目 次
自転車は「バス専用レーン」や「バス優先レーン」を走れる?
自転車で車道を走っていると、「バス専用レーン」あるいは「バス優先レーン」という表示(ペイント)が道路に出てくることがあります。
バス専用や優先レーンがあるところの多くは通勤通学のラッシュアワーがある道だと思います。
私は普段、そのような華々しい?道は走りません。
私のようなバスレーンを走行し慣れていない自転車乗りは、この表示を見ると「自転車はバスレーンを走っていいの?」と心配になると思います。
また、バスレーンを走っていた自転車乗りが、路線バスにクラクションを鳴らされたという話をときおり聞き、「えっ、走っちゃいけないの?」と思ってしまいます。
なお、バス専用レーンとバス優先レーンの違いは次の通りです。
- バス専用レーン: 右左折時や緊急時以外、一般車両による走行はできません。
- バス優先レーン: バスの進行を妨げない範囲で自動車の走行ができます。
YouTubeに、バス専用レーンを走っていたバス以外の車が、次々と警察官に取り締まられているところの動画がありました。
この動画を見ると、自転車の人は普通にバスレーンを走っています。
自転車のバスレーン走行に関する法律はどうなっているのか、確認してみました。
結論は「自転車はバス専用・優先レーンを走れる」
バスレーンは、通勤通学のラッシュ時などにその効力が適用される時間帯が決まっています。
その効力が適用される時間帯にバス以外の車両が走ることに関する法令を簡単にまとめると、次のようになります。
- バス以外の車両は、バスレーン以外の通行帯を走る必要がある
- 例外は自転車や小型特殊自動車、原動機付自転車で、これらはバスレーンを走れる
この根拠となる主な法令は次の通りです。
先ず、「専用通行帯」についてです。
「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」
(ピンク色のマーカー部分は筆者が付けたものです)交通法第二十条第二項の道路標識により、車両通行帯の設けられた道路において、特定の車両が通行しなければならない車両通行帯(以下この項において「専用通行帯」という。)を指定し、かつ、他の車両(当該特定の車両が普通自転車である場合にあつては特定小型原動機付自転車及び軽車両を除き、当該特定の車両が普通自転車以外の車両である場合にあつては小型特殊自動車、原動機付自転車及び軽車両を除く。)が通行しなければならない車両通行帯として専用通行帯以外の車両通行帯を指定すること。
参照: e-GOV法令検索 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335M50004002003
分かりにくいですねぇ・・・。
要は、バスはバス専用通行帯を走り、他の車両は他の通行帯を通行すべしとなっています。
ただし、自転車、小型特殊自動車、原動機付自転車は除かれています。
小型特殊自動車というのは、主にトラクターのような農作業や雪かき、工場で使われる車です。
全長4.7m以下、全幅1.7m以下、全高2.0~2.8m以下、最高速度時速15km以下(農作業用は時速35km未満)という決まりがあります。
次は「優先通行帯」についてです。
「路線バス等優先通行帯」
(ピンク色のマーカー部分は筆者が付けたものです)第二十条の二 道路運送法第九条第一項に規定する一般乗合旅客自動車運送事業者による同法第五条第一項第三号に規定する路線定期運行の用に供する自動車その他の政令で定める自動車(以下この条において「路線バス等」という。)の優先通行帯であることが道路標識等により表示されている車両通行帯が設けられている道路においては、自動車(路線バス等を除く。以下この条において同じ。)は、路線バス等が後方から接近してきた場合に当該道路における交通の混雑のため当該車両通行帯から出ることができないこととなるときは、当該車両通行帯を通行してはならず、また、当該車両通行帯を通行している場合において、後方から路線バス等が接近してきたときは、その正常な運行に支障を及ぼさないように、すみやかに当該車両通行帯の外に出なければならない。ただし、この法律の他の規定により通行すべきこととされている道路の部分が当該車両通行帯であるとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、この限りでない。
参照: e-GOV法令検索 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000105
こちらも長~い文で分かりにくいです。
最初の「道路運送法第九条第一項に規定する・・・外に出なければならない。」という一文の文字数をWORDでカウントしてみたら343文字もありました!
