で切り替えられる二輪の車両です。
このため車道では原付として走行し、歩道では自転車として走行できます。
(勿論、自転車モードで車道を、ペダルを漕ぎながら走ることもできます)
例えば、glafit社のGFR-02という車両の場合、オプションとして「モビチェン (モビリティ・カテゴリー・チェンジャー)」を取り付けることで、原付モード時はナンバーが表示され、自転車モード時はナンバーを隠すことができます。また、自転車モードの時には電源が入らない仕組みになっています。
この記事の執筆時点では、次の「二刀流モビリティ」の商品があります。
● GFR-02 https://glafit.com/products/gfr/gfr-02/
わずか19.4kgの軽量さで持ち運びにも便利です。
● FUTURE META https://www.futuremobility.fun/mobility/future-meta
https://smart-mobility.jp/_ct/17646265
パワフルな走行性能で長距離移動にも対応。通勤や通学だけでなく、週末のレジャーにもぴったりです。
● ENNE F750 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000084.000078121.html
2024年7月に発売予定で、詳細は未公開です。
この記事を書いている時点で公開されている情報から比較のために作成してみたのが次の表です:
GFR-02 | FUTURE META | ENNE F750 | |
重量 | 19.4kg | スリムタイヤ 32kg ファットタイヤ 33kg | 未公開 |
最高速度(原付モード) (公道での法定速度は30km/h) | 30 km/h 以上 | 45km/h | 未公開 |
バッテリー航続距離 | 約34km | 60km | 未公開 |
自転車モード時のアシスト | アシスト無し | アシスト有り無しを選べる (アスシトがある場合、 100km走行可) | 未公開 |
折り畳み | 可 | 可 | 未公開 |
価格 | 308,000円 | スリムタイヤ 327,800円 ファットタイヤ 349,800円 | 348,000円 |
GFR-02とFUTURE METAを比較すると、軽量性を重視するならGFR-02、バッテリー航続距離ではFUTURE METAということが言えそうです。
また、FUTURE METAは自転車モードのときにアシスト有を選ぶことができますが、GFR-02ではアシストはありません。
ただし、GFR-02は原付モードで走行中にペダルを漕いで、モーターを脚力でアシストできるとのことで、例えば、原付モードで急な上り坂を登るのが苦しいときにこのような併用ができます。
(参考: BikeBros 「グラフィット GFR-02 試乗記」 https://www.bikebros.co.jp/vb/fifty/fimpre/fimpre-20211018/ )
二刀流モビリティはどんな人が向くのか
先程の表にこの「二刀流モビリティ」を加えると、次のようになります。
*1:自転車は自動車や原動機付自転車と異なり、政令で定める最高速度(いわゆる法定速度)はありません。ただし、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度をこえる速度で進行してはいけません。
*2:「二刀流モビリティ」の場合、自転車モード時でもヘルメットの装着は必須
*3:都道府県によっては自転車損害賠償責任保険の加入を義務化しているところもあり
この表を見て分かるように、車道と歩道の両方を走りたい人には次の3つのモビリティが選択肢としてあります。
上記を踏まえて「自転車にもなる二刀流の原付自転車」が向く人、向かない人をまとめてみると次のようになると思います。
- 原付免許を持っている人
- 車道も歩道も走行したい人
- ペダルを漕がずに車道を楽に走行したい人
(但し、自転車モードではペダルを漕ぐ必要があります) - 高速移動が必要な人
(高速と言っても自転車との比較においてということです) - 自転車用の駐輪場を利用したい人
(バイク用の駐輪場に比べると自転車用の駐輪場は多く、日常使いに便利)
実際にGFR-02に乗った人の感想を読むと、次のような良いところ、気になるところがあったそうです(参考:チャリ猿ブログ 「【徹底レビュー】glafitの二刀流バイク「GFR-02」に乗ってみた」 https://charisaru.com/gfr-02 )。
【良かったところ】
・シンプルに楽しい
・コンパクトだから散策に便利
・自転車の駐輪場に停めれる
・坂道もラクラク
・一歩通行の道は、自転車モードでショートカットできる
【気になったところ】
・大きい道路はちょっと怖い
・自転車モードのときに変速がない
おわりに
移動手段の多様化が進み、二輪の車両の選択肢も増えています。
この記事ではその利便性と柔軟性から注目を集めている自転車と原付の二刀流モビリティを紹介しました。
これから二輪の車両の購入を考えている方は、自分の生活スタイルや利用シーンに合わせて最適なモビリティを選ぶことが重要だと思います。
安全性や快適性、健康への運動効果、経済性などを考慮しながら、移動手段を選択することで、より充実した日常を過ごすことができます。
また、モビリティの多様化に伴って道路交通法や地域の交通ルールなどが変化すると共に、複雑化しつつあります。
更に、将来的には自転車の違反にも青切符が切られるようになると言われています。
このため道路交通法や地域の交通ルールをよく理解して、違法走行をしないように心がける必要もあると思います。
① 普通の自転車(電動アシスト自転車も含む)
・免許不要
・ペダルを漕がないと進まない(運動になるという良い面も)
・脚力がある程度あれば、時速20km以上出せる
・ヘルメットは努力義務
② 特例特定小型原付自転車にも切り替えられる特定小型原付自転車
・免許不要
・車道では時速20km、歩道では時速6km以上出ない構造になっている
・ペダルを漕ぐ必要は無い(運動にならないというデメリットも)
・ナンバープレートは必須
・ヘルメットは努力義務
③ 二刀流モビリティ(自転車にも切り替えられる一般原付)
・免許は必要
・車道ではスピードを出せる(時速30km以内)ので遠くまで短時間で行ける
・自転車モードではペダルを漕ぐ必要がある
・ナンバープレートは必須
・ヘルメットは必須(自転車モードの時も必須)