ナビ(ナビゲーション)アプリは出発地から目的地へのルートや距離、所要時間などを教えてくれ、本当に便利です。
特に、初めての場所に行く場合や、道に迷ったときに心強いツールです。

一般的な自動車用のナビアプリでも便利ですが、特に自転車向きの機能がついているものは非常に重宝します。
例えば、サイクリングロードをルート探索に含めたり、自転車乗りにとっては辛い坂道を避けたルートを探したりする機能などです。
今まで、色んなナビアプリを使ってきたので、一度、まじめに比較評価してみようと思い立ち、ベストと思うものを選んでみました。
目 次
比較する自転車ナビアプリ
ナビアプリは数多くありますが、次のようなアプリは評価対象から外しました:
AndroidあるいはiOSのどちらかしかサポートしないもの
移動手段として「自転車」を明示的に指定できないもの
移動ルートをユーザーが指定しなければならないもの
サイクリング(運動)の記録の管理や共有がメインのもの
その結果、次の4つの人気のある自転車ナビアプリを比較対象に選びました。
自転車ナビアプリが持っているべき機能とは?
ベストな自転車ナビアプリを選ぶためには、「自転車ナビアプリはこれができることが重要」という機能を明確にする必要があります。
その機能があるかどうかを、ベストなものを選ぶモノサシにしたいと思います。
これがあやふやだと、ナビアプリの比較評価記事でときどき見かけるように、各アプリの機能をただ列挙した後、「それぞれ特徴がありますね。自分に合ったアプリを選びましょう」というオチで終わってしまいます。

そこで、自転車ナビアプリの機能で大切だと思うものを次のように考えてみました。
【ある程度の時間、継続して走れるルートを選んでくれる】
健康長寿のために運動をするには、中強度の有酸素運動を20分以上続け、週当たりでは累積150分以上行うことが良いと言われています。
そのため、自転車ナビアプリは自転車で出発地から目的地までのルートを単に探すだけでなく、信号や一旦停止の標識などで頻繁に止まらないでよいルートを選び出す機能が必要です。
そうすると、ある程度の時間、継続してペダルを漕ぐ運動ができると同時に、風を切って気持ちよくサイクリングを楽しむことができます。
交通渋滞の道、あるいは裏通りのように細い道や歩行者が多い道では、しょっちゅう停車したり徐行したりしなければならず、良い運動になるようなサイクリングをできませんし、走る爽快感は得られません。
【安全性がより高いルートを選んでくれる】
自転車は車と違い、体をむき出しにして走るので、安全なルートを選び出し、走行中も安全に案内してくれることも大事です。
上記のような考えに基づいて、自転車ナビアプリが持っているべき重要な機能として次のものを列挙しました。
- 自転車用ルート作成の基本機能
- 高速道路や自動車専用道路はルートに含めない
これは自転車ナビにとって当然ですね。 - コンビニや飲食店、病院、自転車店などの周辺施設を検索できる
サイクリング中に熱中症やハンガーノックなどにならないように、飲食料の補給が必要になることも少なくありません。
また怪我をしたり自転車が故障したりした際に、近くの助けを求められる場所を知ってそこに行けることも必要です。 - ルート検索で経由地設定ができる
出発地と目的地の指定だけでは、自分が望むルートが提示されないことが多いので、経由地を設定できる機能は必須です。 - 道を間違った場合にルートを再リサーチできる(リルート機能)
うっかり設定したルートを外れてしまい、道に迷うこともあります。
そんなときにこの機能があれば、安心して目的地に着くことができます。 - 走行ログの記録・保存ができる
走ったコースが気にいれば、次回からはその走行ログに基づいて繰り返し走ることができます。
- 高速道路や自動車専用道路はルートに含めない
- 適度な強度の有酸素運動を継続できるための機能
- サイクリングロードをルートに含めるよう、検索時に指定ができる
サイクリングロードでは信号待ちなどによる停止無しで比較的長い時間、ペダルを漕いで有酸素運動を継続できます。
またある程度の時間、風を切って走る爽快感を得ることができます。 - 坂道が少ないルートを検索時に指定できる
自転車乗りにとって急な坂は息が上がり過ぎる原因になり、強すぎる運動になってしまいます。
また急な坂は多くの人(「坂バカ」と呼ばれる人以外)にとって、楽しいサイクリングになりません。 - 大通りを優先するルート検索ができる
一般的に、大通りでは信号待ちや一旦停止などで頻繁に停止せずに、ある程度の距離を走れるので有酸素運動を継続できます。
また、風を切って走る爽快感を得ることができます。
- サイクリングロードをルートに含めるよう、検索時に指定ができる
- 安全に自転車走行できるための機能
- 道路の混雑状況も考慮したルート検索ができる
車道上では自転車は交通弱者となりがちで、特に混雑した道は危険が増すので、そのような道を避けられると安全性が増します。 - 音声ナビゲーションがある
音声でルートを案内してくれると、走行中にスマホを見る必要がなく、安全走行できます。
- 道路の混雑状況も考慮したルート検索ができる
次のリストは、あれば良いと思う程度の機能で、アプリ評価の項目には含めませんでした。
自転車ナビアプリの評価
先ほどの「重要と思う機能」を、各ナビアプリがどの程度、実現しているのか調べて、表形式でまとめてみました。
Googleマップ(無料)