気を取り直して・・・
とにかく、バス優先通行帯では、他の車はバスの運行の邪魔になる恐れがある場合、バス優先通行帯の外に出ないといけないとされています。
「ただし、この法律の他の規定により通行すべきこととされている道路の部分が当該車両通行帯であるとき」とあります。
自転車は車道の最左端を通行しないといけないので、自転車はバス優先通行帯を走れる(走らないといけない)ということになります。
なお、名古屋市のように、道路の一番右の中央車線にバスレーンが設定されている場合もありますが、ここではバスレーンが車道の最左端に設定されていると想定しています。
自転車で停まっているバスを追い越す?
路線バスは各停留所で停車するので、路線バスと自転車の平均スピードがあまり変わらないことがあります。
そのため、路線バスと自転車は、追い抜いたり、また追い抜かされたりという状態が続くことがあります。
バス停に路線バスが停車している場合に、停車中のバスをどう追い抜けば良いでしょう?
これは、バスの右側を通行して追い越すというのが正しいようです。
このとき、自分の自転車の右側や後方の状況も確認して、安全に追い越しをする必要があります。
このためにも次の記事に書いたように、自転車にバックミラーを取り付ける方が良いと思います。
バスの左側(つまり、歩道寄りの側)からの追い越しはNGです。
乗り降りする人と接触する恐れがあり、非常に危険です。
バスレーン(一番左側の車線と想定しています)に自転車がバスを追い越すためのスペースが無い場合、右隣りの車線に出て追い越しても良いでしょうか?
この答えは、「余地がない場合は、右車線に出ることができる」です。
「複数の車線がある場合、自転車は一番左側の車線を走らなければならない(道交法20条1項)」という法律をご存じの方は、「それ、正しいの?」と思うかもしれません。
この道交法第20条第1項に対する例外が道交法第20条第3項に定められており、いくつかの例外の中に「追い越しをするとき」というのが含まれています。
ですので、これはOKということになります。
この右隣の車両通行帯に出て追い越しをする場合、進路変更なので、合図を出し、後ろから来る車両の妨害をしないように行う必要があります。
ただ、一般的に自転車はスピードが遅いので、車体の長いバスを右から追い越そうとしている間に、バスが発進しようとウインカーが出てしまう場合もあります。
私は健康長寿を目指しているので、無理せずに「路線バスが停車していた時は、バスが発車するまで後方で待つ」方が良いと思います。
また、次の法令にあるように、バス停のバスの発車を妨害すると違反です。
「乗合自動車の発進の保護」
第三十一条の二 停留所において乗客の乗降のため停車していた乗合自動車が発進するため進路を変更しようとして手又は方向指示器により合図をした場合においては、その後方にある車両は、その速度又は方向を急に変更しなければならないこととなる場合を除き、当該合図をした乗合自動車の進路の変更を妨げてはならない。
参照: e-GOV法令検索 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000105
路線バスにクラクションを鳴らされたという自転車乗りの話はしばしば聞きますが、路線バスの運転手さんは、運転免許の最高峰と呼ばれる大型自動車二種免許を保有する運転のプロです。
そんな人がむやみにクラクションを鳴らすとは考えにくいです。
ひょっとすると、バスの発車の妨害や危険な追い越しなどをしたためかもしれませんね。
まとめ
普段、バスレーンを走行していない自転車乗りは、バス専用・優先レーンを走っていいのか心配になる人も少なくないと思ったので、今回、法律を確認してみました。
そもそも自転車は車道の第一通行帯(一番左の通行帯)しか基本的に走れません(道交法20条1項)。
したがって、第一通行帯がバスレーンであっても関係なく走れるということだと思います。
また、バスの追い越しにあたっては、第一通行帯の右側に追い越しのためのスペースが無ければ、右隣の通行帯から追い越せることも分かりました(道交法第20条第3項: 道交法第20条第1項に対する例外規定)。
ただ、安全第一と無用なストレスを溜めないために、私は、路線バスの追いこしは控えて、バスが停車している時は、バスが発車するまで後ろで焦らずに待つ方がいいと思います。
そもそも「バス専用レーン」というネーミングが良くないですね。
「専用」と言われると、そうなのかと思ってしまいます。