輪行をしてみたいけど、色々と不安で実行をためらっている方も多いかと思います。
実は私がそうでした。
折り畳み自転車や輪行袋は買ったものの、長い間二の足を踏んで、なかなか実行する勇気が出ませんでした。
でも実行してみると、その楽しさにハマり、時間を見つけてはするようになりました。
そこで、私の経験に基づき、ハードルが高くない輪行の計画方法を紹介したいと思います。
目 次
輪行のメリット
「輪行」というのは、自転車を輪行袋に収納し、電車やバス、飛行機などの交通機関に載せて移動することです。
ここでは電車を使った輪行の方法に限って説明します。
サイクリングに輪行を取り入れることで、体力が若い頃ほどない中高年でも、あまり疲れずに遠くまで行けるというメリットがあります。
例えば、普段サイクリングで40㎞走る場合、片道20kmが一番遠くに行ける距離です。
でも輪行すれば40km先まで自転車で走って、帰りは電車で輪行するというようなことができます。
20㎞と40㎞とでは、行ける範囲がものすごく違います。
東京タワーを起点として20km先というと、例えば、川崎市鶴見区あたりです。
しかし、40㎞先というと鎌倉・大船近辺まで行けます。
しかも、鉄道各社は、輪行袋に入れた自転車を「手回り品」としてみなしてくれるため、別料金をとられることもありません
中高年が輪行に抱く不安
やってみると楽しみが増える輪行ですが、輪行を実際に行ってみる前は不安もありますね。
特に中高年の場合、筋力や持久力も若い頃に比べると衰えていますから、次のような心配があれこれ出てきます。
「サイクリングする距離はどのくらいが自分に適しているのか」
「大きくて重い輪行袋を担ぎながら駅構内を移動するのは大変過ぎないか」
「電車が混んでいたらどうしよう。大きな輪行袋を車内に持ち込んで、周りの乗客から白い目で見られたくない」
また、自転車の折り畳みや展開に慣れておらず、私のようにあまり器用でない人は
「出発駅でちゃんと自転車を折り畳めるのか」
「目的の駅に着いたらうまく展開できるのか」
というように、自分のスキルも心配になります。
これから輪行してみようという中高年の方の参考に、なるべく不安が減るような電車での輪行の計画方法を紹介します。
輪行でのサイクリングをする時間をどの程度にするか
健康長寿を実現するためには、「1日30分以上の中強度の有酸素運動、週に合計150分以上」というのがひとつの目安と言われています。
したがって、一日中サイクリングをすれば、十分すぎる程の運動量になります。
ただ、年をとると、疲労回復に時間がかかります。
週1回、長時間サイクリングをし、週の目標の何倍も達成してしまうけれども、その疲れを癒すのに何日も休息するというのはお勧めではありません。
一回あたりの運動量はほどほどにして、週に3,4回運動をする方が、健康増進に効果があります。
このことから、輪行でのサイクリングの時間は、2、3時間で十分だと思います。
この程度であれば、疲労を蓄積しないで一日おきくらいに運動ができます。
サイクリングをするスピードですが、平均時速20㎞/hというのは、信号待ちでの停車時間を入れても、それほど無理なスピードではないと思います。
けれども、年をとると休憩も多くなるし、ただ走るだけでなく、写真を撮ったりすることもあるでしょうから、余裕を見て、平均速度を15㎞/hとして考えます。
そうすると、2、3時間のサイクリングだと、30kmから45km行けることになります。
自宅を中心として、半径がこの距離の円を地図上で描いてみると、相当色んな所に行けることが分かると思います。
また、サイクリングする時間を2、3時間と想定すると、あとで触れますが、次の大事なことを実現しやすくなるというメリットもあります。
- 電車が空いている時間に輪行する
- 明るい時間だけサイクリングする(特に中高年は暗くなってからのサイクリングは避けるべき)
いつ電車に乗るか
輪行計画を作るにあたって決めないといけない重要なことは、いつ電車に乗るのかということです。
というのは、輪行袋に入れていても自転車はかなりスペースをとるので、他の乗客に迷惑をかけないのがエチケットだからです。
ですから混んだ電車は避ける必要があります。
また、大きな駅の場合、重い輪行袋を担いで、改札口を抜け、目当ての電車の乗り場まで、駅構内を長い距離を行かなければならないこともあります。
それで、やっと電車のホームにたどりついたら、電車が混んでいて乗れないとなると悲劇です。
いつもガラガラで、廃線の危機に陥っているような電車に乗るならいざしらず、多くの人は大都市圏に住んでいます。
10大都市圏に住む人の数は、日本の総人口の7割近くを占めています。
大都市圏で電車を使って輪行しようとする場合、電車は混みがちなので、いつ、どの電車に乗るのかは大きな悩みです。
通勤通学のピーク時のギューギュー電車では、大きな輪行袋を持っていては乗れません。
したがって、混んでいる電車を避けるのが、輪行する際に重要です。
「『混んでいる電車を避ける』と言ったって、初めて乗る路線や、いつも同じ時間にしか利用したことのない路線の場合、何時が空いているのか分からないよ」とお嘆きの諸兄に役立つのが、ナビゲーションや乗換案内のサービスです。
たとえば、NAVITIMEです。