Googleマップの「自転車」ルート探索機能は2020年9月に追加されたもので、割と新しい機能です。
(参照:ITMedia NEWS 『Googleマップ、日本で「自転車ルート」に対応 10都道府県で』 https://x.gd/FZ9SP )
カテゴリー | 機能 | 有無 | 備考 |
ルート作成の基本機能 | 高速道路や自動車専用道路は推奨ルートに含めない | 〇 | 移動手段として「自転車」を指定したとき |
コンビニや飲食店などの周辺施設を検索できる | 〇 | ||
ルート検索で経由地設定が可能 | 〇 | ||
道を間違った場合にルートを再リサーチできる | 〇 | ||
走行ログの記録・保存ができる | 〇 | 「タイムライン」機能で移動履歴を閲覧できる | |
適度な強度の有酸素運動を継続できるための機能 | サイクリングロードをルートに含めるよう、検索時に指定ができる | △ | 移動手段として「自転車」を指定したとき、サイクリングロードを含むルートを「自動的」に優先するようだが、明確に「含める」「含めない」の指定ができない |
坂道が少ないルートを検索時に指定できる | △ | 推奨ルートに関して、平坦かどうかや高低差の情報は示される。しかし、明確に「坂道が少ないルート」を探索するようには指定できない | |
大通りを優先するルート検索ができる | △ | 移動手段として「車」を指定すると大通りを中心に探索するが、車専用道路が推奨されることもある | |
安全に自転車で走行できるための機能 | 道路の混雑状況も考慮したルート検索ができる | △ | 地図の詳細で「交通状況」を選ぶと、ルートの地図に混雑状況を表示できるが、混雑しているルートは避けて探索するようには指定できない |
音声ナビゲーションがある | 〇 |
Yahoo! MAP(無料)

Yahoo! MAPの「自転車」ルート探索機能は2022年6月に追加されたもので、かなり新しいですね。
カテゴリー | 機能 | 有無 | 備考 |
ルート作成の基本機能 | 高速道路や自動車専用道路は推奨ルートに含めない | 〇 | 移動手段として「自転車」を指定したとき |
コンビニや飲食店などの周辺施設を検索できる | 〇 | ||
ルート検索で経由地設定が可能 | 〇 | 2022年8月にこの機能が追加された | |
道を間違った場合にルートを再リサーチできる | 〇 | ||
走行ログの記録・保存ができる | ✖ | ||
適度な強度の有酸素運動を継続できるための機能 | サイクリングロードをルートに含めるよう、検索時に指定ができる | △ | 移動手段として「自転車」を指定したとき、サイクリングロードを含むルートを「自動的」に優先するようだが、明確に「含める」「含めない」の指定ができない |
坂道が少ないルートを検索時に指定できる | ✖ | このような指定はできないし、推奨ルートに関して、高低差や坂道があるかどうかの情報は提供されない | |
大通りを優先するルート検索ができる | △ | 移動手段として「車」を指定すると大通りを中心に探索するが、車専用道路が推奨されることもある | |
安全に自転車で走行できるための機能 | 道路の混雑状況も考慮したルート検索ができる | ✖ | ショッピングモールやスーパーなどの施設周辺の混雑状況を確認できる機能はあるが、混雑している道路を避けてルートを探す機能はない |
音声ナビゲーションがある | 〇 |
ゼンリンいつもNAVI [マルチ]

地図で有名な株式会社ゼンリンが提供するアプリです。
このアプリの概要や料金については下のWebページで説明されています。
https://www.its-mo.com/multi/
カテゴリー | 機能 | 有無 | 備考 |
ルート作成の基本機能 | 高速道路や自動車専用道路は推奨ルートに含めない | 〇 | 移動手段として「自転車」を指定したとき |
コンビニや飲食店などの周辺施設を検索できる | 〇 | ||
ルート検索で経由地設定が可能 | 〇 | ||
道を間違った場合にルートを再リサーチできる | 〇 | ||
走行ログの記録・保存ができる | ✖ | ||
適度な強度の有酸素運動を継続できるための機能 | サイクリングロードをルートに含めるよう、検索時に指定ができる | △ | 移動手段として「自転車」を指定したとき、サイクリングロードを含むルートを「自動的」に優先するようだが、明確に「含める」「含めない」の指定ができない |
坂道が少ないルートを検索時に指定できる | ✖ | 推奨ルートに関して、高低差や坂道があるかどうかの情報は提供されない | |
大通りを優先するルート検索ができる | △ | 移動手段として「車」を指定すると大通りを中心に探索するが、車専用道路が推奨されることもある | |
安全に自転車で走行できるための機能 | 道路の混雑状況も考慮したルート検索ができる | △ | 渋滞状況を表示できるが、混雑しているルートは避けて探索するように指定できない |
音声ナビゲーションがある | 〇 |
自転車NAVITIME(無料)

