「自転車は健康に良い」と思っていても、実際に運動効果を得られるほど乗っている人は少ないって知っていましたか?
実は、ほとんどの人が運動不足解消には繋がらない距離しか乗っていないという衝撃の事実が、国土交通省の調査で明らかになりました。
この調査資料は国土交通省の「自転車の活用推進に向けた有識者会議」のもので、ネット上で公開されています。
https://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/bicycle-up/06pdf/02.pdf
官庁の資料なんてつまらないだろうと思ったのですが(失礼しました <(_ _)>)、意外と考えさせられるもので、特に面白いと思ったところを紹介します。
目 次
ほとんどの人の自転車走行距離はすごく短く、運動不足解消にはなっていない
「自転車を日常的に利用する理由」に関する調査結果が乗っていましたが、
「運動不足解消になり健康によい」が2番目に多い(42%)理由となっています。
「じゃあどれだけ乗っているの?」というと、下の図のように走行距離5km未満が全体の約8割。
10km以上はたったの4%です。
日本での自転車保有台数は約6870万台で、約2人に1台持っているにもかかわらず、短距離の移動に利用するのみの人がほとんどなのです。
走行距離が5km未満というと、時速15kmの場合、乗車時間は20分未満です。
下の日本医師会のWebサイトにある図のように、有酸素運動の効果をしっかり得るには20分以上の運動が勧められています。
したがって、約8割の人は、健康のために自転車を十分活用できていないということになります。
別の言い方をすると、走行距離5km~10kmの人11%、10km以上の人4%、合わせてたった15%の人が、20分以上の運動(時速15㎞を想定した場合)をしていて、有酸素運動のメリットを得ていることになります。
以上を図にまとめると下のようになります。
要するに、自転車が運動不足解消に良いと思っている人が多い割には、実際に乗っている長さが十分ではありません。
せっかく自転車という素晴らしい健康促進のツールがあるのに、もったいないことです。
フツーの人と、シリアスライダーの月間走行距離の差はとてつもなく大きい
上記のように、約8割の人は、走行距離5km以下です。
仮りに毎日5km乗ったとすると、月間走行距離は約150kmです
これに対して、ある記事に、サイクリストに対して月間走行距離に関するアンケート調査をした結果が載っていました。
その結果では最も多かったのは月間200km~500kmでした(そのアンケートに答えた人の4割)。
私もこの範囲で、月平均にすると300kmくらいです。
もう少し増やしたいなと思っています。
ちなみに、ロードバイクのプロ選手は月あたり2,000~5,000kmは走るのが当たり前だそうです。
すごいです!
シリアスな自転車乗りが意外に少ない
私は、自転車のトレーニングを一生懸命にし、機材にもお金をかけて、レースに参戦するようなシリアスライダーの人口は多いと思っていました。
「Bicycle Club」や「Cycle Sports」などといった自転車関係の雑誌が定期的に出版されています。
ロードバイクにはまっていた若い頃は私も購読していました。
今は「健康長寿のために無理をしない派」に転向し、読んでいません。
内容の多くは、最新の自転車やパーツ、アパレルの紹介、自転車レースやイベントに関する記事です。
何十万、ときには百万円もする自転車の紹介や、重量をほんの数十グラム軽くして、より早く走れるようになるために、何万円もするパーツに交換を勧めるような記事が多く載っていました。
考えてみれば、自転車関連の会社からの広告収入は雑誌の貴重な収入源ですから、スポンサーが喜ぶような記事に偏るのは仕方のないことです。
もちろん、ツーリングや輪行の特集がされることもありますが、やはり上記のような記事がメインで、このような雑誌の出版がビジネスと成り立つには、シリアスなライダーの人口は多いのだろうと想像していました。
また、BS放送でNHKが「チャリダー★」という番組を放送しており、ときどき見ています。
観光地をツーリングするといった内容のこともありますが、メインはタレントや自転車界で名の売れているサイクリストがレースやヒルクライム、あるいは過酷なトレーニングに挑戦するという内容で、シリアスライダーに寄せていると思います。
たとえば、「涙の山岳ライド」、「坂バカ部のヒルクライム挑戦」、「ロードレース男子部」、「○○合宿」といった内容です。
やっぱりシリアスなライダーの人口がある程度あるから、NHKはこのような放送をしているんだろうと想像していました。
しかし、ある記事によると、レースやトレーニングを楽しむ「アスリート層」はたったの30万人だそうです。
30万人というと秋田市の人口くらいです。
上記の国土交通省の資料では、自転車に乗る人は国民の約半分だそうですで、約6000万人とすると、「アスリート層」は自転車に乗る人のたった0.5%ということになります。
また、自転車競技連盟へ登録されている競技者は5000人ほどだそうです。
5000人というと、自転車に乗る人、6000万人の約0.01%です。
以上を図にしてみたのが下です。
自転車に乗っている人のうち、シリアスなスライダーはたった0.5%、
裏を返せば、そうでないフツーの自転車乗りが99.5%です。
テレビや雑誌などのメディアは、ごく一部のシリアスなスライダーだけでなく、圧倒的に多い、フツーの自転車利用者にも目を向けてほしいと思います。
自転車を健康促進のツールとして活用するための技術や、安全に乗るためのルールやノウハウなど、面白くてためになるコンテンツはいくらでも考えられると思います。