自転車はダイエットにも効果的であり、手軽に始められる運動として人気があります。
また、次の例のように、多くの専門家から推奨されています。
- 公益財団法人 長寿科学振興財団 健康長寿ネット 「自転車ダイエットの効果と方法」 https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shintai-training/bicycle.html
- 髙石鉄雄 名古屋市立大学教授 「トレーニング効果はウォーキングの2倍!自転車を使った週1日運動のすすめ」 https://sbaa-bicycle.com/sbaa_sp/interview/012.html
- 国土交通省 「自転車を活用した国民の健康保持増進に関する取り組み」 https://www.pref.toyama.jp/documents/2740/01366382.pdf
- 蔵本理枝子 いとう整形外科副院長 「サイクリスト医師リエチ先生の自転車生活のススメ」 https://pedal-cyclemode.com/health/h008/#toc1
- 佐賀市 「自転車で健康づくり『自転車に乗って健康になろう‼』」 https://www.city.saga.lg.jp/main/85995.html
この記事では、自転車を使うダイエットの方法について詳しく説明し、成功するためのヒントも提供します。
目 次
そもそも、なぜダイエットに運動が必要?
ダイエット(diet)という言葉は、英語では「食事」や「減食」という意味が一般的ですが、日本では、痩せるために食事療法と運動を行うことという意味が一般的だと思います。
なぜ、ダイエットでは食事制限だけでなく、運動も大切なのでしょうか?
それには次の理由があります。
(参照:
● タニタ 「健康的に体重を減らすには」 https://www.tanita.co.jp/magazine/column/4811/
● 医療・介護・福祉・保育 biz 『「リバウンド」はなぜ起こる?』 https://i-k-f.biz/media/?p=4975
● ダイエット&筋トレ 基礎解析 「なぜ食事制限だけのダイエットはだめなのか:運動の必要性」 https://liftingdiet.com/diet_basic_why_training_necessity/
● 美容と健康とビタミンC「メタボリックシンドローム対策に運動は必須」https://vitabrid.co.jp/columns/healthcare/exercise2205/ )
● 運動で体重を減らすことができる
運動で摂取カロリーを減らすだけでなく、有酸素運動をすると脂肪を燃焼させるのに効果的です。
また、運動によって筋肉量が増えると、基礎代謝が向上して消費カロリーが増えるため、体重を減らしやすくなります。
● リバウンドを防げる
食事制限だけでダイエットをすると、筋肉量が減って基礎代謝が下がってしまいます。
その結果、食事制限を止めると、体重がリバウンドしやすくなります。
運動も行うことで、筋肉量をキープして基礎代謝を高めることができるため、リバウンドを防ぐことができます。
● 健康的な体づくりに役立つ
痩せるために極端な食事制限や偏った食生活を続けることにより、栄養不良になってしまうことがあります。
栄養不良になると、体はエネルギーを節約するために、筋肉を分解してエネルギーに変換します。
その結果、筋肉が減ると基礎代謝が低下し、同じ量の食事を摂っても、体脂肪が蓄積されやすくなります。
また、栄養不良になると、ホルモンバランスが乱れる可能性があります。
ホルモンバランスが乱れると、食欲が増進したり、脂肪の蓄積が促進されたりすることがあります。
● 筋トレによって骨や関節を強くし、運動能力を向上させることができる
筋トレを行うと、骨に負荷がかかります。
骨は、負荷がかかることで、骨密度(骨の量と質を表す指標)が増加します。
骨密度が増加すると、骨が丈夫になり、骨粗しょう症などのリスクが低減します。
また、筋トレによって筋力が向上すると、関節を動かす筋肉も強くなります。
関節を動かす筋肉が強くなることで、関節がスムーズに動くようになり、関節の負担が軽減されます。
● 有酸素運動によって心肺機能を向上させ、生活習慣病の予防にもつながる
有酸素運動は、一定の強度で運動を継続することによって、心臓や肺の機能を向上させます。
心肺機能が向上すると、息切れしにくくなり、より長時間の運動を継続できるようになります。また、体内の酸素を効率的に利用できるようになり、疲れにくくなるとともに、より効率的に脂肪を燃焼できるようになるので、ダイエット効果が期待できます。
また、有酸素運動が生活習慣病の予防にもつながりますが、その理由については、こちらの記事をご覧ください。
数ある運動の中でも、なぜ自転車がとりわけ良いのか?