NAVITIMEの上部のメニューにある「運航/渋滞情報」を選択すると、その下にサブメニューがいくつか出てきます。
その中の「電車混雑予想」を選ぶと、駅名と日付を入力する画面になります。
そこへの入力に基づいた混雑予想が下図のようなイメージで表示されます。
この機能は無料会員でも利用できます。
利用したい駅と日をNAVITIMEに入力してチェックしてみてください。
NAVITIMEの混雑予想を見てみると、だいたいどこの駅も平日の12時台、13時台が空いていることが分かります。
ただし、例外はもちろんあります。
たとえば、人気観光地の最寄り駅の場合で、朝から徐々に混み始め、その後、夜になるまでずっと混んでいるということもあります。
完全な引退あるいはセミ・リタイア生活を送っている中高年にお勧めは、「平日の12時台、13時台の電車を利用して輪行する」ことです。
たとえお金はなくとも、自由な時間はあるという贅沢な特権はあります。
これを活用しない手はないです。
初心者向けの輪行計画パターン
2つの輪行計画パターン
ここまで、初心者の輪行計画作成では、次の2つが大切であることを述べました。
- サイクリングは2~3時間程度にする
- 電車が空いている平日の12~13時台に輪行する
このことから、初心者向け輪行プランの基本的なひな形は次の2パターンになります。
パターン1: 行きにサイクリング
- 朝10時くらいに家から自転車で出発し、2~3時間、目的地までサイクリング
- 目的地の最寄りの駅で、自転車を折り畳んで輪行袋に入れて、12~13時台の電車に乗る
- 自宅の最寄り駅近辺で下車し、自転車を展開して、家まで自転車で帰る
パターン2: 帰りにサイクリング
- 自宅の最寄りの駅で、12~13時台の電車に乗れるように、自転車で家を出発する
- 駅近辺で自転車を折り畳んで輪行袋に入れて、12~13時台の電車に乗る
- 電車が目的の駅に到着したら、駅近辺で自転車を展開し、家まで2~3時間サイクリングをして帰る
このどちらのパターンでも、明るい時間だけサイクリングすることが可能になります。
パターン1か2かは、コースの勾配で決める
始めに辛い経験をすると、もう輪行はコリゴリと思ってしまい、サイクリングの楽しみの幅を広げる機会を失ってしまいます。
ですから、輪行初心者は無理せず、ご機嫌になれる体験をすることをまずは重視する必要があります。
そのためには、パターン1か2のどちらのサイクリング・コースが下り基調かで選ぶと良いと思います。
行きも帰りも平坦なルートであれば、パターン1、2のどちらでも構いません
例として、Google Mapによる茅ヶ崎駅と相模川自然の村公園間のコースをとりあげます(下の図)。
この図のように、Google Mapは勾配を教えてくれます。
このGoogle Mapを見ると、茅ヶ崎を起点とする場合、パターン2(帰りにサイクリング)がお勧めです。
すなわち、行きは上り基調なので電車で相模川自然の村公園の最寄り駅までいき、そこから下り基調のサイクリングで快適に茅ヶ崎まで帰ってくるという輪行プランです。
輪行に関する注意点
輪行の計画の作成法についてのヒントを紹介しましたが、あわせて、輪行に関して気を付けた方が良いと思われることをいくつか書きたいと思います。
どの車両のどこに乗るか
輪行袋という大きな荷物があるので、周りの乗客に迷惑をかけないことが大切です。
そのため、電車に乗るにあたって、次のことを心がける必要があります。
- 先頭か最後尾車両のドア付近を使う
- 重い輪行袋を担いで、ホームの端まで歩いていくのは大変ですが、仕方ないですね。
- 座るなら端の席にする
- 席の真ん中は、両隣の人に迷惑です。
- 混んでいる場合、大きな輪行袋があるので、無理に座らない
- あまり邪魔にならないドア付近に置いて、そこでずっと立つこともよくあります。
輪行袋をどう担ぐか
Birdyやブロンプトンのような輪行向きの自転車でも10~12㎏の重量があります。
バーベルならば、中高年でもこれくらいの重さは苦にならない人が多いと思います。
しかし、輪行袋はかさばる荷物で、ブラブラするので、歩きながら運ぶのは結構大変です。
そのため私は袈裟懸けスタイルで運んでいます(下図)。
これだと輪行袋がブラブラしづらく、体の左右に荷重がかかり、それほど重く感じません。
ただ、この方法のデメリットは、万一、階段などで足を踏み外してしたりして転倒すると、輪行袋をとっさに離せないため危険が増すことです。
このような危険を避けるため、エレベーターがあるところは、階段やエスカレーターではなく、エレベーターを使いましょう。
また、階段やエスカレーターでは大きな輪行袋が他の人の邪魔になりかねないという意味でも、エレベーターを使うのがお勧めです。
ちなみに私はオーストリッチの「ちび輪バッグ」を愛用しています。
軽くて丈夫で、Birdy Airがちょうど良く納まります。
まとめ
輪行を始めようと思っている中高年の方向けに、なるべく敷居を低くして、まずは楽しく輪行ができるような計画をする方法を説明しました。
輪行の経験を積むと、行きや帰りだけ輪行するのではなく、何回も電車を乗り降りするようなこともしたくなるかもしれません。
また、敢えて、きついコースの方を電車ではなく自転車で行きたくなるかもしれません。
この記事が、輪行で広がる新たな自転車の楽しみを見出すきっかけになれば幸いです。