このアプリの概要や有料版との大まかな違いは下のWebページで紹介されています。https://touring.products.navitime.co.jp/cycle
カテゴリー | 機能 | 有無 | 備考 |
ルート作成の基本機能 | 高速道路や自動車専用道路は推奨ルートに含めない | 〇 | |
コンビニや飲食店などの周辺施設を検索できる | 〇 | ||
ルート検索で経由地設定が可能 | ✖ | ||
道を間違った場合にルートを再リサーチできる | 〇 | ||
走行ログの記録・保存ができる | ✖ | ||
適度な強度の有酸素運動を継続できるための機能 | サイクリングロードをルートに含めるよう、検索時に指定ができる | △ | サイクリングロードを含むルートを「自動的」に優先するようだが、明確に「含める」「含めない」の指定ができない |
坂道が少ないルートを検索時に指定できる | ✖ | ||
大通りを優先するルート検索ができる | ✖ | ||
安全に自転車で走行できるための機能 | 道路の混雑状況も考慮したルート検索ができる | ✖ | |
音声ナビゲーションがある | △ | 毎月1回まで利用可能(距離制限無し) |
自転車NAVITIME(有料、プレミアムコース)

このアプリの概要や無料版との大まかな違いは下のWebページで紹介されています。https://touring.products.navitime.co.jp/cycle
なお、有料版には「プレミアム」と「プレミアムプラス」の二つがあります。
「プレミアムプラス」は「プレミアム」で使える有料の機能にプラスして、「PCナビタイム」で作成したサイクリングコースをスマホで再現でき、音声案内もすることが可能になります。
また、「プレミアムプラス」には作成したコースデータをエクスポートする機能もあります。
ここでの比較は「プレミアムプラス」ではなく、「プレミアム」版について行っています。
カテゴリー | 機能 | 有無 | 備考 |
ルート作成の基本機能 | 高速道路や自動車専用道路は推奨ルートに含めない | 〇 | |
コンビニや飲食店などの周辺施設を検索できる | 〇 | ||
ルート検索で経由地設定が可能 | 〇 | ||
道を間違った場合にルートを再リサーチできる | 〇 | ||
走行ログの記録・保存ができる | 〇 | ルートの軌跡だけでなく、走行距離や消費カロリーも記録することが可能 | |
適度な強度の有酸素運動を継続できるための機能 | サイクリングロードをルートに含めるよう、検索時に指定ができる | 〇 | 「サイクリングロード優先」を探索時に指定できる。また、ルート探索条件として「自転車通行空間優先」を指定することができる。 |
坂道が少ないルートを検索時に指定できる | 〇 | 「坂道が少ない」を探索時に指定できる。また、ルートの「高低差グラフ」も表示される。 | |
大通りを優先するルート検索ができる | 〇 | 「大通り優先」を探索時に指定できる | |
安全に自転車で走行できるための機能 | 道路の混雑状況も考慮したルート検索ができる | 〇 | ルート検索時に「車通りの多い道回避」の設定をオンにすると、ルート検索時にこの指定を反映したルートが検索される |
音声ナビゲーションがある | 〇 |
次の図は自転車NAVITIME(プレミアムコース)のスクリーンショットです。
このように他のナビアプリに無い機能として、6種類のルートを提示してくれる機能があり、自分が気に入ったものを選ぶことができます。

また、ルート探索条件として、次の図のように「車通りの多い道回避」と「自転車通行空間優先」を指定することができます。
これも他の自転車ナビアプリには無い機能です。

評価のまとめ
上記の評価に対して、次のように配点してみました。
- 〇: 1点
- △: 0.5点
- ✖: 0点
「重要と思う機能」は全部で10個あったので、10点が満点です。
この配点によるいよいよ結果発表です。

無料版
先ず、無料版ですが、次の結果になりました。
この中では、Googleマップがベストだと思います。
有料版
有料でも構わないのなら、次のように自転車NAVITIME(有料)が10点満点中の10点と堂々の一位です。
自転車乗りが求める機能を良く調べて実現していると思います。
自転車NAVITIME(プレミアム)がお金を出してまで使う価値があるかどうかについては、私はあると思いますし、実際、購入して使っています。
1年通して使うのであれば、月額払いよりも年額払いの方がお得です。
ただし、真夏や真冬など自転車に殆ど乗らない期間がある場合は、乗る月だけ購入し、乗らなくなったら、こまめに解約する方が安く済むこともあります。
ただし、解約すると、その時点で登録していたMy地点や履歴などの情報は削除されてしまいます。
おわりに
今回、人気の自転車ナビアプリの比較評価をしましたが、注意が必要なのは、あくまで自転車乗りの視点からの評価だということです。
ナビアプリには自転車に関する機能以外のものが沢山あることもあり、違う視点から見ると、また結果は変わってくるかもしれません。
また、アプリは進化が早く、次々と新しい機能が追加されていきます。
今回の結果は今時点のもので、一年後に評価すると結果が変わって来るかもしれません。
(有料版、無料版にナビ機能はありません)