ダイエットのためには脂肪を燃焼させるのに有効な有酸素運動がお勧めですが、ウォーキングやランニング、スイミングなど、沢山ある有酸素運動の中で、自転車が特に良いと言われている理由を紹介したいと思います。
効果的なカロリー消費
自転車に乗ることは、有酸素運動であり、摂取カロリーして脂肪を効果的に燃焼させます。
自転車の運動強度(メッツ:身体活動の強度を表す単位)は、次の表のようにランニングと同程度のレベルで、脂肪燃焼効果が高いと言えます。
運動 | 運動強度(メッツ) |
---|---|
ほどほどの速さで歩行(75-85m/分) | 3.5 |
早く歩行(93m/分) | 4.3 |
とても早く歩行(107m/分) | 5.0 |
ゆっくり自転車に乗る(16.1-19.2km/時) | 6.8 |
ジョギング | 7.0 |
普通に自転車に乗る(19.3-22.4km/時) | 8.0 |
ランニング(分速134m/分 | 8.3 |
ランニング(分速201m/分) | 11.5 |
速く自転車に乗る(25.7-30.6km/時) | 12.0 |
ちなみに、運動における消費カロリーは、次の式で簡単に計算できます。
消費カロリー(kcal) = メッツ x 体重kg x 運動時間 x 1.05
ランニングよりも長時間できる
ランニングの場合、身体への負荷が大きいため、慣れないと長時間継続するのが困難です。
ランニング時の膝や腰への負担は、走る速度や地面の状態、着地時の姿勢などによって異なりますが、一般的に体重の2〜5倍の力がかかると言われています。
そのため、無理をすると足腰の故障が出ることが少なくありません。
ランナーに対するあるアンケートではランニングが原因で故障した経験がある人の割合は9割近くもありました。
これに対して、自転車の場合、サドルとハンドル、ペダルの3点で体重を支えるので、足腰への負荷はランニングよりもかなり軽減されます。
このことから、運動している時に「痛い」とか「苦しい」といった感覚が、ランニングよりも起こりにくくなり、長くできるというメリットがあります。
筋力強化
自転車は長くこぎ続けられることに加えて、全身の筋肉を鍛えることができます。
特にウォーキングやジョギングなどに比べて、脚の筋肉を発展させるのに適しています。
その理由は、ペダルをこぐ動作が、脚の筋肉に大きな負荷を与えるからです。
全身の筋肉の約70%が下半身にあると言われますが、大筋群(大腿四頭筋、ハムストリングス、ふくらはぎなど)が多く、自転車をこぐ動作で多くのエネルギーを消費することができます。
また、坂道の上りやペダルの負荷を上げることで、筋力を更に鍛えることもできます。
ストレス軽減
自転車はウォーキングやランニングよりもスピードが早いため、自宅の近所ではない隣の町や景色の良いところに簡単に行って非日常感を味わうことができます。
また、走りながら肌で風を感じたり風景が流れていくのを見たりすると、気分転換や鎮静化に良い影響があります。
さらに、ペダルを漕ぐ動作のように一定のリズムを繰り返す運動をすると、心の安定をはかる脳内ホルモン「セロトニン」の分泌が高まると言われています。
家を出たら普段着ですぐに運動できる
自転車は行うのにすごく敷居が低い運動です。
例えば、ランニングをするにはそれなりの上下の服、シューズなど服装が必要で、走るぞ!と決めて着替える必要があります。
自転車の場合、普段着のまま運動を開始できるし、サイクリングのついでにお店に寄って買い物をするなんてことも難なくできます。
また、スイミングであれば、泳ぐぞ!と決めてプールで泳ぐ支度をして、まず家からプールまで行かねばなりません。
自転車の場合、家の玄関を出て自転車に乗ればすぐ運動できます。
このように、体への負担が比較的低く、ストレス発散やリラックスしやすい、また家を出たら直ぐに運動できるという敷居の低さのため、とにかく続けることが大切なダイエットの運動として、まさにうってつけです。
自転車でダイエットを成功させるためのヒント
まず大事なことは、無理のないペースで始めることです。
一念発起して、「さ~やるぞ~」といきなり長時間や激しい運動をすると、怪我や体調不良の原因になってしまいます。
これを前提として、いくつかヒントを紹介します。
目標設定し継続する
自転車でのダイエットの目標を設定しましょう。
目標体重や摂取カロリーの上限、糖分摂取量の上限、1週間あたりの有酸素運動の時間など、具体的な目標を立てることはモチベーションの向上につながります。
例えば、有酸素運動時間の目標を決めるにあたっては、世界保健機関(WHO)が発表している「身体活動と座位行動に関するガイドライン」が参考になります。
詳しくは次の記事に書きましたが、「週に150~300分の中強度の有酸素運動、もしくは75~150分の高強度の有酸素運動、またはその組み合わせで同等の時間・強度となる身体活動を実施する」というのがお勧めです。
これから始める人は中強度有酸素運動を週に合計150分行うことを目標にすると良いと思います。
中強度の運動というのは、どの位の心拍数になる運動でしょうか?
例えば、成人の安静時心拍数は一般に60~100(参考:健康長寿ネット https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/undou-kiso/shinpaku.html )と言われていて幅が広いですが、ここでは70と想定します。
カルボーネン法と呼ばれる式を使って、運動強度50%(中程度の運動)と60%(少しきつい運動)のそれぞれについて、年齢別の目標心拍数を出したのが次の表です。
ちなみに、カルボーネン法による目標心拍数を求める式は次のようになります。
【 カルボーネン法による「目標心拍数」の計算式 】
目標心拍数=(最大心拍数〔220-年齢〕-安静時心拍数)
× 目標運動強度(%)+安静時心拍数
注1)最大心拍数の測定は簡単ではないので、上記の式のように、220から年齢を引いた値で簡易的に推測しています。
注2)運動強度が50%〜70%の場合、有酸素運動としての運動効果が得られ、70%以上では、無酸素運動としての運動効果が得られると言われています。
このカルボーネン法による計算式で目標心拍数を出してくれる便利なサイトです:https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228740
このように目標心拍数が分かると、どの位の強度の運動をすればよいのか、より具体的に分かると思います。
また、マンネリ化で継続的に目標を達成するのが難しくなることもあります。
自転車は比較的マンネリ化に陥りにくい運動だと思いますが、それでもときどき自転車に乗ることから遠ざかってしまうこともあります。
繰り返し的になることを避け、自転車に乗るモチベーションを保ち続けるためのヒントを次の記事に書きましたので、参考にしてみてください。
適切な自転車選び
自転車といっても、ママチャリ、通勤通学向け自転車、クロスバイク、ロードバイク、マウンテンバイクなどさまざまです。
スポーツとしてだけ乗るのか、通勤・通学や買い物などの日常生活のためにも利用するのかなど、目的に合わせて選びましょう。
ただ、一つ言えるのは、運動のためにも自転車に乗るのであれば、前傾姿勢をとれる自転車が良いでしょう。
分かりやすいのは、サドルをハンドルと同じかそれ以上に上げた位置にセットできる自転車であれば、前傾姿勢を取れると思います。
これは電動アシスト自転車でも同じで、前傾姿勢が取れれば、中強度以上の有酸素運動ができます。
これについてはデータで検証されていることを次の記事で紹介しました。
安全性を確保
自転車ダイエットで気をつけたいことは事故や怪我です。
車や歩行者の多い道や細い道では事故や転倒などを起こしやすいので、避けた方が良いでしょう。
ヘルメットは今年から大人も装着することが義務化されましたので、被るようにしましょう。
また、私は自転車にバックミラーを付けることをお勧めします。
例えば、車道で、前に止まっている車を追い越そうと進路を変えるとき、首を右後ろに回して後ろから車やバイクが来てないか確認しますが、その際にハンドルがフラフラとなってしまい、接触事故を起こしてしまうことがあります。
バックミラーがあれば、首を後ろに回さずに後方確認でき、ふらつくことがありません。
適切な食事
自転車に乗る前後に、バランスの取れた食事を摂ることが重要です。
また、自転車で運動しても、食事制限をしないとなかなか痩せません。
カロリーコントロールや糖分の制限、蛋白質の積極的な摂取などを心がけましょう。
休息は確保する
休憩や睡眠時間を確保して、しっかり体が疲労から回復することが大切です。
睡眠不足は、食欲の増進や基礎代謝の低下、ストレスホルモンの増加などを引き起こし、ダイエットの妨げになります。
寝る直前まで激しい運動をすることは控えましょう。
なぜなら、交感神経が優位になって体が興奮状態になるので、寝つきが悪くなってしまうからです。
運動をしてから就寝するまでの時間に余裕を持たせることで、体温が下がり、交感神経が優位になる状態を解消することができます。
おわりに
はい、以上、自転車でダイエットをするための方法やコツを紹介しました。
ダイエットに成功するには、以下のような注意点があります。
- 急激な減量を目指さない
- 身体に負担がかかる過剰な運動は避ける
- 無理な食事制限はしない
上記の注意点を守りながら、自転車で楽しく健康的なダイエットを行ってください。
【 カルボーネン法による「中程度」と「 少しきつい」運動強度の目標心拍数